━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
化学物質国際対応ネットワークマガジン 第92号
http://chemical-net.env.go.jp/
2018/9/4 配信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。
第92号は、以下の内容をお送りいたします。
─────────────────────────────────────
【1】オーストラリア 最新動向 | Verisk 3E |
【2】コスタリカ 最新動向 | Verisk 3E |
【3】欧州化学物質庁(ECHA) 最新動向 | Verisk 3E |
【4】米国 最新動向 | Verisk 3E |
【5】中国 最新動向 | ハニカム・テクノリサーチ |
【6】台湾 最新動向 | ハニカム・テクノリサーチ |
【7】あとがき | ネットワーク事務局 |
─────────────────────────────────────
【1】オーストラリア 最新動向
危険物輸送コードの最新版の公開
2018年7月1日にオーストラリア危険物輸送規範(ADGC; Australian Code for the
Transport of Dangerous Goods by Road and Rail)の最新版(Version 7.6)が公開
されました(※1)。このコードは、国際連合危険物輸送に関する勧告(UNRTDG)モ
デル規則の第20改訂版に沿っています。
オーストラリアの全国交通委員会(NTC; National Transport Commission)は、
2017年12月にこの規則のドラフト版を発行し、2018年6月に承認しました。新しい版に
含まれる変更は2018年7月1日以降有効になっていますが、1年の移行期間が終わる
2019年7月1日から強制となります。
新版の主な変更点は次のとおりです。
· リスクの低い微量危険物の輸送を簡素化するための規定の採択。
(UN20第3.5章 微量)
· 移動処理ユニット(MPUs; mobile processing units)が各管轄内での運用を認
可されている限り、他の法律で重複している要件を削除するため、コードからM
PUsの免除。MPUsは、爆発物を製造し使用する鉱業事業のために設計された車両
です。
(※1)全国交通委員会(NTC)(英語)
http://www.ntc.gov.au/about-ntc/news/media-releases/new-changes-for-the-transport-of-dangerous-goods/
─────────────────────────────────────
【2】コスタリカ 最新動向
有害化学物質の規制(GHS)の移行期間の開始
2018年5月2日現在、コスタリカにおける化学製品の登録に関する規制が施行され
ています。2017年11月2日、保健省は技術規則478:2015‘Chemical Products. Hazar
dous Chemical Products; Registration, Importation and Control.’を承認し、De
cree 40705-Sを発効しました(※2)。この規制は、化学品の登録、登録の更新およ
び国連GHS第6版の観点から化学品の分類および表示の準拠について規定しています。
Decree 40705-Sの下、現在の登録または通知について、製品の既存の日付に応じて、
化学物質の登録および通知の段階的なレビューを実施しています。
現在、コスタリカにおける有害化学物質規制は、このDecree 40705-Sと、2017年4月
20日のGHS第6版に準拠した分類と表示を要求するDecree 40457-Sと併せ、国連GHSと整
合したものとなっています。登録と通知の移行期間は以下のように定められています。
· 1999年10月6日から2005年12月30日までに登録または通知された製品:1.5年
· 2006年1月から2008年12月の間に登録または通知された製品:2.5年
· 2009年1月から2011年12月までに登録または通知された製品:3.5年
· 2012年1月から2018年5月までに登録または通知された製品:5年間
(※2)技術規則478:2015のDecree 40705-S(スペイン語)
http://www.pgrweb.go.cr/scij/Busqueda/Normativa/Normas/nrm_texto_completo.aspx?param1=NRTC&nValor1=1&nValor2=85223&nValor3=110162&strTipM=TC
─────────────────────────────────────
【3】欧州化学物質庁(ECHA) 最新動向
5つの新しい調和分類とラベリングについて公開協議を開始
2018年7月18日、欧州化学物質庁(ECHA)は、4つの新しいCLH(調和分類・ラベル
表示)の公開協議と1つのCLH対象協議を開始しました(※3)。CLHの協議の締め切
りは2018年9月18日、対象となる協議の締め切りは2018年8月1日です。
CLH対象の協議は、EUの殺生物性製品規則(528/2012/EC)において、製品タイプ2,
6,7,9,10および21、すなわち消毒剤、防腐剤、防汚製品、リンスオフおよびリーブオ
ン化粧品中の活性物質であるピリチオン亜鉛です。2018年5月のリスクアセスメント
委員会後、この物質に関して新たな調査結果および情報が得られたため、ECHAは新し
い調査結果の知見について評価するために公開協議を開始しました。
CLP規則(分類とラベル表示規則)の附属書VIに基づき4つの新物質に対して提案さ
れている有害性クラスは以下のとおりです。
· 2,2-ジブロモ-2-シアノアセトアミド; [DBNPA](EC 233-539-7; CAS 10222-01-2)
は、殺菌剤中の消毒剤および防腐剤として使用される活性物質です。CLP規則の
附属書VIには、既存の統一された分類と表示が存在せず、コメントは、物理的危
険有害性、呼吸器感作性および吸引性有害性を除くヒトの健康有害性クラス、お
よび環境有害性クラスに対して求められています。
· トルクロホスメチル(ISO); O-(2,6-ジクロロ-p-トリル)O、O-ジメチルチオホス
フェート(EC 260-515-3; CAS 57018-04-9)は殺菌剤として植物保護製品に使用さ
れる活性物質です。CLP規則の附属書VIには、既存の調和した分類とラベル表示
があり、コメントは、物理的危険性およびヒトの健康有害性クラスに対して求め
られています。
· 二硫化二ニッケル;亜硫酸ニッケル; [1] ヒーズルウッド鉱[2](EC 234-829-6
[1] - [2]; CAS 12035-72-2 [1] 12035-71-1 [2])は、主に物品、製剤または再
充填に使用される工業用化学物質です。CLP規則の附属書VIには既存の調和した
分類とラベル表示があり、コメントは、急性毒性有害性分類に対して求められて
います。
· サリチル酸ベンジル(EC 204-262-9; CAS 118-58-1)は、エアーケア製品(空気用
芳香剤など)の紫外線吸収物質、殺生物剤(消毒剤、害虫駆除剤など)、香水や
艶出し剤、ワックス、洗濯および洗浄製品の中で主に使用される工業用化学薬品
です。CLP規則の附属書VIには、既存の統一された分類とラベル表示が存在せず、
コメントは皮膚感作性有害性分類に対して求められています。
(※3)ECHA Weekly news(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-weekly-18-july-2018
─────────────────────────────────────
【4】米国 最新動向
TSCAに基づく145の化学物質の直接最終ルールでSNURを発行
2018年8月1日、米国環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)第5条(a)(2)
の権限の下で、145の化学物質に関する重要新規利用規則(SNUR; Significant New U
se Rule)の提案を発行しました(※4)。この提案は、規則制定のプロセスを迅速
化する手段として、早ければ2018年10月1日にもSNURを有効にできる直接最終規則を
伴っています。
SNURに記載されている物質は、以前は製造前届出(PMNs)の対象となっていました
が、これらPMNsが精査され、セクション5(e)同意指令対象のSNUR収載物質も作成され
ました。この規則の下、化学名および関連するPMNsで物質を識別し、各物質の同意命
令の発効日が指定されます。
(※4)連邦官報(英語)
https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2018-08-01/pdf/2018-15995.pdf
─────────────────────────────────────
【5】中国 最新動向
(1)生態環境部(旧環境保護部)
「中華人民共和国固体廃棄物汚染環境防止法改正草案」の意見募集
2018年7月11日、生態環境部は、生態環境保護を強化するため「中華人民共和国固
体廃棄物汚染環境防止法改正草案」の意見募集を発表しました(※5)。パブリック
コメントの募集は2018年8月18日までとなっており、対象者は中国の製造者、輸入者、
使用者などとなっています。この草案のポイントは以下のとおりです。
【ポイント】
1. 情報公開と市民参加の促進
2. 費用管理対策の強化
· 違反金の上限の引き上げ
· 危険廃棄物の排出費用を廃止し、固体廃棄物の排出企業への環境保護税の課税
3. 責任者の明確化
· 「産業固体廃棄物登録制度」から「固形廃棄物排出許可制度」への移行
· 固体廃棄物の移動は書面化の義務
4. 固体廃棄物の輸入管理制度の見直し
固体廃棄物の輸入管理制度を見直し、「輸入ごみ入国禁止固形廃棄物輸入管
理制度の改革実施計画の推進」を促進
5. 段階的管理要件制度の策定
危険廃棄物管理制度を見直し、危険廃棄物識別手順と企業管理要件を厳格化
した段階的管理要件制度の策定
(※5)生態環境保護部(中国語)
http://www.mee.gov.cn/gkml/sthjbgw/stbgth/201807/t20180717_446712.htm
(2)海関総署
税関申告書と検査申告書を統合した新しい税関申告書の実行
2018年8月1日より、海関総署は、税関輸出入貨物に係る税関申告書と検査申告書
を統合した税関申告書の実行に踏み切りました。税関申告と検査申告に係る項目を統
合し、229から105項目となりました。さらに、税関検査に係る添付書類を74から10に、
監督証明書類を102から64に削減しました。他方、貨物の保管場所や国外船積み港の
記載が項目として追加されました。当該作業は手続きの簡略化の一環として実行され
たものです。(※6)
(※6)海関総署(中国語)
http://www.customs.gov.cn/customs/302249/302425/1949613/index.html
─────────────────────────────────────
【6】台湾 最新動向
台北で既存化学物質標準登録の措置に関するセミナーを開催
2018年8月22日に、台北で既存化学物質標準登録の措置に関するセミナーが開催さ
れました。当該セミナーは、行政院環境保護署毒物及び化学物質局と安全衛生センタ
ーの協同開催となりました。「新規化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」改正草
案の付表6(2018年3月27日に公告)における標準登録既存化学物質106種の実施方法、
そしてシステムプラットフォームの運用及び登録資料等について説明がなされました。
(※7)安全衛生センター(中国語)
http://www.sahtech.org/content/ch/act/Act1Detail.aspx?enc=9198CBE49184ED3A2BA5EDDED3A43F7E
─────────────────────────────────────
【7】あとがき
本号では、オーストラリア、コスタリカ、ECHA、米国、中国、台湾の最新動向に
ついて特集いたしました。
読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の
「お問い合わせ」のページからお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
─────────────────────────────────────
■本マガジンは、平成30年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
センターが運営しております。
一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
→
http://www.oecc.or.jp/
環境省総合環境政策局環境保健部
→
http://www.env.go.jp/chemi/index.html
化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
→
http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、毎月1回の配信を予定しています。
メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを
御覧ください。
→
http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html
■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更及びご意見・ご要望
等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。
→
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行元:一般社団法人海外環境協力センター
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ページの先頭に戻る↑