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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第36号[附録]
          http://www.chemical-net.info/
              2011/08/25 配信
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当附録は、2011年8月25日に配信した化学物質国際対応ネットワークマガジン
第36号で紹介した「米国有害物質規制法(TSCA)改正法案、上院に再上程」
(化学品安全管理研究所 大島 輝夫)の内容についてお知らせします。
(なお、この説明や見解は大島輝夫氏が聞き取ったものであり、EPAその他
関係者から正式に公表されたものでないことを予めご了承ください。)

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[S847: Safe Chemicals Act of 2011]
 全文38条、(TSCAは31条)、データの提出を要求する化学物質は、昨年と異
なり、優先順位として、第7条(a)に、カテゴリー1,2,3に分け、カテゴ
リー1は、人や他の生物に広範囲で、ばく露の可能性があるPBT化学物質を、
20または30物質定めるとしている。昨年の案が300物質を定め、逐次追加すると
しているのと比べると、対象を限定しリスクに基づき、数も非常に少なくなっ
ている。

 また輸入されるArticle(商品)に含まれる化学物質も対象となり、例えば
第13条の(a)の(3)に、そのことが明記されている。ただしREACHと異なり、
Articleが規制の対象ではなく、Articleに含まれる化学物質が、化学物質およ
びMixture(混合物)と同様の扱いを受ける。この点は、米国内の製造業者には、
ほとんど問題がないが、海外から化学物質を含むArticleを、米国へ輸出する場
合には、非常に影響するであろう。実際これを今回のS.847の特徴としてとりあ
げた米国の資料は見当たらない。

以下、重要と思われる条項を紹介する。
第3条 FINDINGS,POLICY,AND GOAL
現在のTSCAの第2条(b)政策(3)にある、「不必要な経済的障害を生じないよ
うな方法で行使されるべきである。」あるいは、これを意味する文章が見当た
らない。しかし否定したわけでもないかもしれない。
(a)Findings-Congress finds that-:(1)〜(11)のうち注目事項を紹介す
る。
(5)米国人の体内のバイオモニタリングの結果、体内に数百の有害化学物質が
見出される。
(7)発生期のある段階の代謝、生理の相違が、化学物質の曝露に、大人よりも
幼児、小児の子宮内で生じる、また幼少期、およびその他の発生の決定的な時期
における化学物質のばく露影響は大人に対するよりも傷つき易くなる。
(8)化学物質の製造業者、加工業者は製品を商業的に流通する前に、十分な人
の健康と環境への情報を提供すべきである。

(b)Policy-It is the policy of the United States (1)〜(7)
(1)子供、労働者、消費者、市民の健康を守り、環境を化学物質に対して有害
なばく露を防ぐこと
(2)より安全な代替物質
(3)risk-based safety standard
(4)十分な健康と環境の情報を提供することの提供を会社に要求すること
(5)情報の質を改良すること
(6)市民と労働者の知る権利
(7)連邦政府と州、市町、種族、および外国政府との協力の強化(外国政府も
含まれている)

(c)Goal  次のことによりゴールを達成する。(1)〜(4)
(1)全ての化学物質について安全を見直し、見直しを促進するために最優先化
学物質を同定する
(2)商業的に流通する化学物質がこの表題のもとにおける基準に合致するかど
うかを決定する。
(3)警告されている場合に、化学物質の使用に対して適当な制限を適用する
(4)有害な化学物質とプロセスを、より安全な代替物に置換することを奨励する

以下、注目すべき点である。
・Minimum data set(MDS)を定める。これは現行TSCAと大きく変わった点である。
・企業がその化学物質が安全であることを証明する法的任務をもつ
・新用途の届け出
・EPAは十分な権限をもち、追加情報の収集も要求する
・二重のテスト、不必要なテストを避ける
・低コスト、高品質なデータ、またコンピューターを使ったデータなど動物を使わ
ないデータを認める。
・緊急のハザードをもつ化学物質には、迅速に対応する。
・Mixtureについては、昨年の法案に変更を加えている。
などである。

以下“Article”が記載されている主な条項を示す。
第4条 定義
・(2)AGGREGATE EXPOSURE(4*) 
・(8) DISTRIBUTION IN COMMERCE 数か所
・(9)END CONSUMER
・第5条 製造、加工届け出:(f)この条の定義(2) 試験販売
・第6条 優先順位、安全標準決定
・リスク管理:
・(b)化学物質の安全基準決定
・全般(C)リスクのアセスメント (7**)輸出のための製造加工
題目は輸出であるが、内容は化学物質を含むArticleの輸入も含むので、重要と
考えられる。

  化学物質を含むArticleと混合物の輸入を含め、長官はパラグラフ(B)(2*)
の安全基準を適用するか否かを決定する。
・(3)リスク減少
・(B)否定的安全基準
・(C)肯定的安全基準
・(c) 安全管理:化学物質を含むArticleも対象
第7条 緊急有害性(a)(1)(A)(B)、(b)(2)(B)、(b)(3)、(c)
第8条 情報の報告、保存
第11条 査察と文書提出
第13条 通関手続き

以下、各条項の主要点を説明する。
第1条 題目:Safe Chemicals Act of 2011

第2条 目的:この法律の目的は化学物質からのリスクが、十分に理解され、
管理されることである(昨年と同じ)。

第3条 事実認定、政策、目標:前述しているが、昨年の事実認定の(9)と政
策の(1)の最後のto chemical substances and mixtures のmixturesが削除され
ている他は変わらない。

第4条 多数の定義が追加されているが、注目すべきと思われる内容を以下に示す。
 ・(2) AGGREGATE EXPOSURE: food, air, water, soil, house dust 
などTSCA以外のばく露を含む。
 ・(5) CHEMICAL SUBSTANCE: 分子が同一であっても、長官が新規化
学物質として指定し得る(たとえばナノ物質を新規化学物質に指定可能)。 
 ・(8) DISTRIBUTION IN COMMERCE: 化学物質を含むArticleも含ま
れる(現行TSCAにも含まれている)。
 ・(9) END CONSUMER: 化学物質を含むArticleを購入、使用または
消費する個人などを含む。
 ・(20) SPECIAL SUBSTANCE CHARACTERISTIC: (B)CONSIDERATIONS:
次の事項を長官は考慮してもよい。(1*)size or size distribution; (2*)
shape and surface structure; (3*)reactivity; (4*)any other properties   
 that may significantly affect the risks posed
 ・(22) TOXIC:(A)GHSにより定められた毒性のカテゴリー1または2
のクライテリアに合致すること、(C)実験室の研究を含むなど
 ・(23) TOXICOLOGICAL PROPERTY: 次の毒性が列挙されている。
死亡率、発がん性を含む病的状態、生殖毒性、成長と生育、免疫毒性、内分泌撹
乱性、脳または神経組織、他の組織 または 人または人以外の生物に対する生態
機能
 ・(25) VULNERABLE HUMAN POPULATION: 弱者;(A)幼児、子供、若者、
(B)妊婦、(C)老年者、(D)先天的医学条件の個人、(E)化学物質および
混合物と作業する労働者、(E)長官が認定した他の適当な集団の一員
第5条 MINIMUM DATA SETS AND TESTING OF CHEMICAL SUBSTANCES
Minimum Data sets 施行後1年以内に、長官は規則により、化学物質のMINIMUM   
DATA SETSを設定する。(1*)段階的(3*)長官が化学物質のスクリーニングレベル
のリスクアセスメントを行うに必要な最小の情報を含む(4*)代替試験法、低
価格で動物を用いない試験法、インビトロ試験、コンピュ−タ−を用いた毒性
などを促進し奨励する。
 ・(2)これらのMINIMUM DATA SETSを新規化学物質について、また既
存化学物質について、優先化学物質については、各々18カ月後に、また法施行
後5年後に提出する。
 ・(b) Testing (c) Test Rules or Orders (d) Exemptions (e) 
Notice (f) Requests from Other Agencies for Additional Information or 
Testing 

第6条 MANUFACTURING AND PROCESSING NOTICES
New Chemical Substances:
・(C) (2*)(1**)(aa)毎年1,000,000ポンドを超える量を生産 
(bb) 毎年100,000ポンドを超える量を環境に放出。 
 ・(2) NEW USES OF EXISTING CHEMICAL SUBSTANCES PRIOR TO SAFETY 
STANDARD DETERMINATION
 ・(3) NEW USES OF EXISTING CHEMICAL SUBSTANCES THAT MEET THE
 SAFETY STANDARD
 ・(4) SAFETY STANDARD DETERMINATION

第7条 PRIORITIZATION, SAFETY STANDARD DETERMINATION, AND RISK
MANAGEMENT
・Prioritization of Chemical Substance
・PRIORITIZATION LIST: 1,2,3のクラスに分ける。
 ・(2) クラス1: PBTの性質があり、または他の生物に広範囲にばく
露の可能性がある、化学物質またはその分解、代謝物質で、法の施行後1年以内
に、20より少なくなく、30より多くない物質名を公示する。
 ・(3)クラス2: 長官が安全基準を決定しうることを要求する優先ク
ラスを意味する。
 ・(4)クラス3: 長官が直ちに行動をする必要がないと判断した化学
物質。
  ・(b) Safety Standard Determinations for Chemical Substances

第8条 IMMINENT HAZARD
化学物質、混合物、化学物質または混合物を含むarticleが健康または環境に差
し迫った、重大な危険があるかもしれない時は、差し押さえを適当な裁判所に
告訴する。

第9条 REPORTING AND RETENTION OF INFORMATION
法の施行後1年以内に、流通している化学物質の製造業者、加工業者は、次の項
目を長官に届け出る。
 化学物質のidentity、製造加工する事業場の名称と場所、実施した健康と安全
の研究のリスト、以前に提出しなかった次の全ての情報。物理的、化学的、毒性、
年間製造量、用途、ばく露、運命の情報、送付先
  ・(d)重要情報への市民の入手;インターネットなどで、次の情報を
入手できるようにする。消費者、労働者、環境への障害

第13条 ENTRY INTO CUSTAMS TERRITORY OF THE UNITED STATES
  ・(3)IMPORT AS PART OF AN ARTICLE
Article一部として、輸入された、化学物質、混合物は、この法のもとにおける
物質と混合物が、バルクで輸入されたのと同じこの法の要求に従う。ただし、
この法の下に規則により、長官あるいはthe Secretary of Homeland Securityが
提出した場合を除く。

第14条 DISCROSURE OF DATA
第15条 PROHIBITED ACTS
第16条 PENALTIES  従来の1件25,000$が、37,500$に引き上げられている。
第18条 PREEMPTION 州などの権限を阻害しない。
第29条 CHLDREN’S ENVIRONMENTAL HEALTH RESEARCH PROGRAM
第30条 REDUCTION OF ANIMAL?BASED TESTING
第31条 SAFER ALTERNATIVES AND GREEN CHEMISTRY AND ENGINEERING
第32条  COOPERAION WITH INTERNATIONAL EFFORTS
第34条 HOT SPOTS

参考URL:S.847 - Safe Chemicals Act of 2011   
http://www.opencongress.org/bill/112-s847/text

*を付けた数字はローマ数字の小文字を表す
**を付けた数字はローマ数字の大文字を表す

以上

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今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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