Q&A目次
1.登録
- EU域外メーカのモノマーを登録する(輸出品ポリマー)場合、CSRはどのように書くのか。EUでは、そのモノマーのばく露がないのでCSRの書き方に疑問があります。
- CSAは相当に難しいtoolだと思いますが、EUではどのようにして中小企業を含めた全関連企業で使いこなせるようにして行こうとしていますか。
- 中間体は他の物質に変換されるために製造され消費される物質ですが、日本から輸出する場合も中間体の分類は適用されるか。EU内だけでしょうか?
- 用途でガスを発生させてそのガスを用いる場合、その物質は何に分類されるか。なお、その物質のみではガス発生は出来ず、別の物質を混ぜて発生させます。
- ITSはTNO独自のシステムでしょうか。または当局が推奨するシステムでしょうか。
- Session4:3rd patty assessorはそのIDをECHAに届け出るのか。その3rd patty assessorとなる資格はあるのでしょうか。
- session3:安全使用のための責任担保に3rd party representative の活用を提案されていましたが、実際のアクションはORの補佐役として活動することをご提案されているのでしょうか。
- EU-製造者は、使用・用途情報をどのように集めて登録しようとしているのでしょうか。DUのアンケートなど一定のやり方はありますか。IUCLID5の中の用途をDUに選ばせるのでしょうか。
- ORが登録を前提に従来の輸入者をECHAにいつ届け出るのか。登録時か?。その次のDUも特定し、届け出する必要があるのか。
- 登録のときに例えばポリマー用モノマーを登録する際、ECHAにはモノマーのSDSを提出する必要があるか。(EUのポリマーで輸出される場合EUへはモノマーのSDSは流れない。)
- 将来的な懸念として予備登録期間終了後にある物質の欧州での需要が高まり(現時点では予想できない)、1ton/年を超えるようになってしまった。対処法は?
- ポリマーの原料がUVCBであった場合、主成分のみ登録することで済ませることができるのか?不可とのことであれば妥当な登録方法を教えて頂きたい。
- ポリマー中の残留しているモノマーがimpurityなのだが2%以上ある場合、登録は不要と解釈できるかどうか教えていただきたい。
- PRORDの申請については、登録作業が開始される2008年6月以降でいつ手続きすることが適当でしょうか。予備登録をした方が得策でしょうか。
- 疑わしければ予備登録をするようにとのリコメンドがありましたが、同一サプライチェーンで同一物質の重複登録がされるように思いますが、どのようにして重複を発見し防止するのでしょうか。
- RIPにはSIEFメンバーとしてfacilitatorというものが述べられていますが、その位置づけについて教えてください。
- SIEFに対応するコンソーシアムの形式合意書の”ひな型”のようなものを入手している。多くのstakeholderが加入するHPV(>1000ton/年)のコンソーシアムagreementのfinalizeだけでも一年以上かかるような気がする。これでは、2010年の本登録作業に間に合わない事態にならないか。
- 予備登録しSIEFのメンバーとなった後、急な方針に転換により登録自体を中止することになった。SIEFから脱退することに問題はないか。罰則みたいなものはないのか。
- pre-consortia、CEFIC sector groupの活動主体(製品)を確認できるwebsiteを知っていたら教えてください。
2.評価
- Session6:DUよりばく露情報がCBIであることが分かった場合、かつ、そのDUがコスト的にもCSRが書けないというケースでは、どのような救済措置があるのでしょうか。
- 作業場ばく露の評価でEASEシステム”ベイズ法”という新たな統計処理方法を導入すると聞いているが、これはREACH評価に使用することになるのでしょうか。
- REACHのばく露評価ツールやモデルはまだ議論継続中と認識しています。EUSESやECETOC_TRA,EISchemrisksなど候補システムの絞込み状況はいかがなものでしょうか。また、それらをIUCLID5に組み込む計画の進展はどのようになっていますか。
3.認可
- 内分泌かく乱物質の認可対象の可能性について、いわゆる欧州リスト(BKHリスト)中の第一優先リスト物質の取り扱いはどのように想定さるのでしょうか?
- 第59条第1項による候補物質リストの公表はいつになるのでしょうか?第33条に基づき情報伝達するので、検討する上で重要なタイミングです。
- 米国政府はREACHガイダンスにおいて、付属書14で規定されている物質(substance)や認可されていない物質(substance)を含む成型品 (article)を国内で製造した場合には、自由に輸入することができると発表しました。同意しますか?
- 56条には、"unless the use(s) of that substance on ~ the incorporation of the substance into an article ~ has been authorized"とありますので、認可対象物質の成形品へのincorporationは認可されない限り禁止されているわけですが、それでは、域外でincorporateされた成形品ならば良いのかという議論です。やはり米国商務省のガイドの5ページ目に"The authorization provisions of REACH do not apply to imported articles." と明記されており、こちらの解釈かと思います。しかし、釈然としませんね。成形品中の物質のリスクが問題視されているならば、この解釈はあり得ないとも思うのです。
- 33条の対象物質はcandidate listのなのか、認可対象物質(Annex XIV)なのか?
4.動物試験
- EU cosmetic Directive で動物試験がありますが、化粧品成分で動物試験が必要となった場合、REACHの下で動物試験を行うことは問題ないでしょうか。
- 化粧品指令とREACHの関係でECVAMの代替試験法の検討がおくれているようですが、2009年以降脊椎動物試験をした原料を化粧品に用いることができなくなることについてREACH登録の際の脊椎動物試験の取り扱いはどうするのでしょうか。
5.除外
- ECHAのガイダンス「Guide for monomer and polymer」にポリマー中のlight stabilizerやantioxidant(酸化防止剤)は登録免除と記されている。ポリマー中のこれらのadditiveの調査は考えなくともよろしいでしょうか。
- 食品に接触する材料に使用する添加剤やモノマーはEU指令でポジティブリストがあり、既に規制されているのですが、REACHの除外品になるのでしょうか。
- ポリマーsubstanceはRIP3.10に基づくsubstanceと同じ扱いでよいのでしょうか。つまり、polymer substanceは80%以上のsingle polymer substanceからなる(80%ルールが適用される)と認識しています。Polymer substanceの合成時に使用するsurfactantsなどは不純物で輸入polymerでは登録が必要ないと認識しています。よろしいでしょうか。
- ポリマーの中のモノマー量の計算について教えてください。別なポリマーポリマーA、Bを輸出している場合で、A,Bの中に同じモノマーCを共重合している場合、(いずれも2%以上含有)に年間1ton以上かどうか(登録が必要か)を判断する上で、A,B毎にモノマーC量を計算し、1tonの基準に照らせばよいのか、A,B中のC量を合計して判断するのか、どちらでしょうか。
6.輸入
- 第2条第7項 「再輸入」に関する控除事項は、代理人に適用できるのでしょうか? または、「再輸入」はEUの製造業にのみ適用されるのでしょうか?
- 輸出実務担当者(輸出手段、保険、書類等の準備をする人)がREACH上行わなければならないことは何ですか。会社単位で各物質の数量を把握するのに苦労していますが物質がEUに入る際にどのような検査がなされるのでしょうか。
回答
1. 登録
EU域外メーカのモノマーを登録する(輸出品ポリマー)場合、CSRはどのように書くのか。EUでは、そのモノマーのばく露がないのでCSRの書き方に疑問があります。
モノマーのCSRは、その他の物質と同等の要件を満たさなければなりません。このことは、本質的特性を評価しDNEL/PNECを求める段階1から4の場合に顕著です。ただし、ポリマーが同等のトン数幅で67/548/EECによりすでに通知されている場合、これは必要ありません。EU域内におけるばく露の可能性のみを、CSRで取り扱ってください。モノマーに危険特性がある場合、職場、消費者、環境へのばく露シナリオを、特定の使用法の場合及びすべてのライフステージの場合について決定する必要があります。
モノマーの場合、こうした使用は、例えば「ポリマーの生産」(処理毎に異なるシナリオ、応用分野毎に異なるシナリオ?)や「反応型シンナー」としての使用として定義できます。
モノマーの生産者が、ある用途に対する安全なばく露シナリオを提出できなければ、この用途をモノマーに対してREACHに基づくある特定の用途として含められません(例えば、特定のモノマーの食品包装への使用)。
CSAは相当に難しいtoolだと思いますが、EUではどのようにして中小企業を含めた全関連企業で使いこなせるようにして行こうとしていますか。
人体または環境に危険だと分類された物資質に対しては、EU域内ではCSAが必要です。本件に関しては、最新のRIP 3.2及び3.3をご確認ください。そこには、CSAのすべての事項に対処できる広範囲なガイダンスが提供されています。
使用法やリスク管理対策も含め、危険情報およびばく露情報を掲載したばく露シナリオを作成して、必要な情報をCSAから転送することは、DUとの効率的な意思疎通において重要です。使用における安全性を確保するため、この情報を製品安全データシート(MSDS)拡張版に、DUに理解可能な方式で記入する必要があります。
中間体は他の物質に変換されるために製造され消費される物質ですが、日本から輸出する場合も中間体の分類は適用されるか。EU内だけでしょうか?
日本から輸送される分離された中間体については、回答は「はい」です。ただし、綿密な容器要件を適切に文書化する必要があります。
用途でガスを発生させてそのガスを用いる場合、その物質は何に分類されるか。なお、その物質のみではガス発生は出来ず、別の物質を混ぜて発生させます。
化学反応がなにも生じなければ、その製品は精製物と呼ばれます。ただし、化学反応の後に新たな物質が作られる場合は、このガスの登録が必要です。
ITSはTNO独自のシステムでしょうか。または当局が推奨するシステムでしょうか。
いずれの質問への回答も「いいえ」です。
Session4:3rd patty assessorはそのIDをECHAに届け出るのか。その3rd patty assessorとなる資格はあるのでしょうか。
一式文書または一式文書の一部の評価には、第三者助言者を利用できます。その独立意見により、一式文書または試験計画の評価の権威を高めることができます。正式な資格はありません。実際、多くのサービスプロバイダーが、この役割で活動しています。おおよそ、欧州での条件に従うと、リスク評価の経験に加え、毒物学及び環境試験の証明経験が基本資格となるようです。
session3:安全使用のための責任担保に3rd party representative の活用を提案されていましたが、実際のアクションはORの補佐役として活動することをご提案されているのでしょうか。
REACHの運用には第三者の専門家が欠かせません。直面する作業量を企業内で処理するために十分な数の専門家を抱える企業は多くありません。実務上、第三者の助言者はリード登録者のために活動し、コンソーシアムとしての活動、及びSIEFの受け身メンバーとして活動します。このことは、輸入者およびORにも適用されます。
EU-製造者は、使用・用途情報をどのように集めて登録しようとしているのでしょうか。DUのアンケートなど一定のやり方はありますか。IUCLID5の中の用途をDUに選ばせるのでしょうか。
a)使用情報に関してDUから情報を収集する標準的方法は存在しません。
CEFIC様式を含め、いくつかのアンケート様式がテストされています。現時点で最も多くの登録者が利用する最も適当な方法は、企業内に存在する知識に基づき使用法を記述して、DU(及び支部組織)にそれらを拡張および向上させることを依頼する方式です。企業内で作成した記述をウェブサイトに掲載して、クライアントにその修正および追加を依頼するという方式も可能性があります。ES Modifier(ばく露モデル結合ツール)が、将来DUからの情報収集に利用される可能性があります。
b)DUがその情報をIUCLID 5に入力する箇所がいくつかあります。いずれの場合も、「受け手」(DU)は追加入力できます。
ORが登録を前提に従来の輸入者をECHAにいつ届け出るのか。登録時か?。その次のDUも特定し、届け出する必要があるのか。
もし質問を正しく理解しているとすれば、以下の回答が役に立つでしょう。製造業者、輸入者、唯一の代理人(OR)のどの者においても、スケジュールは同じです。輸入者の名称は、OR指名を伴う登録時には開示する必要はありません。
登録のときに例えばポリマー用モノマーを登録する際、ECHAにはモノマーのSDSを提出する必要があるか。(EUのポリマーで輸出される場合EUへはモノマーのSDSは流れない。)
一般的には、物質が分類表示の基準を満たす場合、SDSが必要です。モノマーは、他の物質と同様の方法で登録する必要があります。
将来的な懸念として予備登録期間終了後にある物質の欧州での需要が高まり(現時点では予想できない)、1ton/年を超えるようになってしまった。対処法は?
現行法(指令67/548/EEC)の下では、EU域内において物質が10kg以上上市される場合は届け出が必要です。その物質の届け出をこの指令により行った場合、この届け出はREACHによる登録とも見なされます(届出者の手続きは必要ありません。この物質の上市は継続できます)。
指令68/548/EECに従って届け出されない物質がEINECSリストには掲載されている場合、当該の物質はいわゆる段階的導入物質であり、2008年12月1日までに予備登録する必要があります。この物質の上市は継続できます。
上記の場合、トン数が1トン/年を超えた場合には、このトン数限界に応じた情報を追加して提出する必要があります。
指令67/548/EECに従って届け出が行われない物質がEINECSリストにも掲載されない場合、1トン/年超については新規の登録が必要です。この物質は、登録が完了した場合にのみ上市できます。非段階的(新規)導入物質を扱うREACHの該当箇所は、2008年6月1日の予備登録開始時に発効されます。
ポリマーの原料がUVCBであった場合、主成分のみ登録することで済ませることができるのか?不可とのことであれば妥当な登録方法を教えて頂きたい。
そのUVCB全体を登録する必要があります。ただし、危険性はその主成分の情報を基に評価されることが一般的です。
RIP 3.10「UVCBとしての登録」も参照してください。
ポリマー中の残留しているモノマーがimpurityなのだが2%以上ある場合、登録は不要と解釈できるかどうか教えていただきたい。
残留モノマー総量が2%以上1トン/年以上であれば、登録が必要になると考えます。
PRORDの申請については、登録作業が開始される2008年6月以降でいつ手続きすることが適当でしょうか。予備登録をした方が得策でしょうか。
科学的研究及び開発の目的で製造、輸入、使用が行われる物質は、登録義務を免除されます。ただし、製造者または生産者は、物質についてPPORD(独自にまたはリストに掲載した顧客と共同で)を行う意志を欧州化学物質庁に通知しなければなりません。
従って、欧州化学物質庁には電子的形式で通知を行う必要があります。この通知には、以下の情報を掲載する必要があります。
- 通知者の身元
- 物質の同定情報
- 分類及び表示
- 数量の見積もり
- 顧客リスト
PPORD物質の通知と予備登録は別のものです。
疑わしければ予備登録をするようにとのリコメンドがありましたが、同一サプライチェーンで同一物質の重複登録がされるように思いますが、どのようにして重複を発見し防止するのでしょうか。
予備登録の戦略については、予備登録の時期に関する利点と不利な点など多くの議論があります。その判断は登録者に委ねられているため、この件に関してはTNOとしてなんの助言もできません。予備登録期間にECHAから入手できるSIEFメンバーの情報に大きく左右されます。
本件の詳細については、RIP 3.4「データ共有(事前登録)に関するガイダンス」も参照してください。
RIPにはSIEFメンバーとしてfacilitatorというものが述べられていますが、その位置づけについて教えてください。
SIEFのメンバーには、多くの企業(潜在的登録者)を含めることができます。データ交換が目的であり、そのうちの特定データは企業秘密に関わる可能性があります。SIEFプロセスを円滑に進めるためには、第三者[利害関係のない第三者かどうか疑義があります]のファシリテーターを指名して、情報の伝達を図るとともに企業秘密を非公開にすることができます。実際には、SIEFの重要な作業は業界コンソーシアムにより行われるでしょう。
SIEFに対応するコンソーシアムの形式合意書の”ひな型”のようなものを入手している。多くのstakeholderが加入するHPV(>1000ton/年)のコンソーシアムagreementのfinalizeだけでも一年以上かかるような気がする。これでは、2010年の本登録作業に間に合わない事態にならないか。
コンソーシアムによる契約上の合意を準備するスピードは、2010年の本登録に間に合わせる上で重要です。特に、コンソーシアムの合意が得られないまま、技術上の作業を利害関係のない第三者の援助により開始しなければならない場合があります。我々は、実際のこうした事例を認識しています。
予備登録しSIEFのメンバーとなった後、急な方針に転換により登録自体を中止することになった。SIEFから脱退することに問題はないか。罰則みたいなものはないのか。
企業が物質の登録を中止する、またはある特定の物質に対する商業上の興味を失うことになりSIEFでの活動を停止する場合も、特に問題はありません。ただし、SIEF及び/またはコンソーシアムの契約上の合意には、例えば費用に関する義務が含まれている場合があります。
pre-consortia、CEFIC sector groupの活動主体(製品)を確認できるwebsiteを知っていたら教えてください。
予備コンソーシアムの情報については、以下を参照してください。
http://www.reach-compliance.eu/(B-Lands Consulting)
CEFICセクターグループについては、www.cefic.beを参照してください。
2. 評価
Session6:DUよりばく露情報がCBIであることが分かった場合、かつ、そのDUがコスト的にもCSRが書けないというケースでは、どのような救済措置があるのでしょうか。
この質問については、2つの状況が関係します。
- 特定の条件の下で企業が共同登録から抜ける(オプトアウト)。ただし、これにより一式文書の優先的評価が行われます。
- DUは、CSRの一部として掲載することになる物質の使用情報に責任があります。CBIを考慮する場合またはその他の理由から、DUがばく露及びリスク評価を個別に作成することは許されます(オプトアウトすることなしに)。
費用の理由からCSRを作成できない場合、これは登録を行わないことになります。
作業場ばく露の評価でEASEシステム”ベイズ法”という新たな統計処理方法を導入すると聞いているが、これはREACH評価に使用することになるのでしょうか。
我々が認知している唯一のEASEモデルは「物質ばく露の評価と査定(Evaluation and Assessment of Substance Exposure)」です。これは、新規物質および既存物質の評価を視野に入れて行う作業者のばく露評価に使用する現在のモデルです。新規の先進ツールは、ベイズ法(および確率的)技術を利用して、計測データを結合しモデルを生成します。この方法は開発中であり、2008年末までは利用できません。これはREACHにおけるリスク評価の一部として、第2階層ツールとして利用される予定です。このツールは、使用上の安全を示す場合に第1階層ツール(ECETOC TRAおよびStoffenmanager)があまりにも保守的な場合に役に立ちます。RIP 3.2-2も参照してください。
REACHのばく露評価ツールやモデルはまだ議論継続中と認識しています。EUSESやECETOC_TRA,EISchemrisksなど候補システムの絞込み状況はいかがなものでしょうか。また、それらをIUCLID5に組み込む計画の進展はどのようになっていますか。
a)ばく露、第1階層ツール
関連する第1階層ばく露ツールは、最近最終版となった技術ガイダンス文書に掲載されています。以下のものがあります。
- STOFFENMANAGER(作業者ばく露、吸入)。TNO及びArboUnie Netherlandsが設計。[https://www.stoffenmanager.nl/Default.aspxからダウンロード可能]
- CONSEXPO(消費者のばく露評価)
- ECETOC TRA(作業者ばく露及び、恐らく消費者のばく露についても:更新版の作成が予定されている)
- RISKOFDERM(作業者ばく露? 経皮 -使いやすいスプレッドシート形式版が来年初頭に利用可能となる)
第2階層ばく露ツール
新規の先進ツールで、ベイズ法(及び確率的)技術を利用して、計測データを結合しモデルを生成します。この方法は開発中であり、2008年末までは利用できません。これは、REACHにおけるリスク評価の一部として、第2階層ツールとして利用される予定です。このツールは、使用上の安全を示す場合に第1階層ツール(ECETOC TRAおよびStoffenmanager)があまりにも保守的な場合に役に立ちます。
環境リスク評価
EUSES(環境ばく露:オリジナル版及び表計算形式版)
b)一般的なIT支援ツール
上記第1階層ツールは、“ES Modifier”という新しいツールに統合されます。そのデモ版(EXCEL)が2008年中に使用可能になります。
CSR ITツールも開発中です。これは相対的に自動化した方法でIUCLID 5から関連情報を収集し、ばく露モデルと結合し、報告書に落とし込みます。このツールへは、(将来)いくつかの標準的ばく露シナリオを搭載する必要があります。設計図は2008年中期に完成予定ですが、ツール自体が利用可能となるのは少なくとも1年以上先となるでしょう。
3. 認可
内分泌かく乱物質の認可対象の可能性について、いわゆる欧州リスト(BKHリスト)中の第一優先リスト物質の取り扱いはどのように想定さるのでしょうか?
特定のリストはありません。しかし第57条(f)に従えば、内分泌かく乱物質は付属書XIVに含めることはできます。以下のQ&A 3-2を参照してください。
第59条第1項による候補物質リストの公表はいつになるのでしょうか?第33条に基づき情報伝達するので、検討する上で重要なタイミングです。
確かに、執筆時点では明確な時機についての情報はありません。規則(EC) No. 1907/2006第59条による第一の候補物質リストは、2008年秋口に公表予定です。各種の物質の特定プロセスが複雑なため、公表は早くて2008年8月になります。欧州化学物質庁がそのウェブ上で、リストを公表し定期的に更新を行います。 (http://www.echa.eu(ECHA))
米国政府はREACHガイダンスにおいて、付属書14で規定されている物質(substance)や認可されていない物質(substance)を含む成型品 (article)を国内で製造した場合には、自由に輸入することができると発表しました。同意しますか?
56条には、"unless the use(s) of that substance on ~ the incorporation of the substance into an article ~ has been authorized"とありますので、認可対象物質の成形品へのincorporationは認可されない限り禁止されているわけですが、それでは、域外でincorporateされた成形品ならば良いのかという議論です。やはり米国商務省のガイドの5ページ目に"The authorization provisions of REACH do not apply to imported articles." と明記されており、こちらの解釈かと思います。しかし、釈然としませんね。成形品中の物質のリスクが問題視されているならば、この解釈はあり得ないとも思うのです。
本回答はQ3-3に対応するものですが、Q3-4に対しても当てはまります。
第56条(a)及び (b)に、例外を規定しています。(a)では、物質が認可されEUに上市することができるようになる状況と認可の時期を記載しています。成形品に組み込まれた物質が認可された場合、これはEU域内でのみ上市できます(組成の0.1%以下の場合、その必要はありません)。
(b)は、第58条(2)を参照しています。ここでは使用に関する例外事項を記載しています。
REACHがEU域内で製造された物質とEU域内へ輸入された物質を平等に扱うことを考慮すると、EU域外で成形品に組み込まれた物質についても、同様の認可要件を課されることがないとはいえません。
33条の対象物質はcandidate listのなのか、認可対象物質(Annex XIV)なのか?
第33条は第59条 (1)及び候補物質リストを参照しており、付属書XIVに記載する前に議論できる余地が残されています。高生産量物質の多くは、現在調査中であることにご注意ください。
4. 動物試験
EU cosmetic Directive で動物試験がありますが、化粧品成分で動物試験が必要となった場合、REACHの下で動物試験を行うことは問題ないでしょうか。
化粧品指令とREACHの関係でECVAMの代替試験法の検討がおくれているようですが、2009年以降脊椎動物試験をした原料を化粧品に用いることができなくなることについてREACH登録の際の脊椎動物試験の取り扱いはどうするのでしょうか。
本回答はQ4-1に対応するものですが、Q4-2に対しても当てはまります。
本件は、事例毎の対応が必要な質問であると考えます。 REACHの標準的要件には、生産量の帯域により多種類の動物試験があります。読み取り法、証拠の重み付け、その他付属書XIにある科学的または技術上の理由による試験の法規を適用することによりエンドポイントが示される場合、こうした試験を実施することはできません。より大きな容量のための付属書IX及びXで行う動物試験の場合、試験に関する議論を含む提案は、一式文書に含める必要があります。提案および勧告の処理については、ECHAが評価します。こうした動物試験は、ECHAの認可を得る前には行われてはなりません。
化粧品含有物の安全性を示す動物試験は、REACHでは扱いません。こうした場合の安全性は、化粧品指令(Cosmetics Directive)で扱うからです。この指令で実施する動物試験は、2009年以降EU域内では禁止されます。物質の用途が二重または多重であり、すなわち、化粧品及び工業用途に使われている場合、REACHでは問題が生じることになります。
化粧品指令とREACHの関係でECVAMの代替試験法の検討がおくれているようですが、2009年以降脊椎動物試験をした原料を化粧品に用いることができなくなることについてREACH登録の際の脊椎動物試験の取り扱いはどうするのでしょうか。
内分泌かく乱物質の認可対象の可能性について、いわゆる欧州リスト(BKHリスト)中の第一優先リスト物質の取り扱いはどのように想定さるのでしょうか?
本回答はQ4-2に対応するものですが、Q3-1に対しても当てはまります。
現在のEUの方針では、EU域内または域外で実施する試験に違いはありません。これは一般的に適用されることです。ただし、特に意味を持つわけではありません[2009年以降、EU域外で実施する試験の利用は許されていないと解釈しています。
5. 除外
ECHAのガイダンス「Guide for monomer and polymer」にポリマー中のlight stabilizerやantioxidant(酸化防止剤)は登録免除と記されている。ポリマー中のこれらのadditiveの調査は考えなくともよろしいでしょうか。
光安定剤などのような添加物については、個別に登録する必要はありません。これらは、ポリマー内の物質の一部として考えるため、当該のポリマー物質の登録に含めてください。
食品に接触する材料に使用する添加剤やモノマーはEU指令でポジティブリストがあり、既に規制されているのですが、REACHの除外品になるのでしょうか。
EUの食品包装材指令はREACHとは別のものです。したがって、それらの物質を除外品とする必要はありません。これは、以下のようないくつかの要因に依存します。
- 2重量パーセント以上および1トン超の重合モノマー、及びポリマーと化合したその他の物質は登録する必要があります。
- 物質の安定性を維持する添加物は物質の一部であり、これらは1トンを超えて製造しない限り個別に登録する必要はありません。
- 不純物は物質の一部であり、個別に登録する必要はありません。
輸入されたポリマーと混合した素材(2次原料)の塊の場合、モノマーだけでなく着色剤などとして使われるその他すべての物質も登録する義務があります。ただし、上記に示す安定剤は例外とします。
ポリマーsubstanceはRIP3.10に基づくsubstanceと同じ扱いでよいのでしょうか。つまり、polymer substanceは80%以上のsingle polymer substanceからなる(80%ルールが適用される)と認識しています。Polymer substanceの合成時に使用するsurfactantsなどは不純物で輸入polymerでは登録が必要ないと認識しています。よろしいでしょうか。
単一成分物質:その成分自体により定義される物質です。この物質では、1つの主要成分を最低80% (w/w)含みます。
ポリマー:1種類以上のモノマー単位の連続によって特徴付けられる分子からなる物質を意味します。そのような分子は、そこでは分子量の差が主としてモノマー単位の数の差に帰せられる、ある範囲の分子量にわたって分布していなければなりません。ポリマーは次のものからなります。
(a) 分子の単純重量過半数が、最低1つの他のモノマー単位またはほかの反応物に共有結合している少なくとも3つのモノマー単位を含有する。
(b) 同一分子量の分子が単純重量過半数未満である。
この定義に照らせば、モノマー単位とは、ポリマー内でのモノマー物質の反応した形態。
不純物:不純物は物質の一部であるため、これを含有する物質を登録する必要があります。 不純物は、個別に登録する必要はありません。
ポリマーの中のモノマー量の計算について教えてください。別なポリマーポリマーA、Bを輸出している場合で、A,Bの中に同じモノマーCを共重合している場合、(いずれも2%以上含有)に年間1ton以上かどうか(登録が必要か)を判断する上で、A,B毎にモノマーC量を計算し、1tonの基準に照らせばよいのか、A,B中のC量を合計して判断するのか、どちらでしょうか。
残留モノマー総量が2%以上1トン/年以上であれば、登録が必要になると考えます。ポリマーA+Bの場合に、モノマーCがこれらの値を超える、また超えそうならば、登録の必要があると我々は考えます。
6. 輸入
第2条第7項 「再輸入」に関する控除事項は、代理人に適用できるのでしょうか? または、「再輸入」はEUの製造業にのみ適用されるのでしょうか?
EU共同体の輸出登録物質または調剤中の物質でEUに再輸入される物質には、同じツールを使用することが求められています。再輸入に当たっては、再輸入する物質が以前に輸出された物質とまったく同じであることを証明する必要があります。また、当該の輸入物質についての情報を第31条及び第32条に沿って提供することも必要です。
サプライチェーン(定義3(17)を参照すること)内において特定物質の関与者がこの以前に輸出され登録された物質(または調剤中の物質)を再輸入する場合、この関与者が川下使用者の役割及び責任を持ちます。
輸出実務担当者(輸出手段、保険、書類等の準備をする人)がREACH上行わなければならないことは何ですか。会社単位で各物質の数量を把握するのに苦労していますが物質がEUに入る際にどのような検査がなされるのでしょうか。
REACHにおける義務を満たす責任は、EU域内の輸入者にあります。輸入者は、第6条または第7条に従って、登録義務を遂行する必要があります。 日本企業が規則の第8条に従って唯一の代理人(OR)を指名する場合にのみ、責任はこの企業が負います。
輸入者/ORは、その他の詳細な情報の中の、適切なばく露シナリオ(ES)を含む製品安全データシート(MSDS)拡張版の要件に注意する必要があります。調剤の場合、複数のMEDSおよびESが関係する可能性があります。
EUにおける検査は、国および入国地点(例えばロッテルダム、アントワープ)により異なります。