━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 化学物質国際対応ネットワークマガジン 第43号 http://www.chemical-net.info/ 2012/8/16配信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから 配信登録をされた方を対象にお送りしています。 第43号は、以下の内容をお送りいたします。 ───────────────────────────────────── 【1】中国「改正新化学物質環境管理弁法」の施行に関する停滞原因についての専 門家の分析 【2】欧州・米国化学物質管理の最新動向 【3】アジア地域化学物質管理の最新動向 【4】あとがき ───────────────────────────────────── 【1】中国「改正新化学物質環境管理弁法」の施行に関する停滞原因についての専 門家の分析 [化学物質国際対応ネットワーク事務局] 中国版REACHと称される「新規化学物質環境管理弁法(環境保護部第7号令)」は、 施行後すでに1年余りが経過しました。しかしながら、これまでに受理されている申 告結果から見て、100件以上の通常申告文書の中で、1回限りで様式審査を通ったの は極めてわずかでした。 この分野の専門家である杭州瑞旭製品技術有限会社研究開発部China-REACHチームリ ーダーの馬長英氏は、中国品質ニュースネットにおいて、物質の同定が不十分で、 使用されているデータの検証も十分でないことに加え、免除条項の適用に不備があ り、報告書の様式も基準に適合していないなどが、当弁法の施行を妨げている主な 原因であると語りました。併せて、新規化学物質の申告において、困難な作業を伴 う有害性分類及びリスク管理などの内容を含むリスク評価報告書(重合体の通常申 告を除く)が必要なことも停滞を招いている原因だと指摘しました。馬長英氏は、 中国新規化学物質申告の危害分類基準は、準国家標準のGB/T20576-2006、GB/T2059 9-2006、GB/T20601-2006、GB/T20602-2006を適用しているが、注意すべきはこのよ うな分類基準が試験報告書の作成を担う中国国内の実験室の分類作業で正確に適用 されていない(実験室が試験結果を整理して物質分類を行う際に適用する基準が、 上述の準国家基準ばかりではないこと。)ことを示唆しました。 新規化学物質の申告を行う最終的な目的は、有害性のある物質に対して合理的なリ スク管理を行い環境に及ぼす影響を最低限にすることであるため、国内外の企業は、 当該弁法の規定に基づき、製造または使用する新規化学物質に対して精緻かつ包括 的な申告登録手続きを加速すべきであると同氏は強調している。 出典:中国品質ニュースネット(7月3日) →http://www.cqn.com.cn/news/zgzlb/dier/590782.html -------------------------------------------------------------------------- 【2】欧州・米国化学物質管理の最新動向 1)[EU]第4次ATPのドラフトの公開 CLP規則に関し、技術的進歩による同規則の改訂(ATP;Adaptation of Technical Progress)に関する第4次ドラフトが公開されました。 http://chemicalwatch.com/11889/ 2)[EU]REACH規則に基づく第二段階登録に向けた動き 最近、ECHAは物質登録に向けた新規/更新ガイダンスやツール等の提供を立て続け に行なっています。 (a) 情報の共有に関するナッツシェルの更新(2012年 7月31日) (物質の同一性に関するガイダンスの更新を受けたもの) http://echa.europa.eu/en/web/guest/view-article/-/journal_content/6cb8aff6 -e50b-43e8-baf8-1178f8c9ce07 (b) 毒性試験要約報告ガイド(2012年 7月16日) http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/41082eb8-fd8b-4bb5-8f 67-c6e2191307f0 (c) IUCLID5.4 とセットになったREACH-IT更新版リリース・IUCLID plug-ins及び同 マニュアル公開(2012年 7月11日) http://echa.europa.eu/en/view-article/-/journal_content/59a6b9fa-9895-4720 -ab7d-b017f470db2a (d) ダウンストリームユーザ向けのばく露シナリオ実務者ガイド(2012年6月28日) http://echa.europa.eu/en/view-article/-/journal_content/41581066-2a03-4298 -8b85-1b4b0b66556d (e) Chesar 2.0をリリース(2012年6月20日) http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/167a4d45-6180-4239-80 5d-6b33f1980c09 (f) SDSの情報公開等に関するQ&A(2012年 6月7日) http://echa.europa.eu/web/guest/view-article/-/journal_content/5a35fc19-9d 8e-4143-8dd7-50dfd42a5745 (g) ダウンストリームユーザへのオンライン報告様式提供(2012年6月6日) http://echa.europa.eu/web/guest/view-article/-/journal_content/fb14c527-a1 e2-4822-90e7-b5432a464846 (h) 化学安全報告書(CSR)の事例(2012年 5月21日) http://echa.europa.eu/en/web/guest/view-article/-/journal_content/d0d0dc75 -4d1f-453e-980b-54a7b27c4995 3)[スイス]化学品法改正案の公開 スイス連邦政府は、2000年に施行された化学品法の改正案を4月24日に公表しまし た。今回の改正案では、REACH規則との調和化が進み、国連GHSにも準拠した内容とな っています。この改正案は、段階的な施行が予定されており、物質単体については20 12年12月1日から、混合物については2015年6月1日からとなっています。 →http://chemicalwatch.com/11750/ -------------------------------------------------------------------------- 【3】アジア地域化学物質管理の最新動向 1)[中国]GHS専門家諮問委員会設立 GHSの実施を促進するため、中国政府はGHSの実施に関する専門家諮問委員会を設 立しました。その主な責務は、GHSを実施する法律及び法規ならびに基準、化学品の 分類とラベルの目録、GHSを実施する国家行動計画及びその関連施策等の改・制定に おける諮問に加え、GHSの実施に関する年間進捗評価、関連研修、国際動向の調査等 に関する技術提供となっています。 →http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/n11293907/n11368223/14605813.h tml 2)[中国]2012年第1次「新化学物質環境管理登記証」発行予定 中国環境保護部は、新化学物質環境管理弁法(環境保護部第7号令)に基づき、 企業等8社から申告されていた11物質に関する「新化学物質環境管理登記証」の附与 を、2012年5月30日から6月1日までの間、環境保護部のウェブサイトで公示しました。 →http://wfs.mep.gov.cn/hxp/xhxwz/201205/t20120530_230601.htm 3)[中国]「危険化学品環境管理登録弁法(試行)(案)」を採択 2012年7月4日、中国環境保護部は、「危険化学品環境管理登録弁法(試行案)」 を採択しました。「危険化学品環境管理登録弁法(試行案)」は全6章、計33条に分 かれており、適用範囲、管理の職責、申告の要求、リスク評価、取り扱い手順、登 録後の監督管理、罰則等について明確に規定しています。今後、内容を精査して施 行する予定となっています。 →http://www.cenews.com.cn/xwzx/zhxw/ybyw/201207/t20120704_720187.html -------------------------------------------------------------------------- 【4】あとがき 今号では、中国の改正「新化学物質環境管理弁法」の施行に関する中国の専門家 の分析結果を掲載しました。同弁法に関しては、通常申告の審査結果が2012年1月 (2物質)に続いて5月(11物質)に環境保護部から公表され計13物質が承認されて はいるものの、中国の専門家が指摘しているようにまだまだその施行には課題が存 在するようです。また、環境保護部の他にも化学物質管理に関連する国家質量監督 検験検疫総局や安全生産管理監督総局にも活発な動きが見られるため今後の動向に 注意が必要です。 一方、REACH規則の施行に関しては、ダウンストリームユーザである中小企業等の 登録対応促進が課題として指摘されています。ECHAは簡便なガイダンス資料やオン ラインツールを導入し、その解決を図ろうとしていますが、サプライチェーンにお けるコミュニケーションが鍵をにぎるのではと考えています。 化学物質国際対応ネットワークでは、中国及び欧州を始めとする化学物質管理の 動向に着目し、有用な情報提供を継続して行く予定です。どうぞよろしくお願い申 し上げます。 -------------------------------------------------------------------------- ■本マガジンは、平成24年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力 センターが運営しております。 一般社団法人海外環境協力センター(OECC) →http://www.oecc.or.jp/ 環境省総合環境政策局環境保健部 →http://www.env.go.jp/chemi/index.html ■原則として、毎月1回の配信を予定しています。 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により 届かなかった場合の再送は行いませんので、予め御承諾の上、ご利用ください。 ■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを 御覧ください。 →http://www.chemical-net.info/mailmg_bn.html ■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更及び御意見・御要望 等は、以下のウェブサイトより御連絡下さい。 →http://www.chemical-net.info/contact.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行元:一般社団法人海外環境協力センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━