1. 化学物質国際対応ネットワークTOP
  2. >メールマガジン
  3. >メールマガジン 第39号[附録]

メールマガジン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第39号[附録]
          http://www.chemical-net.info/
              2011/12/21 配信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
当附録は、2011年12月21日に配信した化学物質国際対応ネットワークマガジン
第39号で報告した「REACHカンファレンス」の各セッションの内容及び参加者
との対話の状況についてお届けします。(なお、この説明や見解は関係者会議
で聞き取ったものであり、ECHAその他関係者から正式に公表されたものでない
ことを予めご了承ください。)

----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
【2010年の第一段階登録の総括】
Geert Dancet, Executive Director(ECHA)

 年間製造・輸入量が1,000トン以上の物質の登録(第一段階登録)が、2010
年11月30日に期限を迎えた。この登録において、物質情報交換フォーラム
(SIEF)に参加せずに情報共有をしていない登録一式文書が少なくはなかった。
REACH規則は、SIEFを通した共同提出が基本であり、このような登録は今後減
らされるべきである。また、おそらく費用や登録一式文書の内容を減らすこと
を目的に、中間体に関する登録一式文書において多くの不備のある不正な文書
が提出された。欧州化学物質庁(ECHA)は、そのような登録が多く行われると
は予想していなかった。現在、そのような登録者に対してそれらの免除要件を
満たす証拠の提出を依頼し始めている。さらに、企業秘密情報(CBI)につい
ても非常に多くの請求があったが、調査を行った結果において証拠が不十分な
ものについては公開を前提としている。
 ECHAは、2010年に提出された登録一式文書の5%を評価する予定である。この
評価対象の一式文書については、高い有害性を持つ物質については作為と無作
為で選択する予定である。現在のところ、登録一式文書のコンプライアンスチ
ェックは、論拠の乏しい予備的な動物試験提案などに焦点を当てているが、そ
の結果から文書の質の評価の必要性が高まっている。今後、これまでに説明し
たような努力を行うとともに啓発キャンペーンを実施し、次回の登録作業に向
けて前広に準備し登録一式文書の品質向上を図る予定である。

----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
SESSION 1 −2010年登録の結果−

【パネルディスカッション−第一段階登録は我々に何をもたらしたか。また産
業界及び当局並びに市民にとって利点はあったか−】
・Alexander Nies, Deputy Director-General
(Federal Ministry for the Environment,(NCNS))
・Christian Schaible, Senior Policy Officer(EEB)
・Tony Musu, Senior Researcher(ETUI)
・Hubert Mandery, Director General(Cefic)

 第一段階の登録では、ECHAに多くの登録一式文書が提出された。その約半数
の文書に補足データの要求を行ったが、特に、中間体の一式文書についてはデ
ータがあまりにも少なく、提案されている動物実験があまりにも少ないと感じ
られた。また、物質を同定する分析データの不足についても問題である。この
ような状況を踏まえて、2013年登録に向けたガイダンスの改定が必要であり、
また、それによって中小企業(SME)の対応を念頭においた登録一式文書の品
質向上を図るべきである。
 ナノマテリアルについては、REACH規則のスコープ内では現在のところ扱わ
れてはいない。今回の登録では、ドイツの3件の登録のみがナノマテリアルに
ついて言及しているが、その一方で、ドイツ国内の約900の企業がナノマテリ
アルの生産を行っているという事実もある。この物質の取り扱いについては、
欧州議会からの要請を受けて検討はしているが、その定義自体がまだなされて
いない状況を踏まえた政策的な対応も必要だと認識している。
 第一段階の登録を終え、REACH規則は順調にスタートしたが、レースの最初
の数キロに達したに過ぎない。したがって、2013年の登録に向けて確実に機能
する作業フローが必要である。

----------------------------------------------------------------------
【質疑応答】
Q:登録一式文書の品質向上に関して「waiving」を活用しているが、特に試
  験提案に関して「no testing no market」とは記述されていない。動物試
  験は最終手段であると考えるので、waivingやQSARの活用を促進すべきで
  はないか。
A(環境総局):例証が必要である。動物試験は指摘の通り最終手段であり、
  一方で代替手法には科学技術のイノベーションも必要な部分もあると認識
  している。REACH規則の目的は、このようなイノベーションの促進も含ん
  でいる。いずれにしてもチャレンジする分野は多くあり、ECHAの活躍を期
  待している。
A(Cefic):REACH規則では、代替試験方法の検討だけではなく、人々の生活
  への全体アプローチが必要となっている。その一方で、必要コストと安全
  をどのようにバランスさせるかについて検討をしつつ、持続可能な開発を
  目指すべきである。REACH規則に基づく要求事項は追加的なコスト負担に
  もなるが、これは社会の要求でもあり、EU加盟国の意思決定に基づく欧州
  における環境管理政策の一要素でしかない。
A(NCNS):動物試験に関して、ECHAはこれまでに特定の動物試験要求をして
  きたが、このような要求に関しては、より多くの議論が必要だと認識して
  いる。
A(EEB):waivingの活用やjustificationに関しては、REACH規則の科学技術
  のイノベーションを促進するという目的に照らし、参照データベースの開
  発が必要であり、同時に社会のシフトに加えて、サプライチェーン(SC)
  による透明性の高い情報提供も必要である。

----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
SESSION 2 −2010年登録の教訓−

【ダイレクターズ・コンタクト・グループ(DCG)の結果−優先課題とその解
決策−】
Guus Borchardt, Director, DG Environment(European Commission)

 DCGは、2010年5月に報告書を提出し、その中で28の課題をリストアップして
いる。その中には、川下ユーザー(DU)がサプライヤーを失う懸念についての
問題も含まれているが、これまでに市場に大きな混乱は発生していない。また、
リード登録者(LR)の選任を促進し、DUとのコミュニケーションを積極的に実
施するようなプロアクティブなアプローチが必要である。この鍵を握るのは、
関連協会、ECHA、欧州委員会であると考えられる。さらに、DCGはSMEに対して
独自の調査を行った結果、SME及びそれよりも小規模な企業におけるREACH規則
への理解と関心が低いことが判明したため、その関心を高めることが重要な課
題であると認識している。
 全てについての検討結果をまとめた最終報告書は、既に提出されている。こ
の報告書には、LRの早期の準備の必要性、過度な啓発キャンペーンの抑制、
DUからの情報提供、SCを通した十分なコミュニケーションの確保等が提言され、
2013年登録に向けて全ての関係者のコミットメントと話し合いが必要である。

----------------------------------------------------------------------
【品質データ収集と登録一式文書の改善方法】
Leena Yla-Mononen, Director of Evaluation(ECHA)

 ECHAは、2013年までに約600件の登録一式文書の評価を実施するとともに、
試験提案を含む570件の登録一式文書の評価を2012年12月までに実施予定であ
る。また、2013年末までに、高生産量の登録一式文書の5%(1,000件以下)の
コンプライアンスチェックを行う予定である。試験提案の評価については、
2011年に結論を下された試験提案の数は46件(累積で62件)である。規則順守
の確認については、2011年に137件(累計242件)が実施されている。登録一式
文書の品質についての調査結果については、2011年2月に実施され、評価を受
けた文書の多くに問題が見つかっている。代替試験方法についての調査結果に
ついては、コンプライアンスチェックを行った結果、REACH規則の要件を満足
しない代替試験方法の適用が正当な理由もなく実施されていたものもあった。
これについて、ECHAと経済協力開発機構(OECD)が共同で運営している
「QSAR Toolbox」が、登録者や当局にとって有用なソフトウェアである。これ
により、化学物質をカテゴリー毎に分類し、その毒性等を評価することにより
データ不足を補い、コストや動物実験の削減に貢献している。

<登録一式文書を改善するための10のこつ>
1)登録物質の同定を確実に行い、かつその内容を明確に記載すること
2)標準的な情報の要件への適用が適切であることを保証すること
3)附属書IXとXとのデータの差を識別する際に適切な試験提案を行うこと
4)適切で詳細な研究要約書(Robust Study Summary)を準備すること
5)分類・表示の正確さを確認すること
6)化学物質安全性評価(CSA)と化学物質安全性報告書(CSR)の作成支援
  ツール「Chaser」を活用すること
7)一貫性の確認を行うこと
8)常に変更等について理由を附与すること
9)詳細な理由や説明データを附与すること
10)透明性を保証すること

----------------------------------------------------------------------
Martin Kayser, Senior Vice President of Product Safety, Regulations, 
Toxicology and Ecology(BASF)

 BASFは、2010年の登録期限までに661物質の登録作業を実施した。2013年の
登録では、約700物質、2018年の登録には約2,500物質を予定し、合計3,900物
質の登録を目指している。これまでに提出した登録一式文書は2,000件を超え、
既にその25%の情報は更新している。また、約50通の評価書、14通の品質所見
書(QOBL)を受領している。この中で、試験提案に関するものは20%で、コン
プライアンスチェックの確認についての文書は30%であり、その内容のほとん
どが物質の同定についてのものであった。
 BASFは、登録一式文書への情報追加や、数は少ないが誤植の修正を継続的に
行っている。
----------------------------------------------------------------------
【データ共有−SIEFメカニズムの課題−】
Sandra Carey, HSE Executive(IMOA)

 SIEFは、自主管理組織であり、その全てのプロセスは産業界の責任である。
 2010年の登録経験から、SIEFにおける情報伝達においては以下に留意をすべ
きである。
●追跡調査が可能なコミュニケーションシステム
1)Non-activate 及びde-activatedしたメンバーのEメールアドレスの確認
2)SIEFに関する研修(Webinarなど)の活用
3)要点を記した更新情報メール
4)ウェブサイトの構築
●Pre-SIEF
1)物質の同一性に関する代表的な組成の確認
2)物質特性の比較検討
3)結果の共有とフィードバック
4)30%から40%のSIEFが活動的
5)登録者の大多数が、「休眠」あるいは「受身」になりたいと感じている。
6)誰も積極的には研究結果を提供したいと思っていない。
7)研究・試験データ
8)様子見ではなく積極的な対応が必要
9)用途の確認
10)SCを通じた早目の対応が重要
11)質問票形式による情報収集
12)締め切りの6ヶ月前までは待つことが必要
●LOA(letter of access)/LOU(license to use)
1)目的を明確にした透明性を持った対応が必要
2)LOAに関する契約
3)透明性の確保と非免責コスト
4)オンラインでの対応
5)登録一式文書の更新と評価への対応
6)新規データを用いた更新作業をECHAは評価している。
●e−SDS
1)標準テンプレートの活用と調和したコミュニケーションの実施
2)CSA/CSR/CSP(Consensus Seeking Pragmatism)

----------------------------------------------------------------------
Erwin Annys, Director for REACH and Chemicals Policy(Cefic)

 SIEFは、最終的には機能したが、うまく機能したかどうかは議論の余地があ
る。つまり、2010年の登録作業において、SIEFの機能を抑制させている要因が
あった。それは、Pre-SIEFで何をしてよいか明確でなかった、LRになろうとい
う企業が見受けられなかった、コミュニケーションが過負荷になっていた、評
価対応と更新作業が必要であった等である。2013年の登録にはコンソーシアム
の関与が減り、多くのSMEが関与することになるので、これらの問題がより大
きくなる可能性があり、その管理はチャレンジである。
 2013年の登録のために、産業界のREACH規則への意識を高めることが重要で
ある。また、作業においてCefic等の関係機関のウェブサイトを有効に活用す
ることも重要である。さらに、SIEFの進行過程に合わせて、オープンにコミュ
ニケーションすべきであり、費用分担については公平性と透明性を示すべきで
ある。その上で、登録番号を得たことにより、それで終わりでないことを認識
することが重要である。

----------------------------------------------------------------------
【質疑応答】
Q:独創的な新規物質についての対応は、どのようにすべきか教えてほしい。
A:その企業だけの対応である場合は、それがCBIに該当するのかどうかの確
  認が必要である。また、独創性を守るために要件を満たせば一般名の使用
  も認められている。DUによる用途が唯一の場合の対応は、オプト・アウト
  が妥当ではないかと思われる。このイノベーションを保持する流れは、欧
  州委員会の戦略でもあり、かかる可能性を維持すべきである。

Q:Eメールでのコミュニケーションは、どのように進めるのか教えてほしい。
A:途中でコミュニケーションが中断する場合があるが、誰かがスタートする
  必要があり、ギャップを埋めて行くことが重要である。

Q:REACH規則がもたらす長期的な便益を確認したい。
A:REACH規則は、環境政策の一側面でしかない。また、欧州の化学産業の産
  業界に占める比率は、10年前の30%台から25%に減少してきている。最近で
  は新たな投資が中国に集中し、そこで製造された製品の輸入が増加してき
  ている中で、特殊な化学物質についての競争性を維持することは重要であ
  る。2008年にREACH規則の影響調査を実施してはいるが、REACH規則の影響
  を正確に判断するにはもう少し時間が必要ではないかと思う。実際にいく
  つかの企業は、特定の化学物質の取り扱いを中止したり、ある企業は競争
  に勝ったりすることになるが、まだ、平衡状態に達していない状況である。
  併せて、グローバルマーケットを念頭においた対応が必要である。

----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
Session 3 −2013年登録への近道−

【産業界の順守−SMEの展望−】
Thomas Fischer, Advisor for Chemical Policy(UEAPME)

 UEAPME(欧州中小企業協会)は、欧州におけるSMEを代表する組織であり、
SMEの組合の統括団体である。84の会員企業があり、準会員企業は1,200万社以
上あり、準会員は5,000万人いる。
 SMEが抱えている問題として、SIEFでの活動義務、SCにおける情報提供、登
録一式文書の詳細な作成、その他の法律上の義務等を果たさなければならない
という問題がある。つまり、大部分のSMEは従業員が5〜10名のため、この人数
でこれらの責任を果たさなければならないことである。また、SMEがSIEFで活
動する際の問題として、多くの作業量があることや、英語が必要なこと、費用
がかかることも挙げられる。さらに、SMEがLRとなる場合においても、経験不
足であることに加え、科学的知識の欠如、複雑な法体系の理解、膨大な義務を
負う等の問題がある。
 結論として、SMEには、シンプルかつ簡単で、量が少なく、対応しなければ
ならない特定の課題に特化したガイダンスや、欧州の全ての言語で書かれた
REACH規則対応ツール、完成したC&Lインベントリが必要である。

----------------------------------------------------------------------
【川下ユーザー −関わるべき時と方法−】
Adrian Harris, Director-General(ORGALIME)

 ORGALIME(欧州技術産業協会)は、欧州の技術産業を対象とし13万社、970
万人の雇用者を抱え、毎年1兆5,100億ユーロの売上を出している。大部分はDU
であり、最終産物の生産者、輸入者である。他の産業や消費者へ装置を供給し
ている。
 2010年の登録から学んだこととして、DUの努力にも関わらず、サプライヤー
から回答がほとんどないこと、物質の供給についてあまりに多くの不確実性が
あること、登録状況についての情報が不足していること、また市場から重要な
物質の使用中止が前触れもなく宣告されるというリスク等がある。したがって、
DUがその義務を満たし、SCに必要な情報を伝達するためには、以下に示す留意
点が必要である。
1)サプライヤーからの情報収集は、複雑で、時間を要するものである。
2)伝達フォーマットにおける柔軟性が、企業において既存の報告書や伝達ツ
  ールへREACH規則に関する情報を統合するために重要である。
3)要求に対して調和した施行が保証されることが必要である。

 クライアントにとって登録を容易にするために、SCにおいて、効果的で流動
的なトップダウンの情報の流れや、サプライヤーの登録の意思の向上、事前情
報や完全で信頼性のあるデータベースの効果的な利用が必要である。
 REACH規則は、EU全体の枠組みとして効果的に適合されるべきである。つま
り、RoHS指令は、REACH規則に基づいて構築されるべきである。また、ばく露
シナリオは廃棄段階も含めた全ライフサイクルを含めるべきであり、REACH規
則によるナノマテリアルへの対応も行われるべきである。
 SCを通じた効果的な情報の流れを作るために、ECHAのウェブサイトに登録状
況を掲載し、我々の要求に対して化学物質のサプライヤーが適切かつタイムリ
ーな反応をすることが必要である。さらに、特定の物質が登録されていない理
由についての情報の提供が必要である。

----------------------------------------------------------------------
【産業界の順守のための方策】 
Jerzy Majka, Inspector for Chemical Substances
(Bureau for Chemical Substances)

 製造者及び輸入者等への情報提供のために化学物質局のウェブサイト
(www.chemikalia.gov.pl)を開設した。2010年のアクセス数は、6月〜9月ま
では1カ月で10,000件程度のアクセスであったが、登録締め切り前の2010年10
月及び11月には20,000件を超えるアクセスがあった。また、REACH規則とCLP
規則への対応支援として、それぞれ、「REACH Helpdesk」(www.reach.gov.pl)
と「CLP Helpdesk」(www.clp.gov.pl)を開設している。化学物質局のウェブ
サイトに問い合わせのあった質問は、2008年が1,569件、2009年が764件、2010
年が989件であった。また、2010年から開始した電話による質問の受付につい
ては、初年度の2010年には約1,900件あった。
 インターネット以外の活動では、会議の開催、小冊子の発行、大学院生の受
け入れ、REACH規則に基づく登録やCLP規則に基づく届出に関する質問の窓口対
応、関係当局への講習等を行っている。このような活動を受け、ポーランドの
化学産業のシェアは2%であるにも関わらず、REACH規則の登録に占める割合は
4%に達している。

----------------------------------------------------------------------
【2013年5月の登録締め切りに向けての意識向上策】
Christel Musset, Director of Registration(ECHA)

 2010年の登録結果を踏まえると、2007年時点の見積もりは下方に修正され、
3,500物質、15,000件の登録文書となると予想されている。2013年登録予定物
質については、ECHAのウェブサイトで公表する予定である。市場動向調査は、
関連協会と協力して2012年の初期に開始する予定である。
 2010年の第一段階の登録から学んだこととして、タイムリーな情報伝達が行
われ、それによって遅滞なく作業すること、SIEFの形成と登録の準備に十分な
協力が提供されること、LRの存在をECHAに伝えて締め切り前に登録を済ませる
ことが可能になった。また、欧州委員会とECHA、関連協会との間の連携が成功
した。それにより、登録における実務上の障害を減らすことが可能となった。
産業界への支援として、ガイダンスとIUCLID等のITツールを22言語へ対応させ
ること、SIEF形成と登録についての最新の情報をECHAのウェブサイトで利用で
きるようにすること、ヘルプデスクとヘルプネットを活用できるようにするこ
と、LRのためのワークショップを開催すること、登録文書の提出までを網羅し
たWebinarを実施すること、などを予定している。

<2013年の登録のためのこつ>
1)登録しようとする物質が既に登録されていないか、ECHAのウェブサイトで
  確認する。
2)共同登録者を知り、SIEFを形成する
3)LRに関する合意を形成し、それをECHAに通知する。
4)以前の登録者の経験を利用する。つまり、関連協会に連絡を取る。
5)データ要件を検討し、データ不足がないか確認する。
6)ECHAのITツールや提出の過程を確認する。
7)提出前に、文書を再検討するためにECHAのツールを使用する。
8)複数の物質を登録する必要がある場合には、円滑な登録のために優先順位
  を付けて対応すべきである。

「Act Now REACH 2013」が、ECHAからのメッセージである。2013年の登録につ
いての専用のウェブページ(echa.europa.eu/2013)を開設している。

----------------------------------------------------------------------
【質疑応答】
Q:ECHAのデータベースは、22言語で提供するのか確認したい。
A:完全な対応はできていない状況であるが、順次対応を進めている。

Q:DUの用途確認には時間が必要なので、2013年の締め切りについては、これ
  を考慮したものにすべきではないか。
A(ECHA):予備登録物質の全てが登録されるわけではないと認識しているが、
  最終的には10%程度に収まるのではないかと考えている。

Q:SCを通した用途情報の伝達には困難が伴うが、当局の見解を教えてほしい。
A:多階層を含むSCにおける情報伝達には困難が予想されるため(多くて二階
  層まで)、Ceficなどでは独自にその対応を検討しているが、より活発なコ
  ミュニケーションが鍵を握っている。

Q:化学物質規制に関する各加盟国の方向性には差異があるところ、安全を考
  えれば同じ方向性を持つべきではないか。
A:施行状況が異なる点に関しては、ECHAのフォーラムで対応を検討している。
  欧州法に従えば、可能な限り適正な方向に向けて調和を図ることが求めら
  れている。

Q:物質の定義に関しては、限定が明確になされていないのではないか。それ
  が、物質の同定を妨げることにつながっているのではないか。
A:物質の定義については、指摘の点を認識している。REACH規則は開始され
  たばかりであり、指摘のような点を含むため、今後、検討を行いたい。

Q:REACH規則に基づく施行に関してはさらなる検討が必要であるが、このセ
  ッションを終えるにあたり、一言ずつアドバイスをいただきたい。
A(ECHA):ECHAは、REACH規則の円滑な施行に向け努力しており、待つので
  はなく行動することが必要である。
A(ORGALIME):ECHAは、複雑な問題にうまく対応してきており、今後もこの
  ような活動の継続を望んでいる。
A(UEAPME):ガイダンスやITツールは、加盟国言語での対応が必要である。
A(ポーランド当局):専門家に特化した技術対応ではなく、うまく機能する
  ことが第一である。これには加盟国言語での簡単なガイダンスやツールが
  必要で、SMEの対応には不可欠である。

----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
Session 4 −REACH規則の見直し−

【REACH規則の見直し−2013年登録締め切りに期待すること−】 
Astrid Schomaker, Head of Unit, DG Environment(European Commission)

 REACH規則の見直しについて、ECHA及び加盟国からの報告書に基づき、REACH
規則のスコープ、年間1〜10トンの物質の登録などに関して、2012年6月1日ま
でに実施される。この見直しは、規則の急激な変更を伴うものではなく、
REACH規則のマンデートである。スコープの見直しについては、2009年末にコ
ンサルタントに委託して開始された。一方で、年間1〜10トンの物質の登録に
ついての見直しは、コンサルタントに委託して間もなく開始予定である。この
トン帯域の物質の製造者・輸入者への登録要件を修正することのコストとベネ
フィットについての概観について報告を行う予定である。

----------------------------------------------------------------------
Graham Willmott, Head of Unit, DG Enterprise and Industry
(European Commission)

 欧州委員会は、REACH規則の導入による化学物質管理に関する大規模な見直
しを行い、コストや運営上の負担、イノベーションへの影響を考慮した上で
のREACH規則に基づく施行から最初に学んだことについて報告する。
 2012年6月には様々な調査書や報告書がセットで提出される予定である。欧
州委員会の見直し方法として、以下を予定している。
1)REACH規則の様々な側面が2012年の見直し過程へのインプットとして考え
  られる。
2)様々なテーマに関する研究によって、見直し過程における欧州委員会の業
  務へ影響を与える問題が対処される。
3)欧州委員会への新たなインプットが、REACH規則とは別に実施されている
  他の見直し作業から姿を現すかもしれない。
 2012年の見直しは、あくまでも見直しであるが、そのフォローアップとして、
欧州委員会はその結果に基づいて新たに立法の提案をする可能性がある。また、
欧州委員会は、現行の法律をよりよく施行するための実効的な方策を提案する
ことを考えている。2012年6月1日以降、欧州委員会の業務も次の2013年・2018
年の登録期限に影響を与えかねないことを念頭におくべきである。SMEへの影響
はこれらの見直しの過程において考慮されるべきであると考えている。さらに、
ECHAの機能の見直しも併せて行う予定である。
 欧州委員会は、ナノマテリアルに関するリスクとばく露に関しスコープの変
更を検討するとともに、ナノマテリアルの定義に関する結論を、早ければ2011
年末または2012年の年初に出す可能性がある。

----------------------------------------------------------------------
【質疑応答】
Q:見直し作業は、例えばREACH規則のクライテリアを変える事になるのか確
  認したい。
A:2013年までは、急激な変更はない。

Q:ナノマテリアルの定義をどのようにするのか確認したい。
A:ロングプロセスであり、現在、各種委員会で検討もしている。提言案につ
  いては、パブリックコンサルテーションにかける予定である。意思決定は、
  早ければ今秋にも行われる可能性があるが、実効性も含めて検討している。
----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
【まとめ】
Karl Falkenberg Director General, DG Environment (European Commission)

 REACH規則は、環境総局だけでなく欧州全域にとって重要な施策である。ま
た、欧州域外の地域からも注目を集めていると感じている。2010年11月に
REACH規則の第一段階の登録は成功裏に終了し、今後は登録一式文書の評価を
進め、次期登録に備える予定であるが、まずはSMEへの配慮を行い、バランス
を考えた施行を図って行きたい。併せて、課題となっている部分については、
解決手法を検討したい。
 ナノマテリアルへの対応は、最優先課題の1つであるため新たな合意形成を
目指しており、定義だけではなく基本的な対策まで含めて検討している。関係
者の協力を得てREACH規則に基づく施行促進を行いつつ、科学的なデータに基
づく化学物質のリスク管理社会の構築を実現したい。
 REACH規則は非常に重要な使命を負っており、産業界の競争力を維持しつつ
資源管理とリスク管理を両立させる手段として活用し、持続的な開発をして行
きたいと思考している。

----------------------------------------------------------------------
化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

■本マガジンは、平成23年度環境省請負業務に基づき、社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
  社団法人海外環境協力センター  http://www.oecc.or.jp/
  環境省総合環境政策局環境保健部 http://www.env.go.jp/chemi/index.html

■原則として、毎月1回の配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
 なお、バックナンバーについては、後日ネットワークのホームページに掲載
 する予定です。

■本マガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更及び
 ご意見・ご感想・ご要望等は、以下のホームページよりご連絡下さい。
 メールマガジンの配信停止 
 https://a02.hm-f.jp/index.php?action=C1&a=144&g=3&f=6
 このサイトに関するお問合せ  
 http://www.chemical-net.info/contact.html

■ご使用のメールソフトの設定によっては、メールマガジンの改行処理が
 うまくいかない場合がございます。内容には差異はございませんので、
 ご了承いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
───────────────────────────────────
発行元:社団法人海外環境協力センター
───────────────────────────────────

ページの先頭に戻る↑