1. 化学物質国際対応ネットワークTOP
  2. >メールマガジン
  3. >メールマガジン 第38号

メールマガジン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       化学物質国際対応ネットワークマガジン 第38号
          http://www.chemical-net.info/
              2011/11/16 配信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第38号は、以下の内容をお送りいたします。
──────────────────────────────────―
☆ [1]海外化学物質管理事情      化学品安全管理研究所 大島輝夫
☆ [2]欧州化学物質管理の最新動向
                  化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [3]中国の環境関連動向    化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [4]あとがき         化学物質国際対応ネットワーク事務局
---------------------------------------------------------------------

[1]海外化学物質管理事情(その25)
韓国「化学物質の登録及び評価に関する法律」案
                  [化学品安全管理研究所 大島輝夫]

1.従来の韓国化学物質管理制度

 環境部(MOE)が所管する「有害化学物質管理法(TCCA)」は、従来からあ
る中毒防止を目的とした毒物及び毒素に関する法令を基礎とし、新規化学物
質の届出審査制度の導入を目的として1990年8月1日に制定され、1991年2月2日
に施行されている。また、労働部(MOL、現・雇用労働部(MOEL))が所管す
る産業安全保健法は、1990年1月13日に改正され、「新規化学物質の有害性調
査結果報告書」提出制度が導入、1990年8月11日に施行されている。これらに
おける既存化学物質目録については、環境部は1991年2月2日にそれまで国内で
商業用に流通していた化学物質を収載した既存化学物質目録を公表し、労働部
は同様の目録を1993年12月に公表した。両者は1996年12月23日に統合され、
35,661物質が環境部・労働部連名で告示されている。その後、2005年11月21日
に1,360物質が既存化学物質目録に追加されている。
 また、1996年のOECDへの加盟に伴い、TCCAは1996年12月30日に全面的に改正
され、化学物質排出移動量届出制度(PRTR制度)、優良試験所基準(GLP)、
リスクアセスメントが導入された。さらに、TCCAは政府のリスクアセスメント
に基づく公衆衛生重視に向けた政策転換により2004年12月31日に再改正された。
続いて化学物質の自己確認制度及び制限・禁止化学物質が2006年1月1日に導入
され、併せて事故警戒化学物質及び幻覚物質の規制も施行された。その後、
TCCAは数回部分的に改訂され、罰則の強化なども行われた。これら数度の改正
及び改訂に関連する大統領令、環境部令、国立環境科学院(NIER)告示も官報
で公示されている。
 新規化学物質の届出に関しては、TCCAと産業安全保健法に基づき別個に行わ
れていたが、2004年12月31日のTCCA改正の際に統合され、NIERに届出を行いそ
の審査を経て結果が労働部に通知される方式に変更されている(環境部、雇用
労働部両方に届け出を行ってもよい。)。化学物質の表示などは上述した両法
別個に公示されるが、環境部の表示が優先される。また、化学品の分類および
表示に関する世界調和システム(GHS)については、環境部(TCCA、毒性物質
の分類基準及び表示に関する規定、NIER告示第2008-26号)、雇用労働部(産
業安全保健法、化学物質の分類・表示・化学物質安全性データシート(MSDS)
等に関する基準、MOL告示第2008-29号)、消防防災庁(行政安全部の外局、危
険物安全管理法、危険物の分類及び表示に関する基準、消防防災庁(NEMA)
告示第2008-18号)により施行され、MSDSは産業安全保健法により制定されて
いる。
 ここに示した法令以外に、化学物質管理に関連する法令としては、知識経済
部(MKE)が所管する高圧ガス安全管理法、品質管理および産業製品安全管理
法、消防防災庁所管の爆発物安全管理法、国土海洋部(MLTM)所管の船舶安全
法、農林水産食品部(MIFAA)所管の農薬管理法、肥料管理法、保健福祉部
(MW)所管の薬事法などがある。
 また、環境部の2011年1月18日付け発表(※)によれば、化学物質の健康お
よび環境被害を2020年までに最小化することを先進的な方法で推進するため、
化学物質に関係する8部庁(教育科学技術部(MEST)、知識経済部、環境部、
雇用労働部、国土海洋部、消防防災庁(行政安全部所属)、農村振興庁(農林
水産食品部所属)、食品医薬品安全庁(保健福祉家族部所属))が連携し、
「国家化学物質管理基本計画」の下で2020年までに化学物質の危害およびハザ
ード情報の80%以上を確保し、PRTR制度におけるグループ1カテゴリーの発が
ん性化学物質を32%まで減少することなどを目標として定めている。

※韓国環境部News
http://www.me.go.kr/kor/notice/notice_02_01.jsp?id=notice_02&cate=02&
dirinfo=&key=subject&search=&search_regdate_s=&search_regdate_e=&order
=&desc=asc&pg=68&mode=view&idx=176479

2.韓国化学物質の登録及び評価に関する法律(案)

(1)経過

 環境部が所管する新しい化学物質に関する法律案で、英語名は“Act on the 
Registration and Evaluation of Chemicals”(以下draftと示す。)とな
っている。環境部は、2010年12月にこの法律案をまとめ、関連大統領令、環
境部令の案とともに関係する部庁との意見調整を行っていると伝えられてい
る。一般には、2011年1月31日に法律案が公表され、2月25日に環境部から公告
第2011-74号が公示され(※)、パブリックコンサルテーションが2月26日から
4月26日まで行われた。

※韓国環境部News
http://www.me.go.kr/kor/info/statute_02_view.jsp?key=&search=&search_
regdate_s=&search_regdate_e%E3%80%80=&no=20110022&pg=1

 海外ではこの法律は「K-REACH」として報道されており、非常に大きな反響を
呼んでいる。その内容は、欧州のREACH規則同様、化学物質の、登録
(Registration)、評価(REACH規則同様“Evaluation”で“Assessment”では
ない)、認可(Authorization)、制限(Restriction)の実施を対象としてい
るが、REACH規則の登録が全ての物質及びArticle中の物質も一定条件を満たす
場合に対象としているのに対し、このdraftの既存化学物質の登録は、環境部が
指定する評価対象物質とそれを一定条件で含む製品に限定されている。また、
既存化学物質の報告は、毎年2月までに環境部令により定める項目(前年度の製
造・輸入量等)をまとめ環境部長官に提出することになっている(第9条)。
Article中の化学物質については、従来のTCCAも一定条件下で「米国有害物質規
制法(TSCA)」に準じて対象としているが、draftではTCCA同様「特定の固体形
態で一定の機能を発揮する製品(固形完成品)に含有され、その使用過程で放
出されない化学物質」は、登録申請の対象外となっている(第15条)。
このようなdraftの規制内容には、TCCAの経験、韓国政府の国内企業に対する
REACH規則対応ガイダンスの経験、あるいはブリュッセルにあるREACH規則対応
のための民間開設事務所の実績・経験が活かされ、併せて日本の改正化審法な
ども参考にしたと思われ部分が存在する。ただし、関係部庁との調整、パブリ
ックコンサルテーションの結果などは一般には未公表であり、また、この法律
に基づく大統領令、環境部令、国立環境科学院告示などの草案は法律公布後の
公示となるため、現時点ではそれらの具体的な内容は不明である。最も影響が
大きい評価対象物質については、環境部長官が既存化学物質に関してdraft 第
9条にしたがって報告された資料または該当化学物質に関する既存の有害性等の
資料を参照し、大統領令で規定する基準にしたがって選定すると第10条に定め
られている。評価対象物質の対象物質案は、2013年初めに公開が計画され、予
備登録を開始する6カ月以前までに決定される予定である。このプロセスにより、
TCCAで指定されている有毒物なども見直しが予想されている。このように、
draftはいろいろな点に配慮した興味ある内容であるため、今後の経過に注目す
る必要がある。なお、TCCAに含まれているPRTR制度などが今回のdraftには見当
たらないが、このdraft第11条 (1) 7及び第48条 (2)に TCCAの名前が登場してい
るため、TCCAとのリンクが何らかの形で存続すると思われるが、このdraftを上
位法とする場合のTCCAの調整内容等については現時点では不明である。

(2)今後の予定

 環境部は、2011年12月31日までに国会でこの法律を成立させ、2013年1月1日
までに大統領令、環境部令、環境科学院令を公布し、2014年1月1日よりこの法
律にしたがって新規化学物質の届出を開始、2014年6月30日までに評価対象物
質の公示が行われる予定である。また、予備登録は2〜8年(2014年6月30日から
2022年6月30日)の猶予期間をおき、制限・禁止物質の内容の公布については
2017年1月1日から行われる予定である。しかしながら、諸般の事情により最終
的な法案の成立は、2011年12月31日より以降になる可能性も残されている。過
去の類似例を参照すると、予定していた施行時期が延びても環境部原案の内容
は成立してきているので、今後もこのdraftに注目する必要がある。

(3)draftの主な内容

 以下にdraftの主な条文内容を紹介する。

○(第6条)全権代理人制度を、輸入業者に導入する。

○(第9条)全ての製造・輸入物質は、年間の製造・輸入量などを報告しなけれ
 ばならない。
【解説】報告は評価対象物質の選定のために必須の要素である。報告が企業に
    対する有り得る困難を考慮し、不必要な負担を除去する一層合理的な
    方法を検討中である。

○(第10条)政府が既存化学物質の中から、登録を義務とする評価対象物質を
 選定する。
【解説】選定基準は大統領令により定められるが、未公表である。

○(第12条)製造・輸入業者は、年間0.5トン以上製造・輸入物質する物質につ
 いて予備登録を申請することができる。
【解説】REACH規則の予備登録の要件は、年間1トン以上の製造または輸入であ
 るが、TCCAの予備登録の要件は製造・輸入業者あたり年間0.1トンとなっている。
 1)現在、合理的なデータ要求とトンレベルを検討中で、その案は来年に公
   表すると思われる。
 2)登録限度(年間0.5トン)は韓国の市場では年間1トンより合理的である。
   しかし、年間1トン以下の登録に対する負担を軽減する何らかの方法が
   検討中である。

○(第13条)予備登録された物質に対して、最大8年の登録猶予期間が付与される。
【解説】
 1)評価対象物質は優先度により4つに分類される。
 2)優先度1の物質は、アセスメントのために最も緊急の物質で、2年の猶予
   期間があるが、この2年を延長するつもりはない。
 3)優先度1の物質数はあまり多くはない。
 4)優先度1、2、3の物質の総数は、2,000〜3,000の見込みである。
 5)優先度4の物質は、報告により集められた情報を検討した上で指定する。

○(第28条)環境部長官は、評価対象物質と新規化学物質の登録申請の結果に
 基づき、ハザード評価を行い、有害性物質を指定する。さらにリスク評価の
 結果に基づき、許可対象物質または制限・禁止物質を指定する。また、それ
 以外のリスクを予防するための措置をとることができる。

○登録の内容:
 1)要求データは、年間100トン以上(REACH規則は10トン以上)
 2)ポリマーに免除規定
 3)共同登録を義務化

参考:韓国法令のQ&A(化学物質国際対応ネットワーク)
http://www.chemical-net.info/faq_korea.html

---------------------------------------------------------------------
[2]欧州化学物質管理の最新動向
                [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

1.無効な予備登録化学物質の削除
 ECHA(欧州化学物質庁)は、失効したあるいは不適切な予備登録をREACH-IT
データベースから削除し、それらの予備登録番号のリストを公表した。これは、
登録予定者のデータ共有を支援する目的とするもので、今後、これらの物質は
予備登録されていないものとして扱われる事になるため、ECHAは輸入者や登録
予定者、川下ユーザーに確認を呼びかけている。

出典:ECHAホームページ(9月21日付)
http://echa.europa.eu/news/na/201109/na_11_42_removal_of_
pre-registrations_en.asp

2.4種のフタル酸エステルに対するパブリックコンサルテーション
 4種のフタル酸エステル(DEHPとBBP、DBP、DIBP)の制限案に関するパブリ
ックコンサルテーションがなされている。受付期限は6ヶ月間で、2012年3月
16日に締切られる予定である。ECHAは、今後の対応を促進するため2011年12月
16日までにコメントすることを奨励している。 

出典:ECHAホームページ(9月19日付)
http://echa.europa.eu/news/na/201109/na_11_39_phthalates_en.asp

3.第一段階登録で登録予定であった物質が実際には登録されなかった理由
 ダイレクターズコンタクトグループ(DCG)は、REACH規則に基づく第一段階
登録期限までに登録されると推測される化学物質数を見積るために2010年の春
に調査を行った。現在、この調査で見積られた物質数の約30%が、第一段階登
録期限までに登録されなかったことが明らかとなっているが、その理由をDCG
の指示によりECHAが調査を行った結果、その30%に該当する物質の中には、実
際には予備登録時とは異なるEC番号(List番号)で登録されているものもある
ことが判明した。

出典:ECHAホームページ(9月15日付)
http://echa.europa.eu/chem_data/list_registration_2010_en.asp#download

---------------------------------------------------------------------
[3]中国の環境関連動向    [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

1.新化学物質登録における標識情報に関する技術要求(試行)を発表
 環境保護部化学品登録センターは、2011年7月22日に新化学物質登録における
ラベル情報に関する技術要求(試行)を発表した。この要求内容は、9種類の新
規化学物質の中文名称、英文名称、CAS番号、化学式と構造式などの情報を提出
することを要求している。この要求の詳細内容(中国語)については、下記URL
からダウンロードすることができる。
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_DP.aspx?TitID=376&T0=01000&
LanguageType=CH&Sub=125

出典:環境保護部化学品登録センターホームページ(8月23日付)
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_DP.aspx?TitID=376&T0=01000&
LanguageType=CH&Sub=125

2.上海市において危険化学品企業の配置分布を調整
 上海市は、生態環境の保護を目的に工業地域に位置に存在する危険化学品の
製造及び貯蓄企業に対して配置調整を進めています。2011年内に76社の企業に
対して移転を実施し、2012年末までに、その配置分布の調整を完成することを
計画している。過去、上海市は絶えず危険化学品企業の立地分布に対する調整
を進めており、500数社の企業に対して閉鎖、操業停止、合併、製品転換、移転、
生産量規制等の措置を実施し、リスク低減を図っている。現在、上海市におい
ては、依然300社ほどの危険化学品生産及び貯蔵ならびに運輸企業が工業地域に
も立地していないため、対象企業に対してさらなる調整を進めて行くことにな
っている。

出典:中国環境報(8月31日付)
http://www.cenews.com.cn/xwzx/zhxw/ybyw/201108/t20110830_705681.html

---------------------------------------------------------------------
[4]あとがき         [化学物質国際対応ネットワーク事務局]
 日本国内は一段と秋色深くなり、野辺に咲く花々が物思いの心を誘います。
化学物質の分野でも欧米をはじめ、アジア各国で化学物質管理の新たな動きが
見受けられます。
 今号では、韓国における化学物質の登録及び評価に関する法律案について紹
介しましたが、各国の実務担当者がSAICM2020年目標達成をめざして積極的に
対応している様子がうかがえます。このような法制度の改正が各国で進行する
中で、国内外の関係者間のコミュニケーションが問われる時代に突入したと思
いますが、政府間の対話に加え、官民問わずの情報交換とコミュニケーション
の必要性も問われていると強く感じています。

 化学物質国際対応ネットワークでは、このような国内外の動きに的確に対応
すべく、みなさまのご協力をいただきながら活動を進めて行きたいと考えてい
ます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

----------------------------------------------------------------------
化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

■本マガジンは、平成23年度環境省請負業務に基づき、社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
  社団法人海外環境協力センター  http://www.oecc.or.jp/
  環境省総合環境政策局環境保健部 http://www.env.go.jp/chemi/index.html

■原則として、毎月1回の配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
 なお、バックナンバーについては、後日ネットワークのホームページに掲載
 する予定です。

■本マガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更及び
 ご意見・ご感想・ご要望等は、以下のホームページよりご連絡下さい。
 メールマガジンの配信停止 
 https://a02.hm-f.jp/index.php?action=C1&a=144&g=3&f=6
 このサイトに関するお問合せ  
 http://www.chemical-net.info/contact.html

■ご使用のメールソフトの設定によっては、メールマガジンの改行処理が
 うまくいかない場合がございます。内容には差異はございませんので、
 ご了承いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
───────────────────────────────────
発行元:社団法人海外環境協力センター
───────────────────────────────────

ページの先頭に戻る↑