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        化学物質国際対応ネットワークマガジン 第24号
          http://www.chemical-net.info/
              2010/03/29配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第24号は、以下の内容をお送りいたします。
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☆ [1]海外化学物質管理事情       化学品安全管理研究所 大島輝夫
☆ [2]中国の環境関連動向         化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [3]あとがき                   化学物質国際対応ネットワーク事務局
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[1]海外化学物質管理事情(その18)
REACH: Article中のSVHC(substances of very high concern)の課題
                   [化学品安全管理研究所 大島輝夫]

※物質数に誤りがありましたので、読者の皆様にご迷惑をおかけしたことを
お詫び申し上げるとともに以下のように訂正いたします。

1. Article 中にSVHC(高懸念物質)を含む場合は、今後次の理由から重要な課
題となる。
(1)SVHC候補物質は、これまでに29物質が2回にわたり公示され、3回目の8候補
物質が3月10日に公示され、現在パブリックコメント中である。今後、順次公示
される予定である。また、その公示された日付も後で述べる理由により重要である。
(2)Article 中に0.1重量%を超える濃度でSVHCが存在する場合、届出が義務付
けられているが、この0.1重量%の分母についてはEU内部で議論されており、
今後の動向に注目する必要がある。
(3)EUのECHA(化学物質庁)から、「Guidance on requirements for substances   
in articles」(Articleに含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス)」
の案が、順次公表されているが、最新の2010年2月11日に公表されたversion 2.1
は、既にEU委員会に送付されて協議中であり、SVHCに関しても従来のガイダンス
に対し、内容がかなり修正されている。
(4)Article中のSVHCの届出は、2011年の6月1日から開始される。

【筆者注】
REACH関係では、Articleを一般に成型品と訳しているが、ECHA の例示を見ても、
紙などもArticleとしている。本稿では、そのままArticleとした。

2. REACHで定められているArticle中のSVHCには、届出と情報伝達が義務づけ
られている(メールマガジン第23号参照)。
(1)SVHCの公示:
  1) 2008年10月28日:2エチルヘキシルフタレート(DEHP)、DBP、BBP、短鎖
塩素化パラフィン、アンスラセン、TBTOなど12物質15物質
  2) 2010年1月13日:ジイソブチルフタレート、アンスラセンオイルなど
12物質14物質
 3) 2010年3月8日:トリクロロエチレン、ホウ酸、クロム酸カリウムなど8物質
(2010年4月22日までパブリックコメント中)
(2)ECHAが、2008年5月に最初に発行したArticleに含まれる物質に関する要求
事項についてのガイダンスには、様々な部品からなるArticle(例:コンピュー
ター)の場合、0.1%重量は個々の部品単位ではなく、Article全体(すなわち
コンピュ−タ−)を分母として計算されるとしている。しかし、これに対して
オーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、スウェーデンの
6カ国が反対意見(http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidance_document
/dissenting_en.pdf)を通告し、この反対意見は継続している。2010年3月4日
に開催された電機・電子4団体主催のREACHなどに関するセミナー(http://www.
jesa.or.jp/seminar/rohs/)によれば、EU委員会の会議で、これら6カ国のうち
で部品を対象として罰則を適用した場合、違反とされた企業は欧州裁判所に持
ち込むことになり、最終的には、欧州裁判所の判決を待つ他ないのではないか、
という意見が出たことが説明された。

3. Articleに含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス(Guidance
requirements for substances in articles)の2010(DRAFT Version 2.1))版に
ある特記すべき事項を以下に示す(ガイダンスの原文は以下URLを参照)。
なお、このガイダンスには、上記の6カ国の反対意見が「注」として各所に記載
されている。
http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidance_document/draft_guidance_
on_requirements_for_sia_forum_20100209.pdf
(1)同ガイダンス第4章「高懸念物質に関する要求事項(REQUIREMENTS CONCERNING 
  
SUBSTANCES OF VERY HIGH CONCERN)」では、ECHA の”candidate list”および
“registry of intention”に掲載されているリスト、及び次のリストにも注意
することを記している。
  1)CLP のAnnex VIのTable 3.1 と3.2
(http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2008:353:
0001:1355:EN:PDF)
  2)IARC のMONOGRAPHS DATABASE
(例えば、CASナンバーで整理したものhttp://monographs.iarc.fr/ENG/
Classification/ListagentsCASnos.pdf)
  3)European chemical Substances Information System (ESIS)のPBT
Information System※1
(http://ecb.jrc.ec.europa.eu/esis/index.php?PGM=pbt)
  4)List of Chemicals for Priority Action of the OSPAR Commission※2
(http://www.ospar.org/content/content.asp?menu=00940304440000_000000_000000
)
※1:イタリアのミラノの北西にあるEUの情報センターJRCが作成しているデータベー
ス
※2:OSPAR commissionは、北東大西洋の海洋汚染防止を目的とした有害物質
に関するオスロ条約(欧州投棄規制条約(1972))とパリ条約(陸上起因海洋
防止条約(1974))による海洋汚染防止を確実に実施するために1974年に設置
された委員会であり、この「オスパール委員会」が、現在約300に上る有害
物質をリスト化している。

(2)同ガイダンスの4.2「REACH規則第7条第2項に基づく届出」
届出は、Article中の物質が、候補物質リストに認定される前に、製造または
輸入されたものについては要求されない。Article中の物質の届出は、候補物質
リストに認定された後、2011年の6月1日からは、遅くとも6か月以内になされる。
たとえば、2010年の12 月1日より前に候補物質リストに追加された場合は、
2011年の6月1日までに届け出ねばならない。2010年12月1日またはそれ以降に
候補物質リストに含まれた場合は、追加された後6か月以内に届け出なければ
ならない。

(3)同ガイダンスの4.3「REACH規則第7条第3項に基づく情報伝達の義務」
これらの義務は、年1トン以下であっても義務が課される。義務は、物質が候補
物質リストに含まれる前に製造・輸入されたArticleが、物質がリストに追加
された後に譲渡・提供された時には、情報伝達の義務が課される。このように
譲渡・提供の日付は重要である。
 また、以下の部分にも注意を要するガイダンスがある。
 4.3.1「REACH規則第33条に基づく情報伝達」
REACHでは第33条(第33条の簡単な概要を記載して下さい)に基づく情報伝達
の様式を定めない。
 4.4 「異なる成分を伴うArticle中のSVHC候補物質の濃度の決定」
 4.5 「異なるArticle中のSVHC候補物質の総量の決定」

4.REACHに関するFAQ
2009年11月にVersion 3.0が発行され、「Article中に含まれる物質に関する
要求事項」に関する項目8.1〜8.4 が改正された。変更点としては、例えば、
「8.5 Articleからの物質の意図的な放出」の新設などがある。2010年2月には、
Version 3.0.1が公表されているが、Articleの部分に関しては、変更はない。
(http://echa.europa.eu/doc/reach/reach_faq.pdf)

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[2]中国の環境関連動向          [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

○タイヤ業界のREACH規則対応について
中国では、2008年のタイヤ生産量が3.5億個に達し、うち40%が輸出され、
すでに世界有数のタイヤ製造・輸出大国になっている。しかしながら、2009年
に予備登録が開始されたREACH規則により、タイヤ輸出企業の将来性に暗雲が
立ち込め、タイヤ製造企業は危機感を抱いている。
EUのREACH規則は、輸出企業の前に横たわる最大の技術的貿易障壁として関心
を持たれてきた。タイヤからの有害ガス放出や、2008年10月28日に公示された
15種類の高懸念物質(SVHC:Substance of Very High Concern)候補リストの
発効により、規則の更新ごとに、コストの上昇と多大な作業がもたらされて
きたが、同時に、それは、技術の革新と品質の向上ももたらした。
  REACH規則の発効は、中国のタイヤ業界の産業発展レベルを加速させ、タイヤ
の輸出を低品位・多売型から、技術型・高品位利益追求型に転換させる潜在性
を有しているが、大多数の企業のREACH規則に対する認識は、予備登録の段階で
留まっており、物質の評価および規制物質への対応については、知識が不足してい
る。
専門家は企業のREACH規則対応について、以下内容を提言している。
(1)研究・開発に投資し、輸出製品の構造を調整、経営の重点を技術価値と
付加価値の高い製品に転換する。
(2)企業の自主管理を強化し、規範に合わせた市場秩序を維持しながら値下げ
競争を回避する。
(3)新興市場の開拓の強化、海外拠点の開拓を奨励し、貿易障壁のリスクを
低減する。避ける。

出典:中国化工情報ネット 2月22日
http://www.cheminfo.gov.cn/zxzx/page_info.aspx?id=18459&Tname=rdzz_wz&c=115

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[3]あとがき                    [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

 東京では、平年よりも6日早いソメイヨシノの開花宣言が3月22日に行われた
後、急に花冷えになり、夜桜の楽しみはもう少し先になりそうです。みなさま
のところではいかがでしょうか。
 今回は、REACH規則に関する高懸念物質(SVHC)の話題をお届けしましたが、
欧州委員会は、企業総局及び環境総局とともに欧州化学物質庁(ECHA)を訪問
するなどして、2012年の政治的な目標である106件の物質のSVHC候補物質リスト
記載を強力に推進することを示唆するなどの動きがあり、今後の関係者の動向
が非常に注目されています。また、同時にSVHCの成型品中の濃度の算出方法に
関し、スウェーデンなど6カ国が提唱している異議がどのような取り扱いをされ
るのかも気になります。2010年に公表された成型品に含まれる物質に関する要求
事項についてのガイダンスには、この異議に関する注意書きが本文中だけでなく
表紙にも明確に記されています。これは、当局の意向を暗示しているような感じ
を受けますが、今後、その解釈が裁判所に持ち込まれたとしても、企業側の主張
がどこまで通るのか、REACH規則におけるポリマー関連の解釈に関する判例もあり、
楽観はできないのではないかと考えています。
 化学物質国際対応ネットワークでは、2010年11月末に最初の段階的な登録期限
を迎えるREACH規則や同時に物質の届出期限を迎えるCLP規則について、対話等を
通した有益な情報の入手を心がけ、その他中国で進む新化学物質環境管理弁法の
改正や、韓国で進められているGHS制度の新たな国連バージョンへの対応などに
関し、独自の情報収集・発信に努めてまいります。また、同時に国内における
見直し改正化審法などの施行対応を含め、サプライチェーンを通して影響を受け
る国外の化学物質管理対応についても有効事例の分析と普及に関する支援を進め
てまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします

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化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

■本マガジンは、平成21年度環境省請負業務に基づき、社団法人海外環境協力
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  社団法人海外環境協力センター  http://www.oecc.or.jp/
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