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        化学物質国際対応ネットワークマガジン 第44号
           http://www.chemical-net.info/
              2012/10/19配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第44号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】海外化学物質管理事情(化学品安全管理研究所 大島輝夫)
【2】欧州・米国化学物質管理の最新動向
【3】アジア地域化学物質管理の最新動向
【4】あとがき
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【1】海外化学物質管理事情(その28)
米国労働安全衛生局(OSHA)危険有害性周知基準(HCS)
化学物質の分類、ラベル、安全データシート(SDS)を国連GHSに準じて改正
                    [化学品安全管理研究所 大島輝夫]

 OSHAは、2012年3月26日に、危険有害性周知基準(Hazard Communication 
Standard、HCS1994)をGHSに準拠した分類、ラベル、安全データシート(SDS)を
導入するために改正し、米国官報にて公示しました。
http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2012-03-26/pdf/2012-4826.pdf

<HCSの意義>
HCSは1983年に公布され、1994年に適用業種が拡大されて今日に至っています。
このHCS 1983 は、全ての化学物質の危険有害性を評価・伝達し、従業員の安全を
守る目的で公布された点に意義がありました。それまでにも輸送等に関して指定さ
れた危険物質のラベル等の情報提供の国際取り決めはありましたが、HCS1983は、
特に物質について指定せず、危険有害性の情報に基づいて自己評価し、ラベル及び
化学物質安全性データシート(MSDS)を伝達することを定めていました。このラベ
ル、MSDSについては、その後の1990年のILO条約(170号)、リオ地球サミットのア
ジェンダ21、さらにGHS制定の一つの契機となったと言えます。今回のHCS 2012は、
このHCS 1994の改正で、分類、ラベル、SDSをGHSに準じた以外は、基本内容の多く
は変更されていません。HCS 2012の目的は、HCS1983の目的であった「評価
(to be evaluated)」が「分類(to be classified)」に変更された以外に変更
点はなく、全ての化学品の危険有害性の分類とともにそれらの情報の事業者及び従
業員への伝達、従業員の訓練にも重点が置かれています。また、企業秘密について
は、医療上の緊急事態における開示等も規定されているのが特徴であるので、今回
改正された具体的内容を理解するだけではなく、HCS 2012全体を理解することが必
要です。

<OSHAが発表した改正主旨>
HCSをGHSに整合させたこの改正により、HCSは化学物質の危険有害性情報を分類し、
ラベルとSDSにより情報伝達するとともに、首尾一貫した管理の取り組みがなされ
ます。

(主な改正点)
1)【危険有害性のクラス】 健康と物理的危険有害性に対する特別の基準を提供
  します。混合物の分類も同様です。
2)【ラベル】 化学物質の製造業者及び輸入業者は、各危険有害性のクラスと区
  分(category)に対して、 調和した注意喚起語(signal word)、絵表示
  (pictogram)、危険有害性情報(hazard statement)を含むラベルを提供す
  ることが要求されます。注意書き(precautionary statement)も提供されな
  ければなりません。
3)【安全データシート(従来のMSDSをGHSに従いSDSに名称変更)】 16項目の特
  定の様式を持ちます。
4)【情報と訓練】 雇用者は2013年12月1日までに、新しいラベル要素とSDSの様
  式について、認識と理解を深めるために労働者を訓練することが要求されます。

<特記事項>
改正の特記事項として、以下の点が挙げられます。
1)指定された化学物質リストはありません。ただし、発がん性としての分類リス
  ト、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の許容濃度(TWA)等指定された分類の
  対象物質にはHCSが義務化されています。
2)試験は要求されません。
3)対象は、化学品製造業者、輸入者とともに、流通業者、雇用者も含まれます。
  例外を除き、2015年6月1日までにこの規則の全条項を遵守しなければなりま
  せん。例えば、雇用者はこの規則に従わない化学品の容器を保管していても、
  規則違反となります。
4)HCSについてのOSHAの査察、違反の摘発、違反事業場の公表等については、
  従来から厳しくなっています。
5)輸入者の定義は特殊です。
6)GHS改訂第3版に準拠していますが、その後のGHS改訂にも適宜対応します。
7)SDSは、印刷物以外に、電子媒体でも従業員が何時でも閲覧できる必要があり
  ます。HCS 1983の時から、当該情報は、従業員に渡す必要はなく、従業員が何
  時でも閲覧できることを義務づけています(ただし、米国環境保護庁(EPA)
  のPRTR制度等も規定した「緊急計画及び地域社会知る権利法
  (EPCRA/SARA Title III)」にOSHAの定めたMSDSの提出義務があります。)。
8)秘密保持には、混合物の混合割合についても秘密保持に追加された他は、従来
  通りidentityは秘密保持が可能で、秘密保持の条件を満たせば自己判断で行え
  ます。
9)特に、秘密保持を認めない物質はありません。

<参考ウェブサイト>
改正された各項目の概観、経過、改正による利益・影響を受ける産業・法令順守の
ためのコスト等についての経済分析、米国行政管理予算局(OMB)の審査結果、環
境に対する影響等が、以下のウェブサイトに掲載されています。
http://www.federalregister.gov/articles/2012/03/26/2012-4826/hazard-commun
ication

OSHAは、改正内容の概要、Q&A、ラベリング、SDS、絵表示(ピクトグラム)、施行
日、改正条文等を含めた全文の表示、及びHCS1994とHCS 2012との各条文の比較一
覧表等は、以下のウェブサイトに掲載されています。
http://www.osha.gov/dsg/hazcom/index.html

HCS1994に今回の改正を加えた条文全体については、以下のウェブサイトに掲載され
ています。
http://www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=standards&p
_id=10099

【改正内容の詳細については、附録に掲載しています。】

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【2】欧州・米国化学物質管理の最新動向

1)[米国]EPAがPCB規則を改正
 米国環境保護庁(EPA)は、9月6日、有害物質規制法(TSCA)に基づく連邦規則
「ポリ塩化ビフェニル(PCBs)規則」(40 CFR Part.761)の一部項目を更新・整
理した直接最終規則を公布しました。今回の改正により、PCBs規則は有害廃棄物処
理を規制した資源保護回復法(RCRA)と大部分で調和されます。
https://s3.amazonaws.com/public-inspection.federalregister.gov/2012-21674.
pdf

2)[EU]ECHAがSVHC候補54物質を公表
 欧州化学物質庁(ECHA)は、高懸念物質(SVHC)の候補として54物質を公表しま
した。10月18日までのパブリックコンサルテーションを経て、2012年度中に正式に
SVHC物質が発表される予定です。SVHC物質として現在84物質がリストに収載されて
いますが、この54物質が新たに収載されることになると、ECHAが2012年末までに予
定していた136物質の収載を超えることになります。
http://echa.europa.eu/en/web/guest/view-article/-/journal_content/512b7526
-9dd6-4872-934e-8c298c89ad99

3)[EU]ECHAが中間体の登録者574件に一式文書の修正を要求
 ECHAは2010年から2011年に登録された中間体の一式文書について、品質及びコン
プライアンスに関するスクリーニング調査を行いました。その結果、問題のあった
574件の登録者に、今後3ヶ月間で修正・更新する要求がREACH-ITを通して直接通知
されています。この3ヶ月の後に、ECHAはこれらの一式文書を再スクリーニングす
る予定です。
http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/0d1a14fe-9c63-4807-a3
de-380c0dbffdf5

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【3】アジア地域化学物質管理の最新動向

1)[中国]新規「危険化学品経営許可証管理弁法」を公表
 中国国家安全生産監督管理総局(SAWS)総局長(楊棟梁)は、7月17日に第55号
総局令により新規の「危険化学品経営許可証管理弁法」を公布し、9月1日から施行
しました。これに伴い、2002年10月8日公布された「危険化学品経営許可証管理弁
法」が廃止される予定です。
http://www.chinanews.com/gn/2012/08-03/4080824.shtml

2)[中国]優良試験所基準(GLP)の監督・管理体系に関する講習会を開催
 国家認証認可監督管理委員会の主催により、「GLPの監督・管理体系に関する講
習会」が黒竜江省ハルビン市で開催されました。国家認証認可監督管理委員会
(CNCA)、黒龍江出入国検査検疫局、黒龍江省品質技術監督局の関係責任者等から
約70名の代表が参加し、GLPの原則、監督・管理、管理体系、実施等について、講
義と研修が行われました。
http://www.cnca.gov.cn/cnca/zwxx/xwdt/ynbd/644633.shtml

3)[中国]「危険化学品企業事故危険対策実施指針」発表
中国国家安全生産監督管理総局は、8月10日に「危険化学品企業事故危険対策実施
指針」を発表しました。危険化学品の製造及び使用並びに貯蔵企業に隠れている事
故の危険性に対する全面的検査に関する基本的な要求、方法、頻度、検査内容、対
策、報告等について明記されています。
http://www.ccin.com.cn/ccin/news/2012/08/14/237020.shtml

4)[中国]第2次化学品生態毒性試験方法の国家基準を発表
中国環境保護部化学品登録センター(CRC)が2008年に起草した「化学品快速生物
分解性通則(GB/T 27850-2011)」等の7項目の化学品生態毒性試験方法国家基準
(2011年12月30日に国家標準化管理委員会が許可)が、2012年8月1日から正式に施
行されました。また、CRCが参加して起草された「化学品陸生植物成長活性試験
(GB/T 27851-2011)」等の4基準が同時に発表されました。これらは、中国が制定
して施行する第2次化学品性態毒理学試験方法の国家基準であり、これにより中国
化学品の環境危害性の識別とリスク評価が推進されます。
http://www.crc-mep.org.cn/news/NEWS_DP.aspx?TitID=395&T0=01000&LanguageTyp
e=CH&Sub=125

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【4】あとがき

 今号では、OSHAが発表した改正HCSの改正内容について掲載いたしました。今回
の改正では、遅れていた国連GHSとの調和化が進められています。本規則が適用さ
れる米国の輸入業者は、海外の輸出業者にSDS等の情報提供を要求するようになる
ため、日本の輸出業者はHSCの内容及び改正の詳細について理解する必要があり、
今回の特集記事がそのような理解の一助となれば幸いです。
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