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       化学物質国際対応ネットワークマガジン 第40号
          http://www.chemical-net.info/
              2012/1/31 配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第40号は、以下の内容をお送りいたします。
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☆ [1]海外化学物質管理事情    化学品安全管理研究所 大島輝夫
☆ [2]欧州化学物質管理の最新動向
                  化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [3]中国の環境関連動向         化学物質国際対応ネットワーク事務局
☆ [4]あとがき                   化学物質国際対応ネットワーク事務局
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[1]海外化学物質管理事情(その26)  
 TSCA改正法案に関する上院公聴会(*)について 
                                     [化学品安全管理研究所 大島輝夫]
 
*the Safe Chemicals Act of 2011 (S.847)の公聴会が、2011年11月17日に開催
された(詳細は以下のURLを参照)。
http://epw.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=Hearings.
Hearing&Hearing_ID=a2714f34-802a-23ad-4b23-3ba5732a0172

1 公聴会の内容
 TSCA改正法案は2010年上院及び下院に上程され、上下両院ともに公聴会が行
われたが、2010年末に2年間の会期が終了したのでいずれも廃案となった(これ
らの内容は、化学物質国際対応ネットワークマガジン、第25、28、32号、同附
録に紹介している。)廃案になるまでの間、2010年11月に下院は全員が、上院
は3分の1の定員について改選が行われ、上院は民主党が過半数を維持したもの
の下院は共和党が過半数を占めることになった。米国では、上下両院の附属委
員会に関し、過半数を占める党のメンバーが委員長となり、同委員長は法案を
審議するか否かの権限がある。上院においては、2010年にTSCA改正法案を提出
した民主党のLautenberg 上院議員が、2011年4月14日に再び内容をかなり変更
したTSCA改正法案を、the Safe Chemicals Act of 2011 (S.847)として他の4人
の民主党上院議員と共に上程した(この内容は、ネットワークマガジンの第36
号及び同附録に紹介している。)。その後、共同提案者に8名が加わり、現在は
12名となっている。Lautenberg 上院議員は、自らが委員長を勤める「Senate 
Committee on Environment and Public Works(以下、委員会)」の「the 
Subcommittee on Superfund, Toxic & Environment Health」で、2011年11月17
日に公聴会を開催した。この他、Lautenberg 上院議員は、2011年4月のS.847上程
後も同委員会に所属する共和党の有力議員であるInhofe議員とともに企業の意
見を聴き、加えてLautenberg 議員のスタッフは、企業/労働/環境グループ代表
と10回に及ぶ意見を聴く機会をもっている。
 2011年11月17日の公聴会は米国内で関心が高いと見え、Washington Post, 
米国化学会のChemical & Engineering News などにより多数の報道がなされて
いる。この公聴会で意見を述べたのは以下の関係者であり、その主な意見を次
にまとめた。
◇ワシントン州のDepartment of Ecology (WDE)のdirector
◇BlueGreen Allianceの代表、この団体は11の労働組合及び4つの環境団体の
 連合
◇American Chemistry Council (ACC,米国化学工業協会)の代表
◇The Consumer Specialty Products Association(CSPA)の意見を代弁する
 弁護士、この団体は、消費者製品の製造業者団体
◇Environ Defense Fund (EDF)のSenior Scientist、 EDFは米国の代表的な環
 境保護団体

【ワシントン州】先ず、現行のTSCAの州における施行において以下のような課
題があることが述べられた。具体的には、有毒化学物質が直接排出される場合
に、州はこれらを規制することができるが、例えばテレビのケースから放出さ
れるような場合には、職務権限を用いて規制する手段もノウハウもないことが
指摘された。
(1)システムが、より安全な化学物質に代替するようにはなっていない。
(2)州毎に、独自の努力を追求しなければならない。
(3)これらの対応は、パッチワークとなり産業界の懸念を生むことが理解できる。
[筆者注]
1)過去8年間に、18の州が広範な安全化学物質規制から特定の有害化学物質
禁止に至るまでの様々な州法を定めている。
2)ワシントン州の供述には、S.847に関する民主党のLautenberg 議員と共和
党のInhofe議員宛てに9つの州が共同提出した要望文書が添付されている。

【BLUEGREEN ALLIANCE】冒頭に、米国では1992年から2010年の間に、化学産業
における30万人以上の仕事が失われたことが、S.847は米国が必死になって求め
ている中堅製造業の仕事をある程度増やし得るので支持することが述べられた。
また、米国で生産され得るより安全な新しい世代の化学物質の革新及び発明を
促すと信じることが追加された。併せて、TSCAが施行された1970年代以来、
化学物資と人の健康について学んだことを、TSCAの近代化に反映したいという
意思表明があった。

【ACC】施行後35年経過しているTSCAの改革を強く支持することが述べられ、
安全はACC会員企業の最優先課題であることが追加された。しかしながら、
S.847には以下のような基本的な欠点があることが指摘された。また、企業秘
密の保持にも問題があり、今日、明日の仕事を危険な状態にする可能性がある
ことなどが述べられた。最後に、S.847はTSCA改正の回答ではないという見解
が示された。
(1)Safety Standard: aggregate exposureのばく露に対して、合理的に確実な
無害基準を定めることは実質的に不可能である。
(2)New Chemicalsに対する現行TSCAの要求は、実質的であるという広い一致
した意見がある。
(3)Minimum Data Setに関し、すべての化学物質に対してこれを要求すること
は、EPAと製造業者に多大な負担をかける。
(4)Prioritizationに関し、改正法案は厳密な基準に欠ける。
[筆者注]
1)ACCは2010年のTSCA改正案に対しても実行不可能という見解を示している。
2)S.847第4条(2)(A)(ii)(vi)のaggregate exposureの定義には、「化学物質を
含む混合物またはarticle」とあり、articleからの曝露が含まれている。
3)ACCは、Prioritizationに関する優先選定方法の提案などを添付している。

【CSPA】これまでにTSCAの改正に対し以下の原則を提案しており、S.847につい
ては、優先順位の設定、最小データセット、EPAによる消費者製品のばく露に対
する情報入手などの重要な構成要素から、この法案は正しい方向に動いていると
いう前向きな認識が示された。ただし、今回の法案の内容については、議会、
EPA、企業、NGOなどとの話し合いを背景に、「宣言の条項を含め報告の要求の
拡大」及び「CBIに関する保護の制限」について深刻な懸念をもつことが提示さ
れた。
(1)TSCA制定以来の科学的、技術的進歩を反映すべきである。
(2)システムはリスクベースを基本とし、EPAが最も懸念する化学物質について、
優先順位に従い化学物質の安全についてレビューとアセスメントを行う。
(3)システムは、EPAが企業等から合理的・適切な用途とばく露のデータを得る
方法を含まねばならない。
(4)システムは、市民の健康と環境を防御せねばならないが、また企業秘密(CBI)
を守らねばならない。それにより、アメリカの企業が、革新を維持し仕事を成長
させ国際的なマーケットにおいて競争する力を貯える。

【EDF】現行のTSCAには多数の課題があるが、その課題解決はS.847により大部分
または完全に改善され、より安全な製品に対する技術革新を促進し奨励すること
を指摘した。

[筆者注]
1)Washington Postは、2011年11月18日付けの同紙上で「化学物質の安全法を改
良する努力に対して企業団体の意見が分かれた」と報じた。
2)ACCは、S.847は工場の海外逃避により米国の仕事を減少させ技術革新を阻害
すると述べているが、BLUEGREEN ALLIANCEは中堅企業の仕事を増やし得ると述べ、
EDFは技術革新を促進・奨励すると反対の意見である。
3)S.847の第13条に「米国の関税地域への入関(3)articleの部分としての輸入」
に、「長官が規制として、免除を定める場合を除き、もし物質または混合物が、
article中に含まれて輸入された場合、そのバルク中の物質または混合物は、こ
の法律に従う」という条項があるが、これに対する意見は公聴会で提示されて
いない。

2 今後の見通し
 2012年は、大統領選挙及び下院議員全部、ならびに上院の3分の1の定員に関
する選挙が11月にあり、上院でS.847が成立したとしても、下院では現在TSCA改
正の動きが見えないようであるから、12月末までの今会期中に法律として成立し
なければ再び廃案となる。しかしながら、Lautenberg上院議員をはじめ共同提案
者らは、来年の議会で再び改正案を提出すると推察される。その場合、上院及び
下院において、民主党と共和党のどちらが過半数を占めるかにより、今後のTSCA
改正の動向が左右されると思われる。


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[2]欧州化学物質管理の最新動向     
                               [化学物質国際対応ネットワーク事務局]

1 SVHC(高懸念物質)リストに20物質が追加(*)
 ECHA(欧州化学物質庁)は、2011年12月19日に新たな20物質をSVHC候補物質
に追加し、候補物質リスト(candidate list table)に含まれる物質数は73物
質となった。この追加収載により、これらの物質に対する関係者への情報伝達
義務が発生するので注意が必要です。なお、これらのうち12物質は加盟国委員
会の全会一致によるものですが、残りの8物質には関係者のコメントがなかった
ということで、ECHAが公表している加盟国等から関心表明があった物質リスト
の定着が進んでいるのではないかと推察されます。なお、今回追加された物質
のうち、19物質は発ガン性や生殖毒性を理由にするものですが、REACH規則第57
条(f) 項(内分泌撹乱性)が適用された初めてのケースとして
4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenolが収載されたことは注目に値します。
http://echa.europa.eu/web/guest/candidate-list-table

*:この追加主催に関し、近日中に化学物質国際対応ネットワークのホームペー
ジの関連情報更新を行う予定です。

2 ECHAは13物質を認可物質にリコメンデーション
 ECHAは、2011年12月20日に欧州委員会に対して附属書XIVに収載すべき第3回
目となる計13 物質のリコメンデーションを行いました。これらの物質は、発癌
性や変異原性ならびに生殖毒性(またはそれらの組み合わせのため)を持つ物
質として分類されるものです。
http://echa.europa.eu/web/guest/addressing-chemicals-of-concern/
authorisation/recommendation-for-inclusion-in-the-authorisation-list/
previous-recommendations/3rd-recommendation

3 C&Lインベントリの公表を2月に予定
 事務局で関連情報ソースを確認したところ、長く公開が待たれていたCLP規則
に基づくC&LインベントリのECHAホームページ上での公開が2月13日の週になる
ことを確認した。

4 唯一の代理人(OR)の認可申請について
 2011年12月に、欧州委員会サービスはORからの認可申請が可能であることを
ECHAに通知した。これを受けてECHAは、認可申請に用いるwebformsの更新を行
うとともに、関連マニュアル(Data Submission Manual)の修正を行なってお
り、併せてOR認可申請機能を組み込んだIUCLIDの更新版リリースを2012年夏頃
に予定している。
http://echa.europa.eu/web/guest/applying-for-authorisation


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[3]中国の環境関連動向          [化学物質国際対応ネットワーク事務局]
1 化学物質名簿に関する環弁[2007]12号の通達を廃止
 2011年11月18日、環境保護部弁公庁は、各省・直轄市・自治区の環境保護部
門に対し、「新化学物質環境管理弁法」発効以前にすでに国内で生産・使用さ
れていた化学物質を「既存化学物質名簿」に取り入れるプログラムに関する通
達を出し、同プログラム(環弁[2007]12号)の廃止が案内された。具体的な内
容は以下のとおり。
(1)通達発布の日から、各級の地方環境保護行政主管部門は、環弁[2007]12
号の通達に基づき企業からの申請書類を受理してはならない。
(2)各級の地方環境保護行政主管部門は、「新規化学物質環境管理弁法」の
要求に従って、監督と検査を強化し、問題を発見した場合は直ちに上級機関に
報告する。

出典:環境保護部化学品登録センターホームページ(2011年11月28日)
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_DP.aspx?TitID=384&T0=01000&
LanguageType=CH&Sub=125

2 2011年度新規化学物質生態毒理学試験技術シンポジウムが開催
 2011年12月1日から12月2日にかけて、環境保護部化学品登録センターと中国
毒理学会の管理毒理学専門委員会の共催で、「2011年度新規化学物質生態毒理
学試験技術シンポジウム」が広州市で開催された。このシンポジウムには、環
境保護部汚染防止司、環境保護部化学品登録センター、新化学物質試験機関な
どから40名以上が出席した。具体的な内容は、「化学品測定合格実験室管理弁
法」の起草と「化学品測定合格実験室規格(HJ/T 155-2004)」の改正に関する
進捗報告に加え、過去1年間の新規化学物質の評価審査における問題点の共有、
2011年の化学物質試験機関に対する監督検査及び技術力比較の状況説明、であ
った。2011年の試験機関の技術力比較のために実施した2つのプロジェクト
(魚類急性毒性試験と急速生物分解性試験)の結果を基に、試験方法と操作に
関する要点の解説と探求が行われ、試験機関管理体系とこれらの試験技術に含
まれている問題点に対して、活発な討論と意見交換が行われた。
 
出典:環境保護部化学品登録センター(2011年12月6日)
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_DP.aspx?TitID=385&T0=01100&
LanguageType=CH&Sub=125

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[4]あとがき          [化学物質国際対応ネットワーク事務局]
 立春を間近に控えるというのに、これまでにない寒い毎日が続いております。
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
 今号では、米国のTSCA改正に関する動向として、昨年末に開催された上院の
公聴会の内容をご紹介させていただきました。また、ECHAに関する最新動向と
して、SVHCの追加や認可物質に関する提案内容をお届けしています。中国に関
しては、化学物質の申請に関する本格的な試験機関の技術的検討が進んでいる
ようで、実践的な試験方法を適用した技術レベルの比較検討による地に足の着
いた検討作業に興味が持たれます。
 化学物質国際対応ネットワークでは、米国のTSCAや欧州REACH規則などのよう
なグローバルな化学物質管理に関する最新情報をお届けするとともに、中国及
び韓国などの東アジア地域におけるみなさまの化学物質管理対応の促進を支援
するため独自の情報収集・発信に努めてまいります。今後ともどうぞよろしく
お願いいたします。

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化学物質国際対応ネットワークマガジンをご利用いただきまして、ありがとう
ございます。

■本マガジンは、平成23年度環境省請負業務に基づき、社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
  社団法人海外環境協力センター  http://www.oecc.or.jp/
  環境省総合環境政策局環境保健部 http://www.env.go.jp/chemi/index.html

■原則として、毎月1回の配信を予定しています。
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 なお、バックナンバーについては、後日ネットワークのホームページに掲載
 する予定です。

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(このサイトに関するお問合せ http://www.chemical-net.info/contact.html)
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発行元:社団法人海外環境協力センター
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