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       化学物質国際対応ネットワークマガジン 第66号
           http://www.chemical-net.info/
               2015/7/14 配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第66号は、東南アジア全般及びマレーシアの化学物質管理政策最新動向セミナーの
開催及び米国TSCA改正に関する最新動向を特集してお送りします。
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【1】東南アジア全般及びマレーシアの化学物質管理政策最新動向セミナーの開催
   について
【2】米国TSCA改正について
【3】米国議会 上院における動き
【4】米国議会 下院における動き
【5】あとがき
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【1】東南アジア全般及びマレーシアの化学物質管理政策最新動向セミナーの開催
   について

◆◇化学物質国際対応ネットワークセミナー◇◆
「東南アジア全般及びマレーシアの化学物質管理政策最新動向セミナー」を開催致
 します

<日時> 平成27年8月6日(木)13時30分 〜 16時(受付13時〜)
<場所> 国連大学 ウ・タント
<参加費>無料

東南アジアでの化学物質管理に関する企業の実務対応について専門家による講演を
行うとともに、マレーシア天然資源環境省の担当官が来日し、同国における化学物
質管理政策の最新動向に関して講演を行い、参加者との質疑応答を予定しています。

セミナーへの参加は無料ですが、事前登録が必要です。御関心のある方の参加を広く
お待ちしております。詳しくはこちらをご確認ください。

化学物質国際対応ネットワーク:
http://www.chemical-net.info/index.html

セミナーご案内:
http://www.chemical-net.info/seminar20150806.html

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【2】 米国TSCA改正について

 米国有害物質規制法(Toxic Substances Control Law 、TSCA)の本文は、1976年
に制定されて以来、一度も改正されず、その間、化学物質規制に関する独自の州法が
多数制定され、連邦法が州法にいかに優先するかが、従来、TSCA 改正の大きな課題
となっていました。
 TSCA 改正案については、Frank R.Lautenberg上院議員が、長年、上院に提出して
来ましたが、意を果たせずに、2013年に現職のまま、89歳で亡くなりました。
 TSCA改正法案は、前議会でも、民主党議員と共和党議員が共同提案しましたが、
提案の時期も遅く、2年の会期が昨年末終了し、廃案となりました。昨年11月には
中間選挙があり、共和党が、従来の下院のみでなく、上院に於いても過半数を占め
ました。上院の共和党有力議員は、TSCA 改正を優先課題の一つとしています。
 米国議会には多数の法案が提出されますが、殆どが議員の提出であり、その内の
9%程度が実際に委員会で審議されます。このため、TSCA 改正の必要性は、従来、
議会の内外で指摘されながらも、なかなか実現に至りませんでした。なお一般的に、
民主・共和両党議員の共同提出は約4割台と言われています。

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【3】米国議会 上院における動き

 本年度の上院には、2つのTSCA改正法案、S.697とS.725が提出されました。
S.697“The Frank R.Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act”は、
略称“The new Udall‐Vitter Bill”と呼ばれ、7人の民主党議員と8人の共和党
議員が2015年3月10日に共同提出しました。S.697の名称は、故Lautenberg上院
議員に敬意を表したものです。また、S.725は、2名の民主党議員が提出しました。
ここでは、S.697についてその内容の概要を紹介します。

(1)S.697 “The new Udall-Vitter Bill” 
S.697は、全28条より成り、その主な内容は以下のとおりです。

・EPAは、全ての既存化学物質と新規化学物質を再調査する。
・EPAはハザード、暴露、使用条件、州知事の要求などを考慮して、いかなる決定
 もする。
・EPAに初期リストとして、施行後3年以内に、少なくとも10の高優先物質
(high-priority substances)と10の低優先物質(low-priority substances)を
 選定する。さらに、施行後5年以内に、全部で25の高優先化学物質と25の低優
 先物質を選定する。(4A条)。
・EPAは、試験方法、試験期間を決定するにあたり、相対的コストを考慮する。(5条)。
・新規化学物質と顕著な新規用途、使用条件と合理的に予想されるばく露条件、人
 と環境に対するばく露に関する規定(5条)。
・安全基準には、労働者に対する基準も含むが、事前に労働省と相談する、また、
 最も弱い人に対する保護の強化など、安全基準の強化。
・情報の収集と報告に関する規定。(5)(C)現状の変化: 企業秘密情報(CBI、
 Confidential Business Information)条項を含む(10条)。

 この改正法案は、EPA長官は、施行後6か月以内に、高優先物質と低優先物質のリ
ストを公表することとしており、高優先物質に関する評価、規制などが定めています。
 この法案に対して、米国化学工業協会(ACC)など化学業界は賛成していますが、
環境市民団体は、批判意見を述べています。

(2)上院委員会の対応
 この法案は、上院委員会が以下の点を改正して、2015年4月28日に15 対 5で通過
しました。今後、上院本会議に送られて審議されますが、反対した民主党の上院議員は、
本会議でさらに厳しい議案を提出する、と発言しているため、さらに改正される可能性
があります。
 上院委員会において最も討議され、改正されたのは、州法との関係に係る条項につい
てです。以下に討議の主な内容を示します。

・EPAが高優先物質として指定し、安全アセスメント、安全を決定する前に、各州は、
その物質に対して新しい制限を課することを優先しても良い(空白期間)。

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【4】 米国議会 下院における動き

 共和党の Shimkus下院議員は、民主党の下院議員とも相談して
“The TSCA Modernization Act of 2015,Discussion Draft”を公表し、このDraft
に対して、公式の公聴会を2015年4月14日に開催し、各界から意見を聴取しました。
それを受けて修正した案を、2015年4月22日に公表しています。この改正法案は、
全28条より成り、2015年5月14日に委員会で審議され、全会一致で承認され、2015
年6月23日に賛成398票、反対1票で下院を通過しました。

 上院委員会の法案にはあって、下院で承認された法案には無い条項は下記のとおり
です。また、上院の法案との大きな相違点としては、下院の法案では現行の新規化学
物質のスクリーニング評価システムに変更が加えられていない点にあります。US EPA
が90日以内に新規化学物質が安全でないことを示せない場合、その化学物質は上市さ
れる(In General.--(中略), no person may--(中略)manufacture a new chemical
substance(中略)unless such person submits to the Administrator, at least
90 days before such manufacture or processing, a notice(中略)of
such person's intention to manufacture or process such substance(後略)※)。
一方、上院の法案では、EPAが安全性を確認し承認するまで、その新規化学物質を市場
に出すことは禁じられる。

・EPAが高優先化学物質、低優先化学物質を指定すること。
・行政及び企業は可能な限り非動物試験の活用を検討すること。
・連邦のグリーン・ケミストリー研究開発プログラムを立ち上げること。
・化学物質の安全性に関してEPAをアドバイスするため、新たな専門家委員会を立ち
 上げること。

※ 法案の該当箇所はSEC. 5. MANUFACTURING AND PROCESSING NOTICES.(a)
出典)H. Rept. 114-176 - TSCA MODERNIZATION ACT OF 2015, 114th Congress
(2015-2016)(CONGRESS.GOV)

 今後、上院の本会議において、S.697 法案が成立した場合には、その後、兩院の
協議会が開催されます。その協議会において、上院のS.697法案と、下院のH.R.2576
法案の統一がはかられ、合意に達した場合には、議会に改めて送附されることなく、
大統領に送られ、承認が求められます。この協議会において両院により合意に達成
しなかった場合には、廃案となります。過去にも、TSCA制定以前に、TSCAの原案が
上院と下院で可決されながら、協議会において両院の意見が一致せず、廃案となった
事例がありますので、今後も動向に注視していく必要があるでしょう。

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【5】 あとがき

 本号では、東南アジア全般及びマレーシアの化学物質管理政策最新動向セミナー
の御案内と、米国TSCA改正を特集してお送りいたしました。なお、今回お伝えした
内容については今後の米国議会の動向により変更されることが考えられ、今後とも
注視していきたいと思います。

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