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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第111号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2021/3/16配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第110号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】米国における最新動向
【2】ロシアにおける最新動向
【3】中国における最新動向
【4】韓国における最新動向
【5】台湾における最新動向
【6】タイにおける最新動向
【7】ベトナムにおける最新動向
【8】あとがき
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【1】米国における最新動向
   
(1)TSCAインベントリの更新を公表

 米国環境保護庁(EPA)は、2021年2月3日、改正有害物質規制法(TSCA)に従
って、化学物質インベントリの非機密部分に対する最新の更新を公表しました。
 EPAによると、TSCAインベントリには現在86,557の化学物質が含まれており、
そのうち41,864の化学物質が米国で積極的に利用されています。本インベントリに
は、化学物質の商業活動、商業ステータス、ポリマー免除等の規制フラグ、TSCAセ
クション4の試験命令、およびTSCAセクション5の重要な新しい使用規則
(SNUR)に関する追加情報が含まれています。
 EPAは、機密ではないTSCAインベントリ・データを半年ごとに更新しており、
TSCAインベントリの次の定期的な更新は、2021年の夏に予定されています。

EPA TSCA化学物質インベントリ(英語)
https://www.epa.gov/tsca-inventory/how-access-tsca-inventory

(2)EPAがTSCA CBIレビューに関する更新データを公開

 EPAは、2021年2月8日、改正TSCAの営業機密情報(CBI)レビュー統計の更新
を公開しました。
 2019年、EPAは、TSCAの下での責任を果たしながら、透明性への取り組みを果
たすために、完了したTSCA CBIの決定とレビューに関する情報と統計の公開を開始
しました。EPAは、TSCAセクション14(g)(1)に基づき、CBI請求の受領から
90日以内に以下の措置を講じる必要があります。
・化学物質が商業的流通のために提供された後、化学的同一性に関するCBI主張に関
する内容をレビューして決定する。
・実証とレビューを免除されていない他のCBI主張の少なくとも25%の代表的なサ
ブセットに関する内容をレビューして決定する。
 
CBIレビュー統計は、現在レビュー中のCBIケースの数と、2020年12月28日ま
でに完了したレビューの結果をまとめたものです。さらに、EPAは、2020年12月
28日までに完了したTSCA CBI決定の詳細を示すスプレッドシートをリリースしま
した。

TSCA CBIレビュープログラムの統計(英語)
https://www.epa.gov/tsca-cbi/statistics-tsca-cbi-review-program

(当記事(1)、(2)は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【2】ロシアにおける最新動向

職場と環境に関する法律の大幅な変更を公表

 ロシア連邦消費者権利・人間福利保護監督庁(Rosspotrebnadzor)は、2021年2
月3日、新たな法令No.2衛生規則と規範SanPiN1.2.3685-21「環境要因の人間への
安全性と無害性を確保するための衛生基準と要件」を公表しました。新しい法令は、
様々な環境における有害物質の職業ばく露限界(OEL)および暫定安全ばく露レベル
(TSEL)を含む、既存の全ての職場および環境の法令に取って代わることになります。
 本法令は、衛生規制の変更に関する2019年の計画の結果であり、食品から職場や
環境に至るまでの幅広いトピックに関する既存の基準、規範、および規則を更新する
ためのものです。このプロセスの主要な機関は、連邦消費者権利・人間福利保護監督
庁であり、2019年に衛生および疫学の規則と衛生基準を規制する規範的な法的行為の
数を424から10に減らす計画を発表しています。
 新しく公開されたSanPiN1.2.3685-21は、化学物質の既存の環境、健康および安全
の制限値を単に置き換えるだけでなく、EHSの既存の要件を再構築しています。法令
には、物質の種類や規制された環境等様々な基準に細かく分割された何百もの表が含
まれています。
 この法令は、以下の職場と環境の安全を規制する117の既存の法令の撤回を含んで
おり、それらの中には、ロシアの安全パスポート(SDS)の内容を決定するいくつか
の法令も含まれています。
・SanPin 2.2.5.3391-16:職場における有害物質の最大許容濃度(MAC)
・GN 2.1.6.2309-07:人口密集地域の大気中の汚染物質の暫定的な安全ばく露レベル
(TSEL)
・GN 2.1.5.2307-07:家庭用、料理用、文化用、福祉用水使用の水対象物中の化学物
質の暫定許容レベル(TAL)
・GN 2.1.7.2041-06:土壌中の化学物質の最大許容濃度(MAC)
 
この法令は、既存のEHS基準が取り消されたと見なされる2021年3月1日に施行
され、SanPiN 1.2.3685-21は2027年3月1日まで有効です。

ロシア公式インターネットポータル(ロシア語)
http://publication.pravo.gov.ru/Document/View/0001202102030022?index=465&rangeSize=1

(当記事は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【3】中国における最新動向

新規化学物質初回活動報告及び2020年度活動報告の提出に関する通知

 中国生態環境部固体廃棄物及び化学品管理センターは、2021年1月29日、新規化
学物質初回活動報告及び2020年度活動報告の関連事項について通知を公表しまし
た。本通知の主な内容は、「12号令及び付随する指南」及び「移行措置政策」におけ
る初回活動報告と年度報告に対する要件と一致しています。報告の対象及び締め切り
について、次のように改めて強調しています。

1.初回活動報告の適用対象と締め切り
 12号令にしたがい常規(通常)または簡易登記証を取得した新規化学物質及び7号
令にしたがい常規登記証を取得した新規化学物質は、初回生産活動を行った日または
初回輸入活動を行い使用者に引き渡した日から60日以内に、生態環境主管部門に初回
活動報告を提出しなければならない。
2.年度活動報告の適用対象と締め切り
 7号令で重点環境管理類新規化学物質に該当する場合、毎年4月30日までに生態環
境主管部門に年度活動報告を提出しなければならない。

また、本通知の公表にしたがい、当局申請システムの初回活動報告と年度報告の関
連機能も正式に使用可能となりました。

中国生態環境部 公告(中国語)
https://www.meescc.cn/zhxx/tzgg/202101/t20210129_819353.shtml

(当記事は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきました。)

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【4】韓国における最新動向

既存化学物質の更新について

 韓国環境部は、2021年2月5日、第2021-23号告示を公布し、既存化学物質の一
部を改定しました。既存化学物質リストの付表2において、番号2004-3-2611等
の類名の形でリストに収載された232物質の全ての名称を開示しました。また、番号が
2015-3-6196等の4物質を削除し、さらに番号が2005-3-3297の物質のCAS番号を
修正しました。本告示日から即施行となっています。

韓国化学物質管理協会(KCMA) News(韓国語)
https://www.kcma.or.kr/sub_info/info_4_4.asp?b_name=me_news01&mode=read&IDX=6179

(当記事は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきました。)

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【5】台湾における最新動向

登録オンラインシステムに事前の年度申告機能を追加

 台湾化学物質登録プラットホーム15条登録(すなわち、第一段階登録)システムに、
最近新たな機能が加わりました。登録データを提出する際、あわせて前年度
(2020年)の実際の運用量をアップロードでき、また、当該データは期限まで(すな
わち、2021年9月30日)まで、いつでも修正できるようになりました。(2020年
は、申告期間の6月~7月になってようやく、15条登録での申告機能が追加されまし
た。)。当該機能は強制性の規定ではなく(事前申告したくない場合、システムでの
2020年運用量実績にはとりあえず0を選択でき、その後、実際の運用量により修正で
きます。)、単に登録事業者側に便宜を提供するものです。事業者が登録を行う際に
は、一括して先に昨年度の年度申告データを提出した場合には、4月~9月の年度報告
期間に改めて申告する必要はありません。

(当記事は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきました。)

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【6】タイにおける最新動向

(1)化学品法(草案)(2021年1月7日版)公表

 タイ食品医薬品局に所属する国家化学品政策発展センター(IPCS)は、2021年1
月7日、更新版の「化学品法」草案を公表しました。これまで2つの草案を公表して
きたものの(初版草案は2019年4月、第2版草案は2019年9月に公表されました)、
当局は現時点で本版が第3版とは見做さないとしています。本草案は事業者に
改訂内容を知らせたのみで、意見募集はまだ始まっていません。
 今回の草案は、全108条で、第2版の改訂草案より8条増加しています。目次自体
は第2版の改訂草案と一致しており、通則、第1章「委員会」、第2章「化学品管理
プロセスと手順」、第3章「化学品管理面の推進措置」、第4章「責任と義務」、
「暫定規定」という6つのパートから構成されています。

タイ食品医薬品局 公告(タイ語)
http://thaiipcs.fda.moph.go.th/(%E0%B8%A3%E0%B9%88%E0%B8%B2%E0%B8%87)%E0%B8%9E.%E0%B8%A3.%E0%B8%9A.%E0%B8%AA%E0%B8%B2%E0%B8%A3%E0%B9%80%E0%B8%84%E0%B8%A1%E0%B8%B5%20%E0%B8%9E.%E0%B8%A8.%20...(%E0%B8%A7%E0%B8%B1%E0%B8%99%E0%B8%97%E0%B8%B5%E0%B9%88%207%20%E0%B8%A1%E0%B8%81%E0%B8%A3%E0%B8%B2%E0%B8%84%E0%B8%A1%202564).pdf

(2)「食品医薬品局が規制する有害物質のラベルB.E….(草案)」への意見を公募

 タイ食品医薬品局は、2019年11月に、食品医薬品局が規制する有害物質のラベル
(草案)に対して初回の意見公募を行いました。これについて、多方面からの意見を
踏まえてラベル上の内容を再検討したところ、国連GHS改訂第8版における小さな
容器包装の場合について草案に新たに関連規定を追加しなければならないことが明ら
かとなりました。従って、初回の草案に以下の内容が追加されています。
 なお、本草案についての意見募集が2021年2月26日まで行われました。

1.タイ国内で製造・販売又は保有する有害物質の容器が、ラベルの記載内容を完全
に表示できないほど小さい場合、容器に貼り付けるラベルには少なくとも「有害物質
名称(有効成分が有害物質の場合)/有害物質の含有量/商品名称/絵表示及び注意
喚起語」を表示しなければならない。その他内容は、外包装箱のラベルまたは別刷り
に表示することができる。
2.本公告が発効する前に、タイプ1有害物質の実際状況を報告またはタイプ1有害
物質を登録した製造者及び輸入者は、本公告の規定にしたがいラベルを修正すること
が求められる。ただし、当該公告の発効後1年間は、残った旧ラベルを継続して使用
することができる。

タイ食品医薬品局 公告(タイ語)
https://www.fda.moph.go.th/sites/Hazardous/SitePages/Content.aspx?IDitem=143

(当記事(1)、(2)は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきました。)

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【7】ベトナムにおける最新動向

有害化学物質の安全性に関する国家技術規則を発表

 ベトナム商工省(MoIT)は、2020年12月21日、有害化学物質の生産、商業、使
用、保管および輸送における安全性に関する通達(No.48/2020/TT-BCT)および国家
技術規則(QCVN05A:2020/BCT)を公表しました。
 本通達は2021年1月21日に発効し、2022年1月1日に施行されます。2021年1
月21日、この規制の施行日より前に事業を行っていた企業に対して18か月の移行期
間がMoITによって提案されました。
 この規制では職場での有害化学物質の管理にしたがって、新しい要件が追加されて
います。通達No.48/2020 / TT-BCTと一緒に発行されるのは、QCVN 05:2020/BCT
という国内技術規制であり、国連GHS該当物質を含む職場での有害化学物質の製
造、取扱、使用、保管、および輸送に関連する健康と安全に対するリスクを管理する
ための要件を規定しています。具体的に、QCVN 05A:2020/BCTには次の要件に関連
する規定で構成されています。
・容器、倉庫および有害な化学物質関連の活動がある領域のラベル、絵表示、標識
は、目に見えて読みやすい場所に配置
・化学品事故への対応と環境保護
・化学品容器とラベリング
・有害化学物質のばく露
・非常に有害な化学物質(爆発性、腐食性、毒性)の製造、使用、保管
・輸送車両のコンテナ、保管場所、施設、設備、施設など、その他の安全管理

QCVN 05A:2020 / BCT(ベトナム語)
http://sctyenbai.gov.vn/sites/default/files/thong_tu_ban_hanh_qcvn.pdf

(当記事は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【8】あとがき

本号では、米国、ロシア、中国、韓国、台湾、タイ、ベトナムの最新動向について
紹介いたしました。
読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の
「お問い合わせ」のページからお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。
  http://chemical-net.env.go.jp/contact.html

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■本マガジンは、令和2年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
  http://www.oecc.or.jp/
 環境省大臣官房環境保健部
  http://www.env.go.jp/chemi/index.html
 化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
  http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、隔月で配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを
 御覧ください。
  http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html
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 等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。
  http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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