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      化学物質国際対応ネットワークマガジン 第30号
          http://www.chemical-net.info/
              2010/12/08配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第30号は、以下の内容をお送りいたします。
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☆ [1]ものづくりを支えるJAMP含有化学物質情報伝達の仕組み
                   アーティクルマネジメント推進協議会
☆ [2]海外化学物質管理事情    化学品安全管理研究所 大島輝夫
☆ [3]中国の環境関連動向     化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [4]あとがき          化学物質国際対応ネットワーク事務局
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[1]ものづくりを支えるJAMP含有化学物質情報伝達の仕組み
                 [アーティクルマネジメント推進協議会]

 メルマガ読者の皆様、こんにちは。化学物質の安全情報をサプライチェーン
間で円滑に開示・伝達するための仕組みを策定・提唱しているアーティクルマ
ネジメント推進協議会(JAMP)です。先回は製品含有化学物質の情報伝達のや
り方を示した「製品含有化学物質管理ガイドライン」についてご説明しました。
今回第3回目は、その管理ガイドラインに従い製品含有化学物質について情報
伝達をするときに利用する、2つある情報伝達の様式の一つJAMP MSDSplus
(エムエスディープラス)についてお話します。
 説明前に、少し製品中に含有する化学物質の情報伝達の意義についておさら
いさせていただきます。
 化学物質が通常どのように使用されていくかを考えた時、そのままで使用さ
れる場合は少なく、いくつかの化学物質と混合されたり、樹脂原料などに合成
されたりした後に部品に成形され、更にいくつかの部品を組み立てて一般製品
などに仕上げられます。そしてその一般製品が広く私達の生活で利用されてい
ます。
 化学物質をその排出の実態に即して、リスクの大小を判断し、適正に管理す
るというのが21世紀型の新たな化学物質管理の流れですが、そのためには、
化学物質そのものだけでなく、こうした一般製品に含まれている化学物質につ
いてリスクに応じて適切に管理をするということが、化学物質総体のリスクを
低減させるために、重要な意味を持ってきます。具体的には製品に含有される
化学物質のうち、よりリスクの高い化学物質の情報を伝達するということが最
も効率的な方法となります。化学物質を製造、混合している川上企業から、部
品を製造しパーツに組み立てる川中企業、さらにそれらのパーツを組み上げて
一般製品にする川下企業に渡るサプライチェーンを通じて化学物質の安全情報
を流していくというわけです。しかし、このサプライチェーンの間には数多く
の事業者が組み込まれて長く複雑に絡み合っています。さらに国内だけでなく
海外にも広がっています。 
 このような状況の中で含有化学物質の情報を精度よく確実に伝達するにあた
っては、1.どのような化学物質についての含有情報を流すか共通理解を醸成し、
2.同じ様式で効率的に流すことができれば、より効率的に実施できます。化学
メーカーがそうした情報を下流に提供するための様式として、JAMPが普及を進
めているのが、MSDSplusというわけです。

1. どのような化学物質についての含有情報を流すか共通理解の醸成
 どういった物質を優先的にサプライチェーンの下流に提供すべきか、国内外
の規制に精通したJAMPに参加する事業者が集まって、次に示すJAMP管理対象
基準に合致する物質を伝達対象としています。
 こうして情報提供すべき物質についてあらかじめサプライチェーンで合意が
できていれば、何度も川下から調査指示が上がってきて、そのたびに帳簿をひ
っくり返して様式を埋めたり、不使用証明書を作成したりという手間がなくな
ります。
【JAMP管理対象基準における対象物質】
(1)伝達報告必須の基準(必ず情報提供するリスト)
1)化学物質審査規制法 (第一種特定化学物質)
2)労働安全衛生法 (製造等禁止物質)
3)毒物劇物取締法 (特定毒物)
4)欧州RoHS指令(6物質)
5)欧州ELV指令(4物質:実質的にRoHSに包含されます)
6)欧州CLP規則(その内で発がん性、遺伝に影響及ぼす性質、
生殖機能および受精能力、子の育成に影響を及ぼす性質のリスクが
高いとクラス分けされた化学物質)
7)欧州REACH規則 制限対象物質
8)欧州REACH規則 認可対象候補物質(SVHC)

(2)伝達報告任意の基準(川下の必要性に応じて情報提供するリスト)
1)ヨーロッパの化学物質情報システム機関(ESIS)において、分解性が
悪く、生体に蓄積されやすく、毒性の高い物質として示された化学物質。
2)自動車業界の基準GADSLの対象物質      
3)電気電子業界の基準JIGのA物質

2. 同じ様式で効率的に流す
 伝達様式について統一化した方が情報の過不足がなくなり、効率化できるた
め、JAMPに参加する事業者が意見を持ち寄り、川上側にて使用する化学物質や
その混合品のための伝達様式をJAMP MSDSplusとして定めました。

 MSDSplusは化学物質、その混合品の含有化学物質の情報を伝達するために作
られた様式で、エクセルのファイル形式で作成されています。化学物質の流通
に当たっては、物質取り扱いなどの労働安全面や漏えい廃棄時の措置、国内法
規の情報について、国内法規に基づき、MSDSという文書の添付が求められてい
ます。ただしMSDSだけでは、国内法の対象外で海外法規における対象物質に関
する情報は当然伝達されませんし、成型品中の含有量を算定するのに必要とな
る物質の含有濃度の情報も不十分ですので、MSDSに併用して使用することを意
図してJAMP MSDSplusは作られています。
 JAMP MSDSplusに記載される情報は、1.製品情報(製品名、製品番号など)、
2.会社情報(会社名、住所、作成部署、電話番号、e-mailアドレスなど)、
3.管理対象物質情報(物質名、含有量、該当する対象管理基準など)となって
います。この様式には、エクセルのマクロ機能のついた作成支援ツールが用意
されています。化学物質のCAS番号(国際的に広く使われている化学物質の分
類番号)を入力すれば、その化学物質がMSDSplusに基づき情報提供すべき物質
かどうかを検索する機能がついており、より簡単に間違いが少なく様式を作成
できます。このファイルは電気電子業界の情報伝達の仕組みであるJGPSSIや自
動車業界の情報伝達の仕組みであるIMDSに基づく情報提供を行う際にも利用可
能ですので、川上の事業者は、この様式に基づき化学物質の成分情報をサプラ
イチェーンに伝達すれば、共通化された情報が伝達できることになります。ま
た川下、川中の事業者は、川上側に対してMSDSplusの様式の情報を要求すれば、
必要な情報を効率的に集めることができることになります。
 ただ、現状では、このリスト以外の物質情報を求めてくる川下事業者や、必
要な情報を提供してくれない川上事業者も存在する実態が見受けられると言わ
れています。
 JAMPとしては、下流事業者による共通化した水準での求めに応じて上流事業
者が情報を適切に提供されるよう、参加する各事業者を中心に、広く求めてい
ます。これは、今後の課題であります。
 MSDSplus作成についてのさらに詳しい説明は、JAMPのサイト(http://www.
jamp-info.com/)から無料でダウンロードできる下記の文書を御覧ください。

「JAMP MSDSplus作成の手引きver3.1*準拠」
「JAMP MSDSplus 入力支援ツールver3.1*操作説明書」

 次回は、もうひとつのJAMPの伝達様式であり、MSDSplusの情報を集積して、
製品(成形品)中の化学物質含有情報を共通化して流通させるために利用され
るJAMP AISについて御紹介する予定です。

 
[2]海外化学物質管理事情(その21)
台湾の化学物質規制          [化学品安全管理研究所 大島輝夫]

 台湾の化学物質規制で、緊急を要するのは、本年12月30日に締め切られる既
存化学物質の申告である。この報告提出の範囲は、1993年1月1日から2010年
12月31日までに製造、輸入などされた化学物質であり、少量でも認められるこ
とから、今からでも実績を作り、既存化学物質として届け出ることは可能であ
る。また、GHSの第1段階は、既に施行されている。
 なお台湾の法令は中華民国暦で示されているが、これに+1911が西暦で、例え
ば中華民国八十六年は西暦千九百九十七年である。
 日本とは外交関係はないが、窓口機関は財団法人交流協会が行っている。

詳細は附録に掲載しております。
http://www.chemical-net.info/mag/20101208_furoku.html

[3]中国の環境関連動向    [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

○重点業界における企業の環境リスクと化学品に対する検査・登録がスタート

環境保護部は本年5月から、全国的な範囲で重点業界の環境リスクと化学品に
対する検査活動を展開している。現在、この活動はすでに検査・登録の段階に
入っている。

1)背景:突発的な環境事故が多発
 中国における偶発的な環境事故件数は、増加傾向にある。2004年と2009年
を比較すると、環境保護部が対応した事故は、62件から171件に増加し、
2010年1月から7月の間では119件となり、昨年の同時期と比較して35.2%増加
している。事故件数は、平均化すると、2〜3日に一件の割合で発生したことに
なる。これらの偶発的な事故の原因は、交通事故に起因するものが全体の60%
以上を占め、次に企業の廃棄物によるものが15%と続き、自然災害や人為的破
壊なども主な原因として挙げられる。これらの事故発生件数を業種別に見てみ
ると、主に石油化学工業、化学工業、危険化学品の運搬、鉱物資源の開発、金
属製錬などの業種に集中している。また、汚染の類別では、水質汚染、大気汚
染、固形廃棄物汚染、海洋汚染等となっており、その発生地は、ほとんどが中
国内陸部の省(直轄市、自治区)となっている。

2)活動状況、予定:5万社以上に上る企業の環境リスクを究明
 2010年2月に環境保護部は「全国重点業界における企業の環境リスクと化学
品に対する検査活動を展開する通達」を公布し、2010年5月からの2年間で、
全国規模で石油化工業及びコークス製造業、化学原料・化学製品製造業、医薬
品製造業等の業種に対し検査を行うことを決定した。この検査は、上記の業種
に属する企業の内、10項目の中分類と35項目の小分類に該当する企業を対象に
している。これら対象となった企業の検査表に基づく検査活動は、2010年10月
末までに終了することを予定しており、2010年11月から2011年2月末まで期間で
データの解析と取りまとめを行い、2011年8月末に最終結果の報告と評価を行う
ことになっている。この検査は、5万社に上る企業が対象となっており、現在ま
でに検査表を作成して報告した企業の数は4万社近くあるとのことである。

3)本活動の目標:粗放型の管理から精密な管理へ転換
 この検査活動では、重点業界における企業の環境リスクの状況と取り扱って
いる化学品に関するデータベースを作成し、地方と中央の環境保護管理当局に
おける緊急管理プラットフォームの構築を推進することになっている。今回の
検査では、企業の化学品の特性、数量、リスクの状況、周辺環境おける注意を
要する場所などについて、詳細な調査を行うことによって、環境リスク発生源
のレベルと種類についての基準を研究するとともに、環境リスク発生源の評価
制度の検討に活用することを目的としている。併せて、この検査結果を、企業
が作成する緊急環境対策を政府の方針に整合させることに活用し、同時に、実
効的な企業環境リスク予防技術規範の制定根拠となすことも目的としている。

出典:《中国環境報》 9月13日


[4]あとがき         [化学物質国際対応ネットワーク事務局]
 巷には深紅や淡紅のポインセチアが目立つようになり、この季節特有のあわた
だしさを感じさせます。みなさまも何かとご多用のことと存じますが、いかがお
過ごしでしょうか。
 今号では、製品含有化学物質の情報伝達と台湾の化学物質管理に加え、中国に
おける環境リスクと化学品に対する検査についてお伝えしました。特に、台湾に
おいては既存化学物質の任意届出が12月31日に締め切られるため、みなさまの
関心が高いのではないかと考えています。
 一方、欧州ではREACH規則に基づく段階的登録物質の第一段目の登録締め切り
(11月30日)が過ぎ、ECHAは、12月1日に24,675件(約3,400の段階的登録
物質を含む4,300物質)の登録一式文書が提出されたと発表し、関連統計デー
タをホームページで公開しています。
http://echa.europa.eu/doc/press/registration_stats_en.pdf
 また、12月3日には、以前パブリックコメントに付されていた認可物質候補(*1)
に関し、加盟国委員会(MSC)のコンセンサスが採択されたとの報道発表もな
され、併せて以下の8SVHC物質が認可候補物質リストに追加されることも明らか
になりました。

1) Chromium trioxide
2) acids generated from chromium trioxide and their oligomers
3) cobalt(II)sulphate
4) cobalt(II)dinitrate
5) cobalt(II)carbonate
6) cobalt(II)diacetate
7) 2-methoxyethanol
8) 2-ethoxyethanol

 このように、化学物質の国際対応は、ますます厳しくなりつつあり、化学物質
国際対応ネットワークでは、欧州以外に中国の化学物質管理に関する情報収集を
行い、その結果をみなさまに発信してまいります。
 来年もご指導の程 よろしくお願い申し上げます。

*1 http://echa.europa.eu/consultations/authorisation/draft_
recommendations/recommendations_en.asp

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化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

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 社団法人海外環境協力センター  http://www.oecc.or.jp/
 環境省総合環境政策局環境保健部 http://www.env.go.jp/chemi/index.html

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発行元:社団法人海外環境協力センター
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