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  化学物質国際対応ネットワークマガジン 第29号[附録2]
       http://www.chemical-net.info/
            2010/11/08
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当附録は、2010年11月8日に配信した化学物質国際対応ネットワ
ークマガジン第29号で報告した日中韓における化学物質管理に関
する政策ダイアローグ(以下「化学物質政策ダイアローグ」)の
結果について、会合毎(政府事務レベル会合、公開セミナー、専
門家会合)での概要を紹介します。

1.第4回日中韓政府事務レベル会合
(9月8日(水):約30名(日中韓の政府関係者及び専門家等))

日中韓の政府関係者により、各国の化学物質管理に関する法律及び
政策の最新動向、化学物質管理の世界調和に向けた各国の取り組み、
優良試験所基準(GLP)、テストガイドライン(TG)、ハザード及
びばく露評価等リスク評価分野について情報・意見交換が行われ、
今後の協力強化の必要性等について協議された。

(1)日本の化学物質管理に関する最新動向
○2009年5月「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」
(化審法、1973年制定)は、(ア)ハザードからリスクベースの評価
へのシフト、(イ)既存化学物質を含めた包括的管理体系の導入、
(ウ)サプライチェーン各所における適正な化学物質管理、(エ)国
際的動向への整合性を高めるための審査及び規制体系の合理化、
(オ)化審法に基づき得られた知見を必要に応じて関係法令の所管大
臣へ通知、という観点で改正がなされた。
○国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)を推
進するため9つの関連省庁から構成される連絡会議を設置し、国内
実施計画(NIP)を2012年までに作成する予定である。また、タイ
とブータンに対してQuick Start Program(QSP)を通じて、化学物
質管理に関する能力向上や政策構築支援等を行っている。
○水銀対策については、公害経験を基に、国連環境計画(UNEP)
「水銀廃棄物管理分野のパートナーシッププログラム」において積
極的に貢献していくことを表明しており、2013年外交会議の招致を
含めた「水俣条約」の実現に向けて、2011年1月に第2回政府間交
渉委員会を千葉にて開催する。
○GLPは、厚生労働省、経済産業省、農林水産省、環境省と各省の
関連技術機関によって運営されている。化審法で求められるGLP試
験について、厚生労働省、経済産業省、環境省ではOECD-GLP原則に
適合したGLP原則と、試験施設がGLP原則に適合しているか確認する
ための共通の実施手順を定めており、環境省が所管する生態毒性試
験に関しては現在計10のGLP試験所が認定されている。
○化審法では、第一種特定化学物質の該当性についてはハザード評
価を行い、第二種特定化学物質の該当性では順次ハザードとばく露
の量を基にしたスクリーニング・リスク評価を行っていく予定であ
る。具体的な評価手法については現在、化審法担当省庁で協議中で
ある。

(2)中国の化学物質管理に関する最新動向
○2010年1月19日付で現行の「新規化学物質環境管理弁法」(2003年
10月施行)修正法案(環境保護部令第7号)が公布され、同年10月
15日から施行される。主な改正点は、ハザードからリスクベースの
評価への移行、届出登録と監督の両立、一律的な管理から化学物質
の特性に応じた個別管理である。
○ロッテルダム条約(2005年批准)は、環境保護部(MEP)が政府
当局を務め、中国政府代表団(MEP、外交部、財務部、農業部等)
が、同条約会議に出席している。「輸出入が禁止或いは厳しく制限
されている有害化学物質のリスト」を発行し、同条約に該当する化
学物質を監視している。
○ストックホルム条約(2004年加盟)もMEPが事務局を務め、NIP作
業グループ(14関連省庁含む)をリードしている。2007年4月にNIP
が国務院に承認され、同年7月にNIPインセプション会議が開催され、
2009年に農薬の残留性有機汚染物質(POPs)の削減作業が完了した。
MEPは、POPsを2010年度の重要課題として位置付け、関連する政策
や規制の策定と強化、「POPs汚染防止管理の第12次5カ年計画」の
作成、地方研修の実施、全国的なPOPs調査の実施、モニタリング及
び監督管理等に取り組んでいる。
○水銀管理については、2002年に「水銀の総量、特定量の管理を行
うための需要に基づく輸入」原則を導入し、水銀の輸入量の管理を
行っている。水銀含有製品及び水銀排出量、水銀含有廃棄物管理に
ついても厳しく取り締まる一方、水銀含有量の低い商品や水銀を使
用しない技術の推進等様々な方法によって水銀管理に取り組んでい
る。
○SAICMとIFCSの国際的動向にも注視しながら中国の管理情勢を分
析し、管理政策を策定した。また、ドイツ、スウェーデンとの化学
物質管理の協力プログラム、REACHやGHSの面での人材育成トレーニ
ング等も行っている。
○GLPは、医薬品(国家食品薬品監督管理局(SFDA))、農薬(農
業部(MOA))、新規化学物質試験(MEP)、化粧品(SFDA)、中国
国家認証認可監督管理委員会の試験所の認可に分けられる。中国の
GLP管理については、日本及び韓国による協力強化に期待している。
○リスク評価では、2つのtechnical stepsとしてハザード評価とば
く露評価を基に行っており、新規化学物質に適用される。ハザード
評価は、人の健康への影響評価、物理的化学的評価、環境への有害
性評価を含み、“2 methods for 2 levels”技術的概念に基づき、
届出・登録された新規化学物質が年間1〜10トン以下のものは定性
的方法で、また10トン以上のものは定量的方法で評価を行っている。
また、リスク評価分野では、体系的な技術等関連文書の準備、ハザ
ード評価の非試験技術の開発、中国の実情に沿ったばく露評価方法
モデルの開発が必要である。
○今後、ハザード及びばく露評価の技術基準の確立、中国独自の技
術の蓄積、国際協力の促進に取り組んでいく予定である。また、よ
り戦略的でマクロなアプローチで、生産から流通消費まで全ての過
程で化学物質管理を強化し、化学製品の特性評価、重点的化学物質
のリスト作成、法整備の強化、新規化学物質の登録及び有毒化学品
の輸出入の登録管理を優先的課題とし、水銀やPOPsによる環境リス
クへの対策を強化していく予定である。

(3)韓国の化学物質管理に関する最新動向
○韓国「有害化学物質管理法」(以下「TCCA」)は、2006年の改正
時にリスク評価をベースとする政策転換が行われた。2010年の改正
時には、TCCA免除の対象範囲の拡大、輸入及び禁止化学物質に対す
る規制緩和、事故警戒化学物質の拡充が検討される予定である。産
業界から提供される新規化学物質毒性情報は、政府が評価し、必要
に応じてハザード評価を行い、毒性の程度で分類し、有害性のある
ものはリスク評価を行い、取扱を制限・禁止している。国内でリス
ク評価の研究、目録の作成を進めている。

○化学物質排出移動量届出制度(PRTR)では、2010年に全3,010事
業所の年次調査結果が公開され、現在、388種の物質(有害物質、
監視物質、発がん性物質等)を対象に調査を行っている他、国民の
理解を図るために国立環境科学院(NIER)ウェブサイトでPRTRの情
報を公開している。[http://ncis.nier.go.kr/triopen]
○ストックホルム条約(2007年批准)については、PCB廃棄物処理、
ダイオキシン排出削減、国家POPsモニタリングの他、「新POPs管理」
(2010年8月26日発効)で2009年新たに加えられた9種の化学物質
を国内法に反映し、POPs管理戦略の見直し等を予定している。
○GHSについては、TCCAに基づきNIERが27の有害化学物質を指定し、
分類と表示に関する規制を発表し、導入猶予期間を単一物質には
2011年7月1日まで、混合物については2013年7月1日までとして
いる。
○ロッテルダム条約(2003年批准)に関しては、一般の産業化学物
質についてはTCCAで、また農薬に関しては農村開発庁が所管する農
薬管理法(ACA)によって対応している。
○SAICMについては、関係省庁、産業界、市民団体や専門家から構
成される「SAICM実行委員会」を設置し、世界行動計画(GAP)を踏
まえながら、2010年末に向けて現在NIPを作成中である。
○水銀については、2006年6月「包括的な水銀管理計画」を策定し、
国際的な水銀管理の動向を踏まえて2010年に改正し、並行して水銀
目録を取りまとめ、市民の水銀ばく露と健康への影響に関する調査
を特定地域で行っている(2009-2012年)。
○GLPは、化学物質、農薬、化粧品を管轄するNIER、食品医薬品安
全庁(KFDA)、地方開発庁(RDA)によって運用され、現在19のGLP
試験所が認定されている。また、GLP運用状況について2年に一度政
府が評価を行っている。
○リスク評価については、TCCA第18条及び環境部法令第14号に基づ
き、人の健康や環境への影響が大きいとされる化学物質に対して行
っている。評価の対象となる物質の選定基準や手順等はNIERの公示
2009-35号で規定され、有害性特性、用量反応評価、ばく露評価、
ハザード評価を通してリスク評価が行われる。ハザード評価はTCCA
附属書1に則って遂行され、詳細な情報を基に有害性テストが行わ
れる。ばく露評価については、主に排出量調査結果による用途、プ
ロセス・工程、物理的特性、PRTR媒体等及び市場流通調査結果に基
づき評価を行っている。

(4)日中韓における化学物質管理の今後の取り組みについて 
○第12回日中韓環境大臣会合(TEMM12)で採択されたJoint Action 
Planに基づき、テストガイドライン及び具体的な取組に係る専門家
会合の開催、GLP分野における協力の促進、リスク評価分野に関する
情報交換を継続していくことについて協議され、三カ国で合意され
た。また、来年度の化学物質政策ダイアローグでは、(ア)法制
度の改正及び施行状況とその実際、(イ)リスク評価、(ウ)水銀
管理、(エ)GLPが議題として取り上げられることとなった。

2.日中韓の化学物質管理政策に関するセミナー
(9月9日(木):約220名(日中韓の政府関係者、一般公募による
参加者)

化学物質政策ダイアローグの一環として、日中韓の政府関係者によ
り、日中韓における化学物質管理政策に関する最新動向、POPs条約
の対象に追加指定された化学物質への対応状況、化学物質管理の優
良事例の紹介及び(独)国際協力機構(JICA)の化学物質に関連す
る活動に関する公開セミナーが開催された。
○セミナー参加者からは、日中韓の化学物質管理政策の整合性やTG
調和化の方向性、各国の化学物質管理の法改正に伴う関連情報の公
開・入手方法や「アーティクル」の考え方や扱い、GHS・SDS対応
(使用言語)、REACH規則に対する各国の対策や具体的な取組等に関
する内容が確認され、各国の政府担当官との情報・意見交換がなさ
れた。
○セミナー配布資料は、http://www.chemical-net.info/seminar.
html#sem_jck1にて公開中。

3.日中韓の化学物質に係る生態毒性試験テストガイドラインに
関する専門家会合
(9月10日(金):約40名(日中韓の政府関係者、学識経験者及び
専門家等))

日中韓国における化学物質の生態毒性試験TGの現状と課題について、
今後の三カ国による共同研究に向けた情報交換が行われた。今後は、
日中韓のTGの状況について比較検討を行い、その内容をまとめ、三
カ国間におけるTG調和化の方向性について、詳細な検討及び情報交
換・共有を継続していくことが合意された。

(1)日本におけるTGの現状と課題
○日本は、OECD専門家グループの一員として新TGの草案作成に携わ
っている他、既存TGの改訂または変更、追加が必要なものへの提案、
GLP試験所のOECDのTGの理解を促進するための取組及び標準的な試験
手順書作成等を行っている。OECDのTG以外の試験法についても、農
薬の登録保留のための基準値の設定等に取組んでいる。また、日本
のTGの検討については、政府や試験の専門家が集まる学会、試験所、
日本工業規格(JIS)等の組織間で情報共有等の協力を進めている。

(2)韓国におけるTGの現状と課題
○韓国では、OECDのTGに基づく物理化学的性質、生態系への影響、
分解性及び蓄積性、健康影響に関する62のTGが設けられている
(2009年11月)。手続きとしては、OECDのTGを翻訳し、NIER専門家
が韓国の実情に合うドラフトを作成し、その後GLP試験所の専門家
による諮問を行い、TG審議委員会で検討の上、承認を経た後に、最
終的に環境部の審議をもって告示される。
○現在、韓国特有の地域性や固有動物に適した生態毒性評価方法や、
日中韓に生息するミナミヌマエビを試験種とする急性毒性生態試
験を開発している。環境に放出される工場廃水の毒性試験方法に
ついては、韓国の水質及び水生態系保全に関する法律に基づき、
ミジンコの生態毒性試験方法を告示し、2011年から適用する予定
である。

(3)中国におけるTGの現状と課題
○中国では、OECDのTGを参考にした「化学物質のTG」(HJ/T153-
2004)を設けており、101方法が含まれ、1)物理化学的性質、2)生
態系への影響、3)分解及び蓄積、4)健康への影響の4つに分けられ
る。
○MEPが認める全試験所には、ばく露評価実施のため近代的な分析
システムが整備され、試験条件の適切管理とモニタリングシステム
が強化されつつある。また、品質保証体制では環境基準を基にISO
1702やOECDの基準に対応し、海外の審査にも合格している。今後、
生態毒性マルチレイヤーテストの手順を策定し、優先化学物質のテ
スト及び新規化学物質のハザード評価を段階的・多元的に実施する
必要がある。また、生態系予測試験モデルの開発、QSAR等の生態試
験の代替技術に関する研究を進め、生物量(藻類や魚類の使用)を
減らしていく方針である。  

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