━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 化学物質国際対応ネットワークマガジン 第104号 http://chemical-net.env.go.jp/ 2020/2/5配信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから 配信登録をされた方を対象にお送りしています。 第104号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】環境省からのお知らせ | 環境省 | |
【2】フィリピン | 最新動向 | Verisk 3E |
【3】湾岸協力会議標準化機構(GSO) | 最新動向 | Verisk 3E |
【4】欧州化学物質庁(ECHA) | 最新動向 | Verisk 3E |
【5】韓国 | 最新動向 | Verisk 3E |
【6】ベトナム | 最新動向 | ハニカム・テクノリサーチ |
【7】タイ | 最新動向 | ハニカム・テクノリサーチ |
【8】中国 | 最新動向 | ハニカム・テクノリサーチ |
【9】台湾 | 最新動向 | ハニカム・テクノリサーチ |
【10】あとがき | ネットワーク事務局 |
詳細は開催案内をご覧ください。
(参考)環境省ホームページ
https://www.env.go.jp/press/107677.html
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【2】フィリピン 最新動向
(1)環境天然資源省環境管理局(EMB)
ヒ素およびその化合物に関する最終的な化学品管理令(CCO)を発行
2019年11月8日、フィリピン環境天然資源省(DENR)環境管理局(EMB)は、ヒ
素およびヒ素化合物の化学品管理令(CCO)に関するDENR行政命令(DAO:DENR
Administrative Order)No2019-17を発行しました(※1)。
ヒ素およびその化合物、また水銀および水銀化合物を含む製品の製造と輸入は、新
しいCCOに基づくさまざまな規制管理に準拠することが必要になります。
・ CCO登録
・ 輸入通関
・ 労働者の安全に対する保護
・ ラベル貼付
フィリピンの法律および規制では、DENRがCCOを通じて「公衆衛生または環境に不
当なリスクまたは危険をもたらす」と考えられる化学物質のリストを発行および公開
することを義務付けています。この新しいCCOは、輸入業者、生産業者、加工業者、
輸送業者などの化学物質の使用と流通に関連する活動に関係するすべての関係者、な
らびに処理、保管、廃棄、および実験施設に適用され、肥料、農薬、木材防腐剤、化
学兵器の3つの産業での使用を対象としています。ただし、2016年に発行された第4
ドラフトに当初含まれていた、玩具、化粧品、商業用顔料や塗料などの特定の産業は
除外されています。
(※1)DENR DAO No. 2019-17(英語)
http://chemical.emb.gov.ph/wp-content/uploads/2019/11/DAO201917Arsenic.pdf
(2)環境天然資源省環境管理局(EMB)
新規化学物質届出におけるPLC免除に関する最終規則を発行
2019年11月8日に、フィリピン環境天然資源省(DENR)環境管理局(EMB)は、
ポリマーおよび低懸念ポリマー(PLC)の製造前および輸入前通知(PMPIN)プロセス
の免除に関するDENR行政命令(DAO)No. 2019-18を発行しました(※2)。
新しい命令(DAO No. 2019-18)は、2017年後半に当局から公布された3つのドラフ
ト命令に基づいて提供される規則案を確定し、PMPINプロセスからのポリマーおよび
PLCの免除に関する基準と要件について記載しています。
この規則の主要なセクションには次のものがあります。
1.免除の対象となるPLCの基準。たとえば、PMPINプロセスを免除するために、ポ
リマーはセクション3(s)および(t)で規定されているポリマーの定義およびそ
の他の基準を満たす必要がある。
2.フィリピンの化学物質インベントリ(PICCS)にモノマーが収載されている。
3.官能基当量(FGEW)、反応性官能基(RFG)、および数平均分子量(NAMW)を
含むセクション4(1)から(4)までの分子量に関する他の技術基準および条
件を満たす。また、不安定、分解または解重合しない。
申請者は、注文書のセクション5に詳述されている要件に従って申請書を提出しま
す。このプロセスでは、100%開示のポリマー組成(モノマーおよびその他の反応物の
CAS番号)と安全データシート(SDS)が必要となります。CBIの要求は、正当な理由
がある旨を、通知書を通して行われなければなりません。
(※2)DENR DAO No. 2019-18(英語)
http://chemical.emb.gov.ph/wp-content/uploads/2019/11/DAO201918Polymer.pdf
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【3】湾岸協力会議標準化機構(GSO) 最新動向
GHS規制の調和を目指したドラフト案を発行
湾岸協力会議(GCC;バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラ
ビア、アラブ首長国連邦)の加盟国における物質および危険有害性情報の分類基準と
して、GCC標準化機構(GSO)のドラフト案へのコメント提出期限が2019年11月26
日に締切られました(※3)。
GSOは、2019年6月6日に技術規制(TR)のドラフト案を発行しました。このドラ
フトTRは、物質と混合物を物理化学的危険性、健康有害性、環境有害性に従って分類
するための基準および安全データシート(SDS)とラベルの要件を含む有害性伝達要素
をGHSに調和させることを目的としています。このドラフトでは、特定のタイプの化
学製品の免除は規定されていません。分類とラベルに関するより具体的な規則を定め
るGCC各国固有の法律がない限り、GCCの市場に出され、GCC諸国に供給されるすべ
ての物質および混合物に適用されます。対象となる利害関係者は、化学物質を使用す
る消費者、労働者、輸送労働者、GCC諸国で化学物質を使用または供給する緊急対応
者です。
このドラフトには、化学物質の追加試験の確立や促進は含まれておらず、放射性物
質およびその混合物、非分離中間体、科学研究および開発用の化学物質および混合物、
医薬品、獣医製品、化粧品、食品、または飼料の形態の物質および混合物には適用さ
れません。このドラフトは成形品には適用されませんが、成形品に対してSDSを自主
的に提供することは可能です。
(※3)湾岸協力会議標準化機構(GSO) (英語)
https://www.gso.org.sa/gso/tcschedule/newProjectDetails.do?projectId=20609&setLocale=en
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【4】欧州化学物質庁(ECHA) 最新動向
「ケミカルユニバース」物質リストを公開
2019年12月4日、欧州化学物質庁(ECHA)は、EU化学物質管理当局が現在行って
いる、または将来取ろうとしている規制措置に従って、REACH登録物質のリストを
「ケミカルユニバース」として公開しました(※4)。
リストは、ECHAが実施する課題を表しており、加盟国とEU当局が懸念を持つ物質
に焦点を当て、必要に応じて適切な規制措置を特定するのに役立つ計画および監視ツ
ールとして提供されます。収載されている物質は、予測されるまたは欠如している規
制措置の種類に基づいて、5つの分類のいずれかに割り当てられています。5つの分
類は次のとおりです。
1.規制リスク管理が継続中:人間の健康と環境に有害性が確認されている物質
2.検討中の規制リスク管理:規制リスク管理のために現在検討されている物質
3.データ生成:さらなる規制措置が必要かどうかを結論付けるために追加情報を必
要とする物質
4.現在、提案される追加のアクションなし:当局が現時点で追加の規制アクション
を提案していない物質
5.未割当:REACHで現在登録されているが、他のプールのいずれにもまだ割り当て
られていない物質
ECHAは、2020年の終わりまでにこのタスクを完了することを目的として、現在、年
間100トン以上の物質の登録物質の分類に注力しており、すべての登録物質について、
2027年までにこの作業を完了することを目指しています。現在、18,000を超える登録
物質がまだ割り当てられていません(すなわち、上述の5に分類されています)。
(※4)ECHAのマッピングワーク (英語)
https://echa.europa.eu/universe-of-registered-substances
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【5】韓国 最新動向
労働安全衛生規則(ISHL)規制を最終決定と新しいMSDS提出スキームの実施
2019年12月24日と26日、韓国の雇用労働省(MoEL)は、施行令と労働安全衛生
規則(ISHL)の改訂を最終決定し、新しい物質安全データシート(MSDS)登録を義務
化しました。改訂された規制は、2020年1月16日に施行され、特定の要件に応じてさ
まざまな猶予期間が設けられています。
施行令と規則の最終改訂版の主な要件は以下のとおりです。
1.韓国労働安全衛生庁(KOSHA)にMSDSを提出する義務
化学物質またはその混合物を製造または輸入する会社は、KOSHAに製品名、
MSDSを提出する必要があります。MSDSには、製品名、MSDSの有害性とリスクの
分類基準に対応する化学物質名称とその内容、取扱い、安全と健康に関する注意
書き、物理化学的危険性、健康有害性、環境有害性情報を含める必要があります。
2.企業秘密(CBI)のためのMSDS監査システム
化学物質を製造または輸入する企業が化学情報を開示したくない場合には、
MoELの承認を得て、代替の化学物質名称と内容を提供できます。ただし、CBIに
は例外があり、ISHLおよび化学物質管理法(CCA)で管理されている危険有害化学
物質(現在、3,610物質)は監査の対象となります。また、KOSHAのMSDSデータ
ベースで「人間の健康と環境にとって非常に危険な物質」に分類されている5,995
物質は、CBIには適用されません。
3.ORシステム
海外メーカーによって任命され、MoELの要件を満たすことによって資格を与え
られた代表者(OR)のみがMSDSを提出し、CBI監査を申請できます。ORは事前
にMoEに報告する必要があります。
改訂された施行規則補足規定第9条によると、MoELは、製造または輸入の年間トン
数に応じて、MSDS提出期限に猶予期間を設定しています。
・ 1,000トン以上:2022年1月16日
・ 100トン-1,000トン未満:2023年1月16日
・ 10トン-100トン未満:2024年1月16日
・ 1トン-10トン未満:2025年1月16日
・ 1トン未満:2026年1月16日
(※5)MoELの告示 (韓国語)
https://www.moel.go.kr/info/lawinfo/revision/view.do?bbs_seq=20191200843
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【6】ベトナム 最新動向
(1)化学品局
「化学兵器禁止条約」に制限される化学品の年度申告に関する通知
化学品局は「化学兵器の開発、生産、貯蔵および使用の禁止並びに廃棄に関する条
約」(以下、「条約」という)に制限される化学品に対して、関係組織および個人に
年度申告を通知しました。詳細は次のとおりです。
1.表1~3の化学品を製造、取り扱い、加工、消費、貯蔵、輸出入を行う組織およ
び個人は、政令第38/2014/ND-CP号の第18、19条の規定に従い、申告を行う。
2.年間製造量が200t/y以上になるDOC化学品(Discrete Organic Chemicals、下記補足
説明参照)および年間製造量が30 t/y以上になるDOC-PSF化学品(DOC containing
the elements Phosphorus, Sulfur or Fluorine、下記補足説明参照)を取り扱う組織・個
人は、政令第38/2014/ND-CP号の第21条の規定に従い、申告を行う。
3.通知第55/2014/TT-BCT号の附属書に申告表の見本を規定した。
4.関連組織および個人が、期限内に申告しない場合、あるいは虚偽の申告をしたか、
または申告しない場合、化学品および工業爆発物など分野の行政処罰を規定する
2019年8月30日付政府法規第71/2019/ND-CP号の第33、34条の規定に従い、処
罰される。
補足説明:
・ 条約に制限される化学品とは、政令第38/2014/ND-CP号の表1-3に規定される
化学品であり、高い毒性から低い毒性まで、下記のように分けられています。
表1:有毒化学品8類(種)およびその前駆体物質4類(種)
表2:有毒化学品3類(種)およびその前駆体物質11類(種)
表3:有毒化学品4類(種)およびその前駆体物質13類(種)
・ DOC化学品:特定の有機化学品を指します。すべての炭素含有化合物が含まれ、
その酸化物、硫化物および金属炭酸塩は除外されます。
・ DOC-PSF化学品:リン、硫黄、フッ素のいずれかの元素を含む特定の有機化学品
を指す。
(※6)ベトナム政府官報(ベトナム語)
http://cuchoachat.gov.vn/default.aspx?page=news&do=detail&category_id=43&id=4415
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【7】タイ 最新動向
(1)有害物質リスト(第6版)B.E. 2562草案
WTOのサイトにて公告
2019年11月6日、有害物質リスト(第6版) B.E. 2562の草案が世界貿易機関(WTO)
にて公告され、意見が募集されました。農薬局が規制するリスト1.1のうち、14有害
物質をタイプ4有害物質に変更され、これらの有害物質を有する事業者は公告発効日
(2019年12月1日)から30日以内に、主管者の命令に従うこと(製造、輸入、輸出、
所持は禁止される)とされています。
この公告内容は、タイ工業省工場局(DIW)が2019年10月29日に公表した草案と
一致しています。
(※7)WTO (タイ語/英語)
https://members.wto.org/crnattachments/2019/TBT/THA/19_6300_00_x.pdf
(2)食品医薬品局
有害物質Chlorpyrifosの処理についての公告
2019年11月11日、食品医薬局 第531/2562号「食品医薬局が規制する有害物質
Chlorpyrifosの処理について」が公告されました。
タイ有害物質リスト(第5版)B.E.2562は、2019年10月17日から発効となりまし
た。リストに該当するタイプ4有害物質を有する製造者、輸入者、輸出者又は所持者
は、リストの発効日から180日以内に、主管者の命令に従うことが求められます。
そのため、食品医薬品局が規制するリスト4.1に該当するタイプ4有害物質である
ChlorpyrifosとChlorpyrifos-methylは、食品医薬品局の公告に従う必要があります。今ま
で食品医薬品局にChlorpyrifos-methylの登録を申請した事業者はないため、今回の公告
対象は登録実績のあったChlorpyrifosのみです。Chlorpyrifosを登録した製造者、輸入者
は下記に従わなければなりません。
1.市場で流通している当該物質を回収する。
2.返却された当該物質を受け取る。
3.食品医薬品局から当該物質を回収する。(食品医薬品局が所持するChlorpyrifosは、
地方の衛生管理機関が個人または営利的なサービスの提供事業者から取得したも
のである。)
4.食品医薬品局に有害物質Chlorpyrifosの総量を報告する。(上記1-3項の数量と
元々所持していた数量の合計。)
5.有害物質Chlorpyrifosを事業所で保管し、食品医薬品局の職員が数量を確認し、破
棄を管理する。
6.食品医薬品局に有害物質Chlorpyrifosの廃棄期限を報告する。その期限は2020年4
月16日を超えてはならない。
7.食品医薬品局の職員の監督の下、有害物質Chlorpyrifosを専門の焼却装置にて廃棄
処分する。2020年4月16日前に廃棄処分証明を食品医薬品局に提出しなければな
らない。
(※8)食品医薬局 (タイ語)
http://www.fda.moph.go.th/sites/Hazardous/SitePages/Content.aspx?IDitem=124
(3)タイ有害物質委員会
有害物質リスト(第6版)B.E. 2562草案に関する第1-1/2562回会議を開催
2019年11月27日、有害物質リスト草案(第6版)に関する第1-1/2562回会議が開
催されました。タイ有害物質委員会は、農業協同組合省(Ministry of Agriculture and
Cooperatives)の常務次官の意見を組み取り、有害物質リスト(第6版)B.E. 2562草案
中の有害物質リストおよび発効日について、下記のように決定しました。
1.ParaquatとChlorpyrifosをタイプ4有害物質に変更する事項を告示し、この規定は
2020年6月1日から発効となる。元の発効日である2019年12月1日より6ヶ月
遅れることとなる。有害物質リスト(第6版)草案において使用禁止のタイプ4
有害物質であるGlyphosateは、2018年5月23日に定められた使用制限措置への適
用が求められる。
2.関連分野および公衆への影響を低減するため、有害物質ParaquatとChlorpyrifosの
代替物質または代替方法を選定する対策を制定する権限を、農業局(Department
of Agriculture)と農業協同組合省に与える。対策の決定日より4ヶ月以内に有害物
質委員会に提出し、そこで審議を行う。
(※9)タイ工業省工場局 (タイ語)
https://www.diw.go.th/hawk/showinfo.php?id=2730
(4)タイ工業省工場局(DIW)
「工業省が規制する有害物質の通過申告、許可申請および通過証の発行ルール、方式
および条件B.E.2562」が正式に発効
タイ工場局(DIW)は2019年9月3日に「工業省が規制する有害物質の通過申告、
許可申請および通過証の発行ルール、方式および条件(草案)」を告示しました。当
該告示は2019年11月28日に政府官報に正式に公表され、11月29日から発効となり
ました。草案からの変更点は以下のとおりです。
1.通過申請可能な有害物質は、有害物質リストのうち、工業省が規制するリスト 5.1-
5.5に収載されるタイプ1、2、3の有害物質のみとする。
2.通過活動の事業者は、タイで登録した有害物質や化学品の輸出入業務に従事する
法人であり、且つ税関法が規定する通過や積み替え許可を取得した通関登録者で
なければならない。
3.事業者は、タイプ1とタイプ2の有害物質の通過ごとに、工業省の所定申請表と
書類を工業省のシステム/現場にて提出すること。もしくは工場局の所定方式で事
前に主管担当者に知らせること。主管担当者が受理し、申請表の最後に詳細情報
を記入すれば、当該申請表は通過証となる。
4.タイプ3の有害物質の通過について、事業者は所定申請表と書類を工業省のシス
テム/現場にて提出すること。もしくは工場局の所定方式で許可申請を提出するこ
と。主管担当者は許可の証明として通過証を発行する。
5.通過証の審査期間は、完全な申請書類の提出(担当者は受理済みの証明を発行す
る)後15営業日である。担当者が審査によって通過証を発行しないと決定した場
合、受理証明の発行日から7日以内に通過事業者に知らせる。
6.複数の有害物質製品や商品名に通過証を発行しても良い。この際、当該通過証に
該当するすべての製品や商品名が同じインボイスに記載されなければならない。
また、通過証を受領するとき、申請者は国際船荷証券(Bill of Ladingあるいは
Airway Bill等)を提示することが求められる。
7.有害物質の通過前に、事業者は保証金を支払わなければならない。通過時に異常
が発生した場合、有害物質の処分または管理で発生した費用を相殺するために保
証金が使用される。
8.有害物質通過後、事業者は通過証と貨物通過輸送文書のコピー、あるいは貨物通
過移転文書のコピーを工場局に提出し、保証金の払い戻しを申請できる。
9.通過の有害物質は税関の通過許可後5日以内にタイから国外へ輸送すること。
10.通過証の内容を変更したい場合には、紙媒体の申請書、変更したい通過証およ
びその他関連資料を提出する。ただし、有害物質の名称、化学式、組成比、性状
の変更は禁止される。
(※10)タイ工業省工場局 (タイ語)
http://oaep.diw.go.th/haz/wp-content/uploads/2019/12/Rules-procedures-conditions-for-requesting-permission2-12-62.pdf
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【8】中国 最新動向
(1)生態環境部
「危険廃棄物鑑別標準 通則」(GB 5085.7-2019)の公布
2019年11月12日、生態環境部は「危険廃棄物鑑別標準 通則」(GB 5085.7-2019)
を正式に公布しました。本標準は国家危険廃棄物鑑別標準の構成部分であり、固体廃
棄物、危険廃棄物等専門用語の定義、危険廃棄物の鑑別手順と鑑別規則が規定されて
います。本標準は、生産、生活およびその他活動で生じる固体廃棄物の危険特性鑑別
と液体廃棄物の鑑別に適用されます。旧版からの主な変更点は次のとおりです。
1.鑑別手順を更に明確化した。
2.危険廃棄物の混合と利用処置後の判定規則を細分化した。
本標準は、2020年1月1日から実施されました。
(※11)生態環境部 (中国語)
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/201911/t20191114_742433.html
(2)生態環境部
登記証未取得で新規化学物質を生産した3社の違法行為に関する処罰状況を発表
2019年11月19日、生態環境部は、登記証未取得のまま新規化学物質を生産した3
社の違法行為に関する公告を初めて発表しました。3社の企業は、江蘇省1社、山東
省2社です。これら企業は、新規化学物質環境管理登記証を取得せず、違法に新規化
学物質を生産しました。このことは「新規化学物質環境管理弁法」(環境保護部7号)
の第四十五条、地方処罰事項一の(二)に反する行為(「登記証未取得或いは登記証
の規定に反して新規化学物質を生産、輸入した」)です。
現在、現地の地方生態環境局が法規に準じて行政処罰を行っています。罰金は1万
元から2万元となります。
生態環境部および地方生態環境部は、処罰情報を公開すると同時に、企業の違法行
為を「信用中国」の企業信用度公示サイトにも記録しました。こうすることで、当局
の監督管理の徹底を示しています。
(※12)生態環境部 (中国語)
江蘇省:
http://www.mee.gov.cn/ywgz/gtfwyhxpgl/hxphjgl/xhxwz/201911/t20191119_743219.shtml
山東省:
http://www.mee.gov.cn/ywgz/gtfwyhxpgl/hxphjgl/xhxwz/201911/t20191119_743220.shtml
(3)交通運輸部・工業情報化部等
「危険貨物道路運輸安全管理弁法」の正式公布
2019年11月28日、交通運輸部、工業情報化部等6つの部門は、「危険貨物道路運
輸安全管理弁法」(以下、「弁法」という)を正式に公布しました。2020年1月1日
から施行されました。
「弁法」は、全10章79条から成り、総則、危険貨物の託送、危険貨物輸送の除外
数量と数量制限の特別規定、危険貨物の運送請負、危険貨物積み卸し、危険貨物運輸
車両およびタンクローリーのタンク本体、ポータブルタンク、タンクコンテナ、危険
貨物輸送車両運行管理、監督検査、法的責任および附則が含まれています。主な内容
は下記のとおりです。
1.託送、運送請負、積み卸し段階の管理を強化する。
2.危険貨物の除外数量、有限数量の特別管理要求を明確化した。
3.また、危険貨物ではない有害化学品、免除管理の対象となる危険廃棄物および
診断用放射性医薬品の道路運輸安全管理は、本弁法には適用されない。
(※13)交通運輸部 (中国語)
http://xxgk.mot.gov.cn/jigou/fgs/201911/t20191128_3302982.html
(4)広州市応急管理局
「広州市第一組危険化学品禁止、制限、管理目録(試行)」の正式公布
2019年12月12日、広州市応急管理局より正式に「広州市第一組危険化学品禁止、
制限、管理目録(試行)」(以下「広州市目録」という)が公布されました。主な内
容は以下のとおりです。
1.「広州市目録」は、総則、禁止部分、制限と管理部分、附則という四つの部分、
および「禁止危険化学品リスト」(145種)、「制限と管理危険化学品リスト」
(635種)、「重点監督管理危険化工プロセスリスト」(18種プロセス)という
三つのリストから成る。
2.「禁止危険化学品リスト」に収載される危険化学品は、広州市内全域において、
生産、保管、販売、運送、使用という全段階で禁止される。
3.「制限と管理危険化学品リスト」に収載される危険化学品は、中心区域である越
秀区、荔湾区、海珠区、天河区において、使用、運送、卸売販売のみが許可され
る。越秀区、荔湾区、海珠区、天河区以外の区域では、生産、保管、使用、運送、
販売が許可される。
4.「禁止危険化学品リスト」および「制限と管理危険化学品リスト」に未収載のそ
の他危険化学品(危険化学品品種禁止部分を除く)は、市内全域において、国家
標準に適合する試剤(単一包装単位は25L以下、固体は25kg以下)の形でのみ流
通が認められる。
「広州市目録」は2020年1月1日から施行されました。有効期間は3年です。
(※14)広州市広報 (中国語)
http://www.gz.gov.cn/gzswjk/2.2.38/201912/e55df2a1e9d649ff9b6a78f667e99d6a.shtml
(5)生態環境部固体廃棄物および化学品管理技術センター
2019年新規化学物質の年度報告に関するお知らせ
2020年1月1日、年度報告システムソフトウェアが使用できるようになりました。
簡易申告および危険類新規化学物質の登録証所持者は、規定により2020年2月1日ま
でに年度報告を行わなければなりません。また、年度報告の提出手順は去年と同様で
す。
(※15)生態環境部固体廃棄物および化学品管理技術センター(MEPSCC)(中国語)
http://www.mepscc.cn/zhxx/tzgg/201912/t20191213_748670.shtml
(6)中国人民代表大会
固体廃棄物環境汚染防止法(改正草案二次審議稿)への意見募集稿
2019年12月28日、中国人民代表大会ウェブサイト上に「中華人民共和国固体廃棄
物環境汚染防止法(改正草案二次審議稿)」が公表され、意見が募集されました。今
回の二次審議稿は、2018年の改正草案(意見募集稿)と比べ、より大きな変更があり
ました。主な内容は以下の通りです。
1.国務院生態環境主管部門は、その他部門と共同で全国危険廃棄物等固体廃棄物環
境汚染防止情報プラットフォームを構築し、固体廃棄物の収集、移動、処分等の
全段階における監視と情報化のトレーサビリティを推進する。同時に、固体廃棄
物を発生、収集、貯蔵、運送、利用、処分する組織とその他生産経営者の信用記
録制度を構築し、これら組織を全国信用情報共有プラットフォームに組み入れて
管理する。
2.輸入段階において、税関が固体廃棄物と疑われる輸入貨物を発見した場合、專門
機構に属性鑑別を委託し、且つ鑑別結果に従って法に則る管理を行うことができ
る。
3.工業固体廃棄物を生じる組織は、工業固体廃棄物環境汚染防止責任制度を構築し、
工業固体廃棄物管理台帳を作成すること。固体廃棄物を委託処理する場合、受託
者の資格、技術を審査すること。
4.固体廃棄物環境汚染の違法行為の罰則を大幅に引き上げる。例えば、規制対象の
設備を生産、販売、輸入あるいは使用した場合、または規制対象の生産プロセス
を採用した場合、従来は是正を命じるのみであったが、それに加えて10万元以上
100万元以下の罰金を科し、違法所得を没収する。状況が重大である場合、許可権
を有する人民政府に報告して、閉鎖・生産停止を命じることになった。
5.第五章に建築業、農業等の固体廃棄物、第七章に保証措置を追加し、各種固体廃
棄物汚染防止を保障する措置を講じた。
(※16)中国人民代表大会 (中国語)
http://www.npc.gov.cn/wxzl/gongbao/2005-02/24/content_5337674.htm
(7)生態環境部、商務部、税関総署
「中国で厳格に制限される有害化学物質名録」(2020年)の公表
2019年12月31日、生態環境部、商務部、税関総署は「中国で厳格に制限される有
害化学品名録」(2020年)を公表しました。「中国で厳格に制限される有害化学物質
名録」(2020年)に収載される有害化学物質を輸入または輸出する場合、関連規定に
従って、環境保護部に有害化学物質輸(出)入環境管理通行通知書を申請しなければ
なりません。輸出入事業者は有害化学物質輸(出)入環境管理通行通知書を提出して、
税関に輸出入手続きを申請します。本名録は2020年1月1日から実施され、同時に
「中国で厳格に制限される有害化学物質名録」(2018年)は廃止となります。
「中国で厳格に制限される有害化学物質名録」(2018年)からの主な変更点は以下
のとおりです。
1.リンデンの類別を取り消した。環境部公告2019年第10号において、2019年3月
26日からリンデン等の残留性有機汚染物質の生産、流通、使用と輸出入は禁止さ
れている。
2.ペルフルオロオクタンスルホン酸カリウム、エチル(ヘプタデカフルオロオクチ
ルスルホニル)アミン等の7種物の質は、その他のペルフルオロオクタンスルホ
ン酸類とは別に単独で収載された。また、具体的な化学物質名称とHSコードが示
された。
3.水銀含有混合物とアマルガムについて、含量95%以上の場合、当該名録(以前は
水銀のみが収載され、且つ含量は示されていなかった)での対応が必要とされ、
また、水銀とアマルガムのHSコードが示された。
4.トリブチルスズ化合物の7つの具体的な類別、そして化学物質名称が収載された。
5.短鎖塩素化パラフィンが定義され、HSコードが変更された。
(※17)生態環境部 (中国語)
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/201912/t20191231_756318.html
(8)応急管理部
「危険化学品企業の生産安全に関する事故応急準備指南」の公布
2019年12月31日、応急管理部より〔2019〕62号公告「危険化学品企業の生産安全
に関する事故応急準備指南」が公布されました。当該指南は、危険化学品企業が法に
従って応急準備作業を展開するための重要なツールであり、安全に生産するための応
急管理に係る教育訓練など、重要な内容を示しています。主な内容は以下のとおりで
す。
1.危険化学品の生産、使用、経営、保管組織(上述「危険化学品企業」のこと)が、
法に従って、生産安全に係る事故の応急準備作業を実施する上での内容を規定。
組織と職責、法律法規、リスク評価、教育研修と訓練、応急処置と救援等、14要
素を含む。
2.各要素の各項目について規定。例えば、組織と職責には、応急組織、職責任務と
いう2つの項目を含む。
3.附属資料として「危険化学品企業の生産安全に関する事故応急準備作業表」を示
した。各項目の内容に対して、具体的な規定および法的根拠を示した。
(※18)応急管理部 (中国語)
https://www.mem.gov.cn/gk/tzgg/tz/201912/t20191231_342960.shtml
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【9】台湾 最新動向
優先管理化学品届出 作業の手引(2019年12月改訂版)を更新
2019年12月31日、「優先管理化学品届出 作業の手引」は、第5版へと更新され
ました。概要は以下のとおりです。
1.旧版(2018年12月版)で追加した附属書1、2、3は、この度公告指定された優
先管理化学品を含んでいる。
2.中央主管機関より公告した方法で指定情報サイトに登録するための「化学品届出
および許可プラットフォーム」システムはバージョン変更されているため、手引
きにおけるプラットフォーム操作のスクリーンショットを更新した。
3.事業者が準拠しやすいよう、「化学品届出および許可プラットフォーム」におけ
る有害成分データベースについて、GHS適用の三段階危険物質リストを更に追加
した。
4.安全衛生センターが「化学品届出および許可プラットフォーム」に追加したシス
テム機能<付加的なサポート>について、補足説明を追記した。
(※19)労働部職業安全衛生署 (中国語)
https://prochem.osha.gov.tw/content/info/DownloadList.aspx?Classify=2
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【10】あとがき
本号では、フィリピン、湾岸協力会議標準化機構(GSO)、欧州化学物質庁
(ECHA)、韓国、ベトナム、タイ、中国そして台湾の最新動向について特集いたしま
した。
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