1. 化学物質国際対応ネットワークTOP
  2. >メールマガジン
  3. >メールマガジン 第98号

メールマガジン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第98号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2019/2/28 配信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第98号は、以下の内容をお送りいたします。
─────────────────────────────────────
【1】カナダ     最新動向 Verisk 3E Japan
【2】オーストラリア 最新動向 Verisk 3E Japan
【3】欧州ECHA    最新動向 Verisk 3E EU
【4】欧州      最新動向 Verisk 3E EU
【5】中国      最新動向 ハニカム・テクノリサーチ
【6】台湾      最新動向 Verisk 3E Japan/ハニカム・テクノリサーチ
【7】あとがき         ネットワーク事務局
─────────────────────────────────────
【1】カナダ 最新動向
2017-18年のCMP優先順位付け行動の結果を発表

 2019年1月、カナダの環境気候変動省と保健省は、2017-18年度レビューのリスク
アセスメント優先順位の特定(IRAP: Identification of Risk Assessment Priorit
ies)の結果を発表しました(※1)。
 IRAPは、1999年カナダ環境保護法(CEPA)の第5部に基づいて採用された、新しい
情報が容易に入手可能になった物質を評価するための周期的なプロセスです。今日
までに8,400以上の物質が評価されており、2017-18年のIRAPの結果は、評価された
物質のおよそ15%が危険性と更なる規制措置に値するばく露の十分な指標を持って
いたことを示しています。
 2017-18年度IRAPレビューでは、以下に関する新しい情報の出典に焦点が当てられ
ました。

 ・過去5年間で評価されておらず、化学物質管理計画(CMP)の下で評価の予定もさ
  れていない、CEPAの「国内物質リスト」(DSL)上の物質。
  
 ・ある時点で十分な期間を経て評価されたが、法令第64条の定義の範囲内でCEPA
  毒性ではないことが判明した物質。
  
 ・「データ収集」または「国際的活動」の結果が割り当てられた、以前のIRAPレ
  ビューサイクルで特定された物質。
  
 ・同法第75条、すなわちすべてのレベルでのカナダ自治領と経済協力開発機構(OE
  CD)の加盟国との間の協力および情報交換に関する規定に基づき見直しを必要と
  する可能性があると特定された物質。

(※1)リスクアセスメント優先順位の特定(IRAP)(英語)
https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/identification-risk-assessment-priorities-irap-2017-18.html

─────────────────────────────────────
【2】オーストラリア 最新動向
GHS移行措置の規則を更新

 2018年12月13日、オーストラリア労働安全庁(SWA)は、労働安全衛生法改正(危
険有害化学物質の表示)規則2018を公表しました(※2)。この規則は、2011年労
働安全衛生規則(WHS)を改正し、有害化学物質の表示に関して、以下の方針を有効
にします。

 ・GHS実施のための経過措置を規定(規則341および342)
   この項目には、2017年1月1日以前に製造または輸入され、使用、保管、およ
  び取扱う際に、国家労働安全衛生委員会(NOHSC:2012(1994))によって要求
  されている正しいラベル表示が添付されている有害化学物質について、継続的
  な免除を提供するために、新しい副規則341(2)および342(2)が追加されて
  います。この追加により、古いNOHSCラベル表示の付いた製品は、ラベル表示を
  付け直すことなしに、サプライチェーンおよび作業場所から合理的に廃止する
  ことができます。
  
 ・有害化学物質のラベル表示に他の表示制度で要求されているラベル要素を重複
  して含める必要はないことを明確化(規則335)
  
 ・GHS職場の表示要件から、すでに他の表示制度の対象となっており、他の法律の
  下で適切に規制されている(Agvet Code)、特定の動物用医薬品を除外(規制3
  35)
  
 ・モデルのWHS法に準拠するためのいくつかの軽微な更新と技術的な性質の修正

 この改正規則は、2018年1月14日に連邦法登録簿に登録され、2019年1月1日に
発効しています。

(※2)オーストラリア連邦法登録簿(英語)
https://www.legislation.gov.au/Details/F2018L01766

─────────────────────────────────────
【3】欧州ECHA 最新動向
意図的に添加されるマイクロプラスチックの制限を提案

 2019年1月30日、欧州化学物質庁(ECHA)は、一般消費者用製品および業務用製
品に対して意図的に添加されるマイクロプラスチック粒子の制限に関する提案を提
出しました(※3)。ECHAが提案した制限は、製品に意図的に添加されるマイクロ
プラスチックを対象としています。マイクロプラスチックの定義は広く、典型的に
は5 mm未満で(生)分解が困難な合成樹脂の粒子とされています。対象とされてい
るのは、化粧品、洗剤、メンテナンス製品、塗料、コーティング剤、3D印刷用品、
建築資材、医療用品、医療機器、農業・園芸用品、石油・ガス分野で使用される製
品等で、さまざまな分野の消費者向けおよび業務用製品を広範にカバーしています。
 もし採用されれば、この制限によりEUで環境に放出されるマイクロプラスチック
の量を20年間で約40万トン減らすことができるとされています。なお、EU加盟国の
中には、主に洗い流す化粧品など、特定の種類の製品へのマイクロプラスチックの
使用禁止をすでに導入している国もあります。

(※3)ECHA 提案文書(英語)
https://echa.europa.eu/registry-of-restriction-intentions/-/dislist/details/0b0236e18244cd73

─────────────────────────────────────
【4】欧州 最新動向
SVHCとしてのDEHPのエントリーに関する欧州司法裁判所の判決

 2019年1月23日、欧州司法裁判所は、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP、
EC 204-211-0、CAS 117-81-7)に関し、総合裁判所が2017年5月に下した判決に対
してチェコスロバキアの企業が提起した上訴を完全に棄却する判決を下しました(
※4)。これにより、欧州司法裁判所は、ECHAがSVHC候補リストに既に収載してい
る化学物質のエントリーに新しい特性を追加できることを確認しました。
 DEHPは、BBP、DBPおよびDIBPとともにヒトに対する内分泌かく乱物質であるとし
てREACHのSVHC候補リストに掲載されています。その中で、DEHPのみ、さらに環境に
対しても内分泌かく乱物質作用があるとして収載されています。

(※4)欧州連合司法裁判所の判決(英語)
http://curia.europa.eu/juris/document/document_print.jsf?docid=210172&text=&dir=&doclang=EN&part=1&occ=first&mode=lst&pageIndex=0&cid=8431644&_cldee=bW5pc2hpbXVyYUAzZWNvbXBhbnkuY29t&recipientid=lead-8dc8fcd4c0e0e71180fa005056952b31-be84bf64aef54e179a523dfef0f032f4&esid=cf706a7a-7824-e911-8109-005056952b31

─────────────────────────────────────
【5】中国 最新動向
(1)生態環境部
「中国既存化学物質名録」の増補についての公告

 2019年1月14日、生態環境部は、中国既存化学物質名録の増補の公告に関して発
表しました。
 生態環境部は、「新規化学物質環境管理弁法」(環境保護部令 第7号)及び「新
規化学物質環境管理登記に関連する事項についての通知」(環弁(2010)123号)の
関連要求に基づき、一部の登記済み新規化学物質について審査を行いました。環境
保護部第7号令に従って登記を完了した28の新規化学物質を「中国現既存化学物質名
録」に増補し、既存化学物質として管理します。
 増補リストは以下のURLにてご参考ください。(※5)

(※5)生態環境部(中国語)
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/201901/t20190117_689881.html


(2)公安部
「易制爆危険化学品治安管理弁法(意見募集稿)」についての公布

 2019年1月20日、公安部は「易制爆危険化学品治安管理弁法(意見募集稿)」(
以下、「弁法」という)を公布したことを発表しました。「危険化学品安全管理条例
」での易制爆化学品に対する規定と比較し、「弁法」には主に次の内容が追加され
ています。

 ① 情報システムを構築し、易制爆危険化学品の行き先、数量を監視・記録する。
 
 ② 企業における治安部署の設置と人員の配置情況を公安機関治安部署に届出が必
   要である。
   
 ③ 治安部署の人員は、職務に就任前に訓練に合格する必要がある。
 
 ④ 易制爆危険化学品の保管場所に関して、企業の安全性評価の内容に組み込む。
 
 ⑤ 易制爆危険化学品を含む食品添加剤、医薬品、動物用医薬品等の製造企業は、
   易制爆危険化学品の使用企業として管理する。

(※6)公安部(中国語)
http://www.mps.gov.cn/n2254536/n4904355/c6365436/content.html

─────────────────────────────────────
【6】台湾 最新動向
(1)総督府(Verisk 3E Japan/ ハニカム・テクノリサーチ)
毒性化学物質及び懸念化学物質管理法を公布

 2019年1月16日、台湾総督府は正式に毒性化学物質及び懸念化学物質管理法(毒
性及關注化學物質管理法、旧毒性化学物質管理法)を公布しました(※7)。公表
日に直ちに発効する第7条、第54条、第65条、第67条および第72条を除き、本法に基
づく条項の大部分は、1年の移行期間が認められるため、正式発効日は2020年1月16
日となっています。
 この法律は、「懸念化学物質」の定義を導入し、これらの物質にさまざまな制限
と管理措置を課しています。また、台湾の有害化学物質を取扱う施設には、追加の
緊急対応および通知要件が課されています。
 懸念化学物質は、それらの特性、また消費者の国内または国際的な懸念により、
人の健康または環境に有害であり得る毒性化学物質以外の化学物質として定義され
ています。これらの物質は、台湾の環境保護局によって指定され、公表が予定され
ています。

(※7)台湾行政院の通達(中国語)
https://oaout.epa.gov.tw/law/LawContent.aspx?id=FL015852


(2)環境保護署
「塩化ビニルとポリ塩化ビニル製造業の大気汚染物質規制及び排出基準」に関する
公告

 2019年1月22日、環境保護署は、塩化ビニルによる健康への影響を軽減するため、
「塩化ビニルとポリ塩化ビニル製造業の大気汚染物質規制及び排出基準」を制定、
公布したことを発表しました。塩化ビニルの排出量の削減を確実に実施できるよう、
塩化ビニルとポリ塩化ビニル製造における石油化学プロセスの規制を強化します。

(※8)行政院環境保護署(中国語)
https://gazette.nat.gov.tw/egFront/detail.do?metaid=104486&log=detailLog

─────────────────────────────────────
【7】あとがき
 本号では、カナダ、オーストラリア、欧州ECHA、欧州、中国、そして台湾の最新
動向について特集いたしました。
 読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の
「お問い合わせ」のページからお寄せください。
 どうぞよろしくお願いいたします。

http://chemical-net.env.go.jp/contact.html

─────────────────────────────────────
■本マガジンは、平成30年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
  →http://www.oecc.or.jp/
 環境省総合環境政策局環境保健部
  →http://www.env.go.jp/chemi/index.html
 化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
  →http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、毎月1回の配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを
 御覧ください。
  →http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html
■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更及びご意見・ご要望
 等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。
  →http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行元:一般社団法人海外環境協力センター
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ページの先頭に戻る↑