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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第32号[附録]
         http://www.chemical-net.info/
             2011/02/09 配信
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当附録では、2011年2月9日に配信した化学物質国際対応ネットワークマ
ガジン第32号における「[2]米国有害物質規制法(TSCA)改正に向けた
最新動向セミナーの開催」で掲載しております内容を詳細にお知らせします。

セッション1.有害物質規制法(TSCA)についての解説と改正の最新動向
について

 2009年9月、EPA長官がTSCA改正に関する一連の原則及びEPAの化学物
質管理プログラムの強化を発表しました。
<TSCA概要>
 1976年に制定されたTSCAでは新規、既存化学物質及び混合物に関する
情報を収集し、化学物質がもたらす不当なリスクの審査及び管理が行わ
れてきました。現在は8万4千を超える化学物質情報が収載されています。
<TSCA改正に向けた課題>
 既存化学物質の安全性を確認するための強制力のあるプログラムがない
こと。EPAは対象化学物質のリスクが判明した際に、現行のTSCAでは製造・
使用の制限、禁止の措置を講じるためには法律上、手続き上の問題がある
こと等を挙げています。
<TSCA改正の6原則>
 EPAは2009年にTSCA改正のための6つの原則を以下の通り発表しました。
原則1)化学物質は、信頼性のある健全な科学に基づき、人の健康と環境
を保護するリスクベースによる安全基準に照らし合わせて審査されるべき
である。
原則2)製造者は新規および既存の化学物質が一般の人々や環境を危険に
さらさず安全であることを結論付けるために必要な情報をEPAに提供すべ
きである。
原則3)リスク管理に基づく決定は、子供等の影響を受けやすい集団、コ
スト、代替品の利用可能性及びその他関連事項を考慮すべきである。
原則4)製造業者とEPAは既存・新規を問わず、優先度の高い化学物質に
ついて適宜評価を行い、措置を講ずるべきである。
原則5)グリーン・ケミストリーを奨励し、情報の透明性を確保し、一般
の人々の情報へのアクセスを保証する規定を強化すべきである。
原則6)EPAは、法律を施行・遂行するための継続的な資金源・予算が与
えられるべきである。
<提出された法案>
 上院、下院法案の共通点としては、製造業者、加工業者が化学物質の安
全基準を満たしていることを証明すること、EPAが化学物質の安全性を管
理するための権限を持つこと、新規化学物質と既存化学物質を同じような
扱いとすること、新しいコンセプトとして「最少データセット」が盛り込
まれていること、が挙げられます。また下院の法案は、ステークホルダー
との協議を経て提出されており、業界団体、環境団体、川下の化学物質ユ
ーザ、小売業者などの意見が反映されています。
<法案の要点>
 下院法案の要点として、新しい法案が施行された場合、施行から1年以
内に全ての製造業者に対して宣誓書の提出を要求されることが挙げられま
す。またEPAは法律の施行から1年以内に「最少データセット」を規定す
るための規則を制定し、「最少データセット」は新規、既存を含む全ての
化学物質に要求されます。提出期限は、新規か既存か、既存であれば優先
リストに記載されているかどうか、または生産量によって変わってきます。
 法案の中で、EPAは審査を行うための優先リストを規定しなければなら
ず、法案の中では19の化学物質が最初に規定されておりますが、EPAは1
年以内に少なくとも300の既存化学物質をリストに収載しなければなりま
せん。
 別の規定となりますが、難分解性、高蓄積性、毒性が明らかな化学物質
を特定し、そのばく露を迅速に抑制出来るプロセスを構築することがEPA
には求められています。
 安全基準については、EPAが「化学物質又は混合物への複合ばく露を考
慮し、それらの全ての意図的な利用に対して、子供等の影響を受けやすい
集団を含む全ての人々に害を及ぼさないことが、合理的に確実で、人々の
健康や福祉が確保できる」安全基準を適用しなければならないとしていま
す。
 なお、安全基準を満たしていない物質又は混合物は、その判定から1年
以内に製造・加工・流通が禁止されることになります。ただし、EPAはこ
の期間を3年まで延長することが出来ます。
 EPAはリスク管理を行うにあたり、製造や加工、商業的流通及び使用の
禁止又は制限を行うことが出来ます。また、使用に関して警告及び説明を
付したマークの表示を条件として設定することが出来ます。
 新規化学物質、既存化学物質の新用途においては製造前の段階で安全性
確認を求められます。EPAは、製造前届出を受けてから90日以内に、「当
該化学物質が必要不可欠な用途(critical use)」に該当するか、また安全
性確認が必要かどうかを判断しなければいけません。なお、安全性確認が
必要となった場合は、EPAはその後9カ月以内にその作業を完了しなけれ
ばなりません。
 EPAは一般の人々にも利用可能な、全ての重要情報を含む化学物質に関
するデータベースを構築する必要があると考えています。企業は機密情報
の扱いを申請する場合、機密情報を主張する根拠を提出し、根拠の実証を
しなければなりません。また、EPAはサンプルの審査を行った上で判断を
します。
<その他の主要規定>
 優先権:米国の法制度において、州と連邦の要求事項を同時に遵守する
ことが不可能でない限り、州法に対する連邦法の優先はありません。
 ホットスポット:地域的、地理的に過度のばく露を受けている地域のこ
とで、米国内にて経済的に困窮を迫られている地域では公害や過度のばく
露を受けている地域が在ると考えられます。環境の公平性において問題視
されていますが、TSCAはこの問題を念頭において作られた制度ではありま
せん。今後、EPAはそのような地域が見つかった場合の対処方法を決めな
ければならないと考えています。
 より安全な代替物質及びグリーン・ケミストリー:法案ではより安全な
代替物質を開発するために、市場におけるインセンティブを生み出すこと
を要件としています。例えば、より安全な代替物質を開発する企業に対し
ては、化学物質を優先的に審査するというようなことがあると考えていま
す。
 動物実験を最少に抑える:改正TSCAでは、追加的なスクリーニングを実
施する必要が多くあるかもしれません。その際に動物実験が増える可能性
について懸念を示す人たちもいることが予想されます。
<主な議員とステークホルダーの発言>
 法案の支持、不支持について様々な意見がありますが、多くの関係者が
何らかの形でTSCAが改正されることを支持していることが分かるかと思い
ます。


セッション2.有害物質規制法(TSCA)の実施強化

<現プログラムの強化>
 EPAは既存TSCAを最大限活用しています。包括的な取組みとしては、新
リスク管理規制措置、化学物質を特定したアクションプランの開発(リス
ク管理を強化するため)、産業界への情報の提供要求(リスクを理解する
ため)、一般の人々の化学物質に関する情報アクセスの向上を図っていま
す。
<リスク管理活動の紹介>
 アクションプランに概説されているリスク管理活動の範囲は以下の通り
です。
・TSCA試験規則及び重要新規利用規則:製造者に対して、特定の化学物質
を使用している場合には情報の開示を要求する。
・新しい有害化学物質排出インベントリー報告(TRI):排出あるいは廃棄
についての情報を、特定の化学物質について事業者から提供してもらう。
・代替品評価のための「環境・エネルギー配慮製品設計(DfE)」及び「グ
リーン・ケミストリー」への取り組み
・TSCA第5条(b)項(4)号に定める懸念化学物質リスト
・TSCA第6条(a)項にあたる化学物質の使用禁止・制限する措置
<アクションプラン>
 化学物質管理プログラムを強化させるためのEPA長官の計画の一部で、
市民に懸念をもたらす化学物質を特定し、リスクに対してどのような処置
をとるかを評価し、素早く適切な措置を開始することを目的としています。
検討された基準により、アクションプランの対象物質は、難分解性・高蓄
積性・毒性が特定された化学物質、高生産量化学物質、消費者向け製品に
含まれている化学物質、子供の健康に懸念が生じる恐れのある化学物質、
国際的なフォーラムにおいて処置の対象となっている化学物質、人間の体
内で発見された化学物質が選択されました。このアクションには、化学物
質のラベル表示、制限もしくは禁止を実施するための規制措置、場合によ
っては追加データの提出を求める規制措置の開始が含まれます。
 これまでに、以下の8種類の化学物質に関するアクションプランを公表
しています。フタル酸エステル類、penta、octa及びdecaBDE、有機フッ素
化合物類、短鎖塩化パラフィン、BPA、ベンジジン染料、HBCD、ノニルフェ
ノール・ノニルフェノールエトキシレート
<インベントリー更新規則>
 既存TSCAを強化するため、EPAはインベントリーの更新を行っています。
インベントリーは製造業者に対して、定期的に特定の情報を要求できます。
2010年8月に報告要件の修正を提案し、これによって次の4つの主要目標
を達成することを目的としています。
1)収集される情報はEPAの情報ニーズにより合ったものにすること
2)市民がより効率的に情報にアクセスできるようにすること
3)ばく露に関する新しい情報を入手すること
4)報告された情報の有用性を高めること
 現在、この更新規則は最終化に向かって作業が進められているところで、
2011年度内に成立したいと考えています。
<ナノマテリアルへの対応>
 TSCAはナノマテリアルを化学物質として定義しています。2005年以降、
100件を超えるナノマテリアルの新規届出が受理されています。EPAとして
は、ばく露を抑制するためにいくつかの措置を講じています(使用の限定、
不浸透手袋や呼吸器のような防護具への使用の義務付け、環境への放出の
制限、環境と健康に与える影響に関するデータ作成のための試験の義務付
け等)。
 EPAは自主的な報告プログラムを実施してきました。この自主プログラ
ムのフォローアップ作業として、重要新規利用(SNUR)により、既存化学
物質である新規のナノマテリアルの報告の義務付け、特定のナノマテリア
ルの試験の義務付け、入手可能な使用、生産量、ばく露及び毒性に関する
データ提出の義務付け等の措置を構築中です。
<情報の透明性を高める>
 一般向けに、より多くの重要な情報を発信する必要があると考え、EPA
が意思決定し、判断を得るために、情報も増やしていきたいと思っていま
す。
<毒性試験結果参考データベース>
 現在、より多くの情報を収集するための取組みの一環として、毒性試験
結果参考データベースの研究開発部門を拡充しています。30年以上にわた
り20億ドルの費用をかけた生態試験や動物試験の結果等が収録され、投薬
及び治療に関連した影響に関する詳細が、統一された様式でまとめられる
予定です。

セミナーでの講演資料は、化学物質国際対応ネットワークのウェブページ
で公開しております。
http://www.chemical-net.info/seminar.html#sem_usa2


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