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GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)

  1. このコラムは、医薬・農薬・化学物質の研究開発業務に幅広く携わってこられた(株)住化技術情報センターの宇和川賢氏及び農薬・防疫薬のばく露評価とリスクアセスメントの専門家である同センターの大西純一氏に豊富な経験に基づき執筆いただいたものです。
  2. このコラムに記載されている内容に関し、法的な対応等を保障するものではありませんのでご了承ください。
  3. このコラムについてのご意見・ご感想を下記までお寄せ下さい。今後の参考にさせていただきます。なお、いただいたご意見は、個人情報等を特定しない形で当ネットワークの情報発信に活用(抜粋・紹介)する場合もあります。あらかじめご了承下さい。

→ご意見・ご感想電子メール送付先:
  化学物質国際対応ネットワーク事務局(chemical-net@env.go.jp

目次

第1回 GHSについて

1.はじめに

  化学物質を取り扱う人は、その危険有害性を記した安全性データシート(Safety Data Sheet:SDS)についてよくご存知と思われます。例えば、労働安全衛生法や化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)では指定化学物質とその混合物を提供する場合に、また、毒物劇物取締法では毒物・劇物を提供する場合に、GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)に準拠したSDSを添付することが義務付けられています。さらに、絵表示等を用いて分かりやすく表示したラベル表示が必要な場合もあり、こうしたラベル表示ではGHSに準拠する必要があります。

  GHSは2003年7月に国際連合から勧告され、その後定期的な更新が行われています。
  日本はいち早くGHSを導入した国の一つであり、2005年の労働安全衛生法改正により、2006年12月からGHSに準拠したSDSが義務付けられるようになりました。欧州では2009年1月にCLP規則(Classification, Labelling and Packaging)として、米国では2012年5月からHCS(Hazard Communication Standard)としてGHSが導入されています。アジアでも、中国、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム等で導入されています。

  GHSの事務局を務める国連では、こうした各国の導入状況をホームページにおいて公表しています。また、このホームページには、国連のGHSに関する専門家小委員会(国連GHS小委員会)の委員会報告、GHS国連文書、GHSガイダンス、GHSピクトグラム、などGHSに関する情報が掲載されています。
http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/ghs_welcome_e.html(UNECE)

  新連載「GHS」では、これらの情報の中から、国連文書の改訂動向、各国のGHS導入状況などを順次紹介していきたいと思っています。第1回目は、現在のGHS国連文書第6版に至るまでの経緯について紹介いたします。

2.GHSについて

  化学物質は、その製造から輸送、使用まで様々な段階を通じて、ヒトおよび環境に対して危険有害性を持つ可能性があります。子供からお年寄りまでのあらゆる年齢層の人々、様々な言語を使用する人々、読み書きのできない人等、様々な人々が多様な社会状況の中で化学物質と接しています。

  国連では、貿易等のグローバル化に対応し、化学物質が安全に製造、輸送、使用さらに廃棄されるための世界的な取り組みが必要であると考えられ、分類および表示の国際調和に関する取り組みが開始されました。GHSでは、化学物質の危険有害性を分類し、ラベル表示やSDS等の危険有害性情報伝達システムに反映することが提案されました。これは、化学物質の製造、輸送および使用のいずれの段階においても、化学物質の物理化学的危険性や毒性等の有害性に関する情報を一貫して共有することで、ヒトや環境を保護することを目指しています。また、GHSは、国、地域および世界レベルで化学物質の規制を調和・標準化することにも繋がり、貿易促進にも役立つと考えられています。

  国連はGHS国連文書を発刊し、各国政府、公的機関および国際的な組織、さらに化学物質を製造、販売する企業の人々に対して、GHS導入の背景や、GHSに従った分類・表示を実施する際のガイダンスを提供しています。

  • GHS国連文書初版:2002年12月に採択され、2003年に公表されました。それ以降、2年毎に改訂・更新されています。
  • GHS改訂第1版(2005年):新たに吸引性呼吸器有害性に関する条項が追加されました。また、注意書き(precautionary statement)と注意絵表示(precautionary pictogram)、SDSの作成がガイダンスに盛り込まれました。
    http://www.env.go.jp/chemi/ghs/attach/unece_ghs_rev01_ja.pdf(環境省)
  • GHS改訂第2版(2007年):火薬類の分類・表示、呼吸器感作性・皮膚感作性、ガスおよびガス混合物の吸入による毒性分類・表示、選択可能方式(building block approach)の解釈に関するガイダンス、発がん性の強さに関する評価、危険有害性と注意書きのコード化(Hコード、Pコード)が追加されました。
    http://www.env.go.jp/chemi/ghs/attach/unece_ghs_rev02_ja.pdf(環境省)
  • GHS改訂第3版(2009年):危険有害性情報(hazard statement)の割り当て、小型容器のラベル表示に関する新しい規定、呼吸器感作性および皮膚感作性に関する細区分、 水生環境に対する長期有害性(慢性毒性)の分類基準の改定、オゾン層に有害な物質および混合物に関する新たな有害性クラスの追加について、改訂されました。
    http://www.env.go.jp/chemi/ghs/attach/unece_ghs_rev03_ja.pdf(環境省)
  • GHS改訂第4版(2011年):化学的に不安定なガスおよび非可燃性エアゾールに関する新規の危険性区分、注意書きのより一層の合理化、さらにその解釈における相違を避けるための一部の判断基準の明確化が盛り込まれました。
    http://www.env.go.jp/chemi/ghs/attach/unece_ghs_rev04_ja.pdf(環境省)
  • GHS改訂第5版(2013年):酸化性固体に対する新規の試験法、一部の危険有害性クラス(皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/刺激性、およびエアゾール)の基準をさらに明確にし、SDSに含められる情報を補足するための規定、分類および表示の要約表の改訂および簡素化、危険有害性絵表示の新規のコード化システム、注意書きの改訂および合理化について、改訂されました。
    http://www.env.go.jp/chemi/ghs/attach/unece_ghs_rev05_ja.pdf(環境省)
  • GHS改訂第6版(2015年):鈍性化爆発物(desensitized explosives)の新しい危険性クラス、自然発火性ガスの新しい危険性区分、一部の危険有害性クラス(爆発物、単回ばく露後の特定臓器毒性、吸引性呼吸器有害性および水生環境有害性)を明確にするための規定、SDS(第9項)に含められる追加情報、注意書きの改訂および合理化、小型容器のラベル表示に関する新規事例が追加されました。

3.化学物質管理の一翼を担うGHS

  化学物質管理については、国連の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」2020年目標に向けて国際機関、各国政府、産業界等が連携して、以下のような取り組みが展開されています。

  • 化学物質の包括的な管理・規制制度の構築・導入
  • リスク評価の実施とその結果に基づいたリスクの最小化
  • GHSの導入・活用によるサプライチェーンを通じたライフサイクル全体での化学品管理

  化学物質の危険有害性を的確に分類・表示するGHSは、化学物質の危険有害性に関する世界共通の言語として化学物質管理の一翼を担う極めて有用なツールであり、その活用が期待されています。

  現在、日ASEANケミカルセーフティデータベース(ASEAN-Japan Chemical Safety Database: AJCSD)等のグローバルなデータベースの構築が計画されています。化学物質の各国法規制や危険有害性情報の共有化が進み、円滑なハザード・コミュニケーションが可能となることによって、国境を越えたタイムリーな情報共有が可能になります。これらのデータベースにはGHS分類結果やSDS情報も掲載される予定です。今や、GHSは、サプライチェーンを通じた情報伝達ツールとして、持続的な化学産業の発展に不可欠なツールと言えるでしょう。

<参考資料>

  • 環境省のGHSに関するホームページ(http://www.env.go.jp/chemi/ghs/(環境省)
  • 国連のGHSに関するホームページ(http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/ghs_welcome_e.html(UNECE)
  • 徳重ら「化学品管理規制の最新動向と産業界の取り組み」、化学経済(特集・化学物質管理の最新動向)、6月号、2015年.
  • 経済産業省 製造産業局 化学物質管理課「製造業における化学物質管理政策の現状と今後の展開」、化学経済(特集・化学物質管理の最新動向)、6月号、2015年.

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第2回 GHS専門家小委員会

  GHSの構築は、当初、「化学品の適正管理のための国際機関間プログラム(IOMC)」における「化学品分類システムの調和のための調整グループ(CG/HCCS:Coordinating Group for the Harmonization of Chemical Classification Systems)」のもと、作業の調整・管理が行われてきました。また、GHS構築に係る実質的な作業は、ヒト健康・環境影響有害性については「経済協力開発機構(OECD)」が、物理学的危険性については「国連経済社会理事会の危険物輸送に関する専門家小委員会(UNSCETDG)」が、また、ラベル表示やSDS(安全データシート)については「国際労働機関(ILO)」が技術的なサポートをしてきました。

  このIOMCによる作業は2001年にいったん終了し、国連経済社会理事会(ECOSOC)における「危険物輸送ならびに化学品の分類および表示に関する世界調和システムに関する専門家委員会(UNCETDG/GHS)」に引き継がれました。
  UNCETDG/GHSは1999年に再編された組織で、従来の危険物輸送に関する勧告の策定(いわゆるオレンジブック)に加えて、GHSの導入や改訂が所掌に追加されました。この専門家委員会には、下部組織として2つの専門家小委員会;「危険物輸送に関する専門家小委員会(UNSCETDG)」および「化学品の分類および表示に関する世界調査システムに関する専門家小委員会(UNSCEGHS:GHS専門家小委員会)」があります。後者のUNSCEGHSは、GHSの導入や普及のために2001年に新設されたものです。[1] [2]

  現在もUNSCEGHSが中心となってGHS国連文書の改訂作業が進められています。主な活動方針を示します。[3]

  1. GHSの管理機関として活動し、調和の手続きに関する管理を行い、方向性を与える。
  2. 変更を行う必要性を考慮し、GHSの継続性と実戦での有用性を確保し、技術基準の更新に対する必要性およびその時期を決定し、担当する機関と協力しながらGHSを最新のものにする。
  3. GHSの理解と利用を促進し、フィードバックを促す。
  4. GHSを世界的に利用、適用できるようにする。
  5. GHSの適用に関する指針および適用における一貫性を確保するための技術水準の解釈と利用に関する指針を策定する。
  6. 作業計画書を準備し、UNCETDG/GHSに勧告書を提出する。

  なお、これらGHSに関する委員会活動については、GHS国連文書の序文および第1部序の項に詳しく述べられています。[2]

  UNSCEGHSは2回/年の頻度で開催され、各国政府、国際機関、非政府機関から専門家が参加します。日本からは政府代表として日本大学大学院理工学研究家教授 城内博氏の他、数名が参加されています。
  直近の第29回セッションは、2015年6月29日から7月1日までジュネーブで開催されました。会議報告書は2015年7月9日付で公表されています。[4]
  この第29回セッションでの議論の概要を以下に紹介します。なお、2015年12月9日から11日に開催の第30回セッションでの議論の概要については、後日紹介いたします。

1.国連GHS文書および分類基準について

(1)爆発物(第2.1章)の改訂

1)2.1.4項(判定論理および手引き)の序文および図2.1.1から図2.1.3
  序文の「次の判定論理および手引きは、この調和分類システムには含まれないが、ここでは追加手引きとして定めている。」は、「危険物輸送に関する勧告、試験および判定基準のマニュアル(Recommendations on the Transport of Dangerous Goods, Manual of Test and Criteria)の判定論理および手引きが適用される。」に改訂する。
  図2.1.1から図2.1.3を削除し、代わりに危険物輸送に関する国連勧告、試験方法および判定基準のマニュアルを引用する。[4] [5]

2)2.1.2項(分類基準)の表2.1.1爆発物の判定基準
  表2.1.1において、区分の割り当てに係る判定基準として、国連 試験シリーズ6(危険物輸送に関する国連勧告、試験方法および判定基準のマニュアルの第16 項)を追加挿入する。
  爆発性成分あるいは爆発性物品(explosive composition or article)が製造中に生成される場合、危険有害性が内在する。しかし、製造工程において、これらの爆発性成分が不安定であることから特定することができないため、等級1.1〜1.6の危険有害性区分を割り当てることができない。
  そこで、最終行の「正しい等級の決定にはさらに試験が必要である。」について、「製造あるいは他の工程中に生成する爆発物を、試験なしに、不安定な爆発物の分類に自主的に割り当てることがある。」に改訂する。[4] [5]
  なお、これらはUNSCETDGで検討中であり、終了後、採用の可否が検討される予定です。
  その他、爆発物関連事項について、危険物輸送に関する国連勧告、試験方法および判定基準のマニュアルの第I章、第II章に関連した改訂作業が検討されています。[5]

(2)酸化性液体(第2.13章)および酸化性固体(第2.14章)の試験および判定基準

  酸化性液体の試験O.2 : Test for oxidizing liquids(危険物輸送に関する国連勧告、試験方法および判定基準マニュアルの第III部、34.4.2項[6])について、5か国(9研究所)によるRound Robin 試験(持ち回り試験)が予定されている。[4]
  また、酸化性固体の試験O.3: Gravimetric test for oxidizing solids(危険物輸送に関する国連勧告、試験方法および判定基準マニュアルの第III部、34.4.3項[7])についても、9か国(13研究所)が参加を表明した。[4]

(3)可燃性/引火性ガス(第2.2章)の分類基準

  区分1を1Aおよび1Bに細分化することに代わり、現在までに適用ケースがない区分2を適用して、このような細分化を避けるべきであるとの提案があり、引き続き検討する。[4]

(4)腐食性(第3.2章)の分類基準

  容器等級(Packing group: PG)の指定に係る、混合物の皮膚腐食性/刺激性の分類に用いる動物試験に代わるものとして、加算方式(additivity method)が検討されている。[4]

(5)粉塵爆発について

  農産物(小麦粉などの穀物類)に由来する粉塵が本質的に危険有害性であるかどうか議論された。
  いくつかの代表団は、農業製品は本質的に危険有害なものではなく、粉塵の発生を含めて、種々の要因(粒子の大きさ、最低気中濃度、閉鎖空間への封じ込め、発火源の存在)が重なった時に危険有害性を示す場合がある。従って、SDS(安全性データーシート)による適切な情報提供により問題を解決できるとの意見を示した。
  また、現段階では、粉塵中の物質の危険有害性基準を作成することに注力するべきであり、上記の意見を検討するのは時期尚早であるとの指摘もあり、作業グループでは、粉塵爆発を生じる加工処理を検討する以前に、可燃性粉塵の分類基準に関するフローチャート作成を行う予定である。[4]

(6)ナノ材料

  フランスにおけるナノ材料の危険有害性分類、フィンランドにおける環境有害性分類が報告された。今後も、OECDのナノ材料に関する試験プログラム等の追加データを考慮して、ナノ材料の分類基準について検討を継続する。[4]

2.危険有害性の情報伝達について

(1)小型容器の表示

  容器の大きさや形状に制約があるために、全ての言語のラベル要素や使用法を直接容器に貼付することが出来ないことが問題になっている。
  欧州化学工業連盟(CEFIC:European Chemical Industry Council)から折り畳み式ラベルの具体案(アコーデオンのように折り畳んだラベル)が提案され、今後も検討を継続する。[4] [8]

(2)附属書1(分類および表示のまとめ)

〜附属書3(危険有害性情報コード、注意書きコード・使用法、絵表示コード・注意絵表示例)
  応急措置や医療処置等に関する注意書きについて、ラベル作成者がより柔軟に注意書きを選択・適用できるように、危険有害性情報および注意書きの意味が変わらない軽微な変更は認めても良いとの意見があり、継続して議論することになった。[4]

(3)輸送用でない絵表示を用いての輸送の禁止

  危険物諮問委員会(DGAC:Dangerous Goods Advisory Council)から輸送用でない絵表示を用いての輸送を禁止する提案があった。GHS表示が完全でない場合、輸送用でない絵表示を用いての輸送を禁止するもので、危険物輸送に関するモデル規則(Model Regulations : Recommendations on the Transport of Dangerous Goods)の中に説明注意書きを挿入することで対応する可能性を検討していることが報告された。[4] [9]

(4)複数の製品を含む容器のGHS表示

  複数の製品を、国際連合危険物輸送勧告(TDG:United Nations Recommendations on the Transport of Dangerous Goods)の規制対象かどうかにかかわらず、一つの運搬容器で同時に輸送する場合のGHSラベル表示について、事業者の間で懸念されている。GHS付属書7の例3には、「輸送標札がない場合に、所管官庁によっては外装容器にGHS ラベルを要求することがある。」と記載されている。
  容器に直接GHSを表示することは基礎的な要件であるが、輸送容器毎に複数の表示を繰り返し貼付することは非現実的であり、見難くなることから安全性の低下が懸念される。
  この問題は、GHSの規定自体の問題というよりも、GHSの運用が各国で異なることから生じていると考えられ、今後、各国・地域レベルでのGHS運用状況等について情報収集が求められている。[10]

(5)爆発物への廃棄注意書きP502の適用

  爆発物の廃棄注意書きは、GHS付属書3、第2節の表A3.2.5廃棄注意書きのコードP501を適用して「内容物/容器を・・・廃棄すること」と記載される。一方、爆発物は、使用後に中身がなくなり、そして容器が残らないので、廃棄注意書きP501は爆発物に対して適切でない。特に、広く一般に提供されている花火等は問題が大きく、不良品、期限切れ等の理由で使用されなかった場合の廃棄方法について、より明確な指示が必要であるとの意見があった。[11]
  他方、廃棄注意書きは、P501以外では、P502「回収/リサイクルに関する情報について製造者/供給者に問い合わせる」しかなく、オゾン層破壊物質への適用を想定したものとなっている。
  そこで、本委員会は、爆発物の廃棄への適用を追加する内容のP502追加修正案を採択した。[4] [11]

3.GHSの実施状況について

(1)GHSに従って分類された化学物質のリスト作成

  パイロットプロジェクトとして、分類・表示の報告書式および供給元追跡書式の検討作業が進行している。[4]

(2)実施状況の報告

  各国のGHS導入状況について報告された。

1)ブラジル:GHSに従った混合物分類について、ブラジル標準14.725が2015年6月1日から施行されている。[4] [12]

2)カナダ:職場のGHSを実施する危険有害性製品法(Hazardous Products Act)が、カナダ官報パート2で2015年2月11日に公表された。危険有害性製品法は、GHSを導入するために、既存の「作業場危険有害性物質情報システム(WHMIS; Workplace Hazardous Information System)」を修正したものである。新WHMISは、2015年2月11日から適用される。今後、3段階の移行期間を経て実施される。[4] [12] [13] [14] [15]

3)欧州:混合物について、旧分類・表示システムからの移行期間の後、CLP(Classification, Labelling and Packaging)規則が2015年6月1日から義務化された。これにより「危険物質指令(指令67/548/EEC)」および「危険調剤指令(指令1999/45/EC)」が置き換えられた。ただし、2015年6月1日以前に上市された旧表示による混合物は2017年6月まで市場に残る。[4] [12]

4)米国:危険有害性周知基準(HCS:Hazard Communication Standard)が2012年に改訂された。2015年6月1日より、全ての製造業者および輸入業者は、改訂HCSに従ったGHS分類とSDS作成が要求される。[4] [12] [16]

5)スイス:単一物質のGHS分類は2012年から施行されており、混合物については2015年6月1日から施行されている。[4] [12]

なお、各国のGHS導入、実施状況については、次回以降もう少し詳しくご紹介いたします。

<参考資料>

[1] Historical background, Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS)
(http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/histback_e.html(UNECE))
[2] 化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)改訂5版
(http://www.env.go.jp/chemi/ghs/attach/unece_ghs_rev05_ja.pdf(環境省))
[3] Mandate, Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS), Mandate of the Sub-Committee of Experts on the GHS
(http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/mandate_e.html(UNECE))
[4] ST/SG/AC.10/C.4/58 “Report of the Sub-Committee of Experts on the Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals on its twenty-ninth session held in Geneva from 29 June to 1 July 2015”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/doc/2015/dgac10c4/ST-SG-AC10-C4-58e.pdf(UNECE))
[5] ST/SG/AC.10/C.4/2015/6 “GHS Classification of explosives Transmitted by the Sporting Arms and Ammunition Manufacturers’ Institute (SAAMI)”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/doc/2014/dgac10c4/ST-SG-AC10-C.4-2015-6e-ST-SG-AC10-C.3-2015-27e.pdf(UNECE))
[6] ST/SG/AC.10/11/Rev.5“Recommendations on the Transport of Dangerous good, Manual of Tests and Criteria, Fifth revise edition”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/danger/publi/manual/Rev5/
English/ST-SG-AC10-11-Rev5-EN.pdf(UNECE)
)
[7] ST/SG/AC.10/11/Rev.5/Amend.2“Recommendations on the Transport of Dangerous good, Manual of Tests and Criteria, Fifth revise edition, Amendment 2”
http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/danger/publi/manual/
Rev.5_Amend.2/ST-SG-AC10-11-Rev5-Amend2e.pdf(UNECE)

[8] ST/SG/AC.10/C.4/2015/7 “Labelling of small packagings Transmitted by the European Chemical Industry Council (CEFIC) on behalf of the informal correspondence group”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/doc/2014/dgac10c4/ST-SG-AC10-C4-2015-7e.pdf(UNECE))
[9] ST/SG/AC.10/C.4/2015/3 “Prohibition in transport of non-transport GHS pictograms When not in a complete GHS label Transmitted by the Dangerous Goods Advisory Council (DGAC)”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/doc/2015/dgac10c3/ST-SG-AC.10-C.3-2015-23e-ST-SG-AC.10-C.4-2015-3e.pdf(UNECE))
[10] ST/SG/AC.10/C.4/2015/4“GHS labels in transport on combination packagings containing multiple goods not subject to Transport of Dangerous Goods regulations”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/doc/2014/dgac10c4/ST-SG-AC10-C4-2015-4e.pdf(UNECE))
[11] ST/SG/AC.10/C.4/2015/5 “Application of precautionary statement P502 to Explosives Transmitted by the expert from Sweden”
(http://www.unece.org/fileadmin/DAM/trans/doc/2014/dgac10c4/ST-SG-AC10-C4-2015-5e.pdf(UNECE))
[12] GHS implementation
(http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/implementation_e.html(UNECE))
[13] Government of Canada, Justice Law Website
(http://laws-lois.justice.gc.ca/eng/regulations/SOR-2015-17/)
[14] Health Canada, WHMIS 2015
(http://www.hc-sc.gc.ca/ewh-semt/occup-travail/whmis-simdut/ghs-sgh/index-eng.php)
[15] Health Canada, WHMIS Transition
(http://www.hc-sc.gc.ca/ewh-semt/occup-travail/whmis-simdut/transition/index-eng.php)
[16] OSHA, Effective Dates
(https://www.osha.gov/dsg/hazcom/effectivedates.html)

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第3回 GHS導入状況について −北米・中米−

  本回より、各国のGHS導入状況について紹介します。

  国連の各組織(UNECE、UNITAR、IMO、ICAO、UNEP、WHO、ILO)やその他の国際組織(EU、APEC)は、各国のGHS導入状況に関する情報を収集し、国連のホームページで報告しています。現在67か国の状況が国毎にまとめられています。[1]

[1] GHS implementation
http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/implementation_e.html (unece)

  今回は、その中から、米国、カナダ、メキシコ、グアテマラの状況について紹介します。

1.米国

  米国では、労働安全衛生に関連した危険有害性周知基準(Hazard Communication Standard、HCS)が2012年に改訂され、2015年6月1日より、危険有害性化学品を取り扱う全ての事業者は、改訂HCSに従ったGHS分類とSDS作成が要求されます[2]。さらにGHSは、後述するように、農薬や消費者製品のラベル表示への活用が検討されています。

1)労働安全衛生

所管 労働省(Department of Labor)
労働安全衛生局(Occupational Safety and Health Administration、OSHA)
主要関連法規 労働安全衛生基準[3]
危険有害性周知基準(HCS)[2]
実施状況   2012年3月、米国OSHAはHCSを改訂し、国連GHS改訂第3版に準拠した分類・表示に改訂された。[2]
  改訂HCSは、2012年5月25日以降、段階的に導入され、2015年6月1日以降は義務化された。移行期間について、企業の裁量で改訂前のHCS、あるいは改訂HCSのどちらを使用してもよいこととなっていた。[4]

2)危険物輸送

所管 運輸省(Department of Transportation、DOT)
パイプライン・有害性物質安全局(Pipeline and Hazardous Materials Safety Administration、PHMSA)
主要関連法規 有害性物質規則(Title 49 CFR Parts 100 -185)[5]
実施状況   国際輸送については、国連の危険物輸送に関する勧告・モデル規則[6]に従って、GHS分類が活用されている。[7]
  国内輸送については、危険物輸送に関する有害性物質規則(Title 49 CFR)が適用され、基本的には、国連の危険物輸送に関する勧告・モデル規則を反映するように改訂されている。[8]

3)農薬

所管 環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)
汚染防止農薬有害物質室・農薬プログラム(Pesticides Program、Office of Prevention, Pesticides and Toxic Substances、OPPTS)
主要関連法規 有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)[9]
連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(FIFRA)[10]
連邦食品医薬品化粧品法(FFDCA)[11]
実施状況   2004年7月、米国EPAは、農薬ラベルに対するGHS適用可能性を検討した「ホワイトペーパー」を作成し、パブリックコメントを求めた。[12]
  2006年に開催されたパブリックコメントで提起された問題を検討するための意見交換会、試験的なGHS作業を経て、2007年にGHSに関するWebサイトを整備した。[13]
  現在、米国EPAは、農薬の分類・表示にGHSを要求はしていないが、世界的に調和した危険有害性の情報伝達手段としてその有用性を認め、GHSに従ったラベル表示、SDS作成に向けて検討中である。[14]

4)消費者製品

所管 消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission、CPSC)
主要関連法規 消費者製品安全法(Consumer Product Safety Act、CPSA)[15]
連邦有害性物質法(Federal Hazardous Substances Act、FHSA)[16]
実施状況   2006年、米国CPSCは、GHS分類に基づいた消費者製品の安全性に関する情報伝達ポリシーを公表し、2008年からFHSAの法規制要件とGHSとの差異について比較を開始した。[17]
  現在、CPSCはGHSを採用しておらず、2014年の「強い感作性物質に関する定義」に関するFHSAの改訂においても、GHSの有用性は認めるが、法規制の改訂が必要なことから採用されていない。[18]

2.カナダ

  カナダでは、作業場危険有害性物質情報システム(Workplace Hazardous Information System、WHMIS)により労働安全衛生に関する危険有害化学物質が規制され、分類・表示にはGHSが導入されています。

1)労働安全衛生

所管 保健省(Department of Health)
職場危険有害性物質情報システムオフィス(National Officer of WHMIS)
主要関連法規 有害製品法(Hazardous Products Act、HPA)[19]
有害製品規則(Hazardous Products Regulations、HPR)[20]
管理製品規則(Controlled Products Regulations、CPR)[21]
実施状況   1988年、WHMISが導入され、有害製品法(HPA)および管理製品規則(CPR)に従って分類・表示が進められてきた。[22]
  2015年、有害製品法(HPA)が改定され、これに伴い、危険有害性分類および情報伝達のためのWHMIS要件は有害製品規則(HPR)に規定されることとなり、それまでの管理製品規則(CPR)と置き換わった。この改訂WHMISは、WHMIS 2015 と呼ばれ、国連GHS改訂第5版に基づいている。[23]
  2017年5月31日までは、化学物質の製造業者、輸入業者は、WHMIS 1988又はWHMIS 2015のどちらかを使用することが出来るが、それ以降はWHMIS2015を適用することとなっている。また、販売者および雇用者については、2018年11月30日までに、段階的にWHMIS 2015に移行する。移行期間の対応についてカナダ保健省のウェブサイトから入手可能である。[24]

2)危険物輸送

所管 運輸省(Department of transport)
危険物輸送局(Transport of Dangerous Goods Directorate)
主要関連法規 危険物輸送法1992(Transportation of Dangerous Goods Act)[25]
危険物輸送規則(Transportation of Dangerous Goods Regulations)[26]
実施状況   2008年、カナダ危険物輸送規則は、国連の危険物輸送に関する勧告・モデル規則に準拠した分類に改訂され(第6回改訂)[27]、これによりGHS分類が活用されることとなった。
  国際輸送については、国連の危険物輸送に関する勧告・モデル規則に従って、GHS分類が活用されている。[1]

3)消費者製品

所管 保健省(Department of Health)
消費者製品安全局(Consumer Product Safety Bureau)
主要関連法規 消費者製品安全法(Consumer Product Safety Act、CCPSA)[28]
消費者化学物質と容器規制2001(Consumer Chemicals and Container Regulations, 2001)[29]
実施状況   2011年6月20日より施行されているCCPSA は、消費製品の安全性向上と消費者保護を強化する内容となっており、事故報告制度、製造販売に関する記録保管、製品安全情報などが規定されている。[30]
  GHSは導入されていない。[31]

4)農薬

所管 保健省(Department of Health)
農薬および害虫管理規制機関(Pest Management Regulatory Agency)
主要関連法規 有害生物防除製品法(Pest Control Products Act、PCPA)[32]
有害生物防除製品規則(Pest Control Products Regulations、PCPR)[33]
実施状況   農薬は、有害生物防除製品法(PCPA)や有害生物防除製品規則(PCPR)で規制されている。
  現在、分類やラベル表示に関してGHSは導入されていないが、有害性品法(HPA)に準拠したGHS導入が検討されている。[34]

3.メキシコ

労働安全衛生

所管 労働社会福祉省(Secretaría del Trabajo y Previsión Social)
主要関連法規 メキシコ公定基準NOM-018-STPS-2015「職場における危険有害化学物質の危険有害性とリスクの特定と伝達のための調和システム」[35]
実施状況   2015年10月、労働社会福祉省は、メキシコ公定基準NOM-018-STPS-2015「職場における危険有害化学物質の危険有害性とリスクの特定と伝達のための調和システム」を公表した。この基準は分類・表示について国連GHS改訂第5版に準拠している。[35]
  2018年までは移行期間として(公表後3年間)、旧NOM-018-STPS-2000およびその改訂(2001年1月、2013年9月)、あるいは新しいNOM-018-STPS-2015の選択が可能である。[35]
  その他、2011年6月、国連GHS改訂第3版に基づく国家基準(NMX-R-019-SCFI-2011)が発表された。[36]
  この基準は強制ではないが、別途必須となっている職場における化学物質の危険有害性の特定とその関連する危険有害性の伝達に関する基準NOM-018-STPS-2000の第7、8章の規定に従うための代替手段として使用することが認められている。[37]

4.グアテマラ

所管 環境省(Ministry of Environment)
実施状況   2013年、グアテマラは、化学物質管理の合理化された手法を作成するためのSAICM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)実施計画の一環として、SAICMのサポートによりGHS導入プロジェクトを開始した。[38]
  2014年2月、UNECE、UNITARの支援を受けて、産官学共同のGHSワークショップを開催した。[39]
  今後、法規制整備に向けたGHSの導入及び危険物の輸送に関する国連モデル規則の導入に対するフォローアップ活動が予想される。[38]

  次回は南米を予定しています。

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第4回 GHS導入状況について −南米−

  前回に引き続き、各国のGHS導入状況について、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、コロンビア、エクアドルを紹介します。

  国連の各組織(UNECE、UNITAR、IMO、ICAO、UNEP、WHO、ILO)やその他の国際組織(EU、APEC)は、各国のGHS導入状況に関する情報を収集し、国連のホームページで報告しています。現在72か国の状況が国毎にまとめられています。[1]

[1] GHS implementation
http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/implementation_e.html (unece)

1.アルゼンチン

危険物輸送   南米南部共同市場(MERCOSUR、メルコスール)[2]の各国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)は、国連モデル規則改訂第7版に基づく危険物の内陸輸送に関する協定(1994年)を適用している。この協定は、改訂第12版に基づいて改訂中である。
  国際危険物輸送については、国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインによる実施に関するUNECE(United Nations Economic Communication for Europe)のページを参照。[3]
国家規格   アルゼンチン規格協会(IRAM)[4]は、2006年にSDS(安全データシート)の詳細に関する規格(IRAM 41400-2006)を発行した。最新版はIRAM 41400-2013で、GHSと一致した規格となっている。
  普及は限定的であるが、メルコスールの環境グループで適用が進められている。
労働安全衛生   2015年、労働・雇用・社会保障省 (Ministerio de Trabajo, Empleo y Seguridad Social de la Nacion) [5]は、職場におけるGHS実施に関する議決(Resolucion 801/2015、2015年4月10日)[6]を公表した。
  その後、議決(Resolucion 3359/2015、2015年9月29日)[7]によって第6条が改定され、GHSの実施について、単一物質は2016年4月16日、混合物については2017年1月1日から義務化される。
  当初は公表180日後からの実施を予定していたが、GHSの実施に必要な時間を考慮して延長措置が図られた。
  GHSの内容と方法については、議決(Resolucion 801/2015)の第1条において、SRT(SUPERINTENDENCIA DE RIESGOS DEL TRABAJO; 職場リスク管理局)のウェブサイトが参照され[8]、GHS(スペイン語でSGA)に関する情報が掲載されている。現在は国連GHS分類第5版が記載されている。
  SRTのウェブサイトでは、ピクトグラムや各種コードを見ることが出来る(スペイン語)。[8]
その他 メルコスールのGHS、法規制や規格に関する情報が公開されている。[9] (ただし、非公式サイト)

2.ブラジル

危険物輸送   前述のアルゼンチンと同じ、南米南部共同市場(MERCOSUR、メルコスール)に加盟し、国連モデル規則改訂第7版に基づく危険物の内陸輸送に関する協定(1994年)を適用している。この協定は、改訂第12版に基づいて改訂中である。
  国際危険物輸送については、国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインによる実施に関するUNECEのページを参照。[3]
国家規格   2001年から、既存法規とGHSに関する調査が進められ、2007〜2008年にGHSに基づく以下の規格案が公開された。
  ・Project 10:101.05-002: 化学物質の表示 (Labelling of chemicals);
  ・Project 10:101.05-003: 化学物質の分類 (Classification of chemicals);
  ・Project 10:101.05-004: 用語 (Terminology);
  ・Project ABNT NBR 14725: SDSの更新 (Update of the SDS)
  2009年には、危険有害性の分類、伝達に関する規格ABNT NRB 14725:2009が公表され、GHSが導入された。
  ・ABNT NRB 14725-1:2009 用語 (Terminology)
  ・ABNT NRB 14725-2:2009 危険有害性分類システム (Hazard Classification System)
  ・ABNT NRB 14725-3:2009 表示 (Labelling)
  ・ABNT NRB 14725-4:2009 安全データシートまたは (SDS /FISPQ)
  ABNT 2010年には、この規格の一部が改定された。[10]
  単一物質については2011年2月27日から、混合物について2015年6月1日から義務化された。
  現在(2016年7月)のABNT NRB 14725の改定状況を示す。[10]
  ・ABNT NBR 14725-1: 2009 Fixed Version: 2010
  ・ABNT NBR 14725-1: 2009 Errata 1: 2010
  ・ABNT NBR 14725-2: 2009 Fixed Version: 2010
  ・ABNT NBR 14725-3: 2012 Fixed Version 3: 2015
  ・ABNT NBR 14725-4: 2014
労働安全衛生   2009年、労働雇用省 (Ministerio do Trabalho e Emprego, MTE)[11]は、作業環境における危険有害性の分類、表示等についてGHSを導入した。(政令26)「12」
その他   メルコスールのGHS、法規制や規格に関する情報が公開されている。[13] (ただし、非公式サイト)

3.ウルグアイ

危険物輸送   南米南部共同市場(MERCOSUR、メルコスール)に加盟し、国連モデル規則改訂第7版に基づく危険物の内陸輸送に関する協定(1994年)を適用している。この協定は、改訂第12版に基づいて改訂中である。
  国際危険物輸送については、国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインによる実施に関するUNECEのページを参照。[3]
労働安全衛生   労働安全衛生に係わる事故防止に関する政令 406/88 [14]の下で、政令 307/009(2009年7月3日)[15]において、GHSに準拠した分類、表示、SDS作成が規定された。
  その後、政令 346/011(2011年9月28日)[16]において、GHSに従う分類、表示およびSDS作成について、移行期間が延長されている。
  ・単一物質:〜2012年12月31日
  ・混合物 :〜2017年12月31日
その他   メルコスールのGHS、法規制や規格に関する情報が公開されている。[17] (ただし、非公式サイト)
  主な法規制を記載する。[17]
  ・労働案是衛生:政令346(Decreto 346/011)、政令307(Decreto 307/009 )、政令406(Decreto 406/88)
  ・危険物輸送:政令560(Decreto 560/03)、政令158(Decreto 158/85
  ・消費者製品安全:政令180(Decreto 180/00)

4.コロンビア

危険物輸送   アンデス共同体(Andean Community/Comunidad Andina)(ボリビア,コロンビア,エクアドル,ペルー)は[18]、国連モデル規則改訂第13版(ADR 2005、RID 2005)に準拠した規格案を作成中である。
  道路での国内危険物輸送について、政令1609(2002年7月31日) [19]によって規制されている。
  運輸省は現在、国連モデル規則第18版の規定を実施するために、この政令の見直しと改訂の作業中である。改訂の一環として、運輸省は鉄道および内陸水路による危険物輸送の国内法規の作成と共に、道路輸送にADRの一部の規定の採用を検討している。
  さらに、危険物輸送の自動車の運転手の認可制度が決議され、2014年5月に公布された(議決1223、2014年5月14日)[20]。
  運輸省は危険物輸送に関するウェブページを開設している。[21]
  国際危険物輸送については、国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインによる実施に関するUNECEのページを参照。[3]
国家規格   危険物輸送のための容器の構造、試験と承認の要件を規定する国家規格(NTC 4702-1〜9)[22]の改訂作業が進められており、国連モデル規則第18版の第6部の構造、試験と承認の規定との整合性が図られている。
  危険物輸送の分類表示は、規格NTC1692によって規定されている[23]。製品輸送のSDSは、規格NTC4435によって規定されている[24]。
労働安全衛生   作業場の危険有害性の情報伝達に関しては、法律55(1993年)によって規定され[25]、分類、表示については、法律9(1979年)によって規定されている[26](2010年までに順次改定)。
その他   2013年から、GHS実施に関する国家方針の作成に着手し、GHSに関するワークショップ等、国家実施方針の作成が進められている。

5.エクアドル

危険物輸送   アンデス共同体(Andean Community/Comunidad Andina)(ボリビア,コロンビア,エクアドル,ペルー)は[18]、国連モデル規則改訂第13版(ADR 2005、RID 2005)に準拠した規格案を作成中である。
  国際危険物輸送については、国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインによる実施に関するUNECEのページを参照。[3]
国家規格   危険物の輸送、保管および取扱については、2000年に国家技術規格NTE INEN 2266:2000 [27]が定められ、2009年にGHS絵表示を取り入れるための改訂等が順次進められている[28]。
  この規格は2009年11月から義務化された。
その他   GHSワークショップが、2006年3月に環境省によって開催された。

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第5回 GHS導入状況について −欧州・スイス・トルコ−

  前回に引き続き、各国のGHS導入状況について、欧州、スイス、トルコの状況を紹介します。

  国連の各組織(UNECE、UNITAR、IMO、ICAO、UNEP、WHO、ILO)やその他の国際組織(EU、APEC)は、各国のGHS導入状況に関する情報を収集し、国連のホームページで報告しています。現在72か国の状況が国毎にまとめられています。[1][2]

1.欧州

  EU加盟国(28か国)、EU加盟候補国、欧州経済領域(EEA)(*1)加盟国、欧州自由貿易連合(EFTA)(*2)加盟国は、GHSを準拠したCLP規則による化学物質の分類・表示・包装を義務付けています。

EU 加盟国 [3] アイルランド、イギリス、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、ブルガリア、フランス、ベルギー、ポルトガル、ポーランド、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、ルーマニア
EU 加盟候補 [3] アルバニア、マケドニア旧ユーゴスラビア、モンテネグロ、セルビア、トルコ
EEA加盟国 [4] アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー
EFTA加盟国 [4] アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス
  • (*1)EEA:European Economic Area、欧州経済領域。欧州経済共同体(EEC)と欧州自由貿易連合(EFTA)にまたがる経済領域で、1972年に自由貿易協定を締結し、1994年に双方にまたがる広範な共同市場を目指す欧州経済領域(EEA)が発足した。
  • (*2)EFTA:European Free Trade Association、欧州自由貿易連合。1958年の欧州経済共同体(EEC)の発足に伴い、EEC域外にあった欧州7か国が欧州自由貿易連合を設立。
  • [3] 駐日欧州連合代表部
    http://www.euinjapan.jp/union/faq/
  • [4] 外務省・EU関連用語集
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/keyword.html

1)化学品管理

主な所管 ・欧州化学品庁:European Chemicals Agency、ECHA [5]
・域内市場・産業・起業・中小企業総局:Directorate-General for Internal Market, Industry, Entrepreneurship and SME [6]
・環境総局:Directorate-General for Environment [7]
・保健衛生・食の安全総局:Directorate-General for Health and Food Safety [8]
主要関連法規 ・CLP規則(*1):
従来の分類・表示に関する規制である「指令67/548/EEC(危険物指令)」と「1999/45/EC(危険調剤指令)」を修正し、GHSを導入して、REACH規則の分類・表示・包装についてルール化したものである。[9]
(*1)Regulation (EC) No 1272/2008 of the European Parliament and of the Council of 16 December 2008 on classification, labelling and packaging of substances and mixtures, amending and repealing Directives 67/548/EEC and 1999/45/EC, and amending Regulation (EC) No 1907/2006 [10]
・REACH規則(*2):
EUにおける化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則である。[9]
(*2)Corrigendum to Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council of 18 December 2006 concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH), establishing a European Chemicals Agency, amending Directive 1999/45/EC and repealing Council Regulation (EEC) No 793/93 and Commission Regulation (EC) No 1488/94 as well as Council Directive 76/769/EEC and Commission Directives 91/155/EEC, 93/67/EEC, 93/105/EC and 2000/21/EC (OJ L 396, 30.12.2006) [11]
実施状況   従来、化学品の分類・表示は「指令67/548/EEC(危険物指令)」と「1999/45/EC(危険調剤指令)」に従って実施されていたが、2009年1月20日以後、CLP規則に移行した。[10]
・旧規則:指令67/548/EEC(危険物指令)、1999/45/EC(危険調剤指令)
・新規則:CLP規則[10]

  CLP規則の施行当初は移行期間が設定され、その間、旧規則と新規則の両方が存在していた。旧規則については、単一物質は2010年11月30日、混合物は2015年5月31日までが移行期限と規定され、2015年6月1日に旧規則は取り消された。
  CLP規則は2009年の施行以降、国連GHS文書の改訂等に伴って、適時改訂されている。
  改訂の経緯については、CLP規則の技術的な進歩への適合(Adaptation to Technical Progress)として報告されている。
  概要は補足資料として、章末に添付する。

<分類・表示のインベントリー>
  CLP規則の第42条では、欧州化学品庁(ECHA)がデータベース形式での分類・表示のインベントリー(C&L Inventory)を作成し、維持することを義務付けている。それには調和された分類と表示リスト(CLP規則付属書Yの表3.1)、および製造業者及び輸入業者が提出した物質に関する分類と表示の情報も含まれている。[12]

<安全データシート・SDS>
  REACH規則の付属書U[13]は、安全データシート作成の要件を規定しており、CLP規則に適合したGHS分類が規定されている。[14]

<ガイダンス及び追加情報>
  CLP規則に関するガイダンス等は、現在ECHAのホームページから入手可能である。[15]

<その他の関連法規制>
  CLP規則に従った化学品の危険有害性分類は、その他の規則・指令にも関連しており、指令2008/112/EC [16]、規則 (EC) 1336/2008 [17]に従って、以下の規則・指令が修正されている。

  ・理事会指令76/768/EEC (化粧品)[18]
  ・理事会指令88/378/EEC (玩具の安全性)[19]
  ・理事会指令 1999/13/EC (有機溶媒からの揮発性有機物の放出制限)[20]
  ・指令2000/53/EC (廃自動車)[21]
  ・指令2002/96/EC (廃電気電子機器)[22]
  ・指令2004/42/EC (特定の塗料とワニス中の有機溶媒及び自動車仕上げ剤からの揮発性有機物の放出制限)[23]
  ・規則(EC) No 648/2004 (界面活性剤)[24]
  ・規則 (EU) No 528/2012(バイオサイド規則)[25]

  現在の追加情報及びGHS実施に関する過去のEUの活動について、欧州委員会のホームページから情報を入手することができる。[26]

2)危険物輸送

主な所管 輸送・運輸総局(Directorate-General for Mobility and Transport)[27]
主要関連法規 ・EU加盟国内あるいは加盟国間
  危険物の内陸輸送に関する指令2008/68/EC [28]
・EU加盟と非加盟国間の国際危険物輸送
  国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインに関するUNECEのページを参照 [2]
実施状況   指令2008/68/ECが、EU加盟国内あるいは加盟国間の道路、鉄道、内陸水路による危険物輸送に適用され、以下に示す危険物輸送に関する国連モデル規則を実施するための法的文書(ADR、ADN、RID)に準拠している。

ADR:欧州危険物国際道路輸送協定、the European Agreement concerning the International Carriage of Dangerous Goods by Road [29]

ADN:危険物の内陸水路による国際輸送に関する欧州協定、the European Agreement concerning the International Carriage of Dangerous Goods by Inland Waterways [30]

RID:欧州危険物国際鉄道輸送規則(the Regulation concerning the international carriage of dangerous goods by rail)[31]

  この指令は、2008年10月8日に施行された。
  その採択に伴って、以下の指令が取り消された。
  ・危険物輸送に関する指令94/55/ECと96/49/EC
  ・危険物輸送の安全アドバイザーに関する指令96/35/ECと2000/18/EC
  ・指令94/55/ECと96/49/ECの加盟国の適用除外に関する委員会決定2005/263/ECと2005/180/EC

<補足>

CLP規則の技術的な進歩への適合(Adaptation to Technical Progress、ATP)として、CLPの改訂状況が報告されている。

・第1次ATP(委員会規則(EC) No 790/2009)[32]
2009年、指令67/548/EEC(危険物指令)をCLP規則に移行するものである。GHSを導入し、単一物質については2010年12月1日までにCLP規則を適合させるものとした。

・第2次ATP(委員会規則(EU) No 286/2011)[33]
2011年、GHS改訂第3版の変更がCLP規則に組み入れられた。
例えば、呼吸器感作性と皮膚感作性の新しい細区分、水生環境の長期有害性(慢性毒性)の分類基準の改訂、オゾン層への物質及び混合物の有害性の新しい有害性分類、非常に低濃度で反応を誘発することがある特定の化学物質に対して既に感作した個人を保護する表示規定等である。

・第3次ATP(委員会規則(EU) No 618/2012)[34]
CLP規則の付属書Yのパート3に記載された調和された分類・表示の物質リストが更新された。

・第4次ATP(委員会規則(EU) No 487/2013)[35]
GHS改訂第4版に合わせて改訂された。2013年6月1日にEU官報で公表され、公表後20日目に施行された。その規定は、単一物質については2014年12月1日から、混合物については2015年6月1日から適用されるものとされた。

・第5次ATP(委員会規則(EU) No 944/2013)[36]
多くの物質について、新規あるいは更新された調和された分類・表示がCLP規則付属書Yに収載された。この規定は、2013年10月24日に施行された。

・第6次ATP(委員会規則(EU) No 605/2014)[37]
調和された分類・表示、並びにCLP規則の付属書VとWに掲載された全ての危険有害性情報(Hazard Statement)と注意書き(Precautionary statement)がクロアチア語に翻訳され、CLP規則付属書Yに掲載された。

記載事項は、2015年4月1日から適用され、クロアチア語の翻訳に含まれている用語は、単一物質については2014年12月1日から、混合物については2015年6月1日から適用された。

・第7次ATP(委員会規則(EU) No 2015/1221)[38]
CLP規則の付属書Yパート3の調和された分類・表示の物質リストを更新した。
この新規の規則は、単一物質については2015年8月14日に施行され、混合物については2017年1月1日から適用されるが、その日までに自主的に適用することも可能としている。

・第8次ATP(委員会規則(EU) No 2016/918)[39]
GHS改訂第5版に合わせて改訂された。2016年6月14日にEU官報で公表され、本規則は2018年2月1日から適用される。なお、移行措置として規則(EC) No 1272/2008に従って分類・表示・包装され2018年2月1日までに上市された物質及び混合物は、2020年2月1日までに本規則に従って再表示及び再包装する必要はない。

・第9次ATP(委員会規則(EU) No 2016/1179)[40]
本規則は2016年7月20日にEU官報で公表された。付属書Yの表3.1の更新と指令67/548/EEC(危険物指令)に基づく表3.2の削除が主な修正である。本規則は2018年3月1日から適用される。表3.2の削除は2017年6月1日から適用され、危険物指令からCLPへの移行措置が完了する。

2.EU加盟候補国

  EU加盟候補のアルバニア、マケドニア旧ユーゴスラビア、モンテネグロ、セルビアについては、情報が公開されていないことや情報源が不明確であることから[1]、今回のコラムからは割愛しました。

  EU加盟候補国のトルコでは、2013年12月にSEA規則(No 28848)が公布され、危険有害物質の分類、包装および表示が実施されています。

  以下に、トルコの状況を記載します。

主な所管 ・環境都市計画省:Ministry of Environment and Urbanization [41]
・食料農業家畜省:Ministry of Food, Agriculture and Livestock [42]
・労働社会保障省:Ministry of Labour and Social Security [43]
・運輸海事通信省:Ministry of Transport, Maritime Affairs and Communications [44]
・経済省:Ministry of Economy: import and export of chemicals [45]
主要関連法規 ・SEA規則(11.12.2013/28848):危険有害物質及び混合物の分類、包装及び表示に関する条例 [46]
・安全データシートの作成及び配布に関する条例(13.12.2014/29204) [47]
実施状況 <化学品管理>
  2013年にSEA条例として、欧州CLP規則をトルコで実施ための規則が公布された。
  単一物質は2015年6月1日以降に義務化され、混合物は2016年6月1日から義務化されている。

<危険物輸送>
  EU各国と同様に、国際危険物輸送については国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインに関するUNECEのホームページを参照。[2]

3.欧州経済領域(EEA)、欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国

  アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー(いずれもEEAおよびEFTA加盟国)については、化学品管理、危険物輸送ともに、EUの法規制に準拠して運用することが報告されています。[1]

  また、スイス(EFTAのみ加盟)についても、化学品管理については欧州のCLP規則、危険物輸送については国連の危険物輸送に関するコード等に準拠した国内法が整備させています。[1]

  以下にスイスの状況を記載します。

所管 ・連邦内務省連邦保健局(Federal Office of Public Health、FOPH)[48]
・連邦環境、運輸、エネルギー、通信省連邦環境局(Federal Office for the Environment、FOEN)[49]
・連邦経済省経済事務局(State Secretariat for Economic Affairs 、SECO)[50]
・連邦道路局(Federal Roads Office、FEDRO)[51]
・連邦経済省連邦農業局(Federal Office for Agriculture、FOAG)[52]
化学品管理 <主な法規制>
・化学品法(Chemical Act、ChemA)[53][54][55]
・化学品政令(Chemical Ordinance、ChemO)[56]

<実施状況>
・2012年
化学品政令(ChemO)が改定され、2012年12月1日以降、単一物質についてEUのCLP規則に従ってGHS分類を実施しなければならない[56]。
・2015年
また、化学品政令(ChemO)の改定に伴って、2015年6月1日以降、調剤(混合物)については、EUのCLP規則に従ったGHS分類が実施されている[56][57]。
危険物輸送 <主な法規制>
・国際法[58] [59]
・国内法[58] [60]

<実施状況>
  国内と域内の輸送については、EUとEEAの規定に準拠し[1]、国際危険物輸送について、国際法律文書、推奨、コードおよびガイドラインに従って実施されている。[2]

<補足>

・2006-2008年
  2006年に、関係省庁はGHSを導入することに合意し、関連企業もこの意向を支持した。また、実施内容、開始時期、移行について、EUと歩調を合わせたGHSの導入が最も好ましいと考え、これらの要件を満たすために、スイスでのGHSの導入は多段階過程に従うことで合意が得られた。[61][62]

・2009年
  2009年12月1日、スイス化学品政令が改訂され、GHS分類に従った表示が導入された。[56]
  なお、主な改訂は、スイスの製造業者/輸入業者は、化学物質の分類・表示について、現在のシステムまたはGHSのどちらか選択することが可能で、GHSを選択すると、CLP分類(規則(EC) No 1272/2008)[10]に従った分類・表示が必要になる。ただし、GHS有害性区分を製品表示に追加することは許容された。
  GHSの選択肢は、専門業者に販売される製品に限定されるが、消費者製品に対する選択肢は、今後段階的な導入が計画されている。

・2010年
  2010年12月1日、改訂された政令SR 813.11(化学品)[56]及びSR 813.12(バイオサイド製品)[63]が施行された。
  EUの法律に合わせて単一物質(2012年12月1日)と混合物(2015年6月1日)の移行期間が規定され、さらに、バオサイド製品に関する政令も改訂されGHSに従った分類・表示が導入された。

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第6回 GHS導入状況について −ロシア(ユーラシア経済連合)・イスラエル−

  国連の各組織(UNECE、UNITAR、IMO、ICAO、UNEP、WHO、ILO)やその他の国際組織(EU、APEC)は、各国のGHS導入状況に関する情報を収集し、国連のホームページで報告しています。現在72か国の状況が国毎にまとめられています。[1][2]

  今回は、その中から、ロシア(ユーラシア経済連合)、イスラエルの状況について紹介します。

1.ロシア(ユーラシア経済連合)

  1995年1月、ロシア、ベラルーシおよびカザフスタンは経済の自由化実現に向け、ユーラシア関税同盟(以下、関税同盟)を発足し[3][4]、ユーラシア経済共同体(統一経済圏)を経て、現在はロシア・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・キルギスの5か国が加盟するユーラシア経済連合(Eurasian Economic Union)[5]に発展している。
  また、ユーラシア経済連合では、執行機関としてユーラシア経済委員会が設けられている。[6]

  2007 年10 月、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3か国は、経済統合の目標を達成するため、新たな関税同盟の設立条約に調印した。2010 年1月以降、3か国共通の関税率を導入して関税同盟の実際の運用が開始された。
  2012 年以降、関税同盟内で統一的に適用される関税同盟技術規則が段階的に制定されて、同規則の対象となった関税同盟域内での流通製品は、品質と安全性が関税同盟技術規則に適合していることを証明する規格認証の取得が必要となった。

  化学製品の安全性等、化学品管理についても、関税同盟の技術規則に従って実施されている。

1)化学品管理

主な所管 ・ロシア連邦産業貿易省(Russian Ministry of Industry and Trade) [7]
・ロシア連邦技術規則・計測庁(Federal Agency on Technical Regulation and Metrology)[8]
・全ロシア材料技術標準化研究所(Russian Researcher Institute on Standardization of Materials and Technologies)[9]
・企業のための共同情報サービスセンター(CISセンター)(Coordinating Informational Service Center (CIS Center) for Enterprises)[10]
主要関連法規 国内のGHSは「化学製品の安全性」に関する関税同盟の技術規則[11]に従って実施されている。この規則はSDSの要求項目等も記載している。
また、具体的な手順等については、国家規格が引用されている。

<補足>
GHS調整委員会(GHS Coordinating Council)
  化学品の分類および危険有害性表示について、国連GHSとロシア連邦や関税同盟の法律の調和のための協議会が設けられている。[12]

実施状況   2009年に、「化学製品の安全性」に関する関税同盟の技術規則[11]を補足するための国家規格が承認された。
  その後、国連GHS文書の改訂に伴って、2011年の国連GHS改訂第3版では、GHSに準拠した全ての危険有害性クラスと危険有害性区分が反映された。
  また、2014〜2015年には、国連GHS改訂第4版に準拠した改訂が実施された。

  その他、OECD試験ガイドライン(物理的危険性、健康有害性、環境有害性)に従った国家規格が、2013年から2015年の間に作成され、これらの規格は、2011年に承認された「化学製品の安全性」に関する関税同盟の技術規則[11]が発行した後に施行される予定である(2017年予定)。

  章末の補足資料に詳細を記載した。
  また、ロシア連邦におけるGHS実施に関する現在及び過去の活動についての追加情報をCISセンターが公表している[13]。

<補足>
国家規格の改訂状況を示す。

2009年:以下に示す国家規格が、「化学製品の安全性」に関する関税同盟の技術規則[11]を支持するために承認された。
・GOST 30333-2007 “Chemical production safety passport. General requirements”
・GOST 31340-2007 “Labelling of chemicals. General requirements”

2011年:GHSの改訂第3版に基づく危険有害性分類に関する以下の規格が承認された。
・GOST R 53856-2010 “Classification of chemical hazards. General requirements”
・GOST R 53854-2010 “Classification of chemical mixtures for health hazards”
・GOST R 53857-2010 “Classification of chemicals for environmental hazards. General requirements”
・GOST R 53858-2010 “Classification of chemical mixtures for environmental hazards”

2014〜2015年:GHSの改訂第4版と規定を合わせるために、分類と表示に関する規格の改訂が行われた。
・GOST 32419-2013 “Classification of chemicals. General requirements”
・GOST 32423-2013 “Classification of mixtures (health hazards)”
・GOST 32424-2013 “Classification of chemicals for environmental hazards. General principles”
・GOST 32425-2013 “Classification of mixtures (environmental hazards)”
・GOST 31340-2013 “Labelling of chemicals. General requirements”

2014〜2015年:SDS(安全データシート)と表示に関するガイダンスが公表された。
・R 50.1.102-2014 “Guidance on the compiling of safety data sheet in according to GOST 30333”
・R 50.1.101-2014 “Guidance on the selection of precautionary statements for the labelling in accordance with GOST 31340”

  なお、これらの国家基準は、ロシア連邦技術規則・計測庁(Federal Agency on Technical Regulating and Metrology)の国家規格サイトから検索可能である。[14]

2)危険物輸送

実施状況 国際危険物輸送
  国連の危険物輸送に従って実施している。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])

国内危険物輸送
  道路輸送については、ADRの付属書A及びBが適用されている。(法令No.272(2011年4月15日))
  ADR:欧州危険物国際道路輸送協定、the European Agreement concerning the International Carriage of Dangerous Goods by Road [15]

  また、2010〜2011年に、国連の危険物輸送に関する勧告、試験及び判定基準マニュアル第4版[16]に従った、試験や規格が作成された。

2.イスラエル

所管 イスラエル経済産業省(Ministry of Economy and Industry )[17]
イスラエル規格協会(The Standards Institution of Israel)[18]
主要関連法規 Work Safety Regulations (Safety Data Sheets, Classification, Packing, Labeling and Marking of Packages), 5758-1998[19]
実施状況 1)化学品管理
  イスラエルは、2013年12月3日にGHSを実施するための国家規格SI 2302 parts 1、2の改定案をWTO(世界貿易機関)に通告した[20]。
  2014年2月にパブリックコメントを終了した。現在、改訂を検討中である。
  ・SI 2302 parts 1:“Dangerous substances and preparations: Classification, packaging, labelling and marking” [21]
  ・SI 2302 parts 2:“Dangerous substances and preparations: Transportation, classification, packaging, labelling and marking”[22]

2)危険物輸送
国際危険物輸送
  国連の危険物輸送に従って実施している。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])

国内危険物輸送
  道路輸送については、ADR(欧州危険物国際道路輸送協定)[16]に従って運用されているが、まだ正式には批准されていない。

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第7回 GHS導入状況について −中国・インドネシア・マレーシア−

  国連の各組織(UNECE、UNITAR、IMO、ICAO、UNEP、WHO、ILO)やその他の国際組織(EU、APEC)は、各国のGHS導入状況に関する情報を収集し、国連のホームページで報告しています現在72か国の状況が掲載されています。[1][2]

  今回は、その中から中国、インドネシア、マレーシアの状況について紹介します。

1.中国

  中国では、主要な法規制として、新規化学物質環境管理弁法による新規化学物質届出制度、危険化学品安全管理条例および関連法規による危険化学品管理によって有害化学物質が規制されている。

1)化学品管理

主な所管 中国工業・情報化部(工業和信息化部; Ministry of Industry and Information Technology : MIIT)[3]
主要関連法規 ・新規化学物質環境管理弁法(環境保護部令第7号)[4]
・危険化学品安全管理条例(改訂2011年、国務院令591号)[5]
  中国工業・情報化部(MIIT)はGHSに関するホームページを開設し [6]、GHS実施状況等を公開している[7]。関連法規やガイダンス等の情報が入手可能である。

  具体的な手順等については、国家標準で規定されている。(後述)
主要関連法規 ・2010年
  新規化学物質環境管理弁法[4]が施行され(2010年10月)、新規化学物質の危険有害性に関する分類やSDSによる情報伝達が求められた。

・2011年
  危険化学品安全管理条例[5]が施行され(2011年12月)、危険化学品についてGHS分類に基づいた危険有害性分類と情報伝達が必要となった。
  対象となる危険化学品は目録としてリスト化され、2015年に最新版が公表されている(危険化学品目録2015年版)[8]。

・2013年
  国連GHS文書の改訂等に伴って、2006年に作成された分類、表示、安全データシート等に関する26種類の国家標準(GB 20576-2006〜GB 20602-2006)が改訂され、国連GHS改訂4版に準拠した28種類の国家標準(GB 30000.2-2013〜GB30000.29 -2013)が公表された。

  章末の補足に国家標準の改訂の経緯を記載した。

<補足>
国家標準の改訂状況について概要を示す。[1][7]

○2006年
  GHSに従った分類、表示、安全データシート等に関する26種類の国家標準(GB 20576-2006 ~GB 20602-2006)が作成された。

○2008年〜2010年
  国連GHS改訂第2版に伴って、旧国家標準GB 13690-1992が国家標準GB 13690-2009 [9]に改訂された。

  ラベルを作成するための国家標準について、旧国家標準GB/T 15258-94及びGB15258-99が国家標準GB 15258-2009(General rules for preparation of precautionary labels for chemicals)[10]に改訂された。

  安全データシート(SDS)をGHSに適合させるため、旧国家標準GB/T 17519.1-1998及びGB 16483-2000が国家標準GB/T 16483-2008(SDS for chemical products - content and order of sections)[11]に改訂された。

  ラベル表示について、日本のJIS Z 7251:2006を採用した国家標準GB/T 22234-2008(Labelling of chemicals based on GHS)[12]を公表した。

○2013年
  GHSに合わせたSDSの作成に関するガイダンスGB-T 17519-2013が公表された[13]。

  国連GHS改訂4版に伴って、旧国家標準(GB 20576-2006〜GB 20602-2006)が国家標準(GB 30000.2-2013〜GB30000.29 -2013)に改訂された。また、新たに吸引性呼吸器有害性及びオゾン層への有害性が導入・追加された。

  ・GB 30000.2-2013: Explosives
  ・GB 30000.3-2013: Flammable gases
  ・GB 30000.4-2013: Aerosols
  ・GB 30000.5-2013: Oxidising gases
  ・GB 30000.6-2013: Gases under pressure
  ・GB 30000.7-2013: Flammable liquids
  ・GB 30000.8-2013: Flammable solids
  ・GB 30000.9-2013: Self-reactive substances and mixtures
  ・GB 30000.10-2013: Pyrophoric liquids
  ・GB 30000.11-2013: Pyrophoric solids
  ・GB 30000.12-2013: Self-heating substances and mixtures
  ・GB 30000.13-2013: Substances and mixtures which in contact with water release flammable gases
  ・GB 30000.14-2013: Oxidizing liquids
  ・GB 30000.15-2013: Oxidizing solids
  ・GB 30000.16-2013: Organic peroxides
  ・GB 30000.17-2013: Corrosive to metals
  ・GB 30000.18-2013: Acute toxicity
  ・GB 30000.19-2013: Skin/corrosion irritation
  ・GB 30000.20-2013: Serious eye damage/irritation
  ・GB 30000.21-2013: Respiratory or skin sensitization
  ・GB 30000.22-2013: Germ cell mutagenicity
  ・GB 30000.23-2013: Carcinogenicity
  ・GB 30000.24-2013: Reproductive toxicity
  ・GB 30000.25-2013: Specific target organ toxicity-Single exposure
  ・GB 30000.26-2013: Specific target organ toxicity-Repeated exposure
  ・GB 30000.27-2013: Aspiration hazard
  ・GB 30000.28-2013: Hazardous to the aquatic environment
  ・GB 30000.29-2013: Hazardous to the ozone layer

  なお、強制国家標準(GB番号)は中国国家標準化管理委員会から公開されている[14]。名称あるいは番号(GB番号;GBの後は半角スペースを挿入して番号を入力し、年度は入力しない)から検索可能で、改訂の経緯等も公開されている。

  また、中国標準規格総合 (上海標科商務諮詢有限公司)から、強制国家標準(GB番号)及び推奨国家標準(GB/T番号)を検索できる日本語サイトも公開されている[15]。ただし、全文を閲覧することはできない。

2)危険物輸送

実施状況 ○国際危険物輸送
  国連の危険物輸送に関する勧告に従って実施されている。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])

○国内危険物輸送
  国連の危険物輸送に関する勧告第16改訂版に準拠した国家標準が作成されている。
  ・GB 190-2009:危険貨物包装標識、国連の危険物輸送に関する勧告第16改訂版に準拠 [16]
  ・GB 12268-2012:危険物一覧 [17]
  ・GB 6944-2012:危険物の分類及びコード [18]

2.インドネシア

1)化学品管理

所管 ・工業省(Ministry of Industry)[19]
・運輸省(Ministry of Transportation)[20]
・農業省(Ministry of Agriculture)[21]
・商業省(Ministry of Trade)[22]
・厚生省(Ministry of Health)[23]
・労働省(Department of Manpower)[24]
・環境省(Ministry of Environment)[25]
・国立医薬品食品管理庁(National Agency for Drug and Food Control)[26]
主要関連法規 ○危険および有毒な物質の管理に関する政府法令(2001年)(No. 74 TAHUN 2001 [27]
  上記の政府法令の下に、各省が運用を定めた大臣規則が制定されている。
    ・危険及び有害な物質のシンボル及びラベル付与の方法に関する生活環境担当国務大臣規則(2008年)(NOMOR 03 TAHUN 2008)[28]
    ・危険な物質の工業用の製造及び使用の監視に関する工業大臣規則(2006年)(No. 24/M-IND/PER/5/2006)[29]
    ・化学品の分類及び表示に関する世界調和システムに関する工業大臣規則No.87/M-IND/PER/9/2009 [30]
    ・工業大臣規則No.87/M-IND/PER/9/2009の改正に関する工業大臣令No.23/M/-IND/PER/4/2013 [31]
    ・化学品の分類及び表示のためのGHS実施における技術指針に関する農業及び化学総局長規則No.21/IAK/PER/4/2010 [32]
    ・GHS実施における技術指針及び管理指針に関する基礎産業製造総局長規則No.04/BIM/PER/1/2014 [33]
実施状況 ○2006年
  GHS規定に準拠した、以下の大臣規則が公布された。
  ・有害物質の流通及び管理に関する商業大臣規則No. 04/M-DAG/PER /2/2006(食品での誤使用の可能性のある54種類の化学物質を対象としている)
  その後、No. 04/M-DAG/PER /2/2006は、有害物質の調達、流通及び管理に関する商業大臣規則No. 44/M-DAG/PER/9/2009に改訂され、さらに商業大臣規則No. 23/M-DAG/PER/9/2011改訂されている。[34]
  ・産業のための有害物質の製造及び使用の管理に関する工業大臣規則No. 24/M-IND/PER/5/2006 [35]

○2008年〜
  国連GHS文書のインドネシア語への翻訳が進められ、産業界及び政府職員のGHSトレーニング等も実施された。
  また、農業製品、消費者製品分野におけるGHS実施に向けた法規制の整備や優先化学物質リストの作成が進められた。
  ・GHSピクトグラムの作成に関するパンフレット[36]
  ・国連GHSパンフレットのインドネシア語訳[37]

○2013年
  GHSに関する規則No.87/M-IND/PER/9/2009(2010年3月公布工業大臣規則)が工業大臣令No.23/M/-IND/PER/4/2013 [31]に改訂され、国連GHS改訂第4版への対応が開始された。
  実施は移行期間を経て、国内製造及び輸入の両方の単一物質は2013年7月12日から、混合物は2016年12月31日からGHS規定に従うように要求されている。
  ・単一物質:2013年7月12日〜
  ・混合物:2016年12月31日〜

  対象となる危険有害物質は、B3物質(Bahan Berbahaya dan Beracun、危険および有毒な物質)として、危険および有毒な物質の管理に関する政府法令(2001年)(No. 74 TAHUN 2001)[27]に収載されている。

  工業省はGHSに関するホームページを開設しており、関連法規制や実施状況等の情報が公開されている。[38]

2)危険物輸送

実施状況 ・国際危険物輸送
  国連の危険物輸送に関する勧告に従って実施されている。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])

・国内危険物輸送
  陸上危険物輸送に関するインドネシア国内法は、国連の危険物輸送に関する勧告・モデル規則第14改訂版に基づいており、2007年1月1日から発効されている。[1]

3.マレーシア

  マレーシアでは、主要な法規制として、労働安全衛生法に関連したCLASS規則、環境有害性物質に関連した環境有害物質届出・登録制度(EHSNR)によって有害化学物質が規制されている。

1)化学品管理

所管 ○人的資源省(Ministry of Human Resources)[39]
  ・労働安全衛生局(Ministry of Human Resources-Department of Occupational Safety and Health)(DOSH)[40]

○天然資源・環境省(Ministry of Natural Resources and the Environment)[41]
  ・環境局(Department of Environment)(DOE)[42]
主要関連法規 ○労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act 1994 (Act 514))[43]
  ・CLASS規則(CLASS Regulations 2013、Classification, Labelling and Safety Data Sheets of Hazardous Chemicals)[44]
  ・化学物質の分類および危険有害性の伝達に関する産業実務規範(ICOP 2014)(The Industry Code of Practice on Chemical Classification and Hazard Communication)[45]
○環境有害性物質届出・登録(EHSNR)制度[46]
  ・環境有害性物質(EHS)の届出・登録制度に関するガイダンス(2012年)[47]
    EHS Reference List [48]
    CMR Reference List [49]

  安全衛生局は法律に関するホームページを開設しており、安全衛生関連の法律、規則、政令、実施規則、ガイドラインを閲覧することができる。[50]
実施状況   ○CLASS規則
  ・2013年
  労働安全衛生(分類、表示及び安全データシート)規則(CPL規則)が改訂され(1997年公布)、国連GHS改訂第3版に準拠した労働安全衛生(分類、表示及び安全データシート)規則(CLASS規則2013)[44]が公布(2013年10月11日)された。

  また、安全衛生局は、2013年に「化学物質の分類および危険有害性の伝達に関する産業実務ガイダンス [45]」を発行し、供給者自身がCLASS規則に従って化学物質の分類と共にラベル及び安全データシートの作成をするためのガイダンスを提供した。この実務ガイダンスには、GHSに従って分類された化学物質リスト(229物質)が掲載されている。

  ○EHSNR
  ・2012年
  自主的取り組みとして、環境有害化学物質の届出、登録制度が設置された(EHSNR [46][47])。対象となる化学物質については、EHS Reference List [48]およびCMR Reference List [49]として約3,000物質が掲載され、このリストにはGHS分類に従った危険有害性も付記されている。

  安全衛生局のCLASS規制、GHSに関したホームページからも、法規制、実施状況等を入手可能である。[51][52]

2)危険物輸送

実施状況   ・国際危険物輸送
  国連の危険物輸送に関する勧告に従って実施されている。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])

  ・国内危険物輸送
  国連の危険物輸送に関する勧告・モデル規則第12改訂版が、国家標準として採用された。[1]

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第8回 GHS導入状況について −韓国・フィリピン・シンガポール−  new

  国連の各組織(UNECE、UNITAR、IMO、ICAO、UNEP、WHO、ILO)やその他の国際組織(EU、APEC)は、各国のGHS導入状況に関する情報を収集し、国連のホームページで報告しています。現在72か国の状況が国毎にまとめられています。[1][2]

  今回は、その中から、韓国、フィリピン、シンガポールの状況について紹介します。

1.韓国

  韓国における化学品管理については、主として雇用労働部(旧労働部)、環境部、国民安全処(旧国家危機管理庁)、国家交通部・海洋水産部(旧国土海洋部)が担当している。

主な所管 ○雇用労働部※1 Ministry of Employment and Labor (MOEL)[3]
  ・韓国産業安全公団 Occupational Safety and Health Agency (KOSHA)[4]
  ・韓国技術標準院 Korean Agency for Technology and Standards (KATS)[5]
○環境部 Ministry of Environment (MOE)[6]
  ・国立環境科学院 National Institute of Environmental Research (NIER)[7]
○国民安全処※2 Ministry of Public Safety and Security [8]
○国土交通部※3 Ministry of Land, Infrastructure and Transport [9]
 海洋水産部※3 Ministry of Oceans and Fisheries [9]
  • ※1 2010年7月、旧労働部Ministry of Labor (MOL)が、雇用労働部 Ministry of Employment and Labor (MOEL)に改編された。
  • ※2 2014年11月、旧国家危機管理庁(消防防災庁)National Emergency Management Agency (NEMA)が、国民安全処 Ministry of Public Safety and Securityに改編された。
  • ※3 2013年3月、旧国土海洋部 Ministry of Land, Transport and Maritime Affairsが、国土交通部 Ministry of Land, Infrastructure and Transportと海洋水産部 Ministry of Oceans and Fisheriesに分割された。

  化学品管理に関する主な法規制は、産業安全保健法(労働安全衛生法)、化学物質管理法・化学物質の登録及び評価等に関する法律(旧有害化学物質管理法)、危険物安全管理法で、さらに国家規格により標準化が進められている。

主要関連法規 ○産業安全保健法(労働安全衛生法)(2016年改訂)Occupational Safety and Health Act (OSHA) [10]
  ・雇用労働部告示 第2016-19号(2016年)[11]
○有害化学物質管理法※ Toxic Chemicals Control Act (TCCA) [12]
  ・国立環境科学院告示第2014-45号(2014年)[13]
○その他
  ・危険物安全管理法(2014年改訂)Safety Control of Dangerous Substances Act [14]
  ・国家規格KS M 1069:2016(2016年改訂)Labelling of Chemicals based on GHS [15]
  • ※ 2015年1月、有害化学物質管理法は、化学物質管理法 Chemical Substance Control Actと化学物質の登録及び評価等に関する法律 Chemical Substance Registration Evaluation Actに移行した。
実施状況 ○2005〜2006年
・2006年12月、「化学物質の分類と表示及び化学物質安全性データーシートの国家規格」に関する労働部告示No.2006-36においてGHSが導入された。
・国家規格KS M 1069:2006(GHSに基づく化学物質の表示)が発行された。

○2007年
・2,500種の化学物質についてGHS分類と表示に関するプロジェクトを開始した。
・有害化学物質管理法(TCCA)が改訂されGHSが導入された。

○2008年
・2008年1月、国連GHS改訂第2版に合わせて、「化学物質の分類と表示及び化学物質安全性データーシートの国家規格」に関する労働部告示No. 2008-01が改訂された。
・2008年6月、労働部は、分類と表示及びGHS-SDSに関する物質及び混合物の再分類移行期間(労働部告示No. 2008-29)を公表した。
  ・移行期間
     単一物質:2010年6月30日まで
     混合物 :2013年6月30日まで
・2008年7月、環境部は、「有害化学物質の分類と表示のための規則」に関する国立環境科学院告示No 2008-26が改訂され、GHSが導入された。
  ・移行期間
     単一物質:2011年6月30日まで
     混合物 :2013年6月30日まで
・GHSに従った3,410物質の危険有害性分類結果が公表された。
・2008年11月、GHSに合わせて危険物安全管理法が改正された。

○2009年
・2009年10月、「化学物質の分類と表示及び化学物質安全性データーシートの国家規格」に関する労働部告示No.2009-68により、労働部告示No.2006-36が改訂された。
・11,377物質のGHSの分類と表示の結果及びSDSが公開された。

○2010年〜
・2012年、分類と表紙及びSDSに関する労働部告示No.2012-14が公表された。
・2013年8月、雇用労働部は「化学物質の分類・表示及びSDSに関する基準」雇用労働部告示第2013-37号を公表した。
・2013年10月、環境部は「有害物等の分類基準及び表示方法に関する規定」国立環境科学院告示第2013-29号を公表した。
・2014年12月、環境部は「化学物質の分類及び表示に関する規定」国立環境科学院告示第2014-45号を公表した。[13]
・2016年、「化学物質の分類・表示及びSDSに関する基準」雇用労働部告示第2016-19号により、旧雇用労働部告示第2013-37号が改訂された。[11] また、国家規格KS M 1069も改訂されている。[15]

○その他
・2013年以降、単一物質、混合物ともにGHS分類による分類、表示が義務付けられている。
・2016年の「化学物質の分類・表示及びSDSに関する基準」雇用労働部告示第2016-19号により国連改訂第4版に準拠した分類となった。
・有害物質のGHS分類について、雇用労働部、環境部は化学物質の情報システムを構築し、分類結果を公開している。
  ・国立環境科学院(NIER)が運営する化学物質情報システム(NCIS; National Chemicals Information System)[16]
  ・韓国産業安全公団が運営する産業安全保健法に関連した物質の情報システム[17]
危険物輸送 ○国際危険物輸送
・国連の危険物輸送に従って実施している。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])
○国内危険物輸送
・危険物安全管理法(Dangerous Goods Safety Management Act (DGSMA)) [14]に従って実施している。DGSMAは、危険物の分類と表示に対応しており、国連のモデル規則改訂第15版に基づいている。

<補足>
国家規格 KS M 1069 [15]は、韓国国家規格の販売ホームページ(Korean Standards Service Network)から購入可能である。

2.フィリピン

  化学品管理は、主に環境天然資源省、労働雇用省が担当し、さらに化学物質のGHS分類については、農業省、財務省、保健省、内務自治省、運輸通信省、貿易産業省が関与している。

所管 ○環境天然資源省(Department of Environment and Natural Resources (DENR)) [18]
  ・環境管理局(Environmental Management Bureau (EMB))[19]
○労働雇用省(Department of Labor and Employment (DOLE))[20]
  ・労働条件局(Bureau of Working Conditions (BWC))[21]
  ・職業安全衛生センター(Occupational Safety and Health Center (OSHC))[22]

  化学物質は、有害物質、危険・核廃棄物管理法により、製造、輸入、販売等が記載され、優先化学物質リスト規制、化学物質管理指令により、優先的に制限、禁止される物質が示されている。
  GHS分類やSDS作成については、GHSの採択と実施に関する共同省令の他、職場におけるGHS実施命令等が定められている。

主要関連法規 ○有害物質、危険・核廃棄物管理法(1990年)(Toxic Substances and Hazardous and Nuclear Wastes Control Act of 1990)(Republic Act No.6969)[23]
  ・優先化学物質リスト規制(2014年改定)[24]
  ・化学物質管理指令(2005年)[25]
  ・SDS及びラベリング要求、有害性分類に関する規則及び手順DAO 2015-09(2015年)[26]
  ・Guidance manual for DAO 2015-09、EMB Memorandum Circular 2015-11(2015年)[27]
○職場におけるGHS実施令、DAO 136-14(2014年)[28]
○GHSの採択と実施に関する関連8省による共同省令(2009年)[29]
実施状況 ○GHSの採択と実施に関する共同省令
・2009年5月、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)の採択と実施に関するGHS共同省令が8つのGHS実施関連政府機関によって承認された。[29]

○環境天然資源省
・2015年5月19日に、「有害性化学物質のSDSと表示の必要項目の作成における化学品の分類および表示に関するGHS実施のための規則及び手順」[26]を公表した。
・さらに同8月にはそのガイダンスマニュアル(EMB Memorandum Circular No. 2015-011)[27]を公表した。
・該当する化学物質は、以下のスケジュールで対応が必要となる。
  ・2016年までに完了: 化学物質管理令(CCO)[25]および優先化学物質リスト(PCL)[24]に掲載された化学物質
  ・2017年までに完了: 高生産量化学品
  ・2018年までに完了: 危険有害品のIATA(国際民間航空輸送協会)およびIMDG(国際海上危険物)にリストされた有害性化学品(Toxic Chemicals)
  ・2019年までに完了: 混合物

○労働雇用省
・2014年2月、職場におけるGHS実施令(省令No. 136-14)[28]を公表した。サプライチェーンを含む工業化学品の製造、使用、保管に従事している全ての職場に適用される。
危険物輸送 ○国際危険物輸送
・国連の危険物輸送に従って実施している。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])

3.シンガポール

  化学品管理は、主に環境・水資源省、人材省、保健省が担当している。

所管 ○環境・水資源省 Ministry of the Environment and Water Resources (MEWR)[30]
○人材省 Ministry of Manpower (MOM)[31]
  ・職場の安全衛生諮問委員会 Workplace Safety and Health Advisory Committee (WSHAC)[32]
○保健省 Ministry of Health(MOH)[33]
○その他
  ・運輸省 Ministry of Transport (MOT)[34]
  ・貿易産業省 Ministry of Trade and Industry (MTI)[35]

  主な法規制として、環境保護管理法、職場安全保健法、毒物法、危険物・石油および爆発物規則があり、国家規格が定められている。

主要関連法規 ○環境保護管理法※(2017年改訂)Environmental Protection and Management Act (CHAPTER 94A) [36]
  ・環境保護管理(有害物質)規則(2014年改訂)Environmental Protection and Management (Hazardous Substances) Regulations (Chapter 94A, Section 77) [37]
○職場安全保健法(2014年改訂)Workplace Safety and Health Act (CHAPTER 354A) [38]
  ・職場安全保健規則(2014年改訂)Workplace Safety and Health (General Provisions) Regulations (Chapter 354A, Section 65) [39]
○毒物法(2015年改訂)Poisons Act (CHAPTER 234) [40]
○その他
  ・危険物、石油および爆発物規則(1992年改訂)Dangerous Goods, Petroleum and Explosives Regulations [41]
  ・国家規格:シンガポール規格SS 586(Singapore Standard SS 586 (Parts 1, 2 and 3))[42]

  ※2007年に「環境汚染管理法」が「環境保護管理法」に改定された。

実施状況 ○2005年
・GHS実施を管理および調整するための官民によるGHS実施タスクフォースが設置された。GHS実施タスクフォースでは、GHS導入トレーニングと人材育成に注力し、トレーニングコース、公的セミナー等が開始された。

○2006年
・職場安全衛生法が改訂されSDSが導入された。

○2007年〜2008年
・シンガポール規格SS 532:2007(可燃性液体の貯蔵に関する実施基準)が公表された。
・GHS基準に従った有害化学物質の分類と表示に関するガイドラインとして、シンガポール規格SS 586が公開された。SS 586は、従来の規格であるSS 286: 1984年「有害性物質の注意表示」(5つのパート)とCP 98: 2003年「物質安全性データーシートの作成と使用」(MSDS)が改訂されたものである。

○2014年
・2014年3月、規格SS 586のパート1〜3(有害性化学品および危険物の有害性伝達)の改訂が公表された。これらの規定は危険物輸送の国連モデル規則第17版およびGHS改訂第4版に準拠している。[42]
  ・SS 586-1: 2014「有害性化学品および危険物の有害性伝達のための詳細‐パート1: 危険物の輸送および貯蔵」
  ・SS 586-2: 2014「有害性化学品および危険物の有害性伝達のための詳細‐パート2: 化学品の分類および表示に関する世界調和システム‐シンガポール適合」
  ・SS 586-3: 2008 (2014)「有害性化学品および危険物の有害性伝達のための詳細‐パート3: 安全性データーシート(SDS)の作成」
危険物輸送 ○国際危険物輸送
・国連の危険物輸送に従って実施している。(危険物輸送に関する国連のモデル規則、試験・分類マニュアル等については、UNECEのWebサイトを参照[2])
○国内危険物輸送
・シンガポールの危険物輸送の法律は、国連モデル規則および関連の国際文書に基づいている。

<補足>
シンガポール規格SS586 [42]は、シンガポール規格の販売ホームページ(Singapore Standards eShop)から購入可能である。また、シンガポール化学工業会(SCIC)やGHS実施タスクフォースがガイドブックを公表しており、概要が示されている。
・シンガポール化学工業協会
http://www.scic.sg/index.php/resources/publications/guidebooks
・GHS実施タスクフォース
https://www.wshc.sg/files/wshc/upload/cms/file/GHS_Booklet.pdf

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