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メールマガジン

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  化学物質国際対応ネットワークマガジン 第29号[附録1]
       http://www.chemical-net.info/
            2010/11/08
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当附録は、2010年11月8日に配信した化学物質国際対応ネットワ
ークマガジン第29号で報告した第5回ECHAの関係者会議について、
セッションごとのECHAの説明や見解を紹介するとともに、参加者
との対話の状況について、以下にその概要を紹介します。(なお、
この説明や見解は関係者会議で聞き取ったものであり、ECHAその
他関係者から正式に公表されたものでないことを予めご了承くだ
さい。)

SESSION 1 
Registration and Classification and Labelling Notification

【分類と表示に関する届出に関するコツ】
              Sandrine Lefere-Brevart (ECHA)
CLP規則に基づく物質に関する届出の締め切りまでに残り三ヶ月と
なっており、支援ツールの効果的な活用が重要となる。ECHAは、
総届出物質件数が100万件を超えると予測しているが、2010年9月
25日現在で、オンライン届出とバルク届出を含めて6,762件が提出
され、内5640件を受理しているが、不受理の理由は物質の同定が
完全でないことが主な理由である。届出方法として、オンライン
届出(24,388物質)の利用が53%となっており、バルク届出におい
ては物質数と届出者数から計算すると総届出物質数は300,000物質
を既に超えている状態である。一般的なアドバイスとして、関連
マニュアルとウェブサイトを適切に参照することが重要で、併せ
てCLP規則の付属書6を確認すると同時に、当該物質が既に登録・
届出されているかも確認することが必要である。IUCLIDユーザに
おいては技術的完全性確認(TCC)プラグインを使用して要求を満
たす情報が揃っているかを確認することが望ましい。1トン以下の
研究開発用物質に関しては、届出の必要がないが、同物質が有害
性を有する場合は届出を行わなければならず、IUPAC名を機密に出
来ないことに留意していただきたい。グループ届出の場合は、事
前の合意が条件であり、REACH-ITを通してグループメンバーの修
正を行えば、追加メンバーによる新たな届出は不要である。詳細
は、関連HP(http://echa.europa.eu/clp_en.asp)や、ガイダン
ス、マニュアル、FAQなどを参照し、併せてNationalヘルプデスク
やECHAのヘルプネットも活用し適切なIT-ツールを使用して対応い
ただきたい。

【確実な登録に向けてI − 一式文書の準備と提出】
                   Mike Rasenberg (ECHA)
IUCLID5は、要求されている情報(CSR,QSAR,文献データ、分析デ
ータ、急性毒性データ、動物毒性試験データ)を統合したexport/
importが可能な一次データセットと、exportだけが可能なデータ
ベースの二段階構造となっている。リード登録者(LR)による登
録一式文書の作成においては、自然人(LE)、物質成分、エンド
ポイント研究記録、化学安全性報告書(CSR)と安全な使用に向け
てのガイダンスが重大な構成要素となり、これらの確認のために
は、最新版のTCCプラグインの使用を推奨する。登録一式文書の作
成の際には、当該トン帯域のテンプレートを使用し、情報公開
(Dissemination)プラグインや料金計算プラグインでも併せて確
認し、再度TCCプラグインでチェックすることを推奨する。共同提
出に向けた関係書類(Joint Submission Object (JSO))の作成に
ついては、wizardに従いLRの登録前に作成する。また、REACH−IT
によるLRによる登録後、ビジネスルールチェックに失敗するケー
スも考慮して、登録作業を進めるべきである。メンバーによる登
録では、LE、物質構成、LRの登録一式文書の提出の有無などに留
意することが重要である。LRによる登録と同様にTCCプラグインや
その他関連プラグインの活用を推奨する。SMEには特別料金が適用
されるので、企業の規模についても注意することが必要である。
ECHAからのメッセージとしては、十分な余裕をもって事前に登録
し、締め切りに間に合わせるとともに、支援ツールやウェビナー
などの関連情報を活用し、同時に企業の規模についても留意しつ
つ登録作業を推進することを期待したい。

【確実な登録に向けてII − 一式文書の準備と提出】
                    Kevin Pollard (ECHA)
ビジネスルールチェックは、最初の重要な関門であり、失敗した場
合の再提出にかかる時間を考慮して余裕を持った登録作業の推進が
必要である。また、経理的完全性確認(FCC)、TCC、総合確認の3
つの確認ステップを経て、最終決定プロセスに入る。FCCに関しては、
インボイスの発行後、技術的な確認とは別個に支払期限が設定され
ているので注意が必要である。なお、登録一式文書の提出確認は、
ビジネスルールチェックをパスした時点でRef.No.が付与されるので、
それで確認を行うことが可能である。以下は、登録に向けたチェッ
ク項目であるが、ECHAのウェブサイト、関連マニュアル(DSM、
REACH-IT)ウェビナー、ヘルプデスクなどを活用することが登録成
功への近道である。

チェック項目1:支払期限厳守、経理担当者との調整、料金計算プラ
グインによる事前準備
チェック項目2:インボイスと料金支払いに関しては、8桁以上のRef.
No.をメッセージ欄に記入、個別支払、支払方法はSEPA
(Single Euro Payment Area)で請求額にしたがう。
チェック項目3:TCCプラグインを最大限に活用、TCCに失敗した場合
は、REACH-ITのメッセージボックスで通知されるので、設定期限ま
でに必要な対応を実施、登録一式文書は、FCCとTCC確認を経て、は
じめて受理される
チェック項目4:情報公開に関しては、プラグインツールで営業秘密
情報(CBI)の担保を事前確認、CBIの要求には理由の正当性の説明
が不可欠
チェック項目5:登録一式文書の更新は、必要時に常に実施、登録一
式文書は、登録者のものという認識

【Director’s Contact Groupからのフィードバック】
   Erwin Annys (Director REACH / Chemicals Policy, CEFIC)
REACH規則に基づく登録に関し、川下ユーザー(DU)はLRの登録確
認を的確に実施できないなどの問題点に関し、欧州化学工業連盟
(CEFIC)は欧州委員会、ECHA、産業会とラウンドテーブル(RT)
で課題解決方法を検討してきていた。ECHAは、2009年の5月の関
係者会議から物質情報交換フォーラム(SIEF)の形成促進キャン
ペーンに着手し、CEFICのRTと同じメンバー構成で2010年2月5日
に関係責任者グループ会議(DCG)を設置した。DCGの目的は、
2010年の登録作業のモニタリング、関連課題発掘とその解決方法
の検討、高生産量化学物質のDUへの供給確保であるが、2011年3月
31日に活動を評価し、教訓をとりまとめてその活動を終える予定
である。これまで、11回の準備会合に加え、6回の本会合を開催し、
27課題について検討を続けてきたが、最近、リスク管理手法(RMM)
を新たに検討課題に加えた。DCGでの検討結果は、CARACAL 
(Competent Authorities for REACH and CLP)に反映されてい
るが、詳細は、ECHAのホームページ(http://echa.europa.eu/help
/dcg_en.asp)で公開されている。2010年の6月1日以降、ガイ
ダンスの安定性(登録作業と並行して新たに生じる義務に対応が出
来ない。)を考慮し、新たなガイダンスの提供は中止されているが、
2010年の12月1日以降、新(修正)ガイダンスが公表される予定
(例:中間体、モノマーとポリマーガイダンス修正、ばく露評価ス
キーム、製品中の物質、SDS、CLP(ラベリング))であり、今後は
その中で規定される新たな義務にも対応しなければならない。

【質疑(Q)応答(A)】
Q:有害性がない物質でもREACH登録物質であれば届出が必要か。
A:必要である。
(登録の際のC&Lパートで、my substance is not hazardous を
クリック)

Q:CLPに関してはツールの多言語対応も進めるべきである。また、
分類と表示に関するバルク届出において、調和化された物質分類を
選択可能か確認したい。
A:現在対応中で、来週にも決定が出る予定である。

Q:分類と表示に関する届出において、現状での混合物中の物質の
取り扱いはどのようにするのか確認したい。
A:当該物質が有害性を有する場合は、物質の届出が必要である。
CSRなどで新たに有害性が見つかった場合は、速やかに登録一式文
書の更新作業が必要である。

Q:CLP規則に基づく届出データの公開予定を確認したい。また調剤
メーカにおいては、SCからデータが入手できないことから分類が困
難なケースもあるが、どのように対応すべきか確認したい。
A:2011年の年央に公開予定である。指摘の点に関し、ECHAは法律
文書の変更権限がないため、対応ができない。輸入者は、化学物質
に関する情報を入手し、対応することが基本であると認識している。

Q:SIEFのデータ共有などに関する合理的なコストシェアの透明性
確保について、ECHAはどのように考えているのか確認したい。
A:ECHAに報告することが可能であり、ECHAとして評価する用意が
ある。CEFICのHPにこのようなケースの対応が掲載されている。デ
ータ共有に関しては、その品質についても協議する必要があり、
より経済的なコストでの対応が必要であるが、コストはデータ共有
だけに発生するものでないことに留意する必要がある。

Q:DUにおいて、CMR物質等、LRが最終的に登録しなかった場合ある
いはLRにとってその物質成分がマイナーで登録しなかった場合など
に、どのように対応すべきなのか確認したい。
A:用途がカバーされないケースについては、以前から問題が指摘
されており、DUは対応してきているはずである。CMR(0.1%含有)
に関しては、既存の法制度の中で、SDSで情報伝達をしてきており、
それが活用できるはずである。サプライヤーに確認することが基本
である。ECHAは、4,400に上る登録予定物質のリストを公表している。
DU自身が登録することも可能である。欧州化学物質流通事業者連合
(FECC)のホームページにはこのようなケースの対応事例が掲載さ
れているので適宜参照願いたい。

Q:REACH規則に基づく登録作業においてインボイスはいつ発行され
るのか確認したい。
A:登録一式文書の確認を終えたときに、REACH-ITを通して自動的
に発行する。

Q:LRが分類と表示を行った場合、メンバーは異なった分類と表示
結果を選択可能か確認したい。
A:SIEF内で合意して、分類と表示の届出を行うことが基本である
が、multiple classification とするかopt out(SIEFからの離脱)
するかのオプションがある。

SESSION 2  
Registration, Evaluation and Notification: Best Practice

【登録からのフィードバック】     Christel Musset (ECHA)
登録締め切りまで58日しか残されていないが、ECHAでは11月末まで
に38,000件の登録一式文書の提出と5,000物質の登録を予定してい
る。9月末現在で、ECHAは6,700件の登録一式文書を受け取り、10月
21日までにTCCチェックを終える予定である。これまで4,185件の登
録一式文書による2,265物質が登録されている。残された58日間に
数千件の登録一式文書の提出を予測しているが、9月の後半二週間
だけで週1,600件の共同提出のサインアップがあった。メンバーの
登録一式文書の提出は、LRの登録後になることに留意すべきであり、
締め切りまで待つことなく余裕を持って対応することが重要である。
加盟国別の登録統計では、ドイツ、オランダ、UK、ベルギー、フラ
ンス、スペインの順となっている。アップロードされた登録一式文
書の成功率は、現在では85%に上っている。失敗したものも二回目
には殆どのものがパスしている。TCCに関しては、ツール提供後、
ほぼ100%の成功率となっている。登録作業促進に関しては、LRへの
優先サービス提供に加え、多言語対応やウェビナーも実施している。
DUとその登録作業に関しては、LRが的確にDUの確認要求に対応でき
ない現状を踏まえ、段階的登録物質の予想リスト(ECナンバー、登
録タイプ)を10月末までに公表する予定であるhttp://www.echa.
europa.eu/chem_data/list_registration_2010_en.asp。DUで取り
扱っている物質が、このようなリストに掲載されていない場合は、
ECHAに連絡願いたい。DCGでは、いろいろな登録シナリオにおける
課題を検討しているが、個別の検討課題を提起したい場合には、
根拠を附してECHAに連絡願いたい。

【登録一式文書の評価−現状と優良事例】
                Hannu Braunschweiler (ECHA)
評価作業は、ECHAによる登録一式文書の評価と、加盟国が実施する
物質評価に分かれているが、物質評価については現在準備作業中で
あり、2012年から開始される予定である。ECHAの登録一式文書の評
価は、試験プロポーザル評価(TPE)とコンプライアンスチェック
(CCH)に分かれている。2010年9月1日から、評価作業を行う3つの
評価チームが活動を開始し、2010年中に300件の評価作業を行い、
内70件について結論(ECHAのドラフト・デシジョン、QOBL、結論保
留)を出す予定である。いずれにしても評価作業は、実際の作業を
通して経験を蓄積(learning by doing)しながら進めている。
2010年8月までの評価結果は、CCH75件、TPE10件、ドラフト・デシ
ジョン(CCH18、TPE8)、ファイナル・デシジョン(CCH4、TPE2)、
Quality Observation Letter (QOBL)37件、CCHなしの結論24件であ
る。主な問題は、不適切な正当性の適用であり、法律文書を参照し、
要求事項に対する的確な対応が求められている。正当性を向上させ
るには、グルーピングや読み取り法における類似性や同類仮説の適
用、QSARのモデル情報及びモデル適用性の確認と既存情報との比較
検討、重要な証拠の適用(WoE)における証拠の科学的な有効性の
検証などがある。CSRにおける整合性の向上には、推定無影響レベル
(DNEL)や無影響濃度予測値(PNEC)などに関する正当性が必要で
ある。また、完全なばく露評価(REACH規則のANNEX 11.3参照)も
必要である。CSRの要点としては、最大限の正当性の適用、特に標
準的なCSRが適用されない場合の明確な正当性の附与などである。
また、文書≠正当性ではないことに留意しつつ、登録一式文書の評
価作業におけるコメント機会を最大限に活用願いたい。中間体に関
する評価について、特に中間体の情報や限定条件、RMMに関する情
報が不足しており、すでにQOBLを発出し不足情報の収集に努めると
ともに評価について検討を続けている。ECHAからのメッセージとし
ては、正当性の確保、整合性の確保、コメント機会の活用、中間体
に関する情報の不足への対応などである。

【登録と届出−産業界の経験】          Jan Schuller 
     (Director REACH Initiative, Eastman Chemical B.V.)
Eastmanの2010年に締め切りを迎える登録物質は53物質、内LRは17
物質、24のSIEFに対応、内4つのSIEFが受身的な対応、CLP規則に基
づく届出は2500物質である。主な課題は、pre-SIEFからSIEF移行段
階における、SIEF形成促進者(SFF)の不在であり、支援ツールも
存在しなかったことから、登録一式文書作成にかかるコミュニケー
ションの確保が重要であると認識している。また、サプライチェー
ン(SC)の理解不足によるDUからの大量の用途情報の提供なども上
流のメーカにとっては課題であったが、専用ウェブサイトを作成し
SIEF内で情報共有に努めた。コストシェアに関しては、透明性と公
平性の確保が重要であり、十分な説明を行い、トン帯域に応じて対
応したが、データ共有だけでなく文書作成にもコストがかかるが、
このような点についてはCEFICが見解を公表している。企業として
は、物質の製造・輸入量のトラッキング、SIEFマネージメントツー
ルの活用、コンプライアスモニタリング、ECHAインボイスとSIEFイ
ンボイス対応、DUとの用途などに関するコミュニケーション確保な
どが課題であった。CLP規則に基づく届出に関しては、グループ届
出対応を歓迎している。ECHAの支援に関しては、TCC、情報公開、
料金計算プラグインが有益であったが、ヘルプデスクの回答は、場
合により多くの時間を要することがあった。2010年以降の課題とし
ては、コンプライアンスモニタリングの継続(RMMの実施、製造・輸
入量確認、SVHC更新対応)と登録一式文書の更新(提案試験結果、
新ガイダンス、新用途)である。また、2013年の登録締め切りに向
けて、2010年の登録で得たSIEFの教訓を活かし、予測されるSMEに
よる登録に対応することが重要で、そのためにはSCにおけるコミュ
ニケーションが不可欠である。

【質疑(Q)応答(A)】
Q:中間体に関する登録一式文書はどのように対応すればよいのか
確認したい。
A:登録一式文書の更新か新たな登録一式文書の作成が必要である。

Q:評価におけるコメント期間を活用したいが、最終決定を公開し
てもらいたい。
A:最終決定には、第三者の科学的な情報が含まれる場合もあるた
め、公開の仕方を検討する。

Q:CCHにおいて、環境データがある場合などにおいて安全な使用の
確保にかんがみ、DNELやPNEC等CSRの構成要素との対比をどのよう
にするのか確認したい。
A:品質の高い環境データが存在する場合において、CSR構成要素が
不足している場合には、基本的には登録者が当該情報等に関し一式
文書の更新をすべきであるが、対応を検討したい。

Q:E-SDSにおける登録No.の対応を確認したい。
A:ECHAにおいて登録者を明らかにしない方法を検討中である。
CHESARを用いてE-SDSの作成が可能である。

Q:物質の同定において要求される分析データは、コストも嵩むこ
とからどの程度まで要求されるのか確認したい。
A:LRは、共同提出の登録一式文書にメンバーの関係情報(詳細成
分や不純物に対応した)を含む形で要求されている情報を提出し
なければならないが、SIEF内でその確認が必要である。

Q:十分な情報とは何を意味するのか確認したい。
A:産業界側の独自の判断であるが、メンバーによる登録の際の分
析データのリピートは求めていない。

Q:段階的登録物質のCLP規則対応において、1トン以下の有害性を
有する物質の対応を確認したい。
A:非段階的登録物質をECHAのウェブサイトで公開する予定である。

Q:SIEFのリーダーを確認したい。
A:ECHAヘルプデスクを通して確認していただきたい。ウェブフォ
ームを作成する予定。

Q:物質の同定においてLRとメンバーでは、クライテリアが異なる
のではないか。
A:Inquiryプロセスも設けており、情報提供を行っている。非段
階的登録物質に関しては、過去のデータを参照しながら情報要求
に対応し、同定は義務である。段階的登録物質については、共同
提出の場合はSIEF内の問題でLRとメンバーの登録一式文書は対応
している必要がある。

Q:Inquiryと登録間の調整をどのように図るのか確認したい。
A:評価プロセスを通じて明らかにしたい。

Q:CSRシナリオに応じて、SDSの更新の必要性はあるのか確認した
い。
A:CHESARでE-SDS等の対応が可能なので利用いただきたい。

Q:物質の同定において、全ての分析データの添付は困難である。
また、分析データについては、GLP試験所のデータが要求されるの
か確認したい。
A:分析法に関しては、必ずしもGLP試験所での実施を要求していない。
情報要求と提出すべきデータに関しては附属書11を参照いただきたい。

SESSION 3 
Authorisation: How to Select Candidate Substances

【候補物質及び認可物質リスト−目的と手順】
  Anna Borras Herrero (European Commission, Enterprise and 
                Industry Directorate-General)
認可の目的は、インターナルマーケットの確立とSVHCs(CMR, PBTs, 
vPvB, 同等物質 )が引き起こすリスクの的確な管理であり、その
ためには速やかに代替を進め、経済的及び技術的に存続可能にする
ことである。認可は、SVHCsからリスクの評価とコミッションによ
り決定される。認可における当該物質のリスクの的確な管理または
社会経済の多大な影響に関する証明は、申請者の責任である。代替
が基本であるが、認可はその用途に関して評価され、閾値はなく、
認可への取り込み条項の適用はない。適用範囲は、附属書14に記載
された物質であるが、中間体、医薬品、食料・飼料、研究開発物質、
植物保護剤・殺生物剤、人健康に影響を及ぼす化粧品/食品接触物
質/医療器具、所定濃度以下の混合物は適用除外である。認可プロ
セスは、(1)SVHCs候補物質リストへの掲載、(2)付属書14、
(3)個別の認可決定である。付属書14への収載は、段階的なプロ
セスであり、REACH規則第58条によりコミッションが決定する。
ECHAは2009年6月1日にコミッションへ7物質の推薦を行い、一部を
除きコミッションのドラフトは出来ており、最終的には2011年1月
に適用する予定である。個別の認可物質の決定には、CSRに基づき
リスクが適切に管理されると判断され、リスクよりも社会経済的影
響が大きい場合になされる。認可申請の際は、代替の分析(AoA)
が要求され、AoAで代替が可能となった場合に代替計画が求められ
る。代替計画、CSR、社会経済分析の項目を含む認可決定に関する
レビュー報告は、認可期限の18ヶ月前までに提出されなければなら
ない。認可は、人健康や環境へのリスク、社会経済、ならびに新た
な代替情報が得られたときには、いつでも見直しがなされる。

【候補物質及び認可物質リスト−目的と手順2】 
                    Jack De Bruijn (ECHA)
認可プロセスには、対象物質の選定(SVHCs候補物質リスト、優先
物質の選択)と認可決定の二段階がある。候補物質リストは、物質
の固有性から加盟国等の一式文書を基にMSCAにより決定されるが、
パブリックコンサルテーションの機会が設けられている。SVHCの提
案の頻度は、3月から4月及び9月から10月中旬であり、7月と12月に
同提案に基づく候補物質リストが更新される。候補物質に関する義
務は、当該物質を含む混合物の受領者の要求に応じたSDSの提供、
当該物質を含む製品の使用者の要求に応じた安全な使用に関する
45日以内の情報の提供であるが、2011年6月1日以降は、当該物質を
含む製品の製造者または輸入者は、ECHAに届出をしなければならな
い。候補物質リストの掲載は、more sense firstを基本方針とし、
バランスの取れた方法で優先物質の選定を検証するが、ECHAは全て
の可能な用途情報に基づき判断を行うことにしている。優先物質の
選定は、PBT及びvPvB、広範な使用、使用量等のクライテリアに基
づき決定されるが、ECHAは総合的な規制効果も併せて検討している。
この認可プロセスには、用途情報の収集が不可欠なので産業界の協
力を仰ぎたい。併せて、3ヶ月間のコメント(優先決定、タイムラ
イン、除外事項)期間の活用をお願いしたい。ECHAは、夏季のパブ
リックコンサルテーションを経て、年度毎のリコメンデーションを
予定している。認可物質リスト(付属書14)に収載された場合は、
産業界には3年以内の代替、もしくは認可請求(1.5年以内)が求め
られる。CSR(未提出の場合)、代替分析、代替計画(代替物質が
ある場合)、社会経済分析の提出が必要である。後者の3つは産業
界にとって新たな経験であり特別な準備が必要である。ガイダンス
は、ほぼ完成している。認可申請は、用途ごとにIUCLID5で作成し
REACH-ITを通して締め切り前に提出が必要で、ECHAは2011年の間に
認可申請を受け付ける準備を進めている。結論として認可は複雑か
つ負荷の高いプロセスで多くの課題に直面している。候補物質選定
時点からの義務の理解促進が必要、産業界のコメント機会の提供、
認可プロセスは多くの新しい要素があり習熟が必要である。

【候補物質の選定作業】           Martijn Beekman 
 RIVM / Bureau REACH, Expertise Centre for Substances (SEC)
非公式の専門家グループの目的は、認識されたSVHCの候補物質リス
ト収載に向けた優先度の同定である。また、MSまたはコミッション
への関心表明(RoI)提出やRoIからのSVHCの選定に向けた働きかけ
などを通し、優先順位が高いSVHCランクの形成やグループ分けを行
うことである。認識されたSVHCとは、PBT作業グループ(TC NES)
により同定されたPBTとCLP規則の附属書6(1272/2008/EC)である。
検討リストからの除外は、中間体のみに適用し、他の法制度でカバ
ーされているもの、既に厳しく規制されているもの、原油関連
(petroleum stream)などである。専門家グループにより収集され
る情報は、同定データ、有害性分類、量、作業ばく露、消費者ばく
露、生態ばく露、普及が優先度の判断に用いられ、詳細なCMR分類
とPBT/vPvB状態、詳細な他の法制度での規制状態である。SIN及び
ETUCリストは、単に参考情報として用いられる。これまでに得られ
た教訓は、入手可能な情報が限られているとしても最初の検討段階
からのリスク管理を取り込み、多岐に渡る専門分野をカバーした総
合専門的なチームによる検討が重要だということである。また、非
公式専門家グループによる優先物質の選定は、常に認可物質として
十分なものではないが、SVHCの基準は満たしていることに留意すべ
きである。結論として、MSとECHAは共同で認可物質の選定作業を継
続しつつ、初期段階からリスク管理オプションの比較検討を行うこ
とにより、登録一式文書からのより多くの関連専門情報の収集が出
来ることを期待している。

【候補物質リスト−NGOの経験】       Dr. Ninja Reineke 
                   Senior Policy Officer
         Chemicals, WWF European Policy Office (EPO)
SVHCのばく露低減が必要であり、その候補物質リストは、変化を導
くもの(車輌)であり、代替を促進し、早期警戒を与え、SCと消費
者に情報提供を図るものであるが、認可プロセスは非常に遅いと言
わざるを得ない。また、REACH規則第33条に基づく企業からの情報
提供は不十分である。必要な緊急措置は、内分泌かく乱物質に対す
るSVHC適用検討、リスト改訂によるPBT/vPvBへの焦点強化、候補物
質リスト掲載におけるグルーピングの適用などである。NGOは、候
補物質選定プロセス促進、市場排除を目指した化学物質の優先化、
企業/消費者/当局へのガイダンスの提供を目的に、CMR、PBT/vPvB
を基に独自にSINリストを公表している。結論として、当局の候補
物質選定にかかる意欲の向上が必要で、消費者のSVHC含有製品に対
する情報へのアクセスを確立する施行体制の確保、SINリストの有
効な活用、産業界の代替の促進(SVHC保護ではなく)などがある。

【候補物質リスト−労働組合の経験】  Tatiana Santos Otero 
                  Chemical Expert, ISTAS
      (Instituto Sindical de TrabajoAmbiente y Salud)
EUでは約10万物質が上市されており、うち1500物質がREACHにおけ
るSVHCsとして認識されている。労働組合では、有害物質のばく露
により多くの労働者が死亡または職業的疾を被っている現状にかん
がみ、EU作業者(数百万人)の保護のために、独自のリストを作成
した。認可の目的は、内部マーケットにおけるリスク管理の確立と
代替の促進、経済的かつ技術的に活用可能な技術の導入などである。
SVHC候補物質リストの公表により、サプライチェーンにおける使用
者の知る権利を保障し、認可申請によりCSRやばく露シナリオなど
の関連情報が提供されることを期待している。4,290の高生産量化
学物質(HPVC)とSIEFからの情報を併せて検討した結果、334エン
トリ(568物質)が、独自のSVHCとして選定された。これらの物質
は、現在ECHAが公表している38候補物質と31物質が整合している。
このリストは、REACHの実効的な施行に貢献し、MSやコミッション
のSVHC候補物質の選定に役立ち、企業の代替を促進すると同時に作
業者を保護し、化学物質に関連した罹患を減少させるツールである。
産業界は、このリストを用いて優先対応物質を絞込み、SVHCを予測
し、有害性物質の排除に要する時間を短縮することが可能となる。
このリストに掲載されている物質が候補物質または認可物質になれ
ば、作業者の関連情報収集が容易になり、安全な物質への代替が推
進され、職業上の疾病が減少する。

【候補物質リスト−産業界の経験】         Timo Unger 
                     Manager Environment 
         Hyundai Motor Europe Technical Center GmbH 
車の開発は7年、製造は8年、スペアパーツの供給は30年のサイクル
であるが、このサイクルに対しREACH規則に対応することは、利益
をまったく生じない可能性を持っている。部分構成だけで9,000、
細かなパーツまで細分化すると一台あたり100万を超える構成要素
からなり、そのSCを考えると85億回のコミュニケーションを背景に
していることから、IMDSやEDASによる情報交換を促進してはいるも
のの完全なREACHデータ対応は不可能である。自動車業界では、
Automotive Industry Guideline on REACH(AIG)を公表しており、
現在、第3版の作成中である。寿命の長いスペアパーツに関しては、
REACH発効前からの在庫を抱えており、SVHCを含むものについては、
明言することを推奨してはいるものの、完全な対応は困難であり、
製造時点におけるコンプライアンス対応にしていただきたい。

【質疑(Q)応答(A)コメント(C)】
Q:ECHAのSVHC対応を確認したい。
A:ECHAと加盟国でSVHCに関する協議を続け、ロングリスト化やシ
ョートリスト化も検討しているが、今のところは、適正な物質をリ
ストに掲載すべきだと考えている。しかしながら、これまでよりも
多くの物質を掲載したいと考えている。

Q:SVHC候補物質となった場合、ECHAに情報提供をしなければなら
ないが、製造量が100gでも行う必要があるのか、また、ECHAはその
情報をどの様に活用しているのか確認したい。
A:SVHCの情報提供に関する閾値はない、集約した情報は、専門的
なレベル及び消費者レベルで活用しており、SDSへの利用もしてい
る。

Q:製品中の物質(SIA)に関するガイダンスの更新において分母問
題はどのようになるのか確認したい。
A:SIAの分母問題の取り扱いについては、コミッションのアドバイ
スを待っている状態である。

Q:SVHCに関する一般へのコンサルテーションプロセスは、本当に
一般的な意見を集約しているのか確認したい。
A:ECHAは、100%一般の意見を反映しているとは認識してはいない
が、プレスリリースやウェブサイトへの掲載をとおして、広く意見
を集める努力をしている。

C:REACHの第3条(データ共有及び不必要な動物試験の回避)及び
第7条(認可)に関連する情報収集は、困難であることを認識して
もらいたい。その中での、SVHCに関する45日以内の情報提供は企業
にとって大きな負荷を与えている。

Q:SVHC候補物質に対する加盟国の考えは、認可なのか制限なのか
確認したい。
A:SVHC候補物質リストは、それだけで認可や制限の条件を満たし
ているものではないので、認可及び制限のクライテリアへの適合性
を考慮して所定のプロセスを経て決定されることになっている。

Q:SVHC候補物質のSINリストなどのリストとの類似性はどの様に考
えているのか確認したい。
A:CMRなどのスターティングポイントを共有していることから類似
性があると認識しているが、あくまでも法律で定められたプロセス
を経て決定されているものである。

【閉会】      Geert Dancet, Executive Director (ECHA)
本日の会議でECHAがお伝えした主要なメッセージは、登録一式文書
の品質が向上し審査プロセスを通過する割合が向上、物質に関する
分類と表示に関する届出を継続、支援ツールの活用、締め切り後の
データ公開、登録一式文書は産業界のものなどである。LRに関して
は、登録は終了したか、登録予定物質の公表、LRの自薦、DUの用途
や登録一式文書の準備確認、ECHAの優先サービスの活用、透明性を
持ったコミュニケート(圧力の排除)などである。メンバー登録者
へは、自己対応、ヘルプデスクの活用、企業サイズの確認、締め切
り厳守(11月30日)、インボイスに基づく支払い、登録一式文書の
不備に対する対応は一回きりなどを指摘した。分類と表示に関して
は、視野を広げ、ヘルプやガイダンス資料を参照、的確なツールの
活用(4種)、要点の活用、I agreeオプションの最大限の活用、ク
リスマス前まで(締め切りまでの)届出を説明した。DUに関しては、
取り扱い物質のECHAリストチェック、同リストに掲載がない場合は
ECHAに連絡、DCGの解決策を参照、登録締め切り後の供給者への登
録No.の確認、E-SDS要求などを説明した。認可に対しては、候補物
質リスト記載からのロングプロセス、SVHC候補物質の遅い選定、
NGOの正当な要望とその活用、コミッション/MS/ECHAの関係者の一
般要望に対する対応、消費者への情報提供、DUの法制度対応と消費
者の要求に向けた莫大なチャレンジを共有した。その他の事項に関
しては、LRの不在、要求情報更新、データ共有における透明性確保
とコストシェア、REACH-ITの週末稼動検討、HDのレスポンス時間の
短縮、登録物質公開までのタイムライン、Q/A翻訳、EU域内におけ
る製品の共通定義、コミュニケーションの促進などを確認した。

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