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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第38号[附録]
          http://www.chemical-net.info/
              2011/11/16 配信
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当附録は、2011年11月16日に配信した化学物質国際対応ネットワークマガジン
第38号で紹介した「韓国 化学物質の登録及び評価に関する法律(案)」の主
要条文と大島 輝夫氏による解説をお届けします。
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【主要条文】

第1章 総則

 第1条(目的)
 化学物質による国民健康および環境上の危害を事前に予防することを目的と
する。
【解説】“予防”はTCCAの目的にも記述されているが、この「化学物質の登録
    及び評価に関する法律(案)」(以下“draft”と示す) には、各所
    に記載されている。

 第2条(定義)
[注目すべき定義]
3.「高分子化合物」
7.「評価対象物質」は、環境部長官が既存化学物質で該当化学物質による人
  の健康または環境への危害が憂慮され、その危害の程度を評価する必要を
  認め告示したものである。
8.「有毒物」
10.「許可対象物質」は、化学物質の使用によって人の健康または環境への
  危害性(リスク)の大きさが憂慮され、製造・輸入・使用前に環境部長官
  の承認を受けなければならない物質とし、第24条により化学物質評価委員
  会の審議を受けて環境部長官が告示したものである。
11.「制限・禁止物質」は、危害性(リスク)の大きさが認定され、一部ま
  たは全ての用途への製造・輸入・使用・または販売を制限あるいは禁止す
  るために、第31条により化学物質評価委員会の審議を受けて環境部長官が
  告示したものである。
【解説】高分子化合物、有毒物の定義はOECDとほぼ同じである。有毒物に関し
    ては、ハザード評価により定める。

 第3条(適用範囲)
【解説】適用しない化学物質が列挙され、TCCAに含まれる火薬類と「高圧ガス
    安全管理法」による高圧ガスが削除されている。

 第4条(国家の責務)
【解説】TCCAと条文を変更し、リスクについて明記している。

 第5条(事業者の責務)
【解説】TCCAと条文を変更し、予防、ハザード、リスク、代替物質等について
    を明記している。

 第6条(全権代理人)
(1)国外から韓国に化学物質を輸出しようとする者は、本法において化学物質を
 輸入しようとする者に対し課せられた義務を履行するために個人または国内
 登録法人を全権代理人に選任することができる。
(2)(3) 略
【解説】全権代理人制度を、輸入業者に導入する。

 第7条(化学物質評価等に関する基本計画)
【解説】(3)に化学物質のハザードおよびリスクの予防を明記している。

 第8条(化学物質評価委員会)
 専門家、化学物質業界代表、消費者または環境関連団体代表および関連分野
の業務を担当する公務員の中から、環境部長官が任命または委嘱する。30名以
内の委員で構成する。
【解説】この条項はTCCAにもある。


第2章 化学物質の登録

 第9条(化学物質製造等の報告)
 既存化学物質を製造または輸入する者は毎年2月までに前年度の製造または
輸入量等の環境部令により定める資料を環境部長官に提出しなければならない。
ただし、大統領令により定める化学物質については、その限りではない。
【解説】報告は評価対象物質の選定のために必須の要素である。報告が企業に
    対する有り得る困難を考慮し、不必要な負担を除去する一層合理的な
    方法を検討中である。

 第10条(評価対象物質の指定)
(1)環境部長官は既存化学物質に関し第9条にしたがい報告された資料または該
 当化学物質に関し知られた有害性等の資料を検討し、大統領令により定める
 基準に従い評価対象物質を選定し、その名称等を告示しなければならない。
(2)第1項による告示の詳細内容に関する事項は環境部令により定める。

 第11条(化学物質確認)
(1)化学物質を製造または輸入しようとする者(輸入を輸入代行者に委託した場
 合にはその委託した者を指す。以下同じ)は、環境部令に定めるところにし
 たがい該当化学物質やその成分が次の各号のいずれか1つに該当するか否か
 を確認(以下各物質確認とする)し、その内容を環境部長官に提出しなけれ
 ばならない。
1.新規化学物質
2.既存化学物質
3.評価対象物質
4.許可対象物質
5.制限・禁止物質
6.有毒物
7.「有害物質管理法」第38条による事故対策物質
(2)上記のいずれかに該当するか否かに関する証明を申請することができる。
【解説】(1)の条文は重要である。従来通り、韓国化学物質管理協会(KCMA)が
    代行するものと思われる。

 第12条(評価対象物質の予備登録申請)
(1)評価対象物質を製造または輸入しようとする者は、年間の製造または輸入量
 が0.5トン以上の場合、環境部令に定めるところに従い予備登録を申請するこ
 とができる。但し、第13条により登録猶予期間(以下「登録猶予期間」とす
 る)を受け入れようとする者は必ず予備登録を申請しなければならない。
(2)、(3)、(4) 略
(5)環境部長官は、第(2)項または第(3)項による申請期間の終了後3カ月以内に予備
 登録された化学物質の名称等の予備登録の結果を、ウェブサイトに公開しな
 ければならない。
【解説】TCCAの場合、製造・輸入業者あたり年間0.1トンであった。また輸入の
    場合は輸入業者を変えれば、0.1トン以上輸入を少量新規の枠の中で輸
    入することは可能であった。その場合同じ代理人を用いても問題がな
    かったが、今回のdraftでは、輸入業者を変えれば年間0.5トン以上の
    輸入は可能であるが、その場合、全権代理人を選定すればこれはでき
    ないと思われる。ただし国内の製造業者が、同じ化学物質について、
    複数の輸出業者を選定すれば、0.5トン以上が可能かも知れない。また、
    REACH規則の登録は年間1トン以上であるから、0.5トンに対してパブリ
    ックコメントには、多くの意見が出されたと思われるが、韓国は登録
    内容の差あるいは0.1トンを0.5トンにしたこと等を根拠とするかもし
    れない。ただしREACH規則も第7次修正指令の0.1トンを1トンにしてい
    る。この条項は特徴のある内容である。

 第13条(予備登録者の登録猶予)
 当該物質の国内流通量等、環境部令等により定める基準に従い最大8年の登録
猶予期間を付与しなければならない。
【解説】猶予期間は、物質ごとに環境部長官が定める。

 第14条(登録可否の事前確認)
 化学物質の登録申請前に、既に登録されているか環境部長官に確認しなければ
ならない。
1.新規化学物質、
2.既存化学物質中で総称名により告示された化学物質、
3.第12条による予備登録の申請がされていない評価対象物質
【解説】これらの項目は新規化学物質の登録予定者にとって有り難い項目である。

 第15条 (化学物質の登録申請)
(1)新規化学物質または評価対象物質を製造または輸入しようとする者(以下「製
 造者」とする)は、該当化学物質について製造または予め登録を申請しなけれ
 ばならない。ただし、次の各号のいずれか一つに該当する場合は、その限りで
 はない。
1.機械に内蔵されて輸入される化学物質
2.試運転用に機械または装置類と共に輸入される化学物質
3.特定の固体状態で一定の機能を発揮する製品(固形完成品)に含有され、そ
  の使用過程で流出されない化学物質
4.大統領令により定める登録免除対象に該当するものであり、環境部長官の確
  認(以下「登録免除確認」とする)を受けた化学物質
(2)第1項第3号による登録免除確認を受けるには、環境部長官に登録免除確認を
 申請しなければならない。
(3) 略
(4)化学物質の登録及び登録免除確認の申請手続きと方法等に関して必要な事項は
 環境部令により定める。ただし、新規化学物質の場合について必要な事項は予
 め雇用労働部長官と協議しなければならない。
【解説】(2)の項目は非常に手続きが煩雑になると思われる。またこの条項はTCCA
    以上に新規化学物質の登録について、環境部に一元化を図っている。

 第16条(化学物質の登録申請時の提出資料)
1.用途
2.物理化学的特性
3.有害性(ハザード)に関する資料
4.分類および表示
5.危害性(リスク)に関する資料(年間製造・輸入量が100トン以上の場合に
  限る。)
6.その他環境部令により定める資料
(2) 略
(3)化学物質の有害性に関する資料等、環境部令により定める資料は、第29条第1
 項による試験機関またはOECD のGLPに従う試験機関において実施した試験の結
 果を記録した書類により提出しなければならない。
(4) 略
【解説】5.について、REACH規則の場合、safety assessmentは10トン以上の場
    合に限る。また、6.(3)については、物理化学的特性は除外されている。

 第17条(登録申請結果の通知等)

 第18条(化学物質の製造及び輸入など)

 第19条(変更登録の申請)
 有害性に関する新しい資料、新しい用途、年間製造・輸入量による資料追加に
ついての変更登録をしなければならない。

 第20条(登録申請資料の共同提出)
(1)公開された予備登録結果を通して化学物質が同一と確認された他の製造者等と
 共同で登録申請資料を提出しなければならない。但し大統領令により定める事
 由に該当する場合は、環境部長官の確認(以下「個別登録確認」とする)を共同
 で提出しないこともできる。
(2)共同提出についての詳細な方法と手続きなど必要な事項は環境部令により定め
 る。
【解説】(1)の項目は、REACH規則に見られない特徴のある条項である。ただ同一化
    学物質であっても用途、ばく露が異なる場合等、同業者に対する企業秘
    密の問題などがあると思われる。

 第21条(既に生産された資料の提出)

 第22条(脊椎動物試験資料の重複試験の禁止等)

 第23条(使用承認を拒否した資料に対する措置)
【解説】韓国に輸出をしていない企業もあると思われる。その場合に試験報告の
    利用の問題があると思われる。


第3章 化学物質の評価

 第24条(試験計画書の検討)

 第25条(有害性評価)

 第26条(有害性評価結果の通知)

 第27条(有害性評価結果の告示)
 有害性評価を完了した化学物質の名称、有害性、有毒物該当の可否を告示する。
資料保護対象の場合は、保護期間が終わるまで総称名で告示する。有毒物に該当
する場合は、その限りではない。

 第28条(危害性評価)

 第29条(試験機関の指定等)

 第30条(試験機関の指定取り消し等)


第4章 化学物質の許可及び制限

 第31条(許可対象物質の指定)
(1)評価結果として次のいずれか一つに該当する場合、評価委員会の審議を受け許
 可対象物質に指定し告示することができる。ただし、試験研究検査用試薬等、
 大統領令により定める場合には、その限りではない。
1.人に癌や突然変異、生殖能力異常を起こす物質
2.人または動植物の体内への蓄積性の高い物質
3.環境中に長期間残留する物質
4.人の内分泌系に障害を起こすものと推定される物質
5.上記各号の物質と同等な水準またはそれ以上の深刻な危害を与える恐れのあ
  る物質
(2)第1項各号の許可対象物質指定条件に関する詳細な事項は大統領令で定める。
(3)環境部長官は、第1項にしたがい指定・告示する場合、許可申請を行わずに許可
 対象物質を製造・輸入・使用することができる期間(許可猶予期間)を含めな
 ければならない。
【解説】4.では、人と指定し、環境を除外して、また推定の用語を記載してい
    る点は、REACH規則あるいは2011年4月に米国上院に上程されたTSCA改正
    案に見られない点で注目される。

 第32条(許可対象物質指定の変更)

 第33条(許可対象物質製造などの許可)

 第34条(許可の取り消し)

 第35条(制限・禁止物質の指定等)

 第36条(制限・禁止物質の事前確認)

 第37条(制限・禁止物質含有製品の申告等)
 制限・禁止製品が含有された製品の用途が環境部令による用途が環境部令によ
り定める用途に該当する場合、該当製品を製造または輸入する者は、制限・禁止
物質の含有量等が大統領令により定める基準に該当するなら、環境部令により定
めるところにしたがい該当物質の含量等や該当物質の製品内の用途等を環境部長
官に申告しなければならない。


第5章 化学物質の情報提供

 第38条(有害性評価結果等の提供)
 有害性、危害性の評価結果が通知された化学物質またはこれを含んだ混合物を
譲渡する者は、その譲受人に対し、環境部令が定めるところに従い、該当化学物
質の登録番号、名称、有害性評価結果などの情報を提供しなければならない。た
だし、同一人に対し繰り返し供給し続ける場合には、最初の供給の際にのみ提供
する。(以下同じ)

 第39条(許可内容の提供)

 第40条(制限・禁止内容の提供)
 制限・禁止物質または制限・禁止物質を含んだ混合物または製品を譲渡しよう
とするものは、その譲渡人に対して、環境部令により定めるところに従い、その
物質の名称と制限内容等に関する事項を提供しなければならない。

 第41条(提供された情報の変更等)


第6章 補則
 第42条(資料の公開)
 有害性評価結果に従い、告示された化学物質について、登録申請時の提出され
た資料の一部を一般人が容易に利用できる方法で公開しなければならない。

 第43条(報告及び検査等)
 環境部長官は、関係公務員によって立ち入り検査を行い、化学物質の採取など
を行うことができる。

 第44条(書類の記録及び保存)

 第45条(資料の保護)

 第46条(行政処分の基準)

 第47条(聴聞)

 第48条(権限の委任・委託)
(1)環境部長官は、この法による権限の一部を国立環境科学院(NIER)または地方
 環境官署の長に委任することができる。
(2)環境部長官は、この法による業務の一部をTCCAの第53条による協会に委任する
 ことができる。
【解説】「協会」では、韓国化学物質管理協会(KCMA)を指す。

 第49条(手数料)

 第50条(グリーン化学センターの指定・運営)

 第51条(グリーン化学センターの指定の取り消し等)


第7章 罰則

 第52条〜第57条
 懲役最高7年以下または2億ウォン(約1,400万円)の罰金
【解説】従来は5年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰金


附則
第1条〜第6条
施行日は公布後2年


備考:
1.TCCA同様、通関は無関係である。
2.内容はREACH規則よりも化審法に近いが、一般化学物質に対する報告内容は
  簡単と思われる。
3.評価対象化学物質に対する情報の要求は、逐次ではなく1回のみである。
4.評価対象物質の公示後、登録申請の期間をREACH規則のように製造・輸入ト
  ン数ではなく、アセスメントの優先度により期間を決めるのは合理的である。
5.ハザードアセスメント、リスクアセスメントはNIERが行う。


以上


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な情報の入手を心がけるとともに、その結果をみなさまに発信してまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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ございます。

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