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       化学物質国際対応ネットワークマガジン 第33号
          http://www.chemical-net.info/
              2011/03/08 配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第33号は、以下の内容をお送りいたします。
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☆ [1]ものづくりを支えるJAMP含有化学物質情報伝達の仕組み                   
                  アーティクルマネジメント推進協議
☆ [2]海外化学物質管理事情       化学品安全管理研究所 大島輝夫
☆ [3]あとがき                   化学物質国際対応ネットワーク事務局
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[1]ものづくりを支えるJAMP含有化学物質情報伝達の仕組み   
                 [アーティクルマネジメント推進協議]

 メルマガ読者の皆様、こんにちは。化学物質の安全情報をサプライチェー
ン間で円滑に開示・伝達する為の仕組みを策定・提唱しているアーティクル
マネジメント推進協議会(JAMP)です。今回でメルマガでのJAMPの連載もい
よいよ最終回。今回は、JAMP情報流通基盤(JAMP-IT)についてお話します。
 これまでのメルマガで御紹介したように、JAMPはサプライチェーン全体で
の情報開示及び情報伝達の仕組みとして、製品含有化学物質管理ガイドライ
ン、MSDSplus・AISを開発し産業界に提案して参りました。これらの成果物
を交通システムに例えると、製品含有化学物質管理ガイドラインは「交通標
識」、MSDSplus・AISは「車」という役割を持っています。交通標識、車があ
れば交通は整備完了ではありますが、もっと速く行きたい、下道を通ってい
たのでは時間が掛かる、というアドバンスのニーズに対し、JAMP-ITは、高
速道路的な役割を持つシステムと表現することができます。
 
 製品含有化学物質管理を日常的に行う上で、適正な情報の提供・入手、そ
して更新を迅速に行うことはとても重要です。従来から、情報の提供・入手
はメールやFAXもしくは企業独自のシステムで、しかも各社異なる要求内容
で行われきました。そして、管理物質変更や追加、取引先変更等が生じる度
に、提供・入手した情報を最新の状態に保つ為の情報更新が継続して発生し
てきました。こうした業務に対応する企業の負荷は多大なものです。
 これを解決する仕組みとして、MSDSplusやAISを御紹介してきたところで
あります。実際、数点の原料や部品を用いて1つの成型品を作るような事業
者様であれば、これで十分です。
 しかし、取り扱う部品点数が50個、100個となると、メールのやりと
りもおぼつかず、調達先が変わろうものなら、都度膨大な手間がかかること
になります。
 JAMP-ITは、このようなアドバンスの対応に係る企業負荷を軽減するイン
フラとして開発されました。より便利さを求めるシステムですので、それな
りの費用は必要となりますが、その分、より高度なサービスを御提供できる
と考えております。

 次に、JAMP-ITの具体的な使い方を御紹介します。
 情報提供するサプライヤーは、汎用品の場合、公開掲示板のようなイメー
ジで汎用品のAISやMSDSplusをJAMP-ITに登録します。JAMP-IT 上は、事業
者毎の物質名や調剤、部材の品番が一覧に掲載されます。情報入手をしたい
顧客は、JAMP-ITで提供希望製品を検索し、登録されているAIS等の情報を
入手することができます。未登録の場合は提供側(こちらもJAMP-ITの利用
をしていることが前提ですが)に登録要求し、登録されれば、情報入手が可
能です。特定顧客のみに製造している専用品については、JAMP-ITの公開先
企業限定機能により必要な相手にのみ情報開示・提供を絞ることが可能です。
仕様の変更等により、成分情報等の情報が変更された場合、提供側は更新情
報をJAMP-ITに再登録します。一度JAMP-IT上で情報を入手したことのある
顧客に対し、入手した情報が更新され再登録されると、更新通知が自動的に
送られるので、成分情報の変更に気づかなかった、というミスや、あるいは
それをヘッジするため頻繁に照会を行うという手間が軽減されることになり
ます。

 ただし、JAMP-ITは、無料で公開されているJAMPの様式とは異なり、有料
のサービスです。また、利用に当たっては、産業環境管理協会が運営する
JAMP-GP(グローバル・ポータル)会員登録料、利用料を納めていただくの
と同時に、情報を蓄積するサーバー(AS:アプリケーションサーバー)の利
用料を、別会社と契約する必要があります。こうした料金体系や契約の煩雑
さについて、利用者の皆様から随分御意見いただいたこともあり、ワンスト
ップで手続ができるよう、大幅な運用改善を図っております。
 また、昨年10月から半年間の期間限定で、JAMP-ITに未入会のサプライ
チェーン上の企業を対象に「無料モニター」という、JAMP-ITの本番環境を
無料で体験できるプログラムを実施しております。参加企業は約90社。参
加の動機としては「ある特定の部品の取引拡大の為、従来のメールではなく
JAMP-IT経由で情報入手したい」、「営業の工数削減の為、品質管理部門が
直接顧客にJAMP-IT経由で情報提供したい」等があり、企業毎に目的を持っ
て参加頂いています。既存のJAMP-IT会員とモニター企業を合わせると現在
約150社がJAMP-ITを利用しています。こうした無料体験は今後も実施する
ことを考えており、少しでも多くの方にこのシステムの使い心地を理解して
いただければと考えております。

 御参考まで、先般、JAMP-IT利用中のサプライチェーン川中に位置する部
品メーカにおいて、月1万件の情報提供依頼があった場合を想定し、JAMP-
IT導入効果を試算してみました。
 部品メーカにおいては、JAMP-IT導入前では、営業が顧客からメールで提
供依頼を受付け、担当事業部へ回答依頼、その後事業部にて顧客提出用ファ
イルの生成、それを再び営業に提出して顧客に回答しており、かかる工数は
33.2人月でした。
 JAMP-IT導入に当たり、まず営業が個別に情報提供していた窓口を本社主
管部門に一元化すると条件づけしました。一元化に当たり重複する情報を集
約した結果、月1万件の情報提供依頼は約月5千件強の件数になり、18.9人
月の工数削減になりました。更に、集約された5千件強のうちでの汎用品に
ついて、予めJAMP-ITに情報を登録した場合、更に11.8人の工数が削減され
ることとなり、メールでの情報提供に比べ大幅な工数削減となることが判り
ました。

 現在JAMP-ITのホームページには「提供可能製品リスト」が掲載されてい
ます。これはJAMP-IT経由で情報要求した場合、提供側がすぐに情報を提供
できる製品を記載したリストです。現在JAMP-ITから提供可能な製品数は約
10万件となっています。

 以上、JAMP-ITはアドバンスの仕組みであり、必ずしも必須のものではあ
りません。メルマガ読者の皆様には、まず、サプライチェーン間で化学物質
安全情報を共有することの必要性を御理解いただき、JAMPの様式を用いて、
管理ガイドラインに沿った取扱いにより情報をとにかく流していただくこと
をお願いするところでありますが、これが軌道に乗り、取扱量も増えてより
効率的な対応を希望される場合には、是非JAMP-ITの御利用についても御検
討いただければと思います。

 最後に、1年間JAMPに関するメルマガの記事をお読み下さった皆様方、誠
にありがとうございました。今後もJAMPは、皆様からの御支持、御支援をい
ただきながら化学物質管理にかかるサプライチェーン上の課題解決に向け活
動してまいります。

(御参考)
 JAMP―ITでの提供可能製品リスト
 URL:http://www.biz.jemai.or.jp/JAMP-GP/topics/


[2]海外化学物質管理事情(その23)
                 [化学品安全管理研究所 大島輝夫]
ECHA(欧州化学物質庁)が最近発表したREACHのガイダンス
−リスクコミュニケーション、中間物など−

ECHAは最近次のガイダンスを公表した。
<新たに公表したもの>
1. Guidance on the communication of information on the risks and   
safe use of chemicals Version 1, 2010年 12月(68頁) Reference:ECHA  
-2010-G-21-EN
2. Guidance on the preparation of an application for authorization   
Version 1, 2011年1月(141頁) Reference:ECHA-11-G-01-EN  
3. Guidance on the preparation of socio−economic analysis as part   
of an application for authorization Version 1, 2011年1月(260頁)
Reference:ECHA-11-G-02-EN 
【筆者注】2008年5月に”Guidance on Socio-Economic Analysis-Restriction
(211頁)“が発行されているが、今回は表題も変更され、内容もかなり詳し
くなっている。 
4. Guidance on Labelling and Packing in accordance with Regulation   
(EC) No1272/2008(draft), 2011 年2月公開(167頁)

<従来公表していたガイダンスを修正したもの>
5. Guidance on registration Version1.6, 2011年1月(123頁)
Reference:ECHA-11-G-03-EN [8箇所修正]  
6. Guidance on intermediates Version:2, 2010年12月(49頁)
Reference:ECHA-2010-G-17-EN [10月25箇所修正、11月5箇所修正、12月
4箇所修正、このうち10月に修正したNew Definition of intermediates は
論議を呼んでいる。]
7. Guidance on information requirements and chemical safety        
assessment Chapter R.5:Adaptation of information requirement        
Version:2, 2010年12月(28頁) [2010年4月14箇所修正、8月3箇所修正、    
10月3箇所修正、11月4箇所修正、12月3箇所修正]
8. 同上、Chapter R.18:Exposure scenario building and environmental    
release estimation for the waste life stage Version:2, 2010年12月    
[33箇所修正]

参考URL:http://guidance.echa.europa.eu/index_en.htm

 上記の中から1と6を紹介する。
1.化学物質のリスクと安全な使用に関する情報のコミュニケーションのガ
イダンス 第1版, 2010年 12月
 このガイダンスは、主としてEU加盟国の権限のある当局が、化学物質のリ
スクコミュニケーションを行うときの実際的なガイダンスとして作成された
もので、REACH規則の第123条および第77条第2(i)項に基づいている。いろ
いろなケースのリスクコミュニケーションについて、取るべきステップを示
すとともに、実例をあげているのが特徴である。たとえば議論の余地のある
リスクコミュニケーションを行う時に取るべきステップを示し、塩化ビニー
ル樹脂についてリスクコミュニケーションの実例を示している。また電子媒
体を用いて化学物質のリスクコミュニケーションを行う時の、各国の実施例
も示されている。したがって、EU加盟国の当局のみでなく、日本の化学物質
関係者が国内のリスクコミュニケーションを行う場合にも参考となるであろ
う。
 化学物質のリスクコミュニケーションの実務ガイダンスについては、OECD
からも「ENV/JM/MONO(2002)18」が公表されており、これは環境省のホーム
ページに「化学物質のリスク管理に向けたリスクコミュニケーションに関す
るOECDガイダンス文書」として日本語仮訳が示されているので、ECHAとOECD
の両者を必要に応じて参考にすると良いと思われる。

参考URL:
○原文
http://www.oecd.org/officialdocuments/displaydocumentpdf?cote=ENV/
JM/MONO(2002)18&doclanguage=en
○和文仮訳
http://www.env.go.jp/chemi/communication/oecd_guidance/oecd_guidance
.pdf

6. 中間体のガイダンス 第2版 2010年12月
 中間体はREACH規則の第3条第15項に、「他の物質に変わるための化学的
処理(以下「合成」という。)のために製造され、その処理において消費又
は使用される物質をいう。」と定義され、さらに(a)単離されない中間体、
(b)現場で単離される中間体、(c)単離された中間体で輸送されるもの、
と定義されている。これらの中間体では、一般的な登録の義務および情報の
要件が、第2条の第8項により、免除されている。したがって、中間体を広
義に解釈する向きもあるようである。2010年の5月4日EU委員会、加盟国、
ECHAは、中間体の定義の解釈について合意しているが、このガイダンスは、
上述した合意に基づいている。このガイダンスのAPPENDIX 4には、合意内
容が記載されており、少数の例外を除き、中間物Aは、化学変化をおこして
Bに変化することが必要である。中間体と認められない例示として、触媒、
処理剤などが記載されている。これに対して、CEFIC(欧州化学連合)は、
対応が遅すぎるなどと批判している。


[3]あとがき                 [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

 今号では前号でお伝えしていたとおり、ものづくりを支える JAMP 含有化
学物質情報伝達の仕組みの最終回「JAMP情報流通基盤(JAMP-IT)」の紹介と
12月に加え、ECHA(欧州化学物質庁)から公表されたリスクコミュニケーショ
ンに関するガイダンスなどについてメールマガジンをお届けしました。

 さて、前号のあとがきでは、ECHAと欧州委員会の目標である2012年までに
106件のSVHC(高懸念物質)候補物質までたどりつくのは、「可能だが難しい」
というダンセット長官(ECHA)の見解をお伝えたところですが、ECHAは、
2011年2月21日付のプレスリリースで新規7物質をSVHC(高懸念物質)認可
候補物質リストに追加する可能性があることを発表しました。今回対象となっ
ている以下の物質は、発がん性及び生殖毒性で特定されたものです。

 なお、Cobalt dichlorideは2008年10月に、既に発がん性で特定されてい
ましたが今回新たに発がん性及び生殖毒性として特性が改定されたため、リス
トに含まれたものです。ECHAは、2011年4月7日まで、一般からのコメントを
受付けています。

・cobalt dichloride
・2-ethoxyethyl acetate
・strontium chromate
・1,2-Benzenedicarboxylic acid, di-C7-11-branched and linear alkyl esters
・Hydrazine
・1-methyl-2-pyrrolidone
・1,2,3-trichloropropane
・1,2-Benzenedicarboxylic acid, di-C6-8-branched alkyl esters, C7-rich    

http://echa.europa.eu/news/pr/201102/pr_11_04_svhc_consultation_
20110221_en.asp

 化学物質国際対応ネットワークでは、このように厳しさを増す化学物質管
理に関する情報収集行い、その結果をみなさまに発信してまいります。今後
ともどうぞよろしくお願いいたします。

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ございます。

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