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               化学物質国際対応ネットワークマガジン 第21号
                     http://www.chemical-net.info/
                            2009/11/30 配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第21号は、以下の内容をお送りいたします。

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☆ [1]「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改
          正する政令」等の閣議決定について       環境省化学物質審査室
☆ [2]海外化学物質管理事情           化学品安全管理研究所 大島輝夫
☆ [3]中国の環境関連動向         化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [4]あとがき                   化学物質国際対応ネットワーク事務局
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[1]「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正
する政令」等の閣議決定について          [環境省化学物質審査室]

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する
政令」等が10月27日(火)に閣議決定されましたので、お知らせします。
これらの概要は以下の通りです。

1.「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正
する政令」
○製造・輸入を原則禁止する第一種特定化学物質として、新たにペルフルオロ
(オクタン-1-スルホン酸)(以下「PFOS」)又はその塩等の12物質を追加指定。
○第一種特定化学物質を使用している輸入禁止製品として、PFOS又はその塩
等の3物質が使用されている14製品を追加指定。
○例外的に第一種特定化学物質の使用を認める用途として、PFOS又はその塩
を使用する3用途を指定。
○第一種特定化学物質の例外的な使用による環境汚染を防止するために、
基準適合義務及び表示義務が課せられる製品として、PFOS又はその塩を使用
する4製品を指定。
○技術上の指針を公表する第二種特定化学物質が使用されている製品として、
現在表示義務を課している11製品を指定。

2.「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令等の一部を改正する
政令」
○ 一般化学物質及び優先評価化学物質について届出を求める閾値は1トン以上。

3.「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律の
施行期日を定める政令」
改正法の施行期日を平成22年4月1日とし、改正法附則第1条第3号に定める
規定については、平成23年4月1日。
※なお、詳細については、環境省のウェブページで閲覧可能です。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11703

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[2]海外化学物質管理事情(その16)  
米国の化学物質管理の見直しについて  [化学品安全管理研究所 大島輝夫]

1.EPAのTSCA 改正の6原則とそれに対する反応
EPA(米国環境保護庁)は、TSCA (有害物質規制法)を改正する基本6原則と
解説を9月30日に 公表した。
 (http://www.epa.gov/oppt/existingchemicals/pubs/principles.html)

1)背景:
従来、TSCA は、たとえば第4条(a)に基づいて試験結果を要求する場合、
あるいは第6条に基づいて特定化学物質の規制を行う場合、法的な完全性を
欠いており、裁判の判決などで、敗訴する場合もあった。このような状況を
受け、TSCA を改正する議員提案が行われてきたが、共和党が議会の多数を占
めていた時は、関係委員会の委員長も共和党であったために、議案として
委員会で取り上げられることもなく、提案後、3年経過してそのまま廃案と
なっていた。
しかし、民主党が議会の多数を占めるようになり、EPA の長官も、オバマ
大統領が任命したMs.Lisa P.Jackson にかわり、 EPA 職員に対する
2009年の年頭に行われた就任演説では、今後の主要な施策として、科学的根拠
に基づく地球温暖化対策と化学物質対策が挙げられた。
従来の TSCA は、以下に示すようにEPA が化学物質を規制する十分な権限
を与えられていなかったので、限界が指摘されていた。
 (1) 第4条(試験の指示)の場合:
EPA は、その化学物質が、「不当な(significant)リスクを招き得る」との
認定をしなければならないが、これにはばく露も含まれるので、EPA は
多くの確認を含む煩雑な手続きが必要である。
 (2) 第6条(既存化学物質の規制)の場合:
EPA は、第6条に基づいて、ある化学物質に規制をしようとする場合、
「その化学物質が健康、または環境を損なう不当なリスクをもたらすと結論
する正当な根拠があると確認」した上で、第6条に基づき規制措置を開始
しなければならないが、例えば、EPA が10年を超す努力の末、1989年に、
実質的にアスベスト製品を全面的に禁止する最終規則を公布した時には、
業界の提訴した裁判に敗訴し、アスベストの規制は限定的なものに止まった。
(以上、(1)及び(2)は、岡野事務所発行、化学工業日報社販売、環境法ハンド
ブック 第13版による。)

2)6原則とEPAの解説(筆者仮訳)
EPAの化学物質管理の法律改善の本質的な原則(Principle)が9月30日に発表。
 
 【筆者注】なお、TSCA の"Manufacturer(製造業者)"には、"Importer
(輸入業者)"も含んでいる。

EPA は、TSCA を改正するために、議会および公衆、環境地域社会、化学
産業のメンバーと、その作業に専念している。EPA は、米国の経済に対して
活力となる商業的に使用されている化学物質が安全であり、公衆の健康、
消費者の福祉、労働者および子供のような特に刺激に敏感な人たちに対して、
また環境を危険にさらすことがないよう信頼を増すために、TSCA で利用
可能な手段をすみやかに近代化し、強化することについて、共に作業する
ことが重要であると信じている。
化学物質管理を改善するために必須である以下の原則(以下、原則)は、
TSCA を改正し、その効力を著しく強化するための準備作業を促進することに
役立つ。これらの原則は、EPA が懸念対象化学物質に対し、迅速に評価し、
新規及び既存の化学物質を規制する仕組みと権限を与える最新の規制について、
EPA の目標を示すものである。

 原則1:「化学物質は、健全な科学に基礎をおき、人の健康と環境を保護する
リスクベースの標準を反映する安全基準により審査されるべきである。」

EPA は科学的リスクアセスメントに基礎をおいた安全基準を確立するために、
明確な権限を持つべきである。健全な科学が、不確実性を考慮しながら、
リスクをアセスメントし、管理する必要性を認識し、化学物質のリスクの
アセスメントに対する基礎となすべきである。

 原則2:「製造業者は、新規と既存の化学物質が安全であり、公衆の健康と
環境を危険にさらさないことを結論づけるために、必要な情報を EPA に提供
すべきである。」

化学物質が安全基準に合致するとする EPA の決定を支持するに足る化学物質
の十分なハザード、ばく露、用途データを、製造業者に提供するよう要求
すべきである。製造業者からのばく露アセスメントとハザードアセスメントでは、
刺激に敏感な人たちに対する化学物質に関連するリスクの完全な再審理を含むよう
要求すべきである。

 【筆者注】このような観点から、子供に対する影響などの毒性データについては、
かなり広範囲なデータの要求が予想される。

EPAは、製造業者が十分な情報を提出し得ない場合、製造業者から化学物質
の安全を決定するために適切な試験を迅速かつ効果的に要求する、または、
その他の情報を入手するために、データ要請(data call in)のような必要な
権限と手段を持つべきである。
EPA は、また生産量の増加、新規用途、または潜在的なハザードやばく露に
関する新しい情報のような、安全に影響を及ぼす可能性が新たに認められる場合、
以前にアセスメントされた化学物質について、効果的に追跡(すなわち追加の
データ要請、または、リスクを減少するための行動をとることを要求)する
ための必要な権限を与えられるべきである。
EPA が用途及びばく露情報の提出を要求する権限は、化学物質業界の川下の
加工業者と使用者にも拡張すべきである。

 原則3:「リスクマネジメントの決定は、刺激に敏感な人たち、経済的コスト、
代替品の利用可能性、およびその他の関連した検討事項を考慮すべきである。」

EPA は、化学物質が安全基準に合致しない場合、子供の健康、経済的コスト、
社会的利益性、公正の懸念を含めた考察を検討する柔軟性をもって、リスク
マネジメントの行動を行う明確な権限をもつべきである。

 原則4:「製造業者とEPAは、既存及び新規両方の優先化学物質について、
時宜を得た方法でアセスメントし、対応措置をとるべきである。」

EPA は、関連するリスクとばく露の考慮に基礎をおき、既存化学物質に関する
安全性を再検討するための優先順位を決める権限を有すべきである。
EPA と企業に対して、適用できる明確で、強制的、実際的な期限が、特に刺激
に敏感な人たちに対して悪影響を与えるかもしれない化学物質について、
再検討を完了する時期が定められるべきである。

 原則5:「グリーンケミストリーが、奨励されるべきで、透明性を保証する
条項と公衆による情報の入手が強化されるべきである。」

より安全で、より持続性のある化学物質、工程、製品は、研究、教育、評価、
その他の方法により、使用を奨励され、支持されるべきである。これらの活動
の目的は、より低いリスク、より効果的なエネルギー効率、持続性のある化学
製品と工程の設計、製造、用途を増加するようにすべきである。
TSCAの改正は、製造業者からの業務上の秘密情報(CBI)の請求に対して、
より厳格な要求とすべきである。製造業者は、その秘密請求にあたり、根拠を
実証することを要求されるべきである。健康と安全に関連するデータは、秘密
請求に含まれるべきではなく、CBI とは別の役割として扱われるべきである。
EPA は、公衆の健康と安全を保護するために必要な場合、必要な保護を伴う
CBI の適当な分担について、他の政府(地方、州、外国)と交渉することを
可能とすべきである。

 原則6:「EPA は、施行のために、持続的資金源を与えられるべきである。」

この法律の施行は、化学物質の安全を保証する目的を達成するため、および
EPA が目的を達成する市民の信頼を保つために、適当で継続した基金が与え
られるべきである。
そのためには、化学物質の製造業者は、製造業者により提供される情報の審査
を含めて、EPAの化学物質管理施行コストを負担するべきである。

以上の6原則はEPAの長官が9月29日サンフランシスコにおける講演で紹介したが、
講演の全文はEPAのホームページに公開されている
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/8d49f7ad4bbcf4ef852573590040b7f6/
fc4e2a8c05343b3285257640007081c5!OpenDocument

また、2009年2月25日、米国下院の商業・貿易・消費者保護小委員会で、TSCA改正
に関する公聴会が開催され、業界団体、NGOなど10人が口述している。

3)TSCA改正案の議会上程の動き
民主党のFrank Lautenberg上院議員は、これまでTSCAの改正を推進してきたが、
"間もなく、この新原則を取り入れた法案を提案する"と述べている。

4)EPAが示した6原則に対する反応
 (1) 米国化学工業協会(ACC)の声明
 * EPA長官の化学物質管理の改革に対する原則の公表に勇気づけられた。
 * TSCAの全面的改正ではなく、部分的改正(minor adjustment)を期待する。
 * また副会長のMr.Mike Walls は、優先順位の付け方が課題と講演で述べている。
 (2) 米国化学製造業者と会員の協会(SOCM:旧称有機化学物質製造者協会)
 * SOCMAは化学物質管理に関するEPAの原則を歓迎しながらも、提案された
    基準(standard)と、どのようにそれが実施されるかを確認したい。
 (3)NRDC (Natural Resources Defence Fund) 米国民間環境保護団体
 * 正しい路線と認識
 
2. 米国OSHA(労働安全衛生局)GHS導入の提案(NPRM)を官報に告示(9月30日)

Federal Register(F.R.) 9月30日付Vol.74, No.188 50280〜50549
GHSの改訂3版に準拠し、HCS(Hazard Communication Standard)の改正を提案、
パブリックコメントは、12月29日までとなっている。F.R.には序論、概観、
目的、経済分析、環境の健康・安全のリスクから子供の保護、などの項目も
含み、F.R.のPartIIとして別冊に取りまとめられているが、OSHAのホームページ
にある"Hazard Communication" (www.osha.gov/dsg/hazcom/index.html)では、
この提案と現行のHCSとの比較結果などを参照することが可能である。

主な内容は以下のとおり。
* ハザードを決定するための分類基準の改正
  **分類は以下の点がGHSと異なり、削除されている。これはJISと同じ。
   ・ 経口、経皮、気体、蒸気、粉塵およびミストの急性毒性の区分5
   ・ 皮膚刺激性の区分3
   ・ 吸引性呼吸器有害性区分2
  **環境有害性は見当たらない
* 新しいラベルシステムは、「標準化された注意喚起語」、「ハザードを示す絵
表示」、「注意書き」を含む
* より明確な書式へのMSDS改正(Material Safety Data Sheet: 新しいシス
テムでは、単にSDSと呼ぶ)
* GHS標準と合致するために、OSHAのHCSにある特定の物質の表示の変更

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[3]中国の環境関連動向          [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

1. スウェーデン化学物質管理研修への参加
2009年10月7日〜10月16日、環境保護部化学物質登録センターの楊力氏を含む
中国の化学物質環境管理関連機関の6名の職員が、中国・スウェーデン化学物質
管理協力の一環としてストックホルムで開催されたスウェーデン化学物質管理局
(KEMI)が主催する化学物質管理研修に参加した。この研修では、スウェーデン
の化学物質リスク評価とリスク管理体系及びEUの化学物質管理規則(REACH)、
ならびに化学物質管理政策と理念等について講義が行われた。
具体的な内容は以下の通り。
 1) スウェーデンにおけるEU化学物質管理政策及びREACH規則への対応
 2)化学物質リスク評価とリスク管理の枠組み
 3)人健康及び生態リスク評価の指標と内容
 4)化学物質の分類とラベル
 5)化学物質安全データシートの構成体系と編纂方法
 6)化学物質安全報告とばく露シナリオ
 7)リスク評価における社会経済要素に関する分析
出典:環境保護部化学物質登録センターHP  10月22日
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_detailT0.aspx?
TitID=200&T0=2&T1=0&T2=2&T3=0&T4=0&T5=0&T6=0&LanguageType=CH

2. 中国の既存化学物質リスト2009年版は11月に発売
2009年10月29日、環境保護部化学物質登録センターは、11月1日から
「中国の既存化学物質リスト(IECSC)2009年版」を発売することを公表した。
IECSC 2009年版の電子媒体の販売価格は8,500元であり、500元の追加支払いで、
国際EMSによる海外への送付も可能である。

中国の既存化学物質リスト2009バージョンの概要
http://www.crc-mep.org.cn/M006/M006_C1.aspx
IECSC 2009年版(アップグレード)申込書
http://www.crc-mep.org.cn/A108/_FILE_DOWNLOAD/_DOC/IECSC2008UpdateApp.doc
IECSC 2009年版注文様式
http://www.crc-mep.org.cn/A108/_FILE_DOWNLOAD/_DOC/IecscOrderForm.doc

出典:環境保護部化学物質登録センターHP 10月29日
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_detailT0.aspx?
TitID=202&T0=2&T1=2&T2=0&T3=0&T4=0&T5=0&T6=0&LanguageType=CH


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[4]あとがき          [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

化学物質国際対応ネットワーク事務局の周囲の公園でも、落ち葉散るころとなり、
地面がすずかけの大きな茶色い葉で覆い尽くされ、その上に公孫樹の黄色い葉が
はらはらと夕日の中を落ち、その空間に新たなグラデーションを生み出していきま
す。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

欧州化学物質庁(ECHA)のホームページでは、ECHAに登録した「Lead registrants」
が公開されていますが、その登録数が11月11日にやっと2000を超えました。
また、CLPに基づく作業促進を図るためのヘルプデスクが、REACHヘルプデスク
と統合され「network-Help」として生まれ変わりました。さらに、第1回目の
審査委員会の報告がなされると同時に各種ガイダンスの更新や改定ドラフト
の公表がなされるなど、注目に値する多くの動きがあります。

化学物質管理に関する法制度の改正は、欧州だけでなく今回のメールマガジン
でも紹介ししたように、米国や日中韓でも個別に進められており、経済と同様、
リスクベースに基づくグリーン化が主流化しつつあると認識していますが、
冒頭に照会した落ち葉のような調和とグローバリゼーションが並立するような
状態になればよいと考えています。
  
化学物質国際対応ネットワークでは、このような状況下にある国際化学物質対応
の実施を促進すべくみなさまのご協力をいただきながら積極的に活動を進めて
行きたいと考えております。
 
次号は、欧州の最新情報をお届けする予定です。どうぞよろしくお願い申し上げま
す。

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化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

■本マガジンは、平成21年度環境省請負業務に基づき、社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
  社団法人海外環境協力センター  http://www.oecc.or.jp/
  環境省総合環境政策局環境保健部 http://www.env.go.jp/chemi/index.html

■原則として、毎月1回の配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
 なお、バックナンバーについては、後日ネットワークのホームページに掲載
 する予定です。

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発行元:社団法人海外環境協力センター
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