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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第35号[附録]
          http://www.chemical-net.info/
              2011/07/21 配信
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当附録は、2011年7月21日に配信した化学物質国際対応ネットワークマガジン
第35号で報告した第6回ECHAの関係者会議について、セッションごとのECHA
の説明や見解を紹介するとともに、参加者との対話の状況について、以下にそ
の概要を紹介します。(なお、この説明や見解は関係者会議で聞き取ったもので
あり、ECHAその他関係者から正式に公表されたものでないことを予めご了承く
ださい。)

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SESSION 1: 登録・認可・制限

【REACH規則2013年登録期限に向けて】
          Christel Musset, Director of Registration (ECHA)

 年間製造(輸入)量100トンを超える物質の登録期限は2013年となっている
が、今から準備を始めることが肝要であり、EU域外の製造業者においても唯一
の代理人(OR)を通して準備を進める必要がある。2013年の登録数は、3500
物質・13300件の一式文書の提出を予想している。2013年5月30日の締め切り
から逆算すると、2011年3四半期から第4四半期までに物質の同定/データ共
有/含有有害物質の確認を済ませ、2012年中にCSAを実施し、2013年の第1四
半期までにリード登録者による登録、2013年第2四半期までのメンバーによる
登録といったスケジュールになる。
 2010年の第1段階登録におけるリード登録者(LR)は、同じ物質が別の登録
者により登録されることを十分に認識し、2018年の登録まで一貫してLRの役
割を果たし、Pre-物質情報交換フォーラム(Pre-SIEF)を含むSIEFメンバー
にLRの存在を知らせ、REACH-IT のtoken番号を提供し、SIEFの新規参加者に
はトン帯域に応じたデータ共有等に関するコストの負担(附属書Xの内容は要
求されていない。)調整、公平性/透明性/非差別的なデータの共有に努力し
なければならない。一方、DUは2013年の登録の検討に当たっては、先ずは当
該物質が既に登録されているかどうかをECHAのホームページ上で確認する必
要があるが、物質名が企業秘密情報(CBI)クレームにより非公開になってい
る場合もあるので注意が必要である。既に当該物質が登録されている場合には、
LRに登録の意向を伝え同一性を確認し、共同提出に向けたREACH-ITの token
番号を要求する必要がある。LRが不明な場合は、REACH-ITのPre-SIEFボタン
をクリックし、SIEFメンバーに確認するか、ECHAのヘルプデスク(HD)の支
援を請うことも可能である。物質が登録されていない場合は、2013年の登録に
向けてSIEFの形成が必要であり、既にLRが選任されている場合などはSIEF
形成ファシリテーター(SFF)から連絡がある場合も想定される。また、REACH
-IT上や関連協会等への照会で確認が取れる場合などもある。いずれにして
も、DUは、少なくとも2012年5月30日までにCSA作成のための用途をSCの
上流側供給者に連絡する必要があるが、ECHAが公開予定の2013年登録予想物
質に掲載がない場合はECHAに連絡を取ることが必要である。

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【SIEF形成を円滑に行うには】
      Jan Schuller, Director REACH & Regulatory Affairs EMEA
                      (Eastman Chemical B.V.)

 2013年のREACH規則に基づく登録に向けては、より小規模のSIEFが形成さ
れることが予想され、コンソーシアによりカバーされる物質は減少すると思わ
れる。LRのみのSIEFも想定され、同時に入手可能なデータも少なくなると考
えている。このように限られたリソースや知見に加えて経験の少ないLRによ
る対応が増加すると思われる。同時に、中小企業(SME)の参画におけるコス
ト分配方法の検討やその合意形成に関する透明性が求められる。また、ITに
ついても旧バージョンのソフトの使用が推奨され、合意形成などに対する有効
事例の適用が必要である。コミュニケーションには、ウェブベースのSIEF管
理ツール、ECHA提出用のXMLファイルのe-mailによる回覧、全てのe-mail
の保管、応答がない(No-reaction)場合の解釈に関する合意などが必要であ
る。
 現時点で、LR候補、物質同定プロファイル提案、登録コード確認(SIEFコ
ード)、中間体登録/フル登録の選択、利用可能なデータ(脊椎動物に限らない)
などに関する第一段階の調査e-mailをPre-SIEF内に向けて出す必要がある。
第二段階のe-mailは、2011年の第2四半期までに、LRをECHAに連絡、上記調
査結果のSIEF管理ソフトへの掲載、関連作業のウェブサイト上での進捗確認
などである。第三段階のe-mailは、有害性試験後の分類と表示提案の確認
(チェックボックス方式が望ましい。)である。第四段階のe-mail(2012年)
は、2013年の登録意思がある関係者へ向けたSIEF内の合意(物質の同定、コ
スト、共有情報、CSRでカバーされるDUなど)に関するものである。ただし、
コストの配分には透明性と公平性が不可欠であり、必要なデータ量に応じた
負担を基本とするが、管理コストも忘れてはならない。登録後は、定期的か
つ系統的なコンプライアンス確認とともに一式文書の更新(試験結果更新、新
ガイダンス対応、新用途対応など)が必要である。

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【認可と制限に関する概観】
Matti Vainio, Head of Unit - Risk Management Implementation(ECHA)
 
 REACHにおけるリスク管理は、製造され及び使用され、ならびに市場にある
化学物質が最も適切な方法により管理されることであり、これは産業界側の
責任であり、認可と制限のプロセスを通して管理され、そのために物質の登
録と関連情報の伝達が義務付けられている。制限は、EU全域における物質及
び成型品中の当該物質に対する許容できないリスクへの対応、認可は高懸念
物質(SVHC)のリスト化とその使用に関する認可対応である。制限は、REACH
規則が発効する前から存在し30年にわたる経験を蓄積してきているが、タイ
ムラインが厳格化、新たな申請手続(附属書XVに基づく)、ECHA関連委員会へ
のコメント提出などが盛り込まれた点が新しくなっている。2010年には加盟
国などから4件の制限提案がなされ、同年中にECHAの意見が関連委員会に提
案され、2012年に結論が出される予定である。また、2011年も複数物質の制
限提案が計画されているが、関係者には制限プロセスにおけるコメント機会
を活用願いたい。
 認可は新たな試みであり、関連マニュアルやガイダンスの公表に加え、実
践を通して施行状況の改善を図っている。産業界は、認可申請をする予定が
ある場合には早めに準備を進め、ECHAに関心表明とその用途を連絡いただき
たい。認可プロセスには、継続的な代替検討が求められており申請は最終的
な手段である。
 REACH規則に基づく認可と制限はすでに機能しており、人健康と環境への深
刻な影響を及ぼす恐れは管理されつつあり、申請のあった4件の制限提案は順
調に処理されている。

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【質疑応答】
Q:2013年登録に向けたチェックリストの公表は検討されているのか、例えば
  ポリマー中のモノマーの扱いなどは公開されるのか確認したい。
A:チェックリストは準備していないが、ファクトシートは既に公開している。
  また、個別対応が必要であれれば、ヘルプデスクなどを通してそれに応じ
  る用意がある。

Q:認可申請を共同で実施する場合は、競争法に抵触する恐れがあるのではな
  いかを懸念しているが、当局の見解を確認したい。
A:SIEF内での対応事項であり、ECHAとして法的な問題に対するコメントを
  差し控えたい。本件に関しては、欧州化学工業連盟(Cefic)がチェック
  シートを準備しているので必要に応じて参照することも可能である。

Q:CBIに配慮した認可申請事例はどこに公開されているか確認したい。
A:そのようなモデルの作成は容易ではない。認可プロセスは、公開を前提と
  して対応しているが、物質が広範囲に渡り使用されている場合の影響や代
  替物質の有無なども考慮する必要があり、ECHA内部で検討を行っている。

Q:中間体は企業毎に異なる場合が多く多岐に渡っているが、そのような場合
  も共同提出が基本なのか確認したい。
A:共同提出が基本である。ただし、中間体についてはその定義に合致するか
  を詳細に確認し、要求事項に基づいたデータの共有がなされるべきである。

Q:リサイクル材料を用いたポリマーに使用する可塑剤、例えば塩ビ中のフタ
  ル酸ジヘプチル(DHP)等の認可申請について確認したい。また、金属リ
  サイクルにおいて溶融等の操作で組成が変更された場合、REACH規則第2条
  7(d)の適用がどのようになるのか確認したい。
A:基本的には産業界で対応すべき内容であり、法的な解釈については専門家
  に確認願いたい。

Q:認可プロセスにおける唯一の代理人(OR)の対応フローを示してもらいた
  い。
A:ECHAとMSCで検討している。

Q:附属書XIV掲載物質は今後も増加することが予想されるが、各国の輸出入
  規制と対応させて製造または輸入者における保管等の取り扱いに関するコ
  ンプライアンス事項を明確にしていただきたい。
A:必要性は理解するが、複雑であり当局としてもすぐには対応できない。

Q:ORによる認可申請に関してREACH規則に基づくコンプライアンス事項を確
  認したい。
A:個別に対応したい。

Q:金属リサイクル事業におけるREACH規則対応については、条項等に明確な
  記載がないためリサイクル業者のためのツールを開発するなどして業界内
  で独自に対応を進めているが、廃棄物リサイクルにおける認可対応はどの
  ようにすればよいのか確認したい。
A:廃棄物とリサイクルに関しては、明確なピクチャーがないのが現実である。

Q:認可申請におけるデータ共有、例えば論争の解決方法などはあるか確認し
  たい。
A:論争など問題がある場合は、ECHAに相談願いたい。

Q:認可プロセスにおけるOR対応のタイムラインを示していただきたい。
A:直ちに対応することが必要である。

Q:ポリマー中の未反応モノマーの認可申請は必要ないと認識しているが、不
  純物の対応はどのようにすればいいのか確認したい。
A:0.1%ルールの適用が基本であるが、個別の詳細対応はHDに確認願いたい。

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SESSION 2: DUの責務

【成形品中の物質の届出】
     Lisa Anfalt, Scientific Officer - Risk Management(ECHA)

 成形品中にSVHCを含む場合の責務は、条件を満たす場合の届出(第7条(2))
と安全な使用を確立するための下流SCに向けた情報伝達(第33条)であり、
最低でも物質名の提供は必要で、また消費者の求めにより所定期間内情報提供
を行わなければならない。届出は、製造または輸入者の義務であり、SVHC候補
物質リストへ収載後、6ヶ月以内に届出を行わなければならない。初回の締め
切りは、2011年6月11日(2010年12月1日以前に収載された38部質)、次回は
2011年6月15日(8物質)である。この届出により、SVHCを含む成形品の情報
からリスク管理が必要な用途が明らかになることが予想される。届出義務は、
SVHC候補物質リストに物質が収載され、年間1トン以上の製造または輸入量が
あり成形品中の当該物質の濃度が0.1重量%を越える場合に発生する。重量濃度
の計算における分母は現在のところ成形品全体であるが、部品ごとに濃度を把
握しそれをベースにした自発的な届出も妨げてはいない。人健康と環境へ影響
を及ぼすばく露が、廃棄を含む一般的及び適切な条件により排除され、または
当該物質の使用が既に登録されている場合に届出は免除される。しかしながら、
現実的にはばく露がないことや同じ用途を例示するには困難かつ高額なコスト
がかかることが予想される。届出作業においては、成形品中または輸入品中の
物質のインベントリを作成し、届出義務の有無を確認、供給者から必要情報の
入手、遅滞のない届出、SVHC候補物質リストの更新による将来的な届出義務の
発生に備えることが必要である。

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【DUの報告】 
   Laura Walin, Junior Scientific Officer ? Registration(ECHA) 
 SCにおけるコミュニケーションは、REACH規則の施行に成功をもたらす重要
な要素であり、登録された4800物質に関する安全性情報をDUに伝達すること
が必要だが、現実は川の流れのように自然に流れてはいかない。情報の伝達
には、ばく露シナリオ(ES)を含む拡張SDSが必要になり、それにより用途、
プロセス、使用条件などがカバーされているかどうかを確認する必要がある。
カバーされていない場合のDUの対応は、供給者にESの変更を要請しCSRに自
己の用途を含めることを依頼することが必要だが、その作業には困難が予想さ
れる。また、ES内の使用条件に自己の活動を含めることを依頼するか、自己
の用途をカバーしている別の供給者を探すか、自らCSAを実施するか、取り扱
いを中止するかである。また、用途がカバーされていない場合に、DU自らが
CSAを実施しCSRを作成する場合や、低トン帯域及び製品・プロセス指向研究
開発(PPORD)免除を適用する場合には、REACH規則第38条(2)に基づき所定
の情報をECHAに連絡する必要があるが、これに関連するオンラインツールを
現在開発中である。
 いずれにしても供給者とDU間のコミュニケーションは不可欠であり、拡張
SDSを受領した場合は、自己の用途及び使用条件がカバーされているかを慎
重に確認することが必要であり、そのためにはECHAのHPにある関連ガイダ
ンスの他に、SCで用意されているSMEのためのオンラインツールも活用すべ
きである。

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【DUの責務(調合者のチャレンジと展望)】
  Sylvie Lemoine, Director, Technical and Regulatory Affairs(AISE)

 DUは、取り扱っている物質が登録されていない場合や登録によりその用途
がカバーされていない場合に、対応が必要になる。そのためには、登録情報
にアクセスする必要があるが、SCを通しての情報収集には困難が予想され、
特に、2013年及び2018年の登録期限に向けてはこれまで以上の困難が予想さ
れる。DUは、2010年の登録物質リストに加え2013年の登録予定物質リストの
確認を行うことを優先させるべきであるが、製造及び輸入事業者(M/I)のな
かで登録に関心がないあるいは中間体のみの登録を検討している者は、DUの
作業に時間的な余裕を与えるためにECHAに一報願いたい。DUの登録作業によ
り、物質名やプロファイルの変更、新情報に基づくこれまでとは異なった分
類と表示が発生する可能性があるため、M/Iはこれらの関連情報についてでき
るだけ早くSCにおけるコミュニケーションを図ることが必要である。ESに関
連したDUの義務は、用途がカバーされているかの確認、安全な使用の履行、
安全な使用条件の確立、カバーされていない用途の対応、関連情報の下流伝
達(混合物のSDSをとおして)である。既存のDU関連ガイダンスは、実際の
状況に即していない部分があり、標準的なフォーマットがない状況で、12ヶ月
間の締め切り期限はチャレンジである。また、SCにおけるSDS等の伝達ツール
を用いたコミュニケーションも十分に機能していない。DUは、Chaser1.2
によりESフォーマットの統一を図ることが可能である。M/Iには、高い品質の
拡張SDSの迅速な送付が求められている。混合物のSDSには、ES作成、附属書
IIに基づく新フォーマット、関連情報の同定と添付、ITシステムの適用など
極めてチャレンジングな面が多く、経験と専門性も不足しているため、DUに
よる関連作業にはより多くの時間を要するであろう。このような取り組みは
始まったばかりであるが、包括的なITシステムの提供は早くて2012年第3四
半期になる予定である。

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【Chesar (Chemical Safety Assessment and Reporting tool)概観】
   Helene Magaud, Senior Scientific Officer ? Registration (ECHA)

 Chesarは、CSA作成、CSR作成、拡張SDSに附属するES作成を支援するソフ
トウェアであり、それらの対応の標準化が可能となる。拡張SDSのES作成に関
しては、その用途を含むCSR作成における使用条件の確認、全てのばく露経路
及び影響に対するばく露予測の実施、リスク分析などが可能である。コミュニ
ケーション用のESには、標準フレーズカタログから該当する標準フレーズが
選択される。この標準フレーズは、Chesarにインポートされるが(ECHAは関
与しない。)、Chesar1.2 では、非標準フレーズ(Chesarにより作成、適切な
標準フレーズがない場合にCSAの内容を活用)もカバーする予定である。
Chesarは、CSR中のESからSDSを作成することが可能で、例えば使用条件の中
から標準フレーズの値の作成がなされ、重複を排除し一貫性を保つことが可能
となる。このようにChesarを使用することにより効率的なアセスメント実施
とコミュニケーション促進が図れ、調和したES構造の提供とともに、蓄積され
たデータを用いてCSR及びESの更新にも寄与する。今後、リリースを予定して
いるChesar1.2は、SDS用のES作成が可能であり、併せて標準フレーズから構成
されるコミュニケーション用のESの調和化が図れる。2012年に公開予定の
Chesar2.0は、2013年の登録に向けたもので、関連要素の変更にも耐えうるよ
り規模の大きいIT容量を持つものである。特に、特定用途の記述の際に標準
フレーズの使用を可能とし、DUに向けてのESのXML形式によるエクスポートを
サポートし、併せて混合物のESにも対応する予定である。
 Chesar1.2は2011年6月に公開予定で、Chesar2.0は2012年第1四半期に
公開予定である。2013年の登録締め切りに向けては、Chesar2.0 の使用を推奨
するが、Chesar1.2(物質単独のESのみに対応)を用いて作業を進めることが
望ましい。

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【質疑応答】
Q:混合物のSDSにおいて拡張SDSは強制なのか確認したい。
A:幾つかのオプションがあるが、基本的には最終使用者の安全性に立脚して
  対応することが必要であり、ESが主要な対応事項となる。

Q:Chesar2.0では、IUCLID5以外のデータベースとの連携は考えていないのか
  確認したい。また、一般消費者向けのコミュニケーション用ESの取り扱い
  について確認したい。
A:意見として承るが、現在のところ他のデータベースとの連携は考えていな
  い。また、消費者向けのコミュニケーション用ESはChesar1.2から対応可
  能である。

Q:SDSのレビューにおいて齟齬が発生する場合が予想されるが、その場合の
  対応はどのようにすればよいのか。また、それに対するガイダンスはない
  のか確認したい。
A:ガイダンスは全てのケースに対応しているわけではないため、産業界側
  の判断が必要である。物質の同一性については、基本的にはSC及びSIEF
  内で検討すべき問題である。

Q:成形品中の物質に関するガイダンスの分母問題(0.1%)について確認した
  い。
A:依然として課題となっており、この件に関する長官の書簡がガイダンスに
  添付されている。

Q:SCにおけるDUのコミュニケーションについては、それぞれの業界が独自
  の情報伝達様式を用いているため支障がある。ECHAは、統一様式により
  情報伝達内容を標準化すべきである。
A:ECHAとしては、ガイダンスで説明している以上のコメントを差し控えた
  い。また、実施機関である立場から、広範囲に渡る情報プラットホーム
  の必要性を判断することは出来ない。

Q:成形品中の物質に関する要件に関し、リサイクル材料の免除条項を確認
  したい。
A:登録者は、免除条項に該当することをデモンストレーションしなければ
  ならないが、そのためにはより多くのコストが必要であると認識してい
  る。

Q:REACHインスペクターのトレーニングがなければ、拡張SDSを用いた円滑
  なコミュニケーションは出来ないと認識している。また、拡張SDSのガ
  イダンスはいつ公表されるのか確認したい。
A:インスペクターのトレーニングは必要であり継続的に実施している。また
  ガイダンスは2011年の8月または9月に公表する予定である。

Q:附属書IIの改定に基づくデータ提供マニュアルの公表はいつか確認した
  い。
A:2011年の夏を予定している。

Q:有害物質を含むEU域外製造成形品の届出義務を確認したい。
A:SVHC候補物質のみの対応である。

Q:REACH規則に基づく登録作業における分類と表示に関する結果の公開を
  待っているが、CLP規則に基づく届出との整合性、例えば混合物
  (sub-mixture)などの対応において不公平性が生じるのではないか懸念
  している。
A:CLP規則に基づく届出は300万件を超えその処理に時間を要している。
  SIEFでは当該物質の分類と表示に合意することが基本であり、このよう
  な不公平な対応の発生は少ないと認識している。しかしながら、混合物
  についての対応は今後公表予定のガイダンス内で説明する予定である。

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SESSION 3: 評価と情報公開

【化学物質関連情報の公開に関する概観】
    Catherine Cornu, Scientific Officer ? Registration(ECHA)

 これまでの登録作業などを通して得られた化学物質に関する情報は、
http://apps.echa.europa.eu/registered/registered-sub.aspx から入手可能
である。同様な情報は、OECDのeChemPotal(http://www.echemportal.org)
からも入手可能であり、ここでは化学物質の物性による物質検索も可能とな
っている。同ポータルサイトでの物質情報の公開は試験提案とSVHCから開始
し、2010年11月30日までに登録された物質、非段階的登録物質と推移してき
た。登録と情報公開の実績は、例えば段階的登録物質の95%、LRの一式文書
の97%を公開している。今後も、継続的に登録一式文書のバッチ的な情報公
開を進め、IUPAC名のCBIクレーム分析を行い、従来の指令67/548(NONS)に
基づく情報も併せて公開する予定である。また、LR以外のSIEF参加者の登録
一式文書及び登録トン帯域の公開も行う予定であり、IUCLID及びREACH-ITの
システム修正後にはSDS中の企業名、登録ナンバー、PBT/vPvB評価結果の
公表も併せて予定している。この他、関連システムに関する、ユーザの利便
性と掲載情報の品質向上を目指している。分類と表示に関する届出情報の公
開は、約310万件(約100,000物質)の処理に時間を要しており、併せて警
句と分類結果の確認にも手間取っている。これらの公開は、2011年の晩秋頃
を予定している。CBIクレームの評価結果は、REACH-IT を通して通知され、
クレーム内容の修正または再提出のチャンスは一回限りなので注意が必要で
ある。これまでの登録作業により得られた大部分の物質の有害性と安全な使
用に関する情報は、ECHAの情報公開サイトで物質検索キー(CASやEC番号)
を基に入手可能である。今後もより多くの情報公開をユーザの利便性を考慮
しながら推進して行く予定である。

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【一般に向けた情報公開の展望】
          Tatiana Santos Otero, Chemical Expert(ISTAS)
 
 ECHAは、化学物質関連情報に関する一般と民間の関心の違いについてバラ
ンスをとるべきであり、その観点に立って情報公開サイトの品質向上が求め
られており、産業界にとっては当該情報の質が非常に重要であることに留意
願いたい。2006年に発効したREACH規則の目的は、化学物質とその用途に関
する情報の入手とそれに基づく管理の向上を、各主体の自主的な責務に基づい
て実施することを踏まえて対応することが重要である。ISTASは、登録された
4071物質に関し181物質をランダムに抽出しECHAのウェブサイトで公開され
ている情報を確認した結果、一般的な情報については問題なく公開がされて
いるが、ばく露情報や製造・技術関連情報の公開は少ないことを確認した。
また、登録後の情報公開までに6ヶ月を要すること、REACH規則第119条(2)に
基づく電子的な情報の公開は2012年央になること、ユーザの利便性や透明性
に欠けること、全ての情報が公開されていない(トン帯域やばく露経路)こ
と、空白情報があること、ダウンロードが出来ないこと、異なった分類に対
して比較できないこと等の課題があると認識している。REACH規則に基づき、
公開が規定されている全ての情報が公開されるべきである。併せて、関連情
報(調和化された分類と表示結果、他の委員会規則に基づく情報、評価の進
捗状況、RMM等)も公開されるべきである。産業界側は、このような情報公開
に向け質の高いデータの提供を行うべきである。CBIクレームは、規則では
なく例外措置であり、REACH規則に基づくより多くの情報公開を図るべきで
ある。化学物質に関連するリスク回避には、知る権利が極めて重要な役割を
果たすが、透明性の確保には関係者の参画が必要である。産業界側からの質
の高いデータの提供は、一般が持つ化学物質に対するネガティブイメージを
払拭するには不可欠である。

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【評価作業からのフィードバック】
       Watze de Wolf, Head of Unit ? Evaluation III(ECHA)

 評価作業は2012年に開始し決定文書の作成に向け作業を進めているところ
である。Community Rolling Action Plan (CoRAP)案は内部で協議中であり、
その優先物質を選ぶためのクライテリアとタイムランを検討している。ECHA
の一式文書の評価は、試験提案の審査(TPE)と技術的な完全性の確認(CCH)
であり、評価のための3チームがECHA内部に編成された。評価の手順は、
http://www.echa.europa.eu/publications_en.asp に詳述されている。2012年
の達成目標は600件の一式文書の評価、570件のTPE、追加的な350件のCCH
である。これまでに、183件のCCHが実施され、うち56%のドラフト決定文書
を作成、24%にQOBL(Quality Observation Letter)を発出した。併せて、
572件のTPEのうち30%(約170件)を開始し、これまでに30件のドラフトま
たは最終決定文書を作成した。第三者コンサルテーションにおいては、試験提
案を含む430件の一式文書が対象となったが、仮説に基づく試験計画が大部分
を占め、その内容がREACH規則の要求事項を満足していないため試験要求の削
減は実現できなかった。これら一連の第三者コンサルテーションのフィード
バックは、ECHAのウェブサイトで公開する予定である。登録者への推奨事項は、
登録物質の明確な同定、REACH規則の要求事項への確実な対応と正当性の確
立、ロバスト試験サマリーの品質保証、有害性に基づく適切な分類と表示、
的確な試験提案である。併せて、IUCLIDファイルとCSRの一貫性の確保
(CSR中の一貫性の確保を含む)、ガイダンスドキュメントからの逸脱や標準
CSR要素の削除などに関する正当性の説明、定量的評価とその正当性の理由
付け、透明性の確保なども必要である。
 登録者は、ドラフト決定文書を受領した際または加盟国当局(MSCA)から
修正提案がなされた際に所定期間内にコメントすることが可能であり、ドラ
フト決定文書に関する加盟国委員会(MSC)の最初の会議に出席することも
認められている。中間体については、400件を越す登録がなされたが、うち
86%の一式文書にデータの不備または欠如があることが確認された。今後、
登録者にデータの追加または修正を依頼する予定である。ECHAは、登録者に
よる前向きな一式文書の見直しを促進し、率先的な一式文書の更新を期待し
ている。2011年には、2010年の評価進捗報告書、評価専用ウェブサイトの
開設、物質評価ファクトシート、実践ガイドNo.12(一式文書評価における
ECHAとのコミュニケーション)、中間体に関するガイダンス更新(2010年12
月に公開済)、第117条(3)に基づく非動物試験の実施と適用、ばく露評価
スコープガイダンスが公開される予定である。いずれにしても、一式文書は
ライブドキュメントという認識の下に前向きな対応をいただきたい。このよ
うな観点から、ECHAのCCHの結果を待つことなく登録者自らに気付きによる
一式文書の更新が必要である。

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【REACH規則の試験(動物試験を削減するための試験計画への対応)】
              Michelle Thew, Chief Executive(ECEAE)

 欧州域内では動物試験の廃止がすすめられており、REACH規則においても
脊椎動物試験は、第25条(1)に基づき最終的な手段となっている。そのために
は、代替手法を促進し、データを共有、試験提案を行うことになっている。
2010年の登録では、登録数は当初の予想を大幅に下回ったが、依然として
13百万件から54百万件の動物試験が見込まれている。試験提案に対しては、
45日のコメント期間が設けられている。2009年8月から2011年3月にかけて、
49物質に関する82件の試験提案があり、2010年12月の登録締め切りまでには、
709件の試験提案(100万固体の動物試験に相当)がなされ、90%以上の動物
が生殖毒性試験とエンドポイント試験に用いられる。科学的にECHAが対応
すべき事項として、28日間生殖毒性スクリーニング試験を排除することに
より450万の動物が救われる。また、系内皮膚刺激性試験の活用も推奨され
ており、詳細はECHAのガイダンスを参照願いたい
(http://echa.europa.eu/publications_en.asp )。その他、OECDの拡大一
世代生殖毒性試験(OECDドラフトTG)の採用と動物試験の削減を行う必要
がある。当該部分の登録一式文書の公開と試験提案の結果の公開が必要で
あると同時に、関係者が加盟国委員会(MSC)に参画すべきである。試験提
案の評価は非公開であり、ECHAの試験は公開されず、試験提案の主要な情報
も明らかにされていないので改善が必要である。REACH規則に加え、指令
2010/63/EUにより、加盟国は動物試験を回避する義務があるが、登録一式
文書では、ラビットの皮膚刺激性試験、予備試験、化粧品材料に関する試験
などが提示されている。ECHAは、このような課題に対し努力しているものの、
動物試験が最終手段であることの啓発が必要であり、産業界側は2013年及び
2018年登録において動物試験を回避する努力を行うべきである。動物試験
削減及び回避に関するECEAEの支援は、 reach@eceae.org に相談いただきた
い。

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【質疑応答】
Q:REACH規則に基づく2010年登録に間に合わなかったものの対応はどのよ
  うになるのか確認したい。
A:ECHAに事前に相談しかつ予想することが困難な理由がある場合が前提で
  あるが、対応がDCG(The Directors' Contact Group)で検討されている。

Q:生殖毒性試験において90日間の試験結果がある場合は28日間の試験結
  果が必要ないことを確認したい。また、第一世代試験があれば第二世代
  試験の必要性がないことも確認したい。
A:生殖毒性試験に関しては指摘の通りであるが、逆の場合は免除にはなら
  ない。また、第一世代試験は、第二世代試験の結果に置き換えることは
  出来ない。なお、試験提案については、附属書IIの脚注に示されている
  注意書きを参照願いたい。試験提案の詳細については、加盟国及び委員
  会と検討している。

「附属書II脚注の原文」
Note 1: If it is not technically possible, or if it does not appear   
scientifically necessary to give information, the reasons shall be   
clearly stated, in accordance with the relevant provisions.
Note 2: The registrant may wish to declare that certain information   
submitted in the registration dossier is commercially sensitive and   
its disclosure might harm him commercially. If this is the case, he   
shall list the items and provide a justification.

Q:中間体に関するガイダンスが更新されたが、登録一式文書の評価は旧ガ
  イダンスに基づいてなされるのか、新ガイダンスに基づいてなされるの
  か確認したい。また、ガイダンス内容は十分にREACH規則のコンプライ
  アンスを満たすのか、一式文書の更新は必要なのか確認したい。
A:中間体登録一式文書の不備はECHAの専門家グループの指摘を受けたもの
  であり、そもそも中間体の定義の適用に誤用があることが問題である。
  ドラフト決定文書の公表はしていないが、新ガイダンスにしたがって登
  録一式文書の更新は必要である。複雑な組成は困難な対応を伴うことに
  留意すべきである。

Q:登録一式文書で異なる用途に対し同じCAS番号が適用されているケース
  があるが、その場合の対応はどのようにすればよいのか確認したい。
A:内部で対応を検討している。

Q:追加情報公開において企業名と登録番号が公開されることになるのか確
  認したい。また、登録一式文書を更新した場合の情報公開へ反映される
  タイミングを確認したい。
A:基本的にはITシステムを修正して、当該情報を公開する方向で検討して
  いる。登録一式文書の更新に伴う公開情報への反映は、直ちにではなく
  数日の時間を要する。

Q:公開情報のダウンロード機能の追加は検討していないのか確認したい。
A:一式文書に掲載されている関連情報は、基本的には産業界側のものであ
  り、REACH規則の目的に照らして公開は可能だが、ダウンロードは考え
  ていない。
Q:トン帯域の公開と企業名のリンクは考えているのか確認したい。
A:現在のところ詳細を検討していないが、競争法に照らして議論が必要で
  あると認識している。

Q:CLP規則に基づく届出情報の公開が延期になった原因を確認したい。
A:非常に多くの届出がなされたことと分類と表示の確認作業が複雑である
  ことから、遅延を生じている。

Q:ECHAの評価によると登録一式文書の品質が低いとのことだが、その内容
  を確認したい。中間体の評価において86%が不備であるとのことだが、
  そもそも関連ガイダンスが十分ではないのではないか。産業界側として
  は、SIEF対応に多くの時間を取られ、それが登録一式文書の品質に影響
  していることを申し述べたい。
A:最終的なドラフト決定文書までは至っていない。ECHAとして品質に満足
  していないという意味である。認可は、新たなプロセスであり関係者の
  習熟が必要だと認識している。

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【まとめ】
             Geert Dancet, Executive Director (ECHA)

 第6回の関係者会議は、400名以上の参加者を集まり積極的な議論が展開さ
れた。個別相談の参加者はこれまでの最高数に達した。2013年登録に向けて
DUも権利と義務を負っていることを再認識いただきたい。一式文書は、産業
界側のものであり継続的な更新が必要である。REACH規則に基づきこれまでに
ない情報公開が可能となった。2013年登録に向けてSIEFの規模は小さくなり、
データの不足、コスト配分方法の複雑化、パッシブメンバーの扱いが問題に
なる。認可は新たな取り組みで習熟が必要であるが、制限はこれまでにも経
験があると認識している。企業名等の情報公開は必要であり、CBIクレーム
には明確な理由と詳細な説明が必要である。認可に関しては、競争法との関
係整理が必要であるが、基本的な情報公開の流れは変わらない。しかしなが
ら、リサイクル材料に関するガイダンスの更新が必要であると認識している。
DUは、必要に応じてSVHCの届出が必要でCSA作成には、Chesarの使用が望まし
い。混合物のSDSとESはチャレンジングな課題である。また、全てのコミュ
ニケーションの記録を残しておくことが重要である。ECHAとしては、より実
践的かつ簡便なDUガイダンス及び届出ツールが必要であると考えている。
懸念事項としては、CLP規則に基づく届出情報の公開が遅延していることと、
ESなしのSDS対応である。評価に関しては、登録一式文書の品質が問題となっ
ており、中間体に対しては新ガイダンスに基づく一式文書の更新が必要であ
る。情報公開に関しては、一般と民間の関心事項のバランスが必要であるが、
CBIクレームに配慮しつつも企業名などの公開を予定している。動物試験に関
しては、現時点で明確な試験数を提示することは困難であるが、パブリック
コンサルテーションは必要であり、代替試験方法などを用いて動物試験を回
避する必要がある。同時にエンドポイントに関する改善も必要であり、これ
に関してはECEAEの支援が活用できる。その他、一式文書の品質向上には更新
作業が不可欠であり、情報公開されている登録情報のダウンロードについて
は、法的な整理が必要である。
 次回第7回関係者会議は、9月23日にブラッセルで欧州委員会と共催する予定
である。

 化学物質国際対応ネットワークでは、関係者との対話・交流等を通して有益
な情報の入手を心がけるとともに、その結果をみなさまに発信してまいります。
今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

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化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

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