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特定化学物質規制の現状と課題

  1. このコラムは、医薬・農薬・化学物質の研究開発業務に幅広く携わってこられた(株)住化技術情報センターの宇和川賢氏及び農薬・防疫薬のばく露評価とリスクアセスメントの専門家である同センターの大西純一氏に豊富な経験に基づき執筆いただいたものです。
  2. このコラムに記載されている内容に関し、法的な対応等を保障するものではありませんのでご了承ください。
  3. このコラムについてのご意見・ご感想を下記までお寄せ下さい。今後の参考にさせていただきます。なお、いただいたご意見は、個人情報等を特定しない形で当ネットワークの情報発信に活用(抜粋・紹介)する場合もあります。あらかじめご了承下さい。

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目次

第1回

はじめに

  新シリーズとして、特に注目される化学物質の規制動向等について、概要をご紹介したいと思います。

  第1回は、マイクロビーズ・マイクロプラスチックに関連した欧州における海洋汚染や廃棄に対する取り組み、欧州各国の規制動向、その他に台湾の規制動向について、また、フタル酸エステル類の米国における消費者製品の規制、その他にGHS分類に関連した各国の法規制動向を紹介します。

  • マイクロビーズ・マイクロプラスチック
  • フタル酸エステル類
  • その他:GHS分類に関連した各国の法規制動向

  新シリーズでは、今回のマイクロビーズ・マイクロプラスチック、フタル酸エステル類の他、特定化学物質として、ナノマテリアル、ビスフェノール類、内分泌かく乱物質、化粧品等に含まれる香料、保存剤等についても、順次、ご紹介したいと思っています。

1.マイクロビーズ・マイクロプラスチック

1)欧州の動向

■漂流・漂着ゴミ(使い捨てのプラスチックおよび漁具)に関する意見募集

<概要>

  2017年12月15日、欧州委員会は、漂流・漂着ゴミ、特に使い捨てのプラスチックおよび漁具に関する意見募集を開始した。意見募集期間は2017年12月15日~2018年2月12日である。

  プラスチックは我々の経済において重要な原料であり、毎日の生活の多方面に存在するが、再使用やリサイクルの相対的な割合が低く、海岸ゴミの85 %はプラスチックである。 これらのプラスチック製品の61%が使い捨て製品であり、20 %が釣り関係の製品である。

  海岸でゴミとして見つかった使い捨て製品は、吸い殻、飲料水ボトルとそのフタ・栓、綿棒、生理用ナプキン(90 %がプラスチック)、袋、ポテトチップス袋等のお菓子の包み紙、ストローやかく拌棒、風船、食品容器、カップとそのフタ、ナイフ、フォーク、スプーンなどの食器であり、使い捨てゴミの約3/4を占めている。

  さらに、漁業および水産養殖分野のプラスチック廃棄物、特に事故により紛失した漁具(例えば、気象条件が原因)または、もはや使用に適さない場合に放棄された漁具も問題である。

  欧州委員会はプラスチック戦略として、使い捨てプラスチック品および紛失あるいは放棄された漁具を含む漂流・漂着ゴミの対策に取り組む予定であり、今回の意見募集は、基本知識の把握や将来の政策指針作成に活用することを目的としている。

<参考資料>

・Reducing marine litter: action on single use plastics and fishing gear
https://ec.europa.eu/info/consultations/reducing-marine-litter-action-single-use-plastics-and-fishing-gear_en#questionnaire(英語)

■欧州JRCは潜在的な海洋環境汚染物質のリストを公開

<概要>

  2018年1月3日、欧州委員会の共同研究センター(JRC)は、海洋環境における潜在的な化学汚染物質のリストを公開した。※1

  懸念される物質は、関連するグローバル条約(ストックホルム条約、ロッテルダム条約、バーゼル条約等)、欧州の法律(水枠組指令(WFP)、REACH規則、CLP規則、バイオサイド規則等)、欧州の海域の取り組み(バルセロナ条約、黒海汚染防止条約、OSPAR条約等)およびその他(北極圏監視プログラム(AMAP)、JRCの海洋関連汚染物質リスト、US EPA優先物質リスト、EUデータベース等)から集められた化学物質のリストから選択され、2,700以上の物質(または物質群)から構成されている。

  マイクロビーズ・マイクロプラスチックはリストに掲載されていない。

  ただし、AMAPの活動を紹介し、AMAPが新たなモニタリング対象として懸念される化学物質に、マイクロプラスチックが含まれていることを紹介している。

<北極圏監視プログラム (AMAP)※2>

  AMAPは、北極理事会(Arctic Council)のワーキンググループの1つであり、汚染と気候変動問題に関する北極地方の状況の監視と評価を実施している。 この活動(AMAP Trends and Effects Monitoring Programme、ATEMP)、北極環境のすべての区画における汚染物質を監視するもので、対象となる物質は、POPs(アルドリン、ディルドリン、PCBs、トキサフェンなど)、重金属、放射性物質、石油由来の炭化水素などである。

  対象物質は主に国際的に規制されている化合物であるが、さらに新たな監視対象物質として、臭素化難燃剤、塩素化難燃剤、塩素化パラフィン、現行の農薬、ハロゲン化天然製品、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)、有機燐酸塩系難燃剤(PFR)、有機スズ、ペンタクロロフェノール(PCP)、ペル - およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)、医薬品およびパーソナルケア製品(PPCP)、フタル酸エステル類、プラスチックとマイクロプラスチック、ポリ塩素化ナフタレン(PCN)、PAH類、シロキサン類、および意図せずに生成されたPCB等が検討されている。

<参考資料>

※1 Potential chemical contaminants in the marine environment - An overview of main contaminant lists - Study
https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/63c501eb-f1cb-11e7-9749-01aa75ed71a1/language-en/format-PDF/source-59799555(英語)
※2 Arctic Monitoring and Assessment Programme (AMAP)
https://www.amap.no/(英語)

■ECHAはオキソプラスチックおよびマイクロプラスチックの使用制限について検討を開始

<概要>

  2018年1月17日、欧州化学品庁(ECHA)は、欧州委員会の要請に基づき、オキソプラスチックおよびあらゆる種類の消費者製品または専門家用の製品に意図的に添加したマイクロプラスチック粒子の制限案の作成を開始した。※1

  これは、2018年1月16日に公表された欧州委員会のプラスチック戦略に従ったもので、オキソプラスチックおよび意図的に添加したマイクロプラスチック粒子の制限が記載されている。※2

・オキソプラスチック

オキソプラスチック/オキソ分解性プラスチックは、特定の条件下でプラスチックの酸化を促進する添加剤を含むもので、農業用フィルム、ゴミ袋と買い物袋、食品包装、および埋立地のカバーなどの用途に使用される。それらは、非常に小さな粒子に分解可能であり、潜在的にマイクロプラスチックによる環境汚染に寄与する。

・マイクロプラスチック

マイクロプラスチックスは、サイズが5 mm以下の水不溶性の合成ポリマーである。海中に溜まり、サイズが小さいため海洋生物に簡単に摂取され、食物連鎖に入る。また、大気中でもマイクロプラスチックが検出され、飲料水、塩や蜂蜜などの食品からも検出されているが、ヒト健康への影響は未だ不明である。化粧品、洗剤および塗料などの特定の消費者製品に意図的に添加されている。

<参考資料>

※1 ECHA to consider restrictions on the use of oxo-plastics and microplastics
https://echa.europa.eu/-/echa-to-consider-restrictions-on-the-use-of-oxo-plastics-and-microplasti-1(英語)
※2 Plastic Waste: a European strategy to protect the planet, defend our citizens and empower our industries
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-5_en.htm(英語)
http://ec.europa.eu/environment/circular-economy/pdf/plastics-strategy.pdf(英語)

2)欧州各国の動向

■英国(ウェールズ)

化粧品・パーソナルケア製品におけるマイクロビーズの禁止案を公表

<概要>

  英国(ウェールズ)は、2017年10月16日~2018年1月8日の期間、マイクロビーズを含有する化粧品およびパーソナルケア製品の製造および販売を2018年6月30日に禁止する提案に関する意見募集を実施した。※1
また、2018年1月29日、法案(The Environmental Protection (Microbeads) (Wales) Regulations 2018)を公表した。※2

  英国(ウェールズ、イングランド、スコットランド、北アイルランド)では、2018年6月末までにマイクロビーズの禁止を実施することを目標にしている。※3
なお、イングランドでは、2018年1月1日に製造が禁止され、6月30日に販売も禁止される予定であり、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドは、2018年6月30日に製造および販売を禁止する予定である。

<参考資料>

※1 Proposals for implementing and enforcing a ban in Wales on the manufacture and sale of cosmetics and personal care products containing plastic microbeads
http://gov.wales/about/cabinet/decisions/2017/jul-sep/environment/lg2688/?lang=en(英語)
※2 The Environmental Protection (Microbeads) (Wales) Regulations 2018
http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tris/en/search/?trisaction=search.detail&year=2018&num=42(英語)
※3 Proposals to ban the use of plastic microbeads in cosmetics and personal care products
http://gov.wales/about/cabinet/decisions/2017/jul-sep/environment/lg2688/?lang=en(英語)

■英国(イングランド)

マイクロビーズを含む化粧品およびパーソナルケア製品の製造・販売を禁止

<概要>

  2017年12月19日、マイクロビーズを含む化粧品およびパーソナルケア製品の製造・販売禁止に関する法規制が公布された。

  使用後に洗浄するタイプ(rinse-off)の化粧品やパーソナルケア製品について、マイクロビーズの使用が禁止され、2018年1月9日からマイクロビーズを含有する製品の製造禁止、7月9日以降は製品の販売が禁止される。

  この規則では、マイクロビーズは5 mm以下の水に不溶な固体プラスチック粒子と定義されている。

<参考資料>

・2017 No.1312 The Environmental Protection (Microbeads) (England) Regulations 2017
http://www.legislation.gov.uk/uksi/2017/1312/pdfs/uksi_20171312_en.pdf(英語)
・Press release
World-leading microbeads ban takes effect Today the government's ban on microbeads in cosmetics and personal care products comes into effect.
https://www.gov.uk/government/news/world-leading-microbeads-ban-takes-effect(英語)

■デンマーク

マイクロプラスチックの現状と課題に関する報告書を公表

<概要>

  2018年1月10日、デンマーク環境保護局はマイクロプラスチックに関する各種の論文を集約し、マイクロプラスチックの現状と課題に関する報告書を作成した。

・マイクロプラスチックの発生源

  報告書では、マイクロプラスチックの発生源に関する情報が少ないことを指摘している。車のタイヤを例として取り上げ、自動車タイヤから放出されるマイクロプラスチックは、理論的計算に基づくと最大の発生源であり、水生環境中の60 %に相当する可能性を示唆している。しかし、粒子が非常に小さく未だに誰も測定していない。

・マイクロプラスチックの定義および分析法

  一般に、直径が5 mmより小さいすべてのプラスチック片として定義されている。しかし、マイクロプラスチックの多くは1 mmよりはるかに小さくμm単位のものであり、蜂蜜、ビール、砂糖、魚および飲料水等、多く食品等からも検出されている。 また、これらを正確に測定する分析方法の確立が必要である。特に20 μm以下の粒子について信頼できる測定法の確立が望まれる。

・環境挙動や環境影響

  発生源である工場や生活の場から環境中への移行、雨水の影響等、環境挙動に関する情報が不足している。また、環境生物に対する影響について、マイクロプラスチックの多様性、生態系の多様性等、問題は複雑である。

<参考資料>

http://mfvm.dk/nyheder/nyhed/nyhed/vi-ved-alt-for-lidt-om-mikroplast/?utm_medium=email&utm_source=fvm_nyhedsmail&utm_campaign=vi-ved-alt-for-lidt-om-mikroplast&cHash=63bbb494f782195cbabf20bd671c37d1(デンマーク語)
http://mst.dk/media/143341/partnerskab-om-mikroplast-i-spildevand-2017.pdf(デンマーク語)

3)その他

■台湾:マイクロビーズの禁止に対応した試験方法を公表

<概要>

  2017年11月14日、台湾環境保護署は、化粧品やパーソナルクレンジングケア製品のプラスチックマイクロビーズの有無を判断するための試験方法を発表した。※1

  マイクロビーズを含む化粧品の製造・輸入ならびに販売・使用は、それぞれ2018年1月および7月から禁止される※2ことに対応したものである。

  本試験方法に関する概要は以下の通りである。
  ・対象物質:直径0.05 mm~5 mmのプラスチック粒子
  ・対象製品:化粧品およびを含むパーソナルケア製品(シャンプー、フェイスメイク洗浄剤、バス化粧品、石鹼類、磨き粉、歯磨き粉等)
  ・分析機器:フーリエ変換赤外分光計(FTIR)またはラマン分光計

<参考資料>

※1 行政院環境保護署公告:訂定「化粧品及個人清潔用品中含塑膠微粒材質之定性檢測方法(NIEA M907.00B)」
http://gaz.ncl.edu.tw/detail.jsp?sysid=E1727682(中国語)
※2 行政院環境保護署公告:訂定「限制含塑膠微粒之化粧品與個人清潔用品製造、輸入及販賣」
http://gazette.nat.gov.tw/egFront/detail.do?metaid=92762&log=detailLog(中国語)
http://gaz.ncl.edu.tw/detail.jsp?sysid=E1720135(中国語)

2.フタル酸エステル類

■米国:米国消費者安全委員会は子供製品中のフタル酸エステル5種類を禁止

<概要>

  2017年10月20日、消費者安全委員会は0.1%を超える下記のフタル酸を含む子供玩具、子供用ケア製品を禁止する最終規則を公表した。この規則は、2018年4月25日に有効となる。※1

・法規制 :消費者製品安全性改善法(CPSIA)
・対象物質:フタル酸エステル類
・用途  :子供玩具、子供用ケア製品
    ・diisobutyl phthalate (DIBP、CAS No. 84-69-5)
    ・di-n-pentyl phthalate (DnPP or DPENP、CAS No. 131-18-0)
    ・di-n-hexyl phthalate (DnHP or DHEXP、CAS No. 84-75-3)
    ・dicyclohexyl phthalate (DCHP、CAS No. 84-61-7)
    ・diisononyl phthalate (DINP、28553-12-0, 68515-48-0)

  CPSIAでは、既に0.1%を超えるdi(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP), dibutyl phthalate (DBP), butyl benzyl phthalate (BBP)を含む子供玩具、子供用ケア製品が禁止されている。※2

    ・di-(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP)
    ・dibutyl phthalate (DBP)
    ・benzyl butyl phthalate (BBP)

  また、0.1%を超えるdiisononyl phthalate (DINP)、diisodecyl phthalate (DIDP)またはdi-n-octyl phthalate (DNOP)を含む口に入れる子供玩具および子供ケア製品は暫定的に禁止されている。※2
今回の改訂では、DINPの暫定禁止は子供玩具全体に拡大し、永久禁止となった。一方、DIDPとDNOPの暫定禁止は抗アンドロゲン作用がないとして解除されている。

<参考資料>

※1 Prohibition of Children's Toys and Child Care Articles Containing Specified Phthalates
https://www.regulations.gov/document?D=CPSC_FRDOC_0001-0916(英語)
https://www.cpsc.gov/content/cpsc-prohibits-certain-phthalates-in-children%E2%80%99s-toys-and-child-care-products(英語)
※2 Consumer Product Safety Improvement Act of 2008 (CPSIA) (pdf), Pub. L. No. 110-314, 122 Stat. 3016 (August 14, 2008).
https://www.cpsc.gov/s3fs-public/pdfs/blk_pdf_cpsia.pdf(英語)
https://www.cpsc.gov/Business--Manufacturing/Business-Education/Business-Guidance/Phthalates-Information(英語)

■米国:IFRAは使用成分リストに5種類のフタル酸類を追加

<概要>

  2017年12月8日、国際香粧品香料協会(IFRA)は香料産業界で現在使用している成分リストに、5種類のフタル酸エステル類を追加した。

    ・dimethyl phthalate (DMP),
    ・di(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP),
    ・dibutyl phthalate (DBP) ,
    ・dioctylphthalate,
    ・Bis(2-ethylhexyl) terephthalate

  IFRAは、2010年以来、クリーニング製品、ヘアケア製品、自動車の手入れ用品、研磨剤、床メンテナンス用の製品について、製造業者が使用する成分リストをウェブサイトで公表している。
リストは毎年実施されるIFRAの使用量調査に基づいており、現在は、2016年度の調査に基づいて3999物質が公開されている。
この取組みは、カナダ消費者用特殊製品協会(CCSPA)、米国消費者用特殊製品協会(CSPA)、米国クリーニング協会(ACI)が主導している。

<参考資料>

http://www.ifraorg.org/en-us/ingredients#.WjkttVSFjos(英語)
https://www.womensvoices.org/2017/12/08/are-phthalates-dbp-and-dehp-back-in-fragrance/(英語)
http://fragrancesafetypanel.org/(英語)

3.その他の情報(GHS分類に関連した法規制動向)

■コスタリカ

2017年8月17日
国連GHS改訂第6版に準拠したGHS分類を導入

<概要>

  コスタリカ保健省は、国連GHS改訂第6版に準拠したGHS分類を導入し、危険有害物質の登録、輸入および管理に関する技術規則を公表した。
除外品目、ラベル表示、SDS作成等が示されている。なお、5年間の移行期間が設けられている。

<参考資料>

http://www.pgrweb.go.cr/scij/Busqueda/Normativa/Normas/nrm_texto_completo.aspx?param1=NRTC&nValor1=1&nValor2=84341&nValor3=108773&strTipM=TC#ddown(スペイン語)
http://www.pgrweb.go.cr/scij/Busqueda/Normativa/Normas/nrm_texto_completo.aspx?param1=NRTC&nValor1=1&nValor2=85223&nValor3=110162&strTipM=TC(スペイン語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■スウェーデン

2017年9月14日
欧州 CLP規則に関する検査プロジェクトを開始

<概要>

  欧州では、CLP規則に従ったラベル表示に関する移行期間が終了し、2017年6月1日から、市場のすべての化学製品は、CLP規則に従ってラベルを表示しなければならない。
旧法に準拠したラベルを表示した製品については市販できず、新たにCLP規則に従って再分類・再ラベル表示が必要となる。
スウェーデン化学品庁(KEMI)では、検査プロジェクトを開始し、CLP規則に従った警告ラベル等のチェックを始める。

<参考資料>

https://www.kemi.se/nyheter-fran-kemikalieinspektionen/2017/nu-startar-vart-samverkansprojekt-om-clp-markning-i-handeln/#(スウェーデン語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■ニュージーランド

2017年10月3日
有害物質の分類、ラベル表示等の管理方法を変更

<概要>

  ニュージーランドEPAは「有害物質および新生物法1996」に基づく有害物質の管理について、新たな通達を発表した。
国連GHS改訂第5版に準拠したGHS分類、ラベル表示、SDS作成等に関する通達も含まれている。
・Hazardous Substances (Classification) Notice 2017
・Hazardous Substances (Labelling) Notice 2017
・Hazardous Substances (Safety Data Sheets) Notice 2017
これらの通達は2017年12月1日に発効する。
ただし、既存物質については用途等により2~3年の移行期間が設けられており、2021年12月1日からはすべての物質が完全に適合することになる。

<参考資料>

https://www.epa.govt.nz/industry-areas/hazardous-substances/rules-for-hazardous-substances/epa-notices-for-hazardous-substances/(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■ベトナム

2017年10月9日
国連GHS改訂第2版に準拠した分類等の化学品法細則および施行ガイダンス改訂

<概要>

  化学品法の細則および施行ガイダンスに関する政令の改定が公布された。
対象となる1156物質(付録にリストあり)の製造、輸入、販売について、化学物質の安全性を確保するための、防止計画と措置、化学施設の安全確保、化学物質の分類・安全性データシート等が必要になる。また、作業者の訓練についても規定されている。
化学物質の分類では、国連GHS改訂第2版に準拠した分類となっている。
2017年11月25日から施行される。

<参考資料>

https://thuvienphapluat.vn/van-ban/Tai-nguyen-Moi-truong/Nghi-dinh-113-2017-ND-CP-huong-dan-Luat-hoa-chat-346246.aspx#(ベトナム語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■韓国

2017年10月18日
GHS分類に基づいて登録時の提出データを軽減(案)

<概要>

  K-REACHでは化学物質の有害性の有無に関係なく、一律に試験データの提出が求められる。
負担軽減のため、GHS分類に基づいて有害性があると分類されていない物質については、登録時の提出資料が軽減される。
ただし、有害性があると分類されていない物質について、その後に有害性が確認された場合には、追加データが要求される。
一方、GHS分類により急性毒性(区分1~4)、発がん性(区分1A 、1B、2)等の健康・環境有害性に区分される物質については、現行のすべてのデータが要求される。

<参考資料>

http://www.me.go.kr/home/web/board/read.do?pagerOffset=0&maxPageItems=10&maxIndexPages=10&searchKey=&searchValue=&menuId=286&orgCd=&boardId=819540&boardMasterId=1&boardCategoryId=&decorator=(ハングル語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■チリ

2017年11月13日
国連GHS改訂第6版に準拠したGHS分類を導入

<概要>

  チリ保健省は、GHSを採択し、危険有害物質の製造、輸入、保管、輸送等に関する化学物質の安全性問題に取り組む意向を、WTO(World Trade Organization、世界貿易機構)に通知した。
国連GHS改訂第6版に準拠したGHS分類が採用され、各項目の分類基準、混合物の裾切り値等、GHS分類に関する詳細な手順が示されている。

<参考資料>

https://members.wto.org/crnattachments/2017/TBT/CHL/17_5048_00_s.pdf(スペイン語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■コロンビア

2017年11月29日
国連GHS改訂第6版に準拠したGHS分類を導入

<概要>

  コロンビア労働省は、GHSを採択し、危険有害物質の製造、輸入、保管、輸送等に関する化学物質の安全性問題に取り組む意向を、WTO(World Trade Organization、世界貿易機構)に通知した。
危険有害性については、国連GHS改訂第6版に準拠したGHS分類が採用され、分類に用いるデータについてはOECDのGLP(Good Laboratory Practice)等、データの信頼性が求められている。

<参考資料>

https://members.wto.org/crnattachments/2017/TBT/COL/17_5322_00_s.pdf(スペイン語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

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第2回 「ナノマテリアル・ビスフェノールA等」

はじめに

  新シリーズの第2回目は、ナノマテリアルに関連したトピックスとして、OECDにおける銀ナノ粒子の危険有害性、欧州における規制動向について、また、ビスフェノールAの規制動向等、その他GHS分類に関連した各国の法規制動向を紹介します。

  • ナノマテリアル(OECD、欧州、スイス)
  • ビスフェノールA(欧州:ECHA、加盟国委員会、EFSA、欧州委員会)
  • その他:GHS分類に関連した各国の法規制動向(フィリピン、デンマーク、ベトナム、欧州、日本、カナダ)

1.ナノマテリアル

■OECD

2017年10月16日
銀ナノ粒子の危険有害性に関する概要を公表

<概要>

  OECDでは環境健康安全プログラム(Environment, Health and Safety Programme、EHS)の下で化学品の安全性に関する議論が進められ、さらにナノマテリアルについては、2006年に工業ナノマテリアル作業部会(Working Party on Manufactured Nanomaterials、WPMN)が設置され、工業ナノマテリアルの試験と評価、リスク評価と規制、ばく露計測とばく露低減、環境上持続可能なナノテクノロジーの利用等が議論されている。

  2017年の10月に活動の一環として、銀ナノ粒子の有害性に関するまとめが公表された。
  以下に概要を示す。

○急性毒性

・急性経皮毒性:OECDテストガイドラインTG402に準拠した急性経皮毒性試験において、雌雄のラットにおけるLD50値は2,000 mg/kg体重以上であった。

・急性経口毒性:OECDテストガイドラインTG423に準拠した急性経口毒性試験において、死亡や異常所見は認められず、雄ラットのLD50値は2,000 mg/kg体重以上であった。

○刺激性/腐食性

・皮膚刺激性: OECDテストガイドラインTG404に従って皮膚刺激試験を実施した(GLP試験)。雌雄3匹のウサギに0.5 mL/6 cm2を4時間ばく露した。雌雄のウサギともに皮膚刺激性は認められなかった。

・眼刺激性:OECDテストガイドラインTG405に従って眼刺激性試験を実施した(GLP試験)。雄3匹のウサギに、片方の眼に0.1 mL/眼(0.02 g/眼)で被験物質をばく露し、もう一方の眼は未処置のままとした結果、眼刺激性は認められなかった。

○皮膚感作性

・OECDテストガイドラインTG406に従って皮膚感作性試験を実施した(GLP試験)。モルモット(雄20匹/用量)の皮膚に、被験物質を0.4 mL/2.5 cm×2.5 cmで閉塞パッチ処理した。惹起24および48時間後において、いずれの処置群においても皮膚反応は観察されなかった。

・他のOECDテストガイドラインTG406試験では、モルモット(雄20匹/用量)に、被験物質の0.1 mL(20.48 %)を皮内投与し、2×4 cm2に閉塞パッチした。20匹中の1匹で惹起24または48時間後にグレード1の紅斑が認められたが(5 %)、他の皮膚反応は認められなかった。

○反復投与毒性 (経口)

・OECDテストガイドラインTG422に準拠して反復投与毒性・生殖発生毒性併用試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley系ラット(50匹/性/用量)に、被験物質の0、62.5、125および250 mg/kg体重/日を、1日1回42日間(雄は交配前の14日間、交配中の14日間、交配後の14日間。雌は交配前の14日間、交配および妊娠中および授乳後4日目まで)経口投与した。親動物の反復投与毒性NOAELは250 mg/kg体重/日以上と考えられた。

・OECDテストガイドラインTG407に従って反復経口投与毒性試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley 系ラット(10匹/性/用量)に、被験物質の0、30、100および1,000 mg/kg体重/日を、28日間投与した。強力な腸内分泌促進作用が見られ、腸粘膜の異常なムチン組成が誘導された。

・OECDテストガイドラインTG408に従って反復経口投与毒性試験を実施した(GLP試験)。F344ラット(10匹/性/用量)に、被験物質の0、30、125および500 mg/kg体重/日を90日間投与した。LOAELは125 mg/kg体重/日、NOAELは30 mg/kg体重/日以下であった。

・OECDテストガイドラインTG407(非GLP試験)に従ってSprague-Dawley系ラット(5匹/性/用量)に、被験物質の0、25、100および400 mg/kg体重/日を飲料水に混入して28日間投与した。毒性はいずれの投与群でも認められなかった。

・OECDテストガイドラインTG408に従って反復経口投与毒性試験を実施した(非GLP試験)。 Sprague-Dawley系ラット(10匹/性/用量)に、被験物質の0、25、100および400 mg/kg体重/日を飲料水に混入して90日間投与した。毒性はいずれの投与群でも認められなかった。

○反復投与毒性(吸入)

・OECDテストガイドラインTG412に従って反復吸入ばく露毒性試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley系ラット(10匹/性/用量)に、被験物質として銀ナノ粒子1.2×10E4、1.2×10E5、および1.2×10E6 粒子/ cm3の濃度で、6時間/日、5日間/週、28日間ばく露した。ラットにおいて、いずれの銀ナノ粒子用量でも有意な健康影響は認められなかった。一方、肺の銀濃度は、銀ナノ粒子吸入後に用量依存性に増加した。NOAELは1.2×10E4粒子/cm3であった。

・OECDテストガイドラインTG413に従って反復吸入ばく露毒性試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley系ラット(10匹/性/用量)に、0、0.6×10E6 粒子/cm3(49 μg/m3)、1.4×10E6 粒子/ cm3(133 μg/ m3)および3.0×10E6 粒子/cm3(515 μg/m3)の濃度で、6時間/日、5日間/週で、90日間ばく露した。NOAELは1.0×10E6 粒子/cm3(100 μg/ m3)であった。

○遺伝毒性(in vitro)

・Ames試験:OECDテストガイドラインTG471に従って細菌を用いた復帰突然変異試験を実施した(GLP試験)。菌株は、ネズミチフス菌(TA1535、TA1537、TA98及びTA100)および大腸菌(WP2uvrA)を使用した。細胞毒性は、代謝活性化(S9ミックス処理)において0.63 μL/プレート以上(TA98およびTA1537)、1.25 μL/プレート(TA100、TA1535 及びWP2uvrA)、代謝活性化なし(S9ミックスなし)では、0.16 μL/プレート以上(TA100)、0.31 μL/プレート(TA98、TA1535、TA1537及びWP2uvrA)で認められたが、銀ナノ粒子は、ネズミチフス菌(TA 1535、TA1537、TA 98及びTA 100)及び大腸菌(WP2uvrA)株では変異原性を示さなかった。

・染色体異常試験:OECDテストガイドラインTG473に従ってチャイニーズハムスター卵巣線維芽細胞(CHO-K1細胞)を用いたin vitro染色体異常試験を実施した(GLP試験)。細胞毒性は、代謝活性化において0.156 μL/ ml、代謝活性化なしでは0.078 μL/mL(6時間)及び0.078 μL/ mL(24時間)で認められたが、銀ナノ粒子はCHO-K1細胞において代謝活性化の有無に関係なく染色体異常を示さなかった。

○遺伝毒性(in vivo)

・小核試験(経口投与):OECDテストガイドラインTG474に従って骨髄細胞を用いた小核試験の経口投与試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley系ラット(10匹/性/用量)に、銀ナノ粒子の0、30、300、1000 mg/kg体重/日を28日間投与した。LOAELは300 mg/kg体重/日、NOAELは30 mg/kg体重/日であった。銀ナノ粒子の経口投与において小核の発生頻度の増加はなく、本試験において遺伝毒性はないことが示された。

・小核試験(吸入ばく露):OECDテストガイドラインTG474に従って骨髄細胞を用いた小核試験の吸入ばく露試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley系ラット(10匹/性/用量)に、銀ナノ粒子を0.7×10E6 粒子/cm3、1.4×10E6 粒子/cm3、2.9×10E6 粒子/ cm3の濃度で、6時間/週、5日間/週、13週間ばく露した。LOAELは125 mg/kg体重/日、NOAELは30 mg/kg体重/日であった。この結果から、銀ナノ粒子の90日間吸入ばく露において雌雄ラットの骨髄に遺伝毒性を誘発しないことが示された。

○生殖毒性

・OECDテストガイドラインTG422に従って反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験を実施した(GLP試験)。Sprague-Dawley系ラット(50匹/性/用量)に、0、62.5、125および250 mg/kg体重/日を42日間経口投与した(雄は交配前14日間、交配中14日間および交配後14日間、雌は交配前14日間、交配および妊娠中、および授乳4日目まで)。親動物の一般毒性NOAELは250 mg/kg体重/日以上、仔動物NOAELは250 mg/kg体重/日以上であった。

<参考資料>

・SILVER NANOPARTICLES: SUMMARY OF THE DOSSIER Series on the Safety of Manufactured Nanomaterials No. 83
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono(2017)31&doclanguage=en(英語)

■欧州

2018年1月12日
EFSAは食品におけるナノマテリアルのリスク評価ガイダンス案を公表

<概要>

  欧州食品安全機関(European Food Safety Authority、EFSA)は、食品および飼料におけるナノマテリアルおよびナノテクノロジー利用におけるリスク評価に関するガイダンス(パート1: ヒトおよび動物の健康)案を公開し意見募集を開始した(意見募集は、3月4日に締切られた)。ガイダンスは、新規食品、食品接触材料、食品および飼料添加物、農薬など、EFSAに関連する分野を対象としている。※1

  このガイダンスは、2011年に公表したガイダンスについて、その後のナノマテリアルのばく露評価と有害性に関する新たな研究を含む科学的発展を反映して改訂したものである。

  このガイダンスは以下を対象としている。

1. 新規食品規制(EU)No 2015/2283および消費者への食品情報提供規則(EU)No 1169/2011に準拠し、1~100 nmの粒子サイズを有するナノマテリアル。※2

2. ナノスケールを超える(100 nmを超える)粒子を含む材料であるがナノスケールの特徴を維持している材料。

3. サイズ範囲1~100 nmの粒子が50 %未満の物質で、ナノマテリアルとして設計されていない材料。

4. 同じ元素組成の物質でも、異なる製造プロセスにより異なる形状、サイズ、結晶形態、表面特性が現れるナノマテリアル。

5. 天然材料から作られたナノスケールの物質。

  また、ナノマテリアルは、細胞内ではライソゾーム(細胞内小器官の一つで水解小体とも呼ばれる)に取込まれて分解することから、有害性評価においてもナノマテリアルの特性を考慮すべきである。即ち、遺伝毒性に関する細菌を用いた変異原性試験等は、ライソゾームが欠落する細菌を用いた試験であるため、ナノマテリアルの有害性評価には不適切と思われ、哺乳動物細胞を用いて評価すべきである等、有害性については、in vivo / in vitro等の安全性研究に関する検討や、リスク評価や不確実性分析へのアプローチが提案され、この分野におけるさらなる研究の必要性を提言している。

<参考資料>

※1 Public consultation: guidance on nanomaterials
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/180112(英語)
http://www.efsa.europa.eu/en/consultations/call/180112(英語)
※2 食品や消費者への食品情報提供に関する規制(EU)No 2015/2283および(EU)No 1169/2011
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/en/TXT/?uri=CELEX%3A32015R2283(英語)
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX%3A32011R1169(英語)

■スイス

2018年1月31日
化学品政令(ChemO)にナノマテリアルの情報開示に関する要件を規定

<概要>

  連邦理事会は、化学品政令(ChemO)の改正を承認し、工業ナノマテリアルの情報開示に関する要件が規定された。

  ナノマテリアルの情報としては、ナノマテリアルの組成、粒子の形状およびその平均サイズ、また、情報が利用可能な場合、粒度分布、比表面積、結晶構造、凝集状態、表面の被覆、および市場における年間取扱量が必要とされ、安全データシート(SDS)について、ナノマテリアルを含有する製剤では、ナノマテリアルの組成、粒子の形状および平均サイズの記載が要求されている。

<参考資料>

https://www.anmeldestelle.admin.ch/chem/fr/home/themen/recht-wegleitungen/revisionen-des-chemikalienrechts/aenderungen-chemikalienverordnung-und-biozidprodukteverordnung-2018.html(フランス語)

2.ビスフェノールA

■欧州

2017年10月17日
ビスフェノールSが環境中に広範に存在することが明らかに

<概要>

  Wuら(2018)は、bisphenol A (BPA)の代替であるbisphenol S (BPS)が環境中のいたるところに存在し、世界中で検出されているという内容の論文を発表した。BPSは、水、底質、汚泥、室内のゴミや空気、消費者製品、ヒトの尿などでは、BPAよりも低濃度であった。一方、水生環境、特に水中ではBPSはBPAとほぼ同等レベルであった。BPSはBPAと類似構造であり、内分泌かく乱化学物質として動物やヒトの生殖系、内分泌系、神経系への影響が懸念されている。BPSのヒトばく露の発生源は主に食品であり、バーソナルケア製品の寄与は少ない。※1

  2016年、ECHA(欧州化学品庁)の加盟国委員会は、登録業者に追加試験の実施を要求した。その中には、ラットおよび魚の拡張一世代生殖毒性試験、ばく露データとばく露アセスメントなどが含まれている。提出期限は2018年9月20日である。※2
  また、ECHAは欧州委員会の要請を受けて、レシ-ト用感熱紙中に使用される各年度のBPA、BPSなどの販売量に関する調査を継続している。※3

<参考資料>

※1 Wu LH. et al. (2018) Occurrence of bisphenol S in the environment and implications for human exposure: A short review. Science of the Total Environment. 615; 87-98.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969717325457(英語)
※2 Decision on Substance Evaluation Pursuant to Article 46(1) of Regulation (EC) NO 1907/ 2006 For 4,4’-sulfonyldiphenol, CAS No 80-09-1 (EC No 201-250-5)
https://echa.europa.eu/documents/10162/776a7a2e-1526-430a-8630-70163473dfc0(英語)
※3 Use of Bisphenol A and its alternatives in thermal paper in the EU 2014-16
https://echa.europa.eu/documents/10162/22863068/bpa_entry_en.pdf/6b1d66d4-6a1d-c1c4-e628-4a8a768f274a(英語)

■欧州

2017年12月14日
加盟国委員会はBPAの環境に対する内分泌かく乱特性に同意

<概要>

  ドイツはBPAについて、他の高懸念物質(SVHC、Substances of Very High Concern)と同様に、環境に対して重大な内分泌かく乱作用を及ぼす科学的証拠があるとして、SVHCとして特定することを提案し、加盟国委員会はこの提案に同意した。

  BPAは、魚類、両生類に内分泌かく乱作用を及ぼし、個体群の安定性および個体の増加に影響を及ぼす。内分泌かく乱を介した影響は、急性毒性、全身毒性、麻酔作用よりも低濃度で生じる。

  BPAは既に、ヒト健康に対する生殖毒性と内分泌かく乱特性によりSVHCの候補リストに掲載されている。

<参考資料>

https://echa.europa.eu/identification-of-svhc/-/substance-rev/18101/term(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/13638/svhc_msc_support_document_bisphenol_a_en.pdf(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/81862f4e-92bc-6f64-9a01-42565b526022(英語)

■欧州

2017年12月14日
EFSAはBPAのハザードアセスメントの再評価の準備完了

<概要>

  欧州食品安全機関(EFSA)は、一般食品法規則(Regulation(EC) No.178/2002)の下で2018年に実施するBisphenol A(BPA、CAS No. 80-05-7)のハザードアセスメントについて、新規計画の準備を完了した。

  評価の目的は、現在、暫定耐容1日摂取量(TDI)として4 μg/kg体重/日が設定されているが、新規の科学的証拠に基づいて改訂する必要があるか否かを評価することである。

<参考資料>

http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/171214(英語)
http://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/1354e.pdf(英語)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/sp.efsa.2017.EN-1355/epdf(英語)

■欧州

2018年2月12日
食品接触材料中のBPAを制限

<概要>

  欧州委員会は、「食品に接触することを意図するプラスチック材料及び製品に関する規則(プラスチック規則(Regulation (EU) No 10/2011)」の改定に関する「2018年2月12日付け委員会規則(EU) 2018/213」を官報で公布した。

  この改定により、材料およびアーティクルに塗布されるワニスおよびコーティング剤からの移行限度値が0.6 mg BPA/kg食品から0.05 mg BPA/kg食品に変更された。

  ただし、この移行限度値は乳幼児に対する製品には適用されない。即ち、乳児用調製粉乳、その後の乳幼児用ミルク、加工されたシリアル食品、ベビーフード、乳児および幼児対象の医療用食品と接触することを意図した材料および製品に塗布するワニスやコーティング剤についてはBPAが含まれないこととされている。また、ポリカーボネート製の幼児用哺乳瓶の製造は禁止される。

  この改定は、公布後20日で有効となり、2018年9月6から適用される。

<参考資料>

・COMMISSION REGULATION (EU) 2018/213 of 12 February 2018 on the use of bisphenol A in varnishes and coatings intended to come into contact with food and amending Regulation (EU) No 10/2011 as regards the use of that substance in plastic food contact materials
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32018R0213&from=EN(英語)

3.その他の情報(GHSに関連した法規制動向)

■フィリピン

2017年11月28日
SDSが必要な高生産量化学物質(High volume chemicals)のリストを公表

<概要>

  フィリピン環境管理局は、高生産量化学物質(High volume chemicals、HVCs)へのGHS適用に関するガイドライン(EMB Memorandum Circular 010、EMB MC-2017-010)を公表した。

  HVCsは年間500トン以上の製造、輸入、販売される化学物質と定義され、GHSに従ったSDSの交付が必要となる。本ガイドラインには、対象となる232物質が掲載されている。

<参考資料>

https://chemical.emb.gov.ph/?attachment_id=388(英語)
https://chemical.emb.gov.ph/wp-content/uploads/2017/12/MC-2017-010_GUIDELINES-IN-THE-IMPLEMENTATION-OF-GHS-CLASSIFICATION-AND-LABELLING-REQUIREMENTS-FOR-HVCs.pdf(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds2017.html(日本語)

■デンマーク

2017年12月22日
予測手法を用いた54,000物質の危険有害性分類を公開

<概要>

  デンマーク環境保護庁は、危険有害性データが不足している約54,000物質について、(定量的)構造活性相関((Q)SAR)による予測手法を用いた危険有害性分類の結果を公表した。

  これは、自己分類のための指標となる分類であり、①EU分類(CLP)がある場合はそれに従うこと、②全ての信頼性のあるデータ(試験データ等)がある場合は信頼性のあるデータと合わせて証拠の重みにおいて使用すること、③信頼性のあるデータがない場合に使用することを推奨している。

  対象となる危険有害性指標は、「急性経口毒性」「皮膚刺激性」「皮膚感作性」「変異原性」「発がん性」「繁殖毒性」「水生生物毒性」である。危険有害性に関する分類結果は、データベースとして検索可能である。また、予測手法に関する概要も公開されている。

<参考資料>

http://mst.dk/kemi/kemikalier/stoflister-og-databaser/vejledende-liste-til-selvklassificering-af-farlige-stoffer/(デンマーク語)
http://mst.dk/kemi/kemikalier/stoflister-og-databaser/vejledende-liste-til-selvklassificering-af-farlige-stoffer/clp/(デンマーク語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds2017.html(日本語)

■ベトナム

2017年12月28日
SDS作成に関するガイダンスを公表

<概要>

  ベトナム商工省(MOIT)は、SDSの作成に関するガイダンス等(Circular No 32/2017 / TT-BCT)を公表した。

  このガイダンスは、化学品法の細則及び施行ガイダンスに関する政令(Decree 113/2017/ND-CP)に従ったSDS作成等を実施するための通達で、国連GHS改訂第2版に準拠したGHS分類、SDS作成が示されている。

<参考資料>

・Circular No 32/2017 / TT-BCT
https://thuvienphapluat.vn/van-ban/Tai-nguyen-Moi-truong/Thong-tu-32-2017-TT-BCT-huong-dan-Luat-Hoa-chat-va-Nghi-dinh-huong-dan-luat-hoa-chat-363171.aspx(ベトナム語)
・Decree 113/2017/ND-CP
https://thuvienphapluat.vn/van-ban/Tai-nguyen-Moi-truong/Nghi-dinh-113-2017-ND-CP-huong-dan-Luat-hoa-chat-346246.aspx(ベトナム語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds2017.html(日本語)

■欧州

2018年2月20日
混合物の分類・表示に関するチェックを開始

<概要>

  EUおよびEEA加盟国は、混合物の分類および表示が、混合物の安全性データシートに示されている情報と一致するかどうかをチェックするプロジェクトを開始した。(2018年1月に開始)

  このプロジェクトはREACH-EN-FORCE-6(REF-6)に基づくもので、31か国が参加する予定である。チェックは2018年末まで継続され、検査結果は2019年第4四半期に公開される予定である。

<参考資料>

https://echa.europa.eu/-/inspectors-begin-controls-of-classification-and-labelling-of-mixtures(英語)
https://echa.europa.eu/about-us/who-we-are/enforcement-forum(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■日本

2018年3月31日
政府向け及び事業者向けGHS分類ガイダンスの改訂

<概要>

  政府向け及び事業者向けGHS分類ガイダンス「平成25年度改訂版(Ver.1.0)」について、「JIS Z 7252:2014」を反映して改訂され、「平成25年度改訂版(Ver1.1)」が公表された。

  今回の改訂は、「平成25年度改訂版(Ver.1.0)」が「JIS Z 7252: 2014」の改訂作業中に策定されたため、一部反映されていない部分があったことから加筆・修正されている。

<参考資料>

http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/ghs_tool_01GHSmanual.html(日本語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■カナダ

2018年4月4日
有害製品規則の有害成分濃度に関する表示方法を改正

<概要>

  カナダ政府は、有害製品規則(Hazardous Products Regulations、HPR)の有害成分濃度に関する表示方法を改正した。(Amending the HPR: SOR/2018-68)。これは企業のCBIを考慮したもので、企業は有害成分の濃度値を保護するために、SDSに規定の濃度範囲で表示することができる。

  13段階の表示が可能になる。

  (a) from 0.1 to 1%、(b) from 0.5 to 1.5%、(c) from 1 to 5%、(d) from 3 to 7%、(e) from 5 to 10%、(f) from 7 to 13%、(g) from 10 to 30%、(h) from 15 to 40%、(i) from 30 to 60%、(j) from 45 to 70%、(k) from 60 to 80%、(l) from 65 to 85%、(m) from 80 to 100%.

<参考資料>

http://gazette.gc.ca/rp-pr/p2/2018/2018-04-18/html/sor-dors68-eng.html(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

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第3回 「マイクロプラスチック・マイクロビーズ等」

はじめに

  新シリーズの第3回目では、マイクロプラスチック・マイクロビーズに関連したトピックスとして、欧州各国における規制動向について、また、フタル酸エステル類、ペルフルオロ化合物の規制動向等、その他にGHS分類に関連した各国の法規制動向を紹介します。

  • マイクロプラスチック・マイクロビーズ
  • フタル酸エステル類
  • ペルフルオロ化合物
  • その他:GHS分類に関連した各国の法規制動向

1.マイクロプラスチック・マイクロビーズ

1)欧州

■ECHAはマイクロプラスチックに関する情報を収集
   2018年3月1日

<概要>

  欧州化学物質庁(ECHA)は意図的に添加されたマイクロプラスチックについて、使用等が制限された場合の影響を評価するための情報収集を開始した。

  特に、マイクロプラスチック粒子の使用状況、代替品の検討状況、マイクロプラスチックを意図的に添加した製品を制限した場合のコスト等への影響について情報提供を呼び掛けている。
  期限は、2018年5月11日とされている。

  なお、マイクロプラスチックについて、水に不溶性の合成ポリマーで、粒子径は5mm以下のものと定義している。

<参考資料>

・Call for evidence on possible restriction of microplastics
https://echa.europa.eu/-/call-for-evidence-on-possible-restriction-of-microplastics(英語)

2)欧州各国の動向

(1)ノルウェー

■人工芝から放出されるマイクロプラスチックの排出削減を検討
   2018年2月19日

<概要>

  ノルウェーの気候・環境大臣(Minister of Climate and Environment)は、人工芝から放出されるマイクロプラスチックの拡散を減らすための法規制案の作成を環境部に要請した。

  人工芝を構成するゴム顆粒はマイクロプラスチックの排出源として懸念されている。
  ノルウェーには約1600の人工芝トラックがあり、そのほとんどが自動車タイヤを原料とした再生ゴム顆粒により製造された人工芝を使用している。これらは滑り防止とともに、足や膝への負荷軽減による怪我に対するリスク軽減を目的としている。

  一方で、ゴム顆粒による環境問題が懸念されることから、ノルウェー環境局は、ゴム顆粒が工場から外部に漏出しないような対策や、屋外施設やその周辺環境の整備、また、人工芝について、河川等の水域における脆弱な生態系を考慮した特別な規制要件の設定等を検討している。

<参考資料>

・Kommer krav for å redusere utslipp av mikroplast fra kunstgressbaner
https://www.regjeringen.no/no/aktuelt/kommer-krav-for-a-redusere-utslipp-av-mikroplast-fra-kunstgressbaner/id2590070/(ノルウェー語)

■道路で発生するマイクロプラスチックに関する報告書
   2018年4月4日

<概要>

  ノルウェー環境庁(NEA)は、道路で発生するマイクロプラスチックを回収し、排水路への侵入を防止するための対策について報告書を公表した。

  道路で発生するダストは、タイヤのゴム、道路のアスファルト舗装を補強するために使用されるポリマー、道路標識等のマーキング塗料に使用される熱可塑性エラストマーに由来するマイクロプラスチック粒子である。
  これらの大部分は、降雨により道路および道路周辺から流出し、家庭用の排水処理場に流入すると考えられるが、現在の処理施設では、マイクロプラスチックを除去することは困難である。

  今後、これらの施設に流入する道路雨水中のマイクロプラスチック量、排水処理場における処理量や除去メカニズム等について、より詳細に検討する必要がある。

<参考資料>

・Microplastics in road dust – characteristics, pathways and measures (Publications News)
http://www.miljodirektoratet.no/no/Publikasjoner/2018/April-2018/Microplastics-in-road-dust--characteristics-pathways-and-measures/(英語)
・Microplastics in road dust – characteristics, pathways and measures (Report)
http://www.miljodirektoratet.no/Documents/publikasjoner/M959/M959.pdf(英語)

(2)スウェーデン

■化粧品およびその他の化学製品におけるマイクロプラスチックに対する政府の役割について
   2018年2月18日

<概要>

  スウェーデン化学物質庁(KEMI)は、化粧品およびその他の化学製品におけるマイクロプラスチックに対する政府の役割に関する報告書を公表した。

  2018年2月1日、スウェーデン政府は、リンスオフ(使用後に洗浄するタイプ)化粧品やパーソナルケア製品へのマイクロプラスチックの使用を禁止したが、この法規制はすべてのマイクロプラスチックをカバーするものではない。
  スウェーデンの水環境を保護するためには、さらに規制を強化する必要性について、他の化学製品中のマイクロプラスチックに関する調査が必要である。また、化粧品や化学製品におけるマイクロプラスチックに関する規制は、欧州レベルで行われるべきであり、環境への懸念について、国家における制限を撤廃して、欧州域の課題として制限エリアを拡大することを提案している。

  また、マイクロプラスチックの評価について、現在マイクロプラスチックは5mm以下の水に不溶な固体プラスチック粒子と定義されているが、化粧品や化学製品に用いられているポリマーに関する情報が不足しており、特に、ポリマーの組成、化学的性質、水への溶解性およびサイズ等の特性に関する情報を収集し、規制すべきポリマー、代替となり得るポリマー等を的確に評価すべきである。

  スウェーデンで販売されている化粧品からは、年間0.2~4.4トンのマイクロプラスチックが水環境に排出され、排水処理プラントにおいて汚泥等で処理されている。従って、土壌、汚泥等におけるマイクロプラスチックの挙動等、排水処理プラントにおいてマイクロプラスチックに何が生じているのか等、さらなる研究が必要である。

  スウェーデン化学品庁は、特に、製品に使用されるマイクロプラスチックの情報について、産官学が連携して、さらに情報を収集し自主的なマイクロプラスチックの代替促進等を積極的に推進する予定である。

<参考資料>

・Mikroplast i kosmetiska produkter och andra kemiska produkter. Rapport från ett regeringsuppdrag
https://www.kemi.se/global/rapporter/2018/rapport-2-18-mikroplast-i-kosmetiska-produkter-och-andra-kemiska-produkter.pdf(スウェーデン語)

(3)デンマーク

■飲料水中のマイクロプラスチック測定法を開発
   2018年1月22日

<概要>

  デンマークの環境エネルギーセンターは、飲料水中のマイクロプラスチックを分析できる信頼性の高い方法を開発した。

  装置はサンプリング装置と分析装置から構成されている。
  サンプリング装置には、目開き20μmのステンレス製メッシュフィルターが取り付けられており、マイクロプラスチックをろ過・採取する。
  その後、加熱や洗浄により不純物を取り除き、顕微鏡による色やサイズの分析とフーリエ変換赤外分光光度計(Fourier transform infrared spectrometer、FT-IR)を用いた、FT-IRスペクトルによる粒子の成分分析(プラスチック、セルロース、タンパク質、金属等)を実施する。
  これらの組み合わせにより、目的とするマイクロプラスチック粒子のみの測定を可能にしている。

<参考資料>

・Nu undersøges drikkevand for mikroplast
http://mst.dk/service/nyheder/nyhedsarkiv/2018/feb/nu-undersoeges-drikkevand-for-mikroplast/(デンマーク語)
・Forslag til målemetode til brug for undersøgelser af mikroplast i taphanevand
http://dce.au.dk/fileadmin/dce.au.dk/Udgivelser/Notater_2018/
Notat_DCE_Maalemetode_mikroplast_i_taphanevand.pdf
(デンマーク語)

■マイクロプラスチックは地下水を汚染しない
   2018年4月23日

<概要>

  デンマーク環境庁は、マイクロプラスチックスの地下水汚染に対する影響について、危険性は低いという新たな試験結果を公表した。

  4か所の掘削地点から収集された地下水10サンプルをFT-IR法で分析した結果、1サンプルを除いて、すべてサンプルにおいてマイクロプラスチックが検出された。
  しかし、サンプル容量とマイクロプラスチックの数が比例しないことや、対照サンプル(脱イオン水)や空フィルターからも検出されており、今回のサンプルから検出されたマイクロプラスチックは、地下水中に存在することを示唆するものではなく、報告書ではサンプリングおよびサンプル処理の段階で、大気中から混入した可能性が最も高いと結論している。

<参考資料>

・Usandsynligt at mikroplast forurener grundvandet
http://mst.dk/service/nyheder/nyhedsarkiv/2018/apr/usandsynligt-at-mikroplast-forurener-grundvandet/(デンマーク語)
・Mikroplast i grundvand - En vurdering af potentialet for forekomst af mikroplast i dansk grundvand
http://mst.dk/media/148257/bilag-3-notat-mikroplast-i-grundvand.pdf(デンマーク語)

(4)北アイルランド

■マイクロビーズを含むリンスオフタイプのパーソナルケア製品の製造・販売禁止(案)
   2018年5月10日

<概要>

  2018年9月から、マイクロビーズを含むリンスオフ(使用後に洗浄)タイプのパーソナルケア製品の製造・販売を禁止する法規制(案)が公表された。

  英国(ウェールズ、イングランド、スコットランド、北アイルランド)では、2018年6月末までにマイクロビーズの禁止を目標としており、イングランドでは、2018年1月に製造が禁止され、6月に販売も禁止、ウェールズ、スコットランドでも、2018年6月に製造および販売が禁止される。(第1回コラム欄を参照)

  この規則では、マイクロビーズは5 mm以下の水に不溶な固体プラスチック粒子と定義されている。

<参考資料>

・The Environmental Protection (Microbeads) (Northern Ireland) Regulations 2018
http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tris/en/search/?trisaction=search.detail&year=2018&num=205(英語)
・特定化学物質規制の現状と課題、第1回(日本語)
http://chemical-net.env.go.jp/column_kizuki_uwagawa_onishi.html#VOL1(日本語)

(5)ルーマニア

■使い捨てプラスチック製レジ袋の禁止に関する法律
   2018年4月10日

<概要>

  ルーマニアでは、プラスチック製レジ袋の使用制限と取扱いに関する法律(No. 87/2018)が2018年4月に公示された。
  これは、包装および包装廃棄物の取扱いに関する法律(No. 249/2015)を改正するもので、レジ袋の利用削減に関するEUの包装および包装廃棄物に関する指令(欧州議会・理事会指令94/62/ECを改定した欧州議会・理事会指令2015/720)を国内法に移行したものである。
  薄いレジ袋の流通が2018年6月1日から禁止され、2019年1月1日から販売が禁止される。

  ルーマニアでは、環境省の環境保護に関する緊急法案(2005年195号)により、2009年1月1日から非再生資源で製造されるプラスチック袋が有料化している。
  さらに、今回の改正により、プラスチック製レジ袋の配布が禁止され、再利用可能もしくは生分解性プラスチック袋の利用促進が図られる。

<参考資料>

・環境保護のためレジ袋の取り扱いを規制
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/05/f8fe620b989dc185.html(日本語)
・New Regulations Govern Plastic Bags
https://stratulat-albulescu.ro/new-regulations-govern-plastic-bags/(英語)
・Directive (EU) 2015/720 of the European Parliament and of the Council of 29 April 2015 amending Directive 94/62/EC as regards reducing the consumption of lightweight plastic carrier bags
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex%3A32015L0720(英語)

3)その他

■インド:マハラシュトラ州がプラスチック製品規制を公表
   2018年3月23日

<概要>

  マハラシュトラ州は、非生分解性ゴミ(管理)法に基づき、非生分解性廃棄物を生じるプラスチックやポリスチレン(Thermocol)製の製品の製造、使用、販売、保管、輸送に関する法規制を承認した。

  プラスチックの使用と廃棄が、埋立地、水系、自然環境でのプラスチックの蓄積、野生動物のプラスチックの摂食、絡み合いによる物理的問題、プラスチックからの化学物質の浸出、野生生物やヒトへの移行の可能性を増加させている。
  本規制により、食器、ストロー、袋、包装容器等のプラスチックおよびポリスチレン製の使い捨て製品が禁止され、また、装飾用のプラスチックおよびポリスチレン製品の使用も禁止される。
  ただし、以下の用途については適用除外とされている。

・高品質のビスフェノールAが入っていない新しい材料から作られた0.5L以上のPETボトルおよびミルク包装用の厚さ50ミクロン以上の食品用品

・医薬品の包装用

・園芸、農業、廃棄土壌用の堆肥化可能なプラスチック

・製造段階での包装用および製造に不可欠な場合でリサイクルや再使用を印刷したもの

・輸出用のプラスチックやプラスチック袋の製造

<参考資料>

・Notification No. Plastic-2018/CV.R. No.24/TC-4
http://mpcb.gov.in/images/pdf/plastic_27032018.pdf(ヒンディー語)

2.フタル酸エステル類

1)米国

■フタル酸エステル類を含む子供玩具、子供用ケア製品の禁止
   2018年1月26日

<概要>

  消費者製品安全改善法(Consumer Product Safety Improvement Act、CPSIA)(2017年8月30日)において、0.1%を超える下記のフタル酸エステル類を含む子供玩具、子供用ケア製品が禁止されているが、新たに3物質が追加され、合わせて8種類のフタル酸エステル類が禁止される。

・diisobutyl phthalate (DIBP; CAS No. 84-69-5),
・di-n-pentyl phthalate (DnPP or DPENP; CAS No. 131-18-0),
・di-n-hexyl phthalate (DnHP or DHEXP; CAS No. 84-75-3),
・dicyclohexyl phthalate (DCHP; CAS No. 84-61-7),
・diisononyl phthalate (DINP; CAS NO. 28553-12-0, 68515-48-0),
・di(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP; CAS NO. 117-81-7),
・dibutyl phthalate (DBP; CAS No. 84-74-2),
・butyl benzyl phthalate (BBP; CAS No. 85-68-7)

<参考資料>

・Prohibition of Children’s Toys and Child Care Articles Containing Specified Phthalates: Revision of Determinations Regarding Certain Plastics
https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2018-01-26/pdf/2018-01451.pdf(英語)

2)欧州

■DINPを生殖毒性1Bに分類せず
   2018年3月16日

<概要>

  ECHA(欧州化学品庁)のリスクアセスメント委員会は、ジイソノニルフタル酸エステル(DINP)は、CLP規則の生殖影響に該当しないと結論付けた。

  2015年2月、デンマークは、DINPの生殖毒性1Bへの分類を提案していたが、今回、リスクアセスメント委員会は、CLP規則のルールに従って厳密な有害性評価を行い、有害影響の証拠がないことが示されたとして、分類を要求しなかった。

<参考資料>

・DINP – ECHA RAC concludes no classification required
http://www.europeanplasticisers.eu/mediaroom/dinp-echa-rac-concludes-no-classification-required/(英語)
・Annex to a news release RAC adopted and SEAC agreed on one restriction proposal. SEAC adopted two restriction proposals.
https://echa.europa.eu/documents/10162/23821863/
nr_annex_rac_seac_march.pdf/fcc9fe3c-1221-93ad-0fe0-e5772436e97c
(英語)

■プラスチック玩具中の化学物質に関する調査結果
   2018年3月

<概要>

  プラスチック製玩具中の化学物質に関係するリスクに焦点を当てた欧州加盟国による合同市場調査について、その結果が公表された。

  分析対象物質は、11種類のフタル酸エステル類、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)、8種類の多環芳香族炭化水素(PAHs)、ビスフェノールA(BPA)、鉛、カドミウム、有機スズである。鉛、カドミウム、有機スズは移行について、その他は含量について調査した。

  対象の玩具は、プラスチック製人形(48%)、風呂用またはSlimのような柔らかい玩具(27%)、プラスチック製の本(13%)、膨らますことのできる玩具(12%)の4種類に分けられ、合計225サンプルを分析した。
  その結果、

・鉛、カドミウム、有機スズおよびPAHsについては法規制に違反しているものは認められなかった。

・フタル酸エステル類については18%が、SCCPは3.9%が、BPAでは10%が法規制に違反していた。

・フタル酸エステル類の中で、主にDEHPとDINPがそれぞれの限度値を超えていた。

・49サンプルで法規制が認められ、違反した玩具の71%について販売が禁止され、さらにその内の25%で回収が命じられた。

<参考資料>

・Final Technical Report CHEMICAL RISKS IN PLASTICISED TOYS
http://www.prosafe.org/images/Documents/JA2015/Reports/
PROSAFE_Final_Technical_Report%20_TOYS-JA2015_09.04.2018.pdf
(英語)

■ジシクロヘキシルフタル酸エステルをSVHCに追加
   2018年4月17日

<概要>

  欧州委員会は、ジシクロヘキシルフタル酸エステル(DCHP、CAS No 84-61-7 )について、生殖毒性および内分泌かく乱性であることから、SVHC(高懸念物質)候補リストに掲載することを決定し、DCHPをSVHCとして特定することに関する委員会実施決定(EU)2018/636を発布した。

  DCHPはCLPの生殖毒性区分1Bに分類されている。また、その内分泌かく乱特性によってヒト健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。

<参考資料>

・Commission Implementing Decision (EU) 2018/636 of 17 April 2018 on the identification of dicyclohexyl phthalate (DCHP) as a substance of very high concern according to Article 57(c) and (f) of Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council (notified under document C(2018) 2167)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=uriserv:OJ.L_.2018.105.01.0025.01.ENG&toc=OJ:L:2018:105:TOC(英語)

3.ペルフルオロ化合物

1)米国

■カリフォルニア州:カーペット等家具中のPFASsに関する情報
   2018年2月15日

<概要>

  有害物質管理局(DTSC)は、カーペットおよび敷物中のペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル(PFASs)に関する製品や化学物質の含有量等の情報を公表した。
  報告書「カーペットおよび敷物中のペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル(PFASs)に関する製品や化学物質のプロファイル」

  DTSCは、PFASsを含むカーペットや敷物を優先的にリスク評価することを提案している。

<参考資料>

・Product-Chemical Profile for Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl (PFASs) in Carpets and Rugs (Comment Period Detail)
https://calsafer.dtsc.ca.gov/cms/commentpackage/?rid=12738(英語)
・Product-Chemical Profile for Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl (PFASs) in Carpets and Rugs (Report)
http://dtsc.ca.gov/SCP/upload/Product-Chemical-Profile-PFAS-Carpets-and-Rugs.PDF(英語)

■ワシントン州:食品接触材と泡消火剤等のPFAS禁止法(案)
   2018年3月14日

<概要>

  ワシントン州議会は、食品接触材および泡消火剤と消防用個人防護装置中のPFASsの禁止法案(2法案)を承認した。
  食品接触材は2022年1月から、泡消火剤と消防用個人防護装置は2020年7月からPFASsが禁止される予定である。PFASsは全てフルオロ化された炭素を少なくとも一つ含むフルオロ化有機化学物質と定義されている。

  食品接触材用途については、生態環境局が代替品の評価を2020年1月までに公表する予定である。

  安全な代替品が見つからない場合は再評価を実施し、毎年1月に評価結果を公表する予定であり、安全な代替品が確認されるまで施行が延期され、確認された2年後から禁止される。

  2018年7月から訓練用のPFASs含有泡消火剤の使用禁止が予定され、消防用個人防護装置の製造業者と販売業者はPFASsを含んでいることを購入者に文書で通知し、通知文書を3年間保管しなければならない。ただし、化学工場および石油精製施設用等の連邦法において定められた用途については除外されている。

<参考資料>

・HB 2658 Relating to the use of perfluorinated chemicals in food packaging
http://lawfilesext.leg.wa.gov/biennium/2017-18/Pdf/Bills/House%20Passed%20Legislature/2658-S.PL.pdf(英語)
・SB 6413 Relating to reducing the use of certain toxic chemicals in firefighting activities
http://lawfilesext.leg.wa.gov/biennium/2017-18/Pdf/Bills/Senate%20Passed%20Legislature/6413-S.PL.pdf(英語)

2)欧州

■ノルウェー:PFHxSの調査結果を公表
   2018年2月

<概要>

  ノルウェー環境局は、PFHxSに関する情報調査を実施した。
・perfluorohexane sulfonic acid (PFHxS; CAS No. 355-46-4)
・perfluorohexane sulfonyl fluoride (PFHxSF; CAS No. 423-50-7)

  PFHxSは、PFOSやPFOAほど注目されていないが、PFOSよりも難分解性で、長距離輸送能があり、さらにヒトでの蓄積性が高い。
  PFHxSのばく露経路は多様であり、世界中のヒトや環境中から検出されている。
  ノルウェーは、これらに基づき、2017年7月にPFHxSおよびその塩と関連物質をストックホルム条約の難分解有機汚染物質の候補に指定した。

  一方、PFHxSおよびその塩に関する製造、使用および放出に関する情報は少ない。
  工業加工プロセスから意図しない不純物として検出され、消火泡、食品接触紙、防水剤、洗浄及び研磨剤中に存在している。PFHxSFはPFHxSの原料である。

  ノルウェーは、ストックホルム条約で規制するために、特に環境の汚染源の調査結果を得るために、PFHxSの世界的な製造とその使用に関する利用可能な情報を調査した。

<参考資料>

・Investigation of sources to PFHxS in the environment
http://www.miljodirektoratet.no/Documents/publikasjoner/M961/M961.pdf(英語)

4.その他の情報(GHSに関連した法規制動向)

■台湾:危害性化学品標示及通識規則の改正(案)
   2018年3月29日

<概要>

  危険有害化学品の分類・表示に関する「危害性化学品標示及通識規則」の改正案が公表された。

・廃棄物処理に関連する法律や規制において、有害な事業廃棄物や一般的な事業廃棄物を含む事業廃棄物の表示等が規定されているため、事業廃棄物への適用を除外する。(改正第4条)

・有害化学物質の表示と分類の関連規定を修正する。(改正第5条)

・製造業者、輸入業者または供給業者が提供する安全性データシート(SDS)の内容、使用される書式およびテキスト等を修正する。(改正第13条)

・有害化学物質について、CAS番号の記載が追加される。(改正第18条)

・労働安全衛生法を考慮し、サプライチェーン上流の製造業者は川下の製造業者に危険有害化学物質の情報を提供し、危険を防止対策する責任がある。(改正第18条一)

<参考資料>

・法規制:預告修正「危害性化學品標示及通識規則」部分條文及第十二條附表四草案(勞職授字第1070200435號)
https://ghs.osha.gov.tw/CHT/intro/AnnounceData3Detail.aspx?id=319(中国語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■欧州:CLP規則の第11次ATPを公布
   2018年5月4日

<概要>

  欧州委員会は、CLP規則の第11次ATP(adaptation to technical and scientific progress、技術的・科学的進歩への適合)を公布した。
  CLPのAnnex VIについて、CLP分類(harmonized classification)、Hコード(hazard statement code)、Pコード(pictogram, signal word code)が改訂されている。2019年12月1日から適用される。

<参考資料>

・Commission Regulation (EU) 2018/669 of 16 April 2018 amending, for the purposes of its adaptation to technical and scientific progress, Regulation (EC) No 1272/2008 of the European Parliament and of the Council on classification, labelling and packaging of substances and mixtures.
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=uriserv:OJ.L_.2018.115.01.0001.01.ENG&toc=OJ:L:2018:115:TOC(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

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第4回 「ナノマテリアル・ビスフェノール・難燃剤等」

はじめに

  新シリーズの第4回では、ナノマテリアルに関連したトピックスとして、欧州やOECDにおける規制動向について、また、ビスフェノール類、難燃剤に関連した各国の法規制の動向を紹介します。

  • ナノマテリアル
  • ビスフェノール類
  • 難燃剤

1.ナノマテリアル

1)欧州

■表面コーティングされた二酸化チタンのUVフィルター用途に関する科学的意見要請
   2018年3月20日

<概要>

  2013年、欧州消費者安全科学委員会(SCCS)は、ナノフォームの二酸化チタンについて、意見書で示された特性を有し、成分含量が25%までであれば、UVフィルターとして、健康で、損傷のないあるいは日焼けした皮膚に塗布しても、ヒトに対する有害性のリスクはないと結論付けている。(SCCS/1516/13)
  また、この意見書では、コーティングされたナノフォームの二酸化チタンの使用について、新規の表面コーティングされた粒子の特性や挙動が、SCCSの意見書で既に示されているものと有意な差異がないことを示す必要があり、物理化学的特性と皮膚透過データの提出が必要であると結論している。
  2017年11月、下記の2種の物質で表面コーティングされたナノフォーム二酸化チタンに関するドシエが提出された。
  そこで、2018年3月、欧州委員会はSCCSに対して、UVフィルターとして肌に塗られる化粧品用途に使用されるこれらのナノフォーム二酸化チタンの安全性について、科学的意見の提出を要請した。提出期限は2018年10月までとなっている。

  ・メチコン(Methicone)+水和シリカ+水酸化アルミニウム
  ・ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン+水和シリカ+水酸化アルミニウム

<参考資料>

・Opinion on Titanium Dioxide (nano form) COLIPA n° S75 (SCCS/1516/13, Revision of 22 April 2014)(英語)
https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_136.pdf
・Request for a scientific opinion on two coatings for Titanium Dioxide (nano form) (Methicone CAS/EC 9004-73-3/236-675-5 and Perfluorooctyl Triethoxy silane CAS/EC 51851-37-7/257-473-3) as UV-filter in dermally applied cosmetic products - Submission II(英語)
https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/
consumer_safety/docs/sccs2016_q_023.pdf

■表面コーティングされた二酸化チタンのUVフィルター用途に関する意見書
   2018年3月28日

<概要>

  欧州消費者安全科学委員会(SCCS)は、UVフィルターとして皮膚に塗布される化粧品中のセチルリン酸塩、二酸化マンガンあるいはトリエトキシカプリリルシランで表面コーティングされた3種類の二酸化チタン(ナノフォーム)に関する意見書を公表した。
  意見書では、ナノフォームの二酸化チタンは、一般的に皮膚吸収性がなく、一般毒性が低いことから、コーティングされた3種の二酸化チタンについては、健康で、無傷または日焼けした皮膚に化粧品として塗布しても安全であると結論している。
  しかし、この評価は、粉末またはスプレー可能な製品のように、吸入経路を介して消費者の肺がナノフォーム二酸化チタンにばく露されるような用途には適用されないとしている。
  さらに、口紅のように、経口的に摂取される可能性がある用途に使用される成分については、表面コーティング剤(例えば二酸化マンガン)の潜在的な有害性を考慮する必要がある。

<参考資料>

・Opinion on titanium dioxide (nano form) coated with cetyl phosphate, manganese dioxide or triethoxycaprylylsilane as UV-filter in dermally applied cosmetic(英語)
https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/cdcf1276-32fb-11e8-b5fe-01aa75ed71a1/language-en/format-PDF/source-68550927

■REACHナノ材料の登録要件を明確化(案)
   2018年4月26日

<概要>

  REACH委員会は、ナノマテリアルに関するREACH登録要件を明確にする附属書の修正について合意した。これまで、ナノマテリアルに特化した規定が含まれていなかった。
  今回の改定では、REACH登録され、ナノマテリアルとして上市されている物質について、基本的な特性、使用法、安全な取り扱い方法、ヒト健康や環境に与える可能性のあるリスク、およびこれらのリスクを適切に管理する方法等の新たな情報を規定する。
  附属書の改正を含む欧州委員会規則の草案は、欧州委員会が採択する3か月前に、欧州議会と理事会に提出される予定である。

<参考資料>

・News, Member States vote for more clarity in nanomaterials registrations and for restricting the use of hazardous chemicals in textiles(英語)
http://ec.europa.eu/environment/chemicals/news_en.htm
・COMMISSION REGULATION (EU) amending Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council on the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH) as regards Annexes I, III,VI, VII, VIII, IX, X, XI, and XII to address nanoforms of substances(英語)
http://ec.europa.eu/transparency/regcomitology/index.cfm?do=search.documentdetail&dos_id=0&ds_id=56122&version=2

■欧州のナノマテリアルに関する検索可能なデータベースを更新
   2018年6月12日

<概要>

  ナノマテリアルのEU監視所(EUON、European Union Observatory for Nanomaterials)は、2つの検索可能なデータベース「NanoData」「eNanoMapper」について、食品、医薬品、環境研究等のさまざまな分野での使用方法、ナノマテリアルの安全な使用方法等の情報を更新した。
  EUONを介して2つのデータベースにアクセスできる。

○NanoData:ナノ科学技術に関するデータベース
  製品、研究プロジェクト、出版物、特許、および企業に関するデータが含まれており、チャートやグラフを使用してすばやく統計情報を視覚化することができる。
  例えば、ナノテクノロジーを使用した製品について情報が得られる。

○eNanoMapper:ナノマテリアルに関する安全性情報データベース
  ナノマテリアルの有害性に関する最大のデータベースである。EUが資金を提供するNanoREGプロジェクトの成果を含む研究プロジェクトの情報も含まれている。
  eNanoMapperは、特定のナノマテリアルに関する有害性データを検索することができる。また、EUONのホームページでは、ナノマテリアルに関する最新のニュース等が掲載されている。

<参考資料>

・News, EU nanomaterials observatory updated with two searchable databases(英語)
https://echa.europa.eu/-/eu-nanomaterials-observatory-updated-with-two-searchable-databases
・EUON(英語)
https://euon.echa.europa.eu/
・NanoData(英語)
https://nanodata.echa.europa.eu/
・eNanoMapper(英語)
https://euon.echa.europa.eu/enanomapper

■ナノ材料のスチレン/アクリル酸コポリマー(ナノ)およびスチレン/アクリル酸ナトリウムコポリマー(ナノ)に関する欧州・消費者安全科学委員会の見解
   2018年6月21・22日

<概要>

  欧州委員会の消費者安全科学委員会(SCCS)は、スチレン/アクリル酸コポリマー(ナノ)およびスチレン/アクリル酸ナトリウムコポリマー(ナノ)に関する最終意見を発表した。
  SCCSは、スチレン/アクリル酸コポリマー(ナノ)およびスチレン/アクリル酸ナトリウムコポリマー(ナノ)を最大濃度0.06%含有するリーブオンタイプの化粧品の安全性について評価した結果、提出された3種類の製品について、いずれも提出されたデータが不十分であったため(用途や組成情報が不足等)、安全性に関して結論づけられないとの見解を示している。
  化粧品中のスチレン/アクリル酸コポリマー(ナノ)およびスチレン/アクリル酸ナトリウムコポリマー(ナノ)の使用について、さらなる科学的懸案事項に対処するよう要求している。
  また、この意見書で評価された用途に関して、安全性評価は個々の成分(例えば、カプセル化材料およびカプセル化された内容物)の安全性だけでなく、ナノサイズ化された形に組立てられたすべての構成成分の安全性も検討することは避けられないと結論している。

<参考資料>

・OPINION ON Styrene/Acrylates copolymer (nano) and Sodium styrene/Acrylates copolymer (nano) (英語)
https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/
consumer_safety/docs/sccs_o_218.pdf

2)欧州(各国)

■ベルギー:2016年に登録されたナノマテリアルに関する報告書
   2018年4月18日

<概要>

  ベルギーの公衆衛生公共公衆サービスは、ベルギーにおけるナノ材料に関する報告書を発表した。この報告書は、2015年9月から2017年4月に提出されたもので、2016年にナノマテリアルとして市場に登録された物質を対象としている。
  登録された用途の45%が工業用途であった。約150種類のナノマテリアルが登録され、合計74,500トンとなった。57,550トンは輸入であり、16,947トンが国内で製造された。
  登録数の56%が輸入業者によるもので、ディストリビューターは22%、製造業者は11%であった。
  1,000トン以上の物質は、非晶質シリカ、炭酸カルシウム、ステアリン酸処理された炭酸カルシウム、カーボンブラック、三酸化二鉄、黄酸化鉄、酸化ケイ素であった。
  登録の約50%が1トン未満であり、REACH規制の適用範囲外とみなされる。
  この報告書の附属書には、2016年に登録された物質リストが示されている。
  化学物質のCAS番号に基づき、約150種類の化学物質が特定されている。なお、化学物質の特定は、ナノマテリアルの物理化学的性質の違いを区別していない。

<参考資料>

・Annual report of the Belgian nanoregister, trade year 2016 (Executive summary)(英語)
https://www.health.belgium.be/en/nano-executive-summary-en-2016
・Annual report of the Belgian nanoregister, trade year 2016(フランス語・オランダ語)
https://www.health.belgium.be/fr/nano-rapport-annuel-nanoregistre-2016

3)その他(OECD)

■OECD試験プログラムの下で実施されたin vitroスクリーニングアッセイについて
   2018年3月28日

<概要>

  OECDの化学委員会の下部組織であるWorking Party on Manufactured Nanomaterials (WPMN)は、ナノマテリアルのin vitro試験に関する調査を実施し、報告書No. 85を公表した。
  OECD試験プログラムでは、ナノマテリアルを評価するためにいくつかのin vitro試験法が用いられているが、多くのin vitro試験データはOECD 試験ガイドラインに準拠したものではなかった。
  例えば、皮膚感作性および刺激性等について、皮膚刺激性(TG 439)、皮膚感作性(TG 442D)、皮膚腐食性(TG 431)、および皮膚吸収(TG 428)のような皮膚の影響を評価するための多数の試験ガイドラインが利用可能と思われるが、ナノマテリアルの安全性評価に用いられた例は少ない。
  また、in vitro試験によっていくつかのエンドポイントが評価されているが、特定のナノマテリアルについて完全なデータセットは入手できなかった。
  すなわち、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)および多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の場合、遺伝毒性に関する情報は多いが、皮膚吸収等の他のエンドポイントのデータは非常に少なかった。一方、酸化亜鉛については多くの経皮吸収試験が報告されていた。

・TG 428:in vitro皮膚吸収試験法
  二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、金および銀を含むナノマテリアルに関する検討結果が報告されている。しかし、ナノマテリアルを用いた皮膚吸収試験の評価のためのいくつかの重要な要素について、最適なばく露時間、ばく露濃度の選択(すなわち、材料凝集のない安定した分散条件)、粒子径等、さらに検討すべきである。

・TG 431:in vitro皮膚腐食性・ヒト皮膚モデル試験
  MWCNT、酸化亜鉛および二酸化チタンのナノマテリアルの検討結果が報告されている。しかし、TG428の場合と同様に、ばく露期間、評価時間、ばく露濃度の選択、細胞による取込みの評価等、重要な試験条件に関する詳細な情報が不足している。

・TG 437:眼腐食性および強度刺激性物質を同定するためのウシ角膜を用いる混濁度および透過性試験法
  酸化亜鉛のナノマテリアルが眼の刺激性および損傷を引き起こす可能性について評価されているが、試験条件について、ナノマテリアルの分散液中の凝集あるいは、分散剤および色素の吸収によるアーチファクトを生じる可能性等を検討する必要がある。

・TG 471:細菌復帰突然変異試験
  ナノマテリアルが細菌の内部に取り込まれないことから、本試験系はナノマテリアルには適用できないと思われる。今後、本ガイドラインの適用範囲について検討すべきである。

・TG 487:哺乳類細胞を用いたin vitro小核試験
  ナノマテリアルを試験する際のサイトカラシンBの添加およびナノマテリアルの細胞内取り込みの確認に関する特定の事項を追加すべきと考える。

  現在も、細胞傷害性を検出するアッセイ法の標準化や指針の作成が、OECD WPMN、ISO TC 229で進行中であるが、さらに、酸化ストレスを引き起こすナノマテリアルに関する検出系、ナノマテリアルばく露による免疫系への影響など、特定のエンドポイントを評価するためのアッセイ系の開発が望まれる。

<参考資料>

・Publications in the Series on the Safety of Manufactured Nanomaterials(英語)
http://www.oecd.org/env/ehs/nanosafety/publications-series-safety-manufactured-nanomaterials.htm
・Evaluation of in vitro methods for human hazard assessment applied in the OECD Testing Programme for the Safety of Manufactured Nanomaterials. Series on the Safety of Manufactured Nanomaterials No. 85(英語)
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=ENV/JM/MONO(2018)4&doclanguage=en

■ナノマテリアルの安全性に関する各国動向
   2018年5月17日

<概要>

  OECDのWorking Party on Manufactured Nanomaterials (WPMN) では、ナノマテリアルのヒト健康および環境影響に関する国際協力を促進しており、2018年2月のWPMN会議で、ナノマテリアルの健康および環境影響に関する化学物質規制に関する最新の各国動向および関連団体の活動をまとめ、報告書を公表した。
  OECD加盟国の動向として、Australia、Austria、Belgium、Canada、Chile、Denmark、France、Germany、Italy、Japan、Korea、Netherlands、Sweden、United Kingdom、United States、European Union、Thailandの規制動向が報告されている。
  また、産業界や環境NGOについて、The Business and Industry Advisory Committee to the OECD (BIAC)、The International Council on Animal Protection in OECD Programmes (ICAPO) 、International Organisation for Standardization (ISO) の活動が報告されている。

<参考資料>

・Developments in Delegations on the Safety of Manufactured Nanomaterials - Tour de Table. Series on the Safety of Manufactured Nanomaterials No. 87(英語)
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono(2018)10&doclanguage=en

■ナノマテリアルの生体耐性と表面リガンド
   2018年5月22日

<概要>

  OECDのWorking Party on Manufactured Nanomaterials (WPMN)は、ナノマテリアルに関する安全性評価の一環として、ナノマテリアルの溶解、酵素分解、化学的分解による崩壊等、生体内での安定性に関する特性を調査した。溶解、酵素による生分解または化学分解によるナノマテリアルの生体耐性は、ヒト健康、環境影響に関連する重要な特性である。
  これらの評価については、in vivo試験と同様に、in vitro試験系を用いて評価することが可能である。
  ナノマテリアルの溶解性は、in vitro試験系(細胞の有無にかかわらず)を用いて、異なるpH値および化学組成を有する生物学的および環境的培地の存在下で、静的あるはフロースルー試験系を用いて評価することができる。
  生物学的培地の一例として、人工肺間質液(Gamble's)、平衡電解液(中性)、肺胞リソソーム(ALF)(酸性)、胃(酸性)および腸(中性)液が該当する。
  環境媒体としては、微生物の存在、pH、酸化還元電位および温度などの実際の環境条件を模倣する条件下で合成の淡水、海水、河口水、堆積物、土壌および消化汚泥が用いられる。
  in vivo試験では、動物を用いた吸入試験、気管内注入試験が含まれる。
  ナノマテリアルの表面は、生物学的および環境中の流体中での溶解や生物分解に対する耐性等の主要な決定因子となり得る。
  表面は、界面活性剤、キャッピング剤または結合したリガンドによって修飾されるため、生物学的および環境的培地における表面コーティングの生体耐性や、ナノマテリアルのリガンドの生体耐性について研究することが重要である。
  各ナノマテリアルについては、低溶出性のナノマテリアルとして、二酸化チタン(TiO2)と酸化セリウムがあり、主に遺伝毒性のために、全身臓器への蓄積による長期間ばく露の影響をさらに評価する必要があると提案されている。
  溶解速度が速いナノマテリアルは、酸化亜鉛、酸化銅、量子ドットを含有しており、それぞれの重度の毒性を誘発する亜鉛、銅、カドミウムイオンを放出する。
  一方、デンドリマー、ナノ粘土、酸化アルミニウムナノ粒子については、溶解性や生分解による生体耐性に関する情報が不足している。
  従って、溶解速度が速く、生体耐性ではないナノマテリアルについては、短期毒性によりヒト健康影響を引き起こす可能性がある。一方、溶解速度が遅く、生体耐性のナノマテリアルは短期的・長期的にヒト健康に影響し、環境中でも長期間持続性を示す可能性が考えられる。
  これらの試験の予測性を高めるために、既存のin vitro試験系やin vivo試験系を用いて、ナノマテリアルの健康影響、環境持続性等をさらに検証するべきである。

<参考資料>

・Assessment of Biodurability of Nanomaterials and their Surface ligands. Series on the Safety of Manufactured Nanomaterials No. 86(英語)
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono(2018)11&doclanguage=en

2.ビスフェノール類

■ビスフェノールのSVHCリストへの追加提案
   2018年4月5日

<概要>

  スウェーデン化学品庁(KEMI)が実施したリスクマネージメントオプション解析(RMOA、 risk management option analysis)において、4,4‘-Isobutylethylidenediphenol(CAS 6807-17-6)は生殖毒性区分1Bとして分類されるため、リスクアセスメント措置が必要と結論された。
  今後、SVHC候補リストに含めることを検討すると結論されている。

・物質名:4,4'-Isobutylethylidenediphenol
・CAS番号:6807-17-6

  4,4‘-IsobutylethylidenediphenolはBisphenol Aの代替えとして使用されている可能性がある。

<参考資料>

・Risk Management Option Analysis Conclusion Document. Substance Name: 4,4'-Isobutylethylidenediphenol(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/577de670-05d7-73e7-41c4-cae7e46cac3e
・PACT – RMOA and hazard assessment activities(英語)
https://echa.europa.eu/pact/-/substance-rev/9310/term

■感熱紙中のBPA・BPSの市場調査
   2018年5月22日

<概要>

  欧州化学品庁(ECHA)は市場調査を実施し、2016年~2017年の間にEUで製造された感熱紙中の顕色剤について、ビスフェノールS(BPS)の使用量が200トンから397トンと2倍になったことが明らかとなった。しかし、感熱紙の使用は全体として増加したため、ビスフェノールA(BPA)も2,606トンから2,776トンと7%増加していた。
  2020年1月2日以降にBPAが使用できなくなるため(委員会規則(EU) 2016/2235)、BPSを使用した感熱紙の市場占有率は、年々増加する傾向が続くと予想される。BPAはREACHの制限物質として附属書XⅦに収載され、2020年1月3日から、0.02重量%以上の濃度を含む感熱紙の上市が禁止される。
  また、ECHAのリスクアセスメント委員会は、BPSはBPAと同様に多くのヒト健康有害性を有していると考えられることから、BPSによるBPAの代替に懸念を示している。
  ECHAはEUにおける感熱紙中の顕色剤の使用について、特にBPAのBPSやその他の顕色剤による代替について、ECHAは2019年の初めに次の市場調査を実施する予定である。
  また、委員会は、BPSの使用制限の提案が必要かどうか、検討する予定である。

<参考資料>

・News, BPA being replaced by BPS in thermal paper, ECHA survey finds(英語)
https://echa.europa.eu/-/bpa-being-replaced-by-bps-in-thermal-paper-echa-survey-finds
・Market Survey: Use of bisphenol A and its alternatives in thermal paper in the EU from 2014 to 2017(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/22863068/bpa_in_thermal_paper_report_en.pdf/
0d93cd76-345e-2ed4-698f-a3beaea6d755

■缶詰に使用されているビスフェノールA
   2018年7月4日

<概要>

  デンマーク消費者協議会(THINK Chemicals)は、トマトの缶詰ににおけるビスフェノール類の含有量の調査として、13種類のトマトの缶詰について、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールF(BPF)、ビスフェノールS(BPS)、BPAジグリシジルエーテル(BADGE)を検査した。
  9種類の缶詰では、ビスフェノール類とBADGEは検出されなかった。
  2種類の缶詰では、BPAとBADGEの両方が検出された。また、残りの2種類の缶詰では、BADGEのみが検出された。いずれの缶詰からもBPF、BPSは検出されなかった。
  含有量については、2缶中のBPAの含有量は、缶当たり2.9および4μgであった。4缶中のBADGEの含有量は、缶当たり3.8~43μgであった。
  BPAが検出されたのは2缶のみであったが、BPAが低用量でも内分泌かく乱作用を示すことが知られており、複合ばく露による影響が懸念される。

<参考資料>

・Test: Bisphenol A still present in cans with tomatoes(英語)
http://kemi.taenk.dk/bliv-groennere/test-bisphenol-still-present-cans-tomatoes

3.難燃剤

■欧州:難燃剤TCEP、TCPP、TDCPの制限を勧告
   2018年4月5日

<概要>

  欧州化学品庁(ECHA)は、製品中のTCEP、TCPP、TDCPが、ヒト健康および環境にもたらすリスクについて検討し、スクリーニング報告書を公表した。

・tris(2-chloroethyl) phosphate (TCEP; CAS No. 115-96-8)
・tris(2-chloro-1-methylethyl) phosphate (TCPP; CAS No. 13674-84-5)
・tris[2-chloro-1-(chloromethyl)ethyl] phosphate (TDCP; CAS No. 13674-87-8)

  リスク評価の結果、育児用製品および住宅用布張り家具の軟質ポリウレタンフォームに含まれるTCEP、TCPP、TDCPについて、子供に対する発がん性、生殖毒性リスクが懸念される結果が得られた。
  この評価に従って、ECHAは制限提案の作成を勧告した。制限案が作成される場合、他の用途や製品からのばく露についても検討が要求される。
  3物質は、有機リン系の難燃剤系に属しており、TCPPとTDCPは子供用マットレス、自動車のチャイルドシート、抱っこ紐、住宅用布張り家具などの製品中の軟質ポリウレタンフォームの難燃剤として使用されている。
  TCEPは、EUでは軟質ポリウレタンフォーム用の難燃剤としての使用はないが、他の難燃剤の不純物として、あるいは輸入された製品に含まれる可能性がある。

<参考資料>

・Screening Report, An Assessment of Whether the Use of TCEP, TCPP and TDCP in Articles should be Restricted.(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/13641/screening_report_tcep_tcpp_td-cp_en.pdf/e0960aa7-f703-499c-24ff-fba627060698

■カリフォルニア州は家庭用家具等の難燃剤を禁止
   2018年4月3日

<概要>

  カリフォルニア州下院の環境安全および有害性物質委員会は、法案No. 2998を4月10日に承認した。
  この法案では、2020年1月1日以後、1,000 ppm以上の難燃剤を含む部品から構成される子供用製品、マットレス、布張り家具について、販売等の流通が禁止される。
  また、1,000 ppm以上の難燃剤を含む構成部品を用いる、修理、再布張り、回収、復原、布張り家具の再生についても、2020年1月1日以後禁止される。すべての難燃剤が対象である。
  ただし、子供用製品、マットレス、再布張り家具、布張り家具の電子部品、またはそれらの電子部品に関連したケースには適用されない。
  子供用製品は、12歳以下の幼児や子供が住宅で使用するものであり、子供用椅子、補助椅子、ベビーカー、抱っこ紐、授乳パッドなど多数ある。
  ただし、以下のものは、子供用製品に含まれない。

・自動車、船舶、飛行機、その他の乗り物用など製品あるいは構成部品。
・州の難燃性規格Technical Bulletin 133「公共用建物に使用される椅子の燃焼性試験手順」を満たしている製品。
・自動車および航空機に使用される部品および製品に関する連邦規則Title 49(輸送), Part 571(連邦自動車両安全基準)の対象製品。
・可燃性基準に関する局の管轄下にない消費者向け電子製品。

<参考資料>

・AB-2998 Consumer products: flame retardant materials(英語)
https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml?bill_id=201720180AB2998

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第5回 「マイクロプラスチック・マイクロビーズ」

はじめに

  新シリーズの第5回では、マイクロプラスチック・マイクロビーズに関連したトピックスとして、欧州、米国・カナダ、アジア・オセアニア、OECD等における規制動向について紹介します。

1)欧州

■海洋廃棄物削減のための新たな欧州指令(案)
   2018年5月28日

<概要>

  欧州委員会は、有害なプラスチック・ごみの増加に伴い、ビーチや海で最も頻繁に検出される10種類の使い捨てプラスチック製品、紛失・放棄された漁具を対象とした、海洋廃棄物削減のための新たな規則(案)を公表した。

  欧州では10種類のプラスチック製品と漁具が海洋廃棄物の70%を占めていることから、これらの製品に注目している。

対応 対象物質
・プラスチック製品の禁止
  代替品が容易に入手可能な場合、使い捨てプラスチック製品は禁止される。
プラスチック製の綿棒、食器、プレート、ストロー、ドリンクスターラー、バルーン用のスティック等
・消費削減目標の設定
  加盟国は、削減目標の設定等の対応が必要となる。
食品容器、飲料容器
・製造者の管理義務
  製造者は廃棄物管理等の費用負担義務を負う。
食品容器、パック・包装、飲料用容器・カップ、フィルター付きタバコ製品、ウェットワイプ、風船、軽量ビニール袋等
・回収
  加盟国は、2025年までに使い捨てプラスチック飲料ボトルの 90%を回収する義務がある。
プラスチック飲料ボトル
・ラベル表示
  廃棄物の処分方法、製品の環境への悪影響、及び製品中のプラスチックを示す表示が必要となる。
衛生的なタオル、ウェットワイプ、風船
・意識啓発
  加盟国は、再利用システムと廃棄物管理についての消費者意識を高める義務を負う。
使い捨てプラスチック、漁具
・港湾施設からの廃棄物収集とその輸送と処理に係る費用を負担
  現行の生産者責任制度を適用する。
漁具

<参考資料>

・European Commission - Press release Single-use plastics: New EU rules to reduce marine litter(英語)
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-3927_en.htm
・Proposal for a single-use plastics directive(英語)
http://ec.europa.eu/environment/waste/plastic_waste.htm
・Proposal for a directive of the European Parliament and of the council on the reduction of the impact of certain plastic products on the environment(英語)
http://ec.europa.eu/environment/circular-economy/pdf/single-use_plastics_proposal.pdf

■マイクロプラスチックの定義について
   2018年7月11日

<概要>

  欧州化学品庁(ECHA)は、マイクロプラスチック粒子の意図的使用に関するステークホルダーワークショップ(2018年5月30、31日に開催)において議論された「マイクロプラスチック」の特定・定義に関する概要を公表した。

  ここでは、マイクロプラスチックを意図的に含有させた製品の使用によって環境中に放出されるマイクロプラスチックを対象としている。その他にも、大型のポリマー製アーティクルの分解やポイ捨てによるプラスチックの環境放出も対象としている。

  マイクロプラスチック粒子に関する懸念は、直接的な意味では、粒子によってもたらされるヒト健康影響や環境リスクであり、この粒子は、
  (a)小さい(典型的には顕微鏡的な)もので、容易に摂取される、
  (b)通常の環境による劣化に対して抵抗性があり、結果として初期放出後に長期間環境中に存在する、と考えられる。

  欧州ではこれまで、マイクロプラスチック粒子を「あらゆる次元の5mm以下の水に不溶性な合成ポリマー」と定義しており、今回のワークショップでも、物質の状態、形態やサイズ、その組成について、マイクロプラスチックの定義が議論された。
  また、マイクロプラスチックの構成成分については、ポリプロピレンやポリエチレンのような一般的なポリマーベースの合成プラスチックに限るのか、あるいは環境中に粒子としても存在する他の合成ポリマー材料(エラストマー材料等)も該当するのか。
  さらに、マイクロプラスチックの懸念は、海洋環境に限定されるものではなく、廃水、下水汚泥、淡水及び陸上環境中、飲料水や食物でも検出されている。

  今回のワークショップにおける主な概要を示す。

○「マイクロプラスチック」は、物理的状態、形態及び寸法に関する基準に基づいて特定することができるが、国際的に認知され、標準化された定義はない。

○自然界に存在するポリマーは、本質的に生分解性であると考えられるため、マイクロプラスチックと見なすべきではない。

○半固体ポリマーがマイクロプラスチックの懸念に寄与しているのか、その寄与はどの程度か等について、検討を継続する必要がある。

○球状(ビーズ状)、フレーク状または繊維状等、粒子はさまざまな形状を示すが、すべてがマイクロプラスチックに該当するのか十分な情報が得られていない。表面積が大きく、また表面コーティングされたフィルムの場合、特に注意が必要と考えられる。

○環境に放出されないマイクロプラスチックや、製造・加工されることによってマイクロプラスチックの基準(形態やサイズ)を満たさないように成形されるものは該当しない。(より大きな製品に成形される)

<参考資料>

・Note on substance identification and the potential scope of a restriction on uses of ‘microplastics’(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/
13641/note_on_substance_identification_potential_scope_en.pdf/6f26697e-70b5-9ebe-6b59-2e11085de791

2)欧州(各国)

■英国:マイクロプラスチックの海洋に及ぼす影響を調査
   2018年5月4日

<概要>

  タイヤと衣類から発生するマイクロプラスチックの海洋環境への影響を分析する新しい研究プロジェクトが開始された。

  英国環境・食糧・農村地域省(Defra)は、タイヤ、ポリエステルなどの合成材料、ネット、ロープ、ライン等の漁具から発生するマイクロプラスチックが、水系や海洋に流入して、水生生物に与える影響に関する調査をプリマス大学に依頼した。

  この包括的な研究は、洗濯中に排水に放出される繊維、または自動車タイヤの摩擦によって発生するマイクロプラスチックが下水道を通して水系や海洋に流出する経路等について、科学的知見を収集するものである。
  研究者は、タイヤから年間270,000トンのプラスチックが、アクリル製の衣服を1回洗浄すれば70万本以上の微細繊維が、海洋に放出されると推定している。

<参考資料>

・Press release:Government launches microplastics research to protect oceans(英語)
https://www.gov.uk/government/news/government-launches-microplastics-research-to-protect-oceans

■イタリア:耳掃除用スティック・マイクロプラスチック化粧品の禁止に関する規制(案)
   2018年6月6日

<概要>

  イタリア環境保護省は、非生分解性、非堆肥性の耳掃除用スティックの販売禁止及びマイクロプラスチックを含む剥離・洗剤作用を有する洗い流すタイプ(リンスタイプ)化粧品の販売禁止に関する技術規制概要(案)を公表した。

  この規制は、欧州におけるこれらプラスチック製品の規制を反映したもので、2019年1月から非生分解性、非堆肥性の耳掃除用スティックの販売禁止、2020年1月からマイクロプラスチックを含有する剥離・洗剤用の洗い流すタイプ(リンスタイプ)化粧品の販売が禁止される。

  イタリアは、約8,000kmの海岸線により地中海と面しており、また地中海の中心部に位置することから、廃棄物による海洋汚染は特に深刻である。

<参考資料>

・Draft technical regulation banning the marketing of non-biodegradable and non-compostable cotton buds and exfoliating rinse-off cosmetic products or detergents containing microplastics.(英語)
http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tris/en/search/?trisaction=search.detail&year=2018&num=258

3)米国・カナダ

■米国:プラスチック樹脂製造業者はプラスチック包装の100%リサイクル目標を設定
   2018年5月9日

<概要>

  米国のプラスチック樹脂製造業者は、2040年までにプラスチック包装材の100%をリサイクルまたは回収するための循環経済目標を設定した。

  米国化学工業協会(ACC)のプラスチック部門のメンバー会社は、プラスチックの回収、リサイクルについて、2020年までに、米国の製造現場はOperation Clean Sweep-Blue※に参加し、2022年までに北米全土の製造拠点が参加する目標を設定している。

※プラスチック樹脂取り扱い作業において、ペレット、フレーク及び粉体の損失ゼロを目標にするキャンペーン  https://opcleansweep.org/pledge/ocs-blue/

<参考資料>

・U.S. Plastics Resin Producers Set Circular Economy Goals to Recycle or Recover 100% of Plastic Packaging by 2040(英語)
https://www.americanchemistry.com/Media/PressReleasesTranscripts/ACC-news-releases/US-Plastics-Producers-Set-Circular-Economy-Goals-to-Recycle-or-Recover-100-Percent-of-Plastic-Packaging-by-2040.html

■カナダ:洗面用品・洗面用化粧品のマイクロビーズ分析法
   2018年7月12日

<概要>

  2017年6月、 淡水・海洋生態系に流入するプラスチック・マイクロビーズの量を減らすことを目的として、洗面用品・洗面用化粧品のマイクロビーズに関する規制が公示された。

  この規制では、マイクロビーズについて、サイズが5mm以下のプラスチック・マイクロビーズと定義され、バスルーム用品、ボディケア製品、皮膚洗浄剤、練り歯磨き等の洗面用品・洗面用化粧品について規制されている。
  2018年7月1日、プラスチック・マイクロビーズを含むすべての洗面用品・洗面用化粧品の製造と輸入が禁止され、2019年7月からは販売も禁止される。

  さらに、2018年7月、カナダ政府は、洗面用品・洗面用化粧品のマイクロビーズの分析をサポートするための分析法を発表した。
  この方法は、水、水と有機溶媒の混合物、または純粋な有機溶媒を使用して製品の非プラスチック成分を溶解し、濾過して未溶解成分を除去した後、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)を用いてプラスチックの存在を確認する定性的なものである。

<参考資料>

・Microbeads(英語)
https://www.canada.ca/en/health-canada/services/chemical-substances/other-chemical-substances-interest/microbeads.html
・Microbeads in toiletries: method 445.0(英語)
https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/canadian-environmental-protection-act-registry/publications/microbeads-toiletries-method-445-0.html

4)アジア・オセアニア

■日本:海洋基本計画
   2018年5月15日

<概要>

  第3期海洋基本計画が閣議決定された。
  海洋政策のあり方として、今後の10年を見据えた海洋政策の理念及び方向性、施策についての基本的な方針、また、今後おおむね5年間に、集中的に実施すべき具体的な施策、さらに、施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項が定められている。

  マイクロプラスチックに関する記載を抜粋する。

  将来的な懸念材料として、気候変動に伴う海水温上昇や、海洋酸性化等とともに、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ等が生態系に悪影響を与えることも懸念されている。

  海洋環境の保全等に関する取組みの一つとして、海洋ごみへの対応としてマイクロプラスチックが取り上げられている。

○海洋ごみ(漂着ごみ、漂流ごみ、海底ごみ)について、実態等が未解明で実質的な回収が困難なマイクロプラスチックへの対応も含め、その削減に向け、多様な主体の参画や連携の下、実態把握、回収処理や発生抑制対策、国際連携を総合的に推進していく。(外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)

○マイクロプラスチックを含む海洋ごみについて、海洋中の分布状況や有害物質の吸着状況、海洋生物や生態系への影響等の調査研究を継続的に実施する。(文部科学省、環境省)

○マイクロプラスチックを含む海洋ごみのモニタリング方法の高度化等の研究開発を推進する。(文部科学省、環境省)

○G7での取組み等を踏まえ、マイクロプラスチックに関するモニタリング手法の国際的な調和の推進等を通じて、地球規模での分布状況の解明に貢献する。(環境省)

<参考資料>

・海洋基本計画(日本語)
http://www8.cao.go.jp/ocean/policies/plan/plan03/plan03.html

■インド:2022年までに使い捨てプラスチックを全廃
   2018年6月5日

<概要>

  インドは、2022年までにインド国内のすべての使い捨てプラスチックを排除することを発表した。

  ナレンドラ・モディ首相は、「世界環境デー」が使い捨てプラスチック撲滅運動の始まりとして歓迎し、インドの急速な経済発展は、サステナビリティと緑化の両面を支えることができると強調した。
  また、ハーシュ・ヴァルダン環境・森林・気候変動大臣は、インドがサステナビリティに関するリーダーシップを発揮し、2022年までにすべてのインドの州で使い捨てプラスチックを禁止すると発表した。
  インド西部のマハラシュトラ州では、非生分解性ごみ(管理)法に基づき、非生分解性廃棄物を生じるプラスチックやポリスチレン製品の製造、使用、販売、保管、輸送が規制されている。

  エリック・ソルハイムUNEP事務局長は、インドの発表について、明確かつ決定的な地球規模の環境リーダーシップを示したと評価している。
  また、インド政府は、国連環境計画(UNEP)と協力して、世界環境報告書「使い捨てプラスチック:持続可能性のロードマップ」を発表した。このレポートは、世界60か国以上の国々からのケーススタディを含め、プラスチック経済における複雑な関係を分析し、使い捨てプラスチックの世界的な生産、使用、管理を考え直すためのアプローチを提供している。

<参考資料>

・UN Environment: Press release(英語)
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/press-release/india-sets-pace-global-race-beat-plastic-pollution
・環境展望台:インド、世界環境デーに2022年までに使い捨てプラスチック全廃を宣言(日本語)
http://tenbou.nies.go.jp/news/fnews/detail.php?i=24287
・Beat Plastic Pollution(英語)
https://app.xtensio.com/folio/k84r7zui
・Single-use Plastics: A roadmap for Sustainability(英語)
https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/25496/
singleUsePlastic_sustainability.pdf?sequence=1&isAllowed=y

・Plastic Waste Management in Maharashtra(英語)
http://mpcb.gov.in/plastic/plastic.php

■ニュージーランド:マイクロビーズを含む製品の製造・販売が禁止
   2018年6月7日

<概要>

  2017年12月に公布された「Waste Minimisation (Microbeads) Regulations 2017」に従って、2018年6月からプラスチック・マイクロビーズを含む一部の製品について、製造・販売が禁止される。

  ○禁止される製品
  ・洗い流すタイプの顔・手・体用の洗剤、スクラブ剤及び角質除去剤
  ・歯磨き粉
  ・キラキラ光る泡風呂(ルミナティバブルバス)
  ・家庭用、自動車用、及び工業用途の洗浄用研磨剤

<参考資料>

・News:Plastic microbeads ban kicks in on 7 June(英語)
https://www.epa.govt.nz/news-and-alerts/latest-news/plastic-microbeads-ban-kicks-in-on-7-june/
・Guidance:Microbeads ban: is your product affected?(英語)
https://www.epa.govt.nz/news-and-alerts/alerts/microbeads-ban-is-your-product-affected/
・Waste Minimisation (Microbeads) Regulations 2017(英語)
http://www.legislation.govt.nz/regulation/public/2017/0291/latest/DLM7490715.html

■日本:海岸漂着物処理推進法の改正
   2018年6月22日

<概要>

  「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律」(平成30年法律第64号)が公布・施行され、法律名が「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」に改正された。

  改正では、マイクロプラスチック対策が追加されている。
  以下、改正海岸漂着物処理推進法から抜粋する。

・海岸漂着物対策は、海域においてマイクロプラスチックが海洋環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあること及びその処理が困難であること等に鑑み、海岸漂着物等であるプラスチック類の円滑な処理及び廃プラスチック類の排出の抑制、再生利用等による廃プラスチック類の減量その他その適正な処理が図られるよう十分配慮されたものでなければならない。(第6条第2項)

・事業者は、マイクロプラスチックの海域への流出が抑制されるよう、通常の用法に従った使用の後に河川その他の公共の水域又は海域に排出される製品へのマイクロプラスチックの使用の抑制に努めるとともに、廃プラスチック類の排出が抑制されるよう努めなければならない。(第11条の2)

・政府は、最新の科学的知見及び国際的動向を勘案し、海域におけるマイクロプラスチックの抑制のための施策の在り方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。(附則第2項)

<参考資料>

・海岸漂着物処理推進法(日本語)
https://www.env.go.jp/water/marine_litter/law.html
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=421AC1000000082&openerCode=1#41

5)その他

■OECD:プラスチックのリサイクル促進に関する報告書
   2018年5月24日

<概要>

  OECDは、プラスチックリサイクルについて、プラスチック廃棄物の回収率が低く、再生プラスチックの品質が低く、価格インセンティブが不足しているため、完全なリサイクルに達していない。プラスチック汚染に対する国民の関心が高まっていることを考えると、各国政府はより良いリサイクルを促進するために緊急に行動すべきであるとの報告書を公表した。

  プラスチックは地球上で最も多く使用されている材料の一つとなっている。
  1950年に200万トンであったプラスチックの生産量は、2015年には世界全体で約3億8,000万トンに増加した。しかし、このプラスチック廃棄物のわずか15%が回収され、再生プラスチックにリサイクルされるのみである。

  廃プラスチックの広範な環境への拡散は、環境への大きな影響をもたらすだけでなく、プラスチックの製造は、生産、輸送、最終廃棄物処理に使用されるエネルギーとして、約4億トン/年の温室効果ガス(GHG)の発生にもつながっている。
  プラスチックの回収とリサイクルの改善が、これらの問題解決に期待される。

<参考資料>

・Governments need to act to encourage plastic recycling markets(英語)
http://www.oecd.org/environment/governments-need-to-act-to-encourage-plastic-recycling-markets.htm
・Improving Markets for Recycled Plastics(英語)
http://www.oecd.org/env/ehs/improving-markets-for-recycled-plastics-9789264301016-en.htm

■国際オリンピック委員会:スポーツイベントで使い捨てプラスチックを廃止
   2018年6月4日

<概要>

  国際オリンピック委員会(IOC)は、国連環境計画(UNEP)のクリーンシーキャンペーンにおいて、7つの主要なスポーツ団体と20以上の各国オリンピック委員会が、各組織及びスポーツイベントにおいて使い捨てプラスチックの廃止に取り組むことを発表した。

  IOCでは、すでに本部やオリンピック博物館においてプラスチック廃棄物の削減を開始しており、さらに、2020年までにすべてのIOCイベントについて、供給業者と協力して責任ある材料を用いて開催することを推進する予定である。

  また、主要なスポーツ団体においても、以下のような取り組みが予定されている。

団体名 取り組み(予定)
ワールドセーリング 2019年までに、あらゆるイベントにおいて廃棄物削減戦略を実行することを公約し、推定7,000万人のセーラーに対する教育プログラムを立ち上げる。
国際トライアスロン連合(ITU) 各国の組織委員会、利害関係者、IOCが緊密に連携し、海洋廃棄物問題の認識を高める。
国際サーフ協会(ISA) 2018年末までにサステナビリティパートナーを選出し、2019年までにISA世界選手権におけるプラスチックの使用、再使用、リサイクル計画の実行、サステナビリティに関する教育資料の拡充を目指す。
国際アイス・ホッケー連盟(IIHF) 本部でのプラスチックの削減とリサイクルの促進及びリサイクル教育の機会の提供を行っている。
国際陸上競技連盟(IAAF) IAAFのイベントにおいてプラスチックを削減し、さらに、削減運動を拡大することを公約した。
国際ゴルフ連盟(IGF) GEO財団を通じて、より責任ある資源の利用を促進するために、運営機関、各国協会、草の根施設と協力して作業を進めている。
ワールドラグビー 再利用とリサイクルのためのさまざまな取り組みを実施した。廃プラスチックの削減に重点を置いて新しい対策を実施する。
各国オリンピック委員会 スペインやドイツなどの各国委員会は、クリーンシーキャンペーンに参加し、国民の意識向上に努め、廃棄物の削減に取り組む。

<参考資料>

・Press release:Olympic movement joins CleanSeas campaign and commits to #BeatPlasticPollution(英語)
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/press-release/olympic-movement-joins-cleanseas-campaign-and-commits

■プラスチック包装容器中の物質データベースを公表
   2018年7月13日

<概要>

  2015年の世界のプラスチック生産量は3億8,000万トンであり、その約40%が包装容器に使用されている。プラスチック容器は、ポリマー、添加物、接着剤、コーティング剤から構成され、溶媒及び不純物、オリゴマーまたは分解物などの非意図的添加物などの残渣が含まれている。
  そこで、包装容器の製造、使用、廃棄、リサイクルから放出される化学物質のリスクを特定するためには、すべての関連物質の広範な情報が必要である。

  EUと米国のグループが、包装容器等の最終製品中の化学物質、及び製造に使用される化学物質のデータベース(CPPdb、プラスチック容器関連の化学物質データベース)を「Chemical Hazard Data Commons」で公開した。

  CPPdbには、プラスチック包装容器に関連性が高い906物質、及び関連の可能性がある3,377物質がリストアップされている。
  906物質の内、63物質はヒト健康有害性が高く、68物質は環境有害性が高く、7物質はvPvB(極めて難分解性、高い生体蓄積性)物質、15物質は内分泌かく乱物質(EDC)である。
  また、CLP分類に準拠した国連環境プログラムの報告では、34物質がEDCまたはその可能性があると認められている。

  特定された有害性化学物質はプラスチックで使用される、モノマー、中間体、溶媒、界面活性剤、可塑剤、安定剤、殺生物剤、難燃剤、促進剤、染料などである。

<参考資料>

・Chemicals associated with plastic packaging: Inventory and hazards(英語)
https://peerj.com/preprints/27036/
・The Data Commons provides comprehensive hazard data for over 85,000 chemicals(英語)
https://commons.healthymaterials.net/

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第6回 「ナノマテリアル」

はじめに

  新シリーズの第6回目では、ナノマテリアルに関連したトピックスとして、欧州、OECD等における規制動向について紹介します。

1)欧州

■EFSA:食品・飼料チェーンにおけるナノサイエンス・ナノテクノロジーのリスクアセスメントに関するガイダンス
   2018年7月4日

<概要>

  欧州食品安全機関(EFSA)は、食品・飼料の生産・加工・流通・保管・販売(food and feed chain、食品・飼料チェーン)におけるナノサイエンス・ナノテクノロジーの、ヒトおよび動物への健康影響に関するリスクアセスメントのためのガイダンスを公表した。
  このガイダンスは、EFSAが担当する新規食品、食品接触材料、食品および飼料添加物、農薬などの分野をカバーしている。

  これらの分野において、ナノマテリアルの活用は、ナノカプセル化デリバリー、ナノ複合材料など多くの可能性が示唆されている。従って、物理化学的特性、ばく露評価、ハザード特性など新たな科学的な知見が必要になる。
  特に、材料がナノマテリアルであるかどうかの判断には、ナノマテリアルの物理化学的キャラクタリゼーションは必須であり、ガイダンスではそのための方法や技術が解説されている。

  ばく露評価とハザードの同定については、特に、in vivo/ in vitro試験系における毒性学的研究および段階的な毒性試験の実施について述べられている。また、初期段階の試験結果に応じて、生殖毒性、発生毒性、免疫毒性、アレルギー誘発性、神経毒性、腸内微生物および内分泌系への影響等のより詳細な検討が必要とされる。
  また、in vitro分解、動態、遺伝毒性などの試験方法や試験実施に関する一般的問題点について示されている。

  今後、EFSAは食品・飼料チェーンにおける、ナノマテリアルの環境リスク評価に焦点を当てたガイダンスについても、2019年に作成する予定である。

<参考資料>

・Guidance on nanotechnologies in food and feed(英語)
https://euon.echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/guidance-on-nanotechnologies-in-food-and-feed
・Guidance on risk assessment of the application of nanoscience and nanotechnologies in the food and feed chain: Part 1, human and animal health(英語)
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5327

■ドイツ:プラスチック包装材料中のナノマテリアルに関するファクトシートを公表
   2018年8月12日

<概要>

  ドイツ連邦環境庁(UBA)は、プラスチック包装材料中のナノマテリアルの使用に関するファクトシートを公表した。

  包装材料の印字や表面コーティングに使用されるナノマテリアルは、一部は印刷用の塗料やワニスにおいても用いられている。
  ファクトシートでは、欧州において食品接触用途に認可されているナノマテリアルについて、用途、目的、環境影響、規制状況等の情報が記載されている。

・ナノ窒化チタン(ナノTiN) :PETボトルのプラスチック添加剤として熱的および機械的特性を改善
・カーボン ブラック :黒色顔料、プラスチックのUV保護剤
・ナノ二酸化ケイ素(ナノ-SiO 2 ) :充填剤
・ナノ酸化亜鉛 (ナノ-ZnO) :プラスチックのUV保護剤
・ナノカオリン :プラスチックのバリア特性を改善
・モンモリロナイト粘土 :プラスチックのバリア特性を改善

<参考資料>

・Einsatz von Nanomaterialien in Kunststoffverpackungen(ドイツ語)
https://www.umweltbundesamt.de/publikationen/einsatz-von-nanomaterialien-in

■JRC:ナノ医薬品の規制キーワードに関するマッピング(関連付け)解析
   2018年8月21日

<概要>

  欧州委員会共同研究センター(JRC)は、ナノ医薬品の規制分野で頻繁に使用される用語について、マッピング解析を行った。

  国際薬事規制当局者フォーラム(IPRF)のナノ医薬品ワーキンググループにおいて、異なる地域で使用されているナノ医薬品に関する用語のマッピングや編集の必要性が議論された。
  JRCでは、Webクローリングやテキストマイニングツールの使用やヒトによる抽出によって、頻繁に使用される用語の抽出と編集を実施した。

  テキストマイニングツールを用いることにより、ナノ医学のような最新分野における関連キーワードの抽出が可能となった。
  これにより、ナノ医薬品分野に関連する幅広い概念を網羅するだけでなく、種々の情報源から関連情報を特定することができ、包括的にキーワードをマッピングすることができたとしている。

  例えば、デンドリマー、ナノキャリア、ミセル、リポソーム、磁性ナノ粒子等が適用されるナノマテリアルのタイプを定義する用語が同定され、その概要を記載している。

<参考資料>

・EU report maps nanomedicine terminology in the regulatory landscape(英語)
https://euon.echa.europa.eu/lt/view-article/-/journal_content/title/eu-report-maps-nanomedicine-terminology-in-the-regulatory-landscape
・Mapping Nanomedicine Terminology in the Regulatory Landscape(英語)
https://ec.europa.eu/jrc/en/publication/mapping-nanomedicine-terminology-regulatory-landscape

■ECHA:欧州で使用されているナノ色素の用途とリスクに関する検討
   2018年9月8日

<概要>

  欧州ナノマテリアル監視機関(EUON)は、欧州市場で確認されている81種のナノ色素をリストアップし、それらの危険有害性およびリスク評価に関する報告書を公表した。

  81種のナノ色素は、塗料、塗料充填剤、プリンタートナー、パーソナルケア製品、タトゥー等に用いられており、報告書にそのリストが示している。

  危険有害性やばく露情報については、既知文献などの入手可能な情報を収集しているが、物質の特性(表面積、表面電位、粒度分布等)に関する情報は極めて限定されたものであった。また、リスク評価やリスク管理についても、ナノマテリアルの潜在的なリスクを論じているものが多く、大部分のナノ粒子について、安全性に関する証拠や証拠に基づく結論を導き出すことができなかったと報告している。

  なお、予防原則に基づくと、ナノ粒子へのばく露の可能性がある場合、ヒトの健康について潜在的なリスクを排除することはできない。例えば、プリンタートナーカートリッジに使用されているナノ粒子は、空気中に浮遊する可能性があり、作業者や消費者が吸入する可能性がある。

  一方、例えば、ポリマー、塗料、コーティング剤に使用される場合、ナノ粒子は基質と結合されていると考えられため、このような用途における消費者リスクは低い。

<参考資料>

・Study finds knowledge gaps in risk assessment of nano pigments(英語)
https://www.echa.europa.eu/-/study-finds-knowledge-gaps-in-risk-assessment-of-nano-pigments
・Literature study on the uses and risks of nanomaterials as pigments in the European Union(英語)
https://euon.echa.europa.eu/documents/23168237/24095696/
070918_euon_nanopigments_literature_study_report_en.pdf/58977ab1-1059-4b41-f003-18ae9d7a157c

■ECHA:Newsletter“ナノ物質の新しいREACH情報要件はあなたに関係している?”
   2018年9月13日

<概要>

  欧州化学品庁(ECHA)のナノマテリアルコーディネーターであるJenny Holmqvistは、ECHA Newsletterに「ナノ物質の新しいREACH情報要件はあなたに関係している?」を発表し、企業の準備についての彼女の意見を述べている。

  欧州では、製品中のナノマテリアルが増加しているにもかかわらず、リスクを適切に評価管理するための危険有害性に関する情報が不十分である。このギャップを埋めるために、REACH附属書が改訂され、企業にナノマテリアルのデータ提供を義務づけようとしている。

○REACH附属書の改訂(案)について
  REACH附属書の改訂(案)では、既存の情報要件を明確にし、ナノフォームの物質を登録する企業に対してナノに関連した新たな情報を要求している。要件を明確にすることで、REACHの実施がより効率的になり、欧州市場におけるナノフォームの危険性やリスクに関する知識の向上にもつながる。

○新しい附属書の発効について
  附属書を改正する委員会規則草案は、まだ欧州委員会によって正式に採択されていない。これが採用されれば、企業は2020年1月までに新しい要件を遵守する必要性が生じる。

<参考資料>

・ECHA Newsletter September 2018 Issue 3 Are the new REACH information requirements for nanos relevant for you?(英語)
https://newsletter.echa.europa.eu/documents/6362380/23688447/
newsletter_2018_issue_3_september_en.pdf

■ECHA:欧州市場の工業用ナノマテリアルに関する市場調査を実施するためのデータソース、方法、パラメータおよび決定要因の妥当性と信頼性に関するレビュー
   2018年9月19日

<概要>

  欧州化学物質庁(ECHA)は、欧州市場の工業用ナノマテリアルに関する市場調査を実施するための、データソース、方法、パラメータおよび決定要因の妥当性と信頼性に関するレビュー結果を公表した。
  ナノマテリアルの用途は10年間で急増しており、医療、電気電子分野、化粧品等の生活分野に広く用いられている。さらにナノマテリアルの物理的、化学的特性を活用した新規用途の開発が進められている。(例えば、抗菌特性、表面の自己洗浄作用)

  本レポートでは、市場調査の参考となる非常にあるいは高い信頼性のあるデータソースとして下記の情報を掲載している。また、その他にも信頼性のある13件の情報も記載されている。一方、データベースは非常に特殊な技術情報を含んでいるが、製造・販売量や市場の動向や開発に関する定量的なデータは含まれていないため、市場調査には適切でないものがあることについてもコメントしている。

  今後、ナノマテリアルの市場調査に際しては、ナノマテリアルの特性やパラメータなどに留意し、適切なデータソース、研究方法、パラメータ等の要因分析に基づいて、信頼性の高い情報を得る必要がある。

○非常に信頼できる(3試験)

・Commercial market studies from Allied Market Research: Europe Nanomaterials Market by Type of Material and End User Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2014 – 2022

・European Recommendation on nanomaterials (2011/696/EU)

・World market for nanomaterials: structure and trends (Inshakova, et al., 2017)

○高い信頼性あり(9試験)

・Nanomaterials Market (Metal Oxide, Metals, Chemicals & Polymers and Others) for Construction, Chemical Products, Packaging, Consumer Goods, Electrical and Electronics, Energy, Health Care, Transportation and Other Applications: Global Market Perspective, Comprehensive Analysis and Forecast, 2016 – 2022, Zion Market Research

・Nanomaterials Market - Trends, Investment Analysis and Future scope to 2022, Mordor Intelligence

・Nanomaterials Market: Global Industry Analysis and Opportunity Assessment 2015-2025, Future Market Insights

・Nanomaterials Market Global Industry Analysis 2013 – 2017 and Opportunity Assessment 2018 – 2028, Future Market Insights

・World Silver Nanomaterials as Transparent Conductor Market - Opportunities and Forecasts, 2017-2023, Allied Market Research

・Nanomaterials Market by Type - Global Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2014-2022, Allied Market Research

・Silver Nanoparticles Market Size by Application, Industry Analysis Report, Regional Outlook, Growth Potential, Price Trends, Competitive Market Share & Forecast, 2016–2024, 2017, Global Market Insights

・Carbon Nanotubes Market Size By Product, By Application, Industry Analysis Report, Regional Outlook, Growth Potential, Price Trends, Competitive Market Share & Forecast, 2016 – 2024, Global Market Insights

・Carbon nanotubes: Types, products, market, and provisional assessment of the associated risks to man and the environment. Ministry of Environment and Food of Denmark, 2015.

<参考資料>

・Critical review of the relevance and reliability of data sources, methods, parameters and determining factors to produce market studies on manufactured nanomaterials on the EU market(英語)
https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/2925026a-bd4e-11e8-99ee-01aa75ed71a1/language-en/format-PDF/source-77090018

■EU-OSHA:職場における工業用ナノマテリアルの情報シート
   2018年10月3日

<概要>

  欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA)は、職場における工業用ナノマテリアルの取り扱い方法を示す情報シート(info sheet)を発行した。

  情報シートは、ナノマテリアルの定義、関連する欧州の法規制、健康影響、作業者のばく露、リスク評価等の情報を提供している。

  以下に概要を示す。

○工業用ナノマテリアル
  粒子の50%以上が、1nm~100nmの1つ以上の寸法を有するものである。最も小さいナノ粒子は、原子や分子に匹敵するサイズである。

○ナノマテリアルの健康影響
  どのような物質で構成されているか、さらに粒子のサイズ、形状および溶解性、それらの表面特性などに依存する。
  一般的に、ナノマテリアルは、同じ材料のより粗い非ナノ粒子と同じ健康影響を惹起するが、特有の有害性を有する可能性もある。ナノマテリアルの主なばく露経路は、吸入および経皮ばく露である。

○ナノマテリアルのばく露・ばく露経路
  バルク材料のばく露限界を十分に下回って、維持・管理されなければならない。(なお、バルク材料は、より大きな粒子から構成されるが、ナノ粒子を含む可能性がある。)
  工場での製造過程において、ナノマテリアルを、例えば、スラリーやペーストの形態で、あるいは密閉系で取り扱うことができる場合は、放出や作業者ばく露を軽減することができる。より複雑な状況では、専門家の助言が必要となる。

ナノマテリアルに関する技術は、急速に進展しているため、職場でナノ粒子を取り扱う労働者、雇用主、安全衛生専門家は、常に最新のデータを入手する必要がある。

<参考資料>

・Info sheet: Manufactured nanomaterials in the workplace(英語)
https://healthy-workplaces.eu/en/tools-and-publications/publications/manufactured-nanomaterials-workplace
・Manufactured nanomaterials in the workplace(英語)
https://healthy-workplaces.eu/sites/default/files/publications/documents/
Nanomaterials%20infosheet%20WEB.pdf

■EU-OSHA:職場におけるナノマテリアルの管理に関するWebサイトを開設
   2018年10月4日

<概要>

  欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA)は、職場におけるナノマテリアルのリスク管理を推進するための、ナノマテリアルの管理に関するWebサイトを開設した。

  Webサイトの記載について概要を示す。

○ナノマテリアルの定義は?
  1~100ナノメートル(nm)の1つ以上の外寸を持つ粒子を含む材料である。詳細は「欧州委員会のナノ物質の定義、Definition of a nanomaterial」※1を参照。
  ナノマテリアルは、原子または分子に匹敵するサイズであり、そのサイズだけでなく、物理的または化学的特性が、大きなサイズの同じ材料(非ナノ)と異なる。
  その異なる特性から、工学、情報通信技術、医学、医薬品等の分野で、新たな機能を提供しているが、一方で、その特有の性質がヒト健康や環境への影響の原因でもある。

○ナノマテリアルはどこにあるのか?
  ナノマテリアルは、例えば、火山ガスなど自然界に存在し、ディーゼルの排気ガスまたはタバコの煙などのヒトの活動の副産物としても存在する。コンクリート、タイヤ、および食品中の合成非晶質シリカのように数十年にわたって使用されてきたものもある。
  最近は、二酸化チタンは塗料や日焼け止め中のUVカットとして、ナノ銀は繊維や医療用途における抗菌剤として、さらにカーボンナノチューブはエレクトロニクス、エネルギー貯蔵、宇宙船、車両構造体およびスポーツ用具などの用途において、機械的強度、軽量化や放熱特性および導電性向上のために幅広く使用されている。

○ナノマテリアルに関する労働安全衛生上の懸念
  ナノマテリアルの最も重要な影響として、肺において組織損傷、炎症、線維症および腫瘍の発生が認められている。心臓血管系にも影響が出る可能性がある。カーボンナノチューブは、アスベスト様の効果をもたらす。その他にも、ナノマテリアルは、肺だけでなく、肝臓、腎臓、心臓、脳、骨格および軟部組織を含む他の臓器・組織に到達することが明らかとなっている。
  その小さなサイズや大きな表面積から、特に粉末状のナノマテリアルは、爆発のリスクを有している。
  詳細はEU-OSHAの文献レビュー「ナノ粒子への職場ばく露」※2を参照。

○職場でのナノ物質へのばく露はどのように起こるのか?
  ばく露は、ナノマテリアルが使用、処理または加工される際に、空中に放出されて吸入されるか、または皮膚に接触するなど、様々な職場環境で起こり得る。

○職場におけるリスク管理
  労働者の保護に関する欧州の法規制は、ナノマテリアルに適用されるが、ナノマテリアルに対して明確に言及していない。(REACH、CLP、Framework Directive 89/391/EEC、Chemical Agent Directive 98/24/EC、Carcinogen and Mutagen Directive 2004/37/EC)

<参考資料>

・Nanomaterials: understanding and managing the risks(英語)
https://healthy-workplaces.eu/en/media-centre/news/nanomaterials-understanding-and-managing-risks
・Managing nanomaterials in the workplace(英語)
https://osha.europa.eu/en/emerging-risks/nanomaterials
・Definition of a nanomaterial※1(英語)
http://ec.europa.eu/environment/chemicals/nanotech/faq/definition_en.htm
・Workplace exposure to nanoparticles※2(英語)
https://osha.europa.eu/en/tools-and-publications/publications/literature_reviews/workplace_exposure_to_nanoparticles/view

■SCCS:ナノフォームの銀コロイドに関する見解
   2018年10月24日

<概要>

  欧州委員会消費者安全科学委員会(SCCS)は、ナノフォームの銀コロイド(Colloidal Silver、nano)に関するオピニオンを発表した。
  ナノフォームの銀コロイドが使われた化粧品について63件の届出が欧州委員会に提出されており、欧州委員会はSCCSに対して安全性評価を実施するように要請した。

  以下に概要を示す。

  SCCSは、提供された科学的データを考慮して、ナノフォームの銀コロイドを最大濃度1%含有する練り歯磨きおよびスキンケア製品を含む化粧品について、ナノフォーム銀コロイドの安全性について評価した。

  化粧品中のナノ物質の安全性評価に関するガイダンス(SCCS 1484/12)に準拠した申請者のデータは限られており、提供されたデータは、ナノマテリアルに関する安全性文書(SCCS / 1524/13)のデータの妥当性、適合性および品質に関するSCCS覚書にも合致していなかった。
  また、他の情報として、ナノ銀の毒性に関連する文献等が入手可能であるが、申請者はナノ銀との関連性を考察していなかった。
  このように、重大なデータギャップが多数認められることから、口腔・皮膚の化粧品として使用される場合のナノフォーム銀コロイドの安全性について、結論を導くことはできなかった。

  したがって、SCCSは、今後は化粧品におけるナノフォーム銀コロイドの使用に関して、さらなる科学的懸案事項への対処が求められる。さらに、ナノフォーム銀コロイドの安全性評価に加えて、最終製品中には、様々な種類のイオン性銀が存在する可能性も考慮するべきであるとしている。

<参考資料>

・Scientific Committee on Consumer Safety, Opinion on Colloidal Silver (nano),   SCCS/1596/18(英語)
https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/
consumer_safety/docs/sccs_o_219.pdf

2)OECD

■OECD:二酸化チタンの遺伝毒性-ナノマテリアルのグルーピングとread-acrossに関するケーススタディ
   2018年9月21日

<概要>

  OECDは、ナノマテリアルのグルーピングとread-acrossに関するケーススタディとして、ナノTiO2の遺伝毒性に関する研究事例とRAAF(ECHA's Read-Across Assessment Framework)に基づいた統合アプローチによる評価結果を発表した。

  このケーススタディの目的は、2種類のナノTiO2の遺伝毒性について、その他のナノTiO2のin vitroコメットアッセイの結果から、グルーピングとread-acrossを用いて評価することであった。また、最新のREACHガイダンスで提案されているグルーピングとread-acrossに関するRAAFの適用性を評価することであった。

  グルーピングとread-acrossは、REACHにおけるデータギャップを埋めるための代替アプローチの1つであり、類似物質の関連情報を使用して、目的の物質の特性を予測するものである。正しく適用されれば、すべての物質について動物試験などを実施する必要がなく、試験を減らすことができると期待される。RAAFはグルーピングとread-acrossを科学的に評価する仕組みである。

  異なる特性、すなわち異なるサイズ(サイズ5〜100nm)、異なる結晶型(アナターゼ、ルチル)、異なる表面特性(コーティング、非コーティング)を有する6種類のナノTiO2の物理化学的特性およびin vitroコメットアッセイの結果から、表面コーティングされていないナノTiO2はDNAに損傷を与える可能性があり、陰性を示すナノTiO2は表面コーティングや表面の不純物によってマスクされているとの仮説が導き出された。

  目的の2種類のナノTiO2のin vitroコメットアッセイの結果について、上記仮説から、表面コーティングされたものは陰性、表面コーティングされないものは陽性と予測され、この予測結果は文献による実験データと一致していた。また、RAAFはナノマテリアルの評価についても十分に適用可能であった。

<参考資料>

・Grouping of substances and read-across(英語)
https://echa.europa.eu/support/registration/how-to-avoid-unnecessary-testing-on-animals/grouping-of-substances-and-read-across
・Case Study on Grouping and Read-Across for Nanomaterials ─ Genotoxicity of nano-TiO2: Series on Testing and Assessment No. 292(英語)
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=ENV/JM/MONO(2018)28&docLanguage=En

■OECD:工業用ナノマテリアルの水生生物・底質生物毒性試験に関するガイダンス(案)
   2018年10月19日

<概要>

  工業用ナノマテリアル(MN)の生態毒性試験に関するガイダンス作成は、OECDの工業用ナノマテリアル作業部会(WPMN)の優先課題の一つである。
  2013年にMNの生態毒性・環境的な運命に関する議論が開始され、専門家による協議を経て、2016年にこのガイダンス(案)が作成され、2018年10月30日までコメントが募集された。

  この文書は、次の5つのセクションに分かれている。
1) 水中でのMN安定性の予備評価を行うためのガイダンス
2) 試験懸濁液の調製とばく露方法の開発
3) ばく露レジームの選択に関する一般的な考察
4) 特性評価法およびばく露定量化のための試験懸濁液中のMNサンプリング頻度
5) 試験結果の計算および報告

  なお、以下の3項目については、現在検討中であり、今後追加を検討する必要がある。
・模擬環境媒体中のMNの分散安定性に関する試験指針(OECD TG No.318)
・水生環境におけるMNの溶解速度に関する試験指針(現在リングテスト中)
・水生媒体中のMNの分散挙動と溶解挙動に関するガイダンス文書(現在準備中)

  ガイダンス(案)の目次から主な記載項目を抜粋する。

○分析および測定技術
・試験材料の特性評価、ストック中の被験物質および懸濁液の特性評価

○試験準備
・被験物質の分散法、ばく露懸濁液の調製、ばく露懸濁液の安定性、ばく露懸濁液のサンプリング頻度、底質への添加方法

○試験ガイドラインに固有の修正内容
・TG 201 生長阻害試験、Freshwater Alga and Cyanobacteria
・TG 221 生長阻害試験、Lemna spp.
・TG 236 魚類胚急性毒性(FET)試験
・TG 238 底質なしMyriophyllum spicatum毒性試験
・TG 239 水-底質系Myriophyllum spicatum毒性試験
・TG 242 繁殖性試験、Potamopyrgus antipodarum
・TG 243 繁殖性試験、Lymnaea stagnalis

○データ分析と報告(MNに固有の報告について)
・試験報告書、ばく露量測定、質量濃度、質量濃度以外の測定基準、ばく露反応関係式、ばく露変動が20%を超えた場合のばく露反応関係の算出。

  以上のように、このガイダンスは、MNの環境リスク評価で使用する毒性データの信頼性と整合性を向上させることを目的として、従来の環境影響評価に加えて、MNに固有の試験法に関する留意点やエンドポイントにフォーカスしている。

<参考資料>

・Draft Guidance and Review Documents/Monographs(英語)
http://www.oecd.org/chemicalsafety/testing/draft-guidance-review-documents-monographs.htm
・Draft Guidance Document on Aquatic and Sediment Toxicological Testing of Nanomaterials(英語)
http://www.oecd.org/env/ehs/testing/DraftGD%20Aquatic%20publicsite.pdf

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第7回 「ペルフルオロ化合物、難燃剤、フタル酸エステル類等」

はじめに

  新シリーズの第7回目では、ペルフルオロ化合物、難燃剤、フタル酸エステル類およびGHS分類に関連した各国の法規制動向等のトピックスを紹介します。

1.ペルフルオロ化合物

■OECD:ペル・ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の新たな包括的なグローバルデータベース
   2018年5月4日

<概要>

  OECD/UNEP Global PFCグループ※は、2007年に作成された「PFOS、PFAS2、PFOA、PFCAなどPFCAに分解する物質リスト」を更新した。
  ※PFCグループ: Per- and poly-fluorinated chemicalsグループ(perfluorocarbonsではない)
  このリストは、グローバル市場に存在するペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)に関する包括的なリストであり、特に、炭素を3個以上含有するペルフルオロアルキル、炭素を2個以上含有するペルフルオロアルキルエーテルを部分構造とするPFASに焦点が当てられている。合計4730個のPFAS関連物質のCAS番号が同定・掲載され、新しいPFASも含まれている。
  一方、同定されたPFASは多様であり、曖昧な記述、定義等があり、また、データソースによって大きく異なっている課題も確認された。
  今後も、すべての物質を反映するためのPFAS定義の拡大、PFASに関する最新情報を共有するWebベースの知識データベースの構築、PFASの分解性を含む重要な知見の収集等が予定されている。

<参考資料>

・Toward a New Comprehensive Global Database of Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFASs): Summary Report on Updating the OECD 2007 List of Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFASs)(英語)
http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote=ENV-JM-MONO(2018)7&doclanguage=en

■米国・サンフランシスコ:PFASのフードサービス用使い捨て製品の禁止
   2018年7月10日

<概要>

  サンフランシスコ市は、2020年1月1日以降、PFASでコーティングされたフードサービス用使い捨て製品の販売と使用を禁止するための環境法の改定を公表した。
  使い捨て製品として、皿、コップ、調理器具、箸、ナプキン、コップの蓋、トレー、ストロー、撹拌棒、スプラッシュスティック、カクテルスティック、つま楊子等が挙げられている。
  また、特定のプラスチックで作られた品目も販売と使用が禁止される。この特定プラスチックには、バイオプラスチックあるいは植物原料プラスチックも含まれる。対象品目は、ストロー、撹拌棒、スプラッシュスティック、カクテルスティック、つま楊子である。

<参考資料>

・ORDINANCE NO. 201-18 Environment Code - Single-Use Food Ware Plastics, Toxics, and Litter Reduction(英語)
https://sfgov.legistar.com/View.ashx?M=F&ID=6440747&GUID=CB06903B-B172-4E84-A653-732D73DD982B

■国連:POPs条約委員会はPFOAの附属書Aへの追加を勧告
   2018年9月17日~21日

<概要>

  POPs(残留性有機汚染物質)評価委員会の第14回会議(POPRC.14)が、イタリアのローマで2018年9月17-21日に開催された。

○PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸、CAS No: 355-46-4)とその塩および関連物質

  難分解性、生物蓄積性、哺乳動物毒性、環境中に広範囲に存在することから、環境中を長距離移動してヒト健康および環境影響に重大な有害性をもたらす可能性が懸念され、次回のPOPRCにおいて、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めることを決定した。

○PFOA(ペルフルオロオクタン酸、CAS No: 335-67-1)とその塩およびPFOA関連物質

  廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議(COP)に勧告することを決定した。
  ただし、医療機器、移植可能な医療機器、光画像分野、自動車産業、泡消火剤、中間体として取り出されて他の場所で使用されるペルフルオロオクタンヨージド(PFOI)および医療用繊維、水処理ろ過、製造工程および下水処理に使用される膜の各用途については適用除外される。

○PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸、CAS No.は会議では特定されず)とその塩およびPFOSF(ペルフルオロオクタンスルホニルフルオリド、CAS No.は会議では特定されず)

  適用除外の必要性を考慮して、附属書B(制限)の改定を検討することを締約国会議(COP)に勧告した。

<参考資料>

・Fourteenth meeting of the Persistent Organic Pollutants Review Committee (POPRC.14)(英語)
http://chm.pops.int/TheConvention/POPsReviewCommittee/Meetings/POPRC14/
Overview/tabid/7398/Default.aspx

■ノルウェー:PFBSの長距離移動と生物蓄積性の可能性を公表
   2018年10月31日

<概要>

  ノルウェー環境局は、環境中のPFBS(Perfluorobutane sulfonic acid、CAS No. 375-73-5)に関する報告書を公表した。
  環境局は、PFBSとその塩類が、REACHのSVHCの基準を満たしているかどうかを検討するために、地質工学研究所にモニタリングデータなどに関する文献調査を依頼した。
  その結果、PFBSの物理化学的性質、特に環境中で極めて難分解性であることから、時間経過とともに北極に濃縮する可能性が明らかとなった。
  北極への長距離移動は水経由であり、海水および河川中で広範囲に検出され、また、飲料水およびミネラルウォーターでも一様に検出された。さらに、ろ過装置や最新処理過程をそのまま通り抜けることが示唆され、生物中でも検出されていることから、継続してばく露を受けると、ヒトに蓄積する可能性が示唆された。
  ノルウェーは2019年3月にSVHC意図登録(SVHC(高懸念物質)Registry of Intentions)の候補物質として提案する予定である。

<参考資料>

・PFBS in the Environment: Monitoring and Physical-Chemical Data Related to the Environmental Distribution of Perfluorobutanesulfonic Acid(英語)
http://www.miljodirektoratet.no/Documents/publikasjoner/M1122/M1122.pdf

■デンマーク:化粧品から高濃度のPFAS類を検出
   2018年11月23日

<概要>

  PFASおよび他のフッ素化化合物は、表面活性剤として化粧品に使用され、皮膚の光沢や化粧を長持ちさせる効果がある。一方、PFASはヒトや環境に有害であることから、デンマーク環境局はPFASを含む17製品について、分析、調査を実施した。
  その結果、ファンデーション中より、PFHxA(Perfluorohexanoicacid、CAS No. 2106-54-9)が1340 ng/g (ppb)、コンシーラーよりPFASが合計で10700 ng/g検出された。また、6製品でPFCAs(C9 -C14 perfluoroalkylacids or perfluorocarboxylicacids)がEUのばく露限度値案(合計値)の25 ng/gを超えていた。
  なお、PFOAおよびその塩が25 ng/gを超える製品は、2020年7月4日から禁止される。また、2017年10月6日にPFCAおよびその塩とその関連物質の製造および使用を禁止する案が提出されている。

<参考資料>

・Risk assessment of fluorinated substances in cosmetic products(英語)
https://mst.dk/service/publikationer/publikationsarkiv/2018/nov/risk-assessment-of-fluorinated-substances-in-cosmetic-products/
・Risk assessment of fluorinated substances in cosmetic products(英語)
https://www2.mst.dk/Udgiv/publications/2018/10/978-87-93710-94-8.pdf

2.難燃剤

■米国・マサチューセッツ州:難燃剤の禁止を促進
   2018年6月14日

<概要>

  米国マサチューセッツ州上院は、有害な難燃剤から子供や家族を守る法律の改定案を承認した。この改定は2019年1月1日に有効となる。
  この改定では、下記の難燃剤とその類似物資について、合計1000 ppmを超えて含有する寝具(マットレス、シーツ、枕、毛布、布団、寝袋等)、敷物類(床を覆う織物、詰め物やクッションを含む)、子供製品(12歳以下が使用するための消費者製品)、家庭用布張り家具(椅子、クッション等)および窓周りの装飾(カーテン、ブラインド等)の販売、供給、製造、流通および輸入が禁止される。
  ただし、2019年1月1日以前に製造されたものは除外される。

  ・TDCPP:tris(1,3-dichloro-2-propyl)phosphate (CAS No. 13674–87–8)
  ・TCEP:tris(2-chloroethyl)phosphate (CAS No. 115–1496–8)
  ・Antimony trioxide (CAS No. 1309–64–4)
  ・HBCD:hexabromocyclododecane (CAS No. 25637–99–4)
  ・TBPH:bis(2-ethylhexyl)-3,4,5,6-tetrabromophthalate (CAS No. 26040–51–7)
  ・TBB:2-ethylhexyl-2,3,4,5-tetrabromobenzoate (CAS No. 183658–27–7)
  ・Chlorinated paraffins (CAS No. 85535–84–8)
  ・TCPP:tris(1-chloro-2-propyl)phosphate (CAS No. 13674–84–5)
  ・pentaBDE (CAS NO. 32534-81-9)
  ・octaBDE (CAS No. 32536-52-0)
  ・TBBPA:tetrabromobisphenolA (CAS No. 79-94-7)

<参考資料>

・An Act to protect children and families from harmful flame retardants, Bill S.2555(英語)
https://malegislature.gov/Bills/190/S2555/

■米国・カリフォルニア州:難燃剤禁止法を承認
   2018年10月1日

<概要>

  米国カリフォルニア州において、難燃剤禁止法案が2018年10月1日に公布された。
  2020年1月1日以降、1000 ppmを超えて難燃剤を含有する家庭用子供製品(12歳以下)、マットレス、家庭用布張り家具が禁止される。
  また、布張り家具の張替え業者が、1000 ppmを超える難燃剤を含む取替部材を用いて、布張り家具または再張り家具を修理することを禁止している。
  難燃剤としては、ハロゲン系、有機リン系、有機窒素系およびナノ化学品の難燃剤が指定されている。

<参考資料>

・AB 2998, Bloom. Consumer products: flame retardant materials(英語)
https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml?bill_id=201720180AB2998

■米国上院:カリフォルニア州の燃焼性基準を国家基準として提案
   2018年10月4日

<概要>

  米国上院は、布張り家具の可燃性のリスクを防ぐために、カリフォルニア州の燃焼性基準を国家(連邦)基準に採用するための法案S.3551を、超党派で議会に提出した。
  この法律は「居住用家具燃焼性安全法」または「SOFFA、Safer Occupancy Furniture Flammability Act」と呼ばれる。
  カリフォルニア州の燃焼性基準は、2013年6月に公表された電子および家電修理、家庭用家具および断熱材の担当局(BEARHFTI: Bureau of Electronic and Appliance Repair, Home Furnishings and Thermal Insulation)の技術告示TB 117-2013 「布張り家具に使用される材料の耐焦性(焦げる性質)試験の要件、試験手順、および装置」である。

<参考資料>

・S.3551 – SOFFA(英語)
https://www.congress.gov/bill/115th-congress/senate-bill/3551/text

3.フタル酸エステル類

■デンマーク:ボール玩具からフタル酸類を検出
   2018年6月26日

<概要>

  デンマーク環境局は、ボール玩具について、フタル酸エステル類の含有量を調査した。
  6種類のボール(プラスチックボール、フォームボール、フットボール、ハンドボール、バスケットボール、テニスボール)について分析した結果、下記のとおりフタル酸エステル類が検出された。
  5例では、DIBPが0.5~57.5%の濃度で検出された。2例では、DEHPが検出され、濃度はそれぞれ9%と26.8%であった。1例では、DBPが0.14%の濃度で検出された。
  ボールは、玩具とスポーツ用具のいずれにも定義されるが、いずれのボールについても子供が使用する可能性がある。
  なお、0歳から3歳児の玩具では、フタル酸エステル類は禁止されている(最大0.05%)。3歳から14歳までの子供用の玩具では、DEHPとDBPは禁止されている。(最大0.1%)。また、DIBPはCMR物質(発ガン性、変異原性、生殖毒性があるとされる物質)であるため、玩具には最大0.3%しか使用できない。

<参考資料>

・Miljøstyrelsen undersøger plastikbolde for ftalater(デンマーク語)
https://mst.dk/service/nyheder/nyhedsarkiv/2018/jun/miljoestyrelsen-undersoeger-plastikbolde-for-ftalater/
・Test: Kemi i bolde(デンマーク語)
https://kemi.taenk.dk/test/test-kemi-i-bolde

4.GHS関連の法規制等

■OECD:OECDは加盟国にGHSを義務化
   2018年5月25日

<概要>

  OECD理事会は、化学物質のリスク削減に関する勧告(OECD/LEGAL/0441)を公表した。これは、1991年に公表された理事会勧告(OECD/LEGAL/0259)の改定であり、新たにGHSの実施が追加された。
  サプライチェーンにおける有害物質に関する適切な情報伝達として、GHSの適用を義務化している。

<参考資料>

・OECD/LEGAL/0441 Decision-Recommendation of the Council on the Co-operative Investigation and Risk Reduction of Chemicals(英語)
https://legalinstruments.oecd.org/en/instruments/OECD-LEGAL-0441
・OECD/LEGAL/0259 Decision-Recommendation of the Council on the Co-operative Investigation and Risk Reduction of Existing Chemicals(英語)
https://legalinstruments.oecd.org/en/instruments/OECD-LEGAL-0259

■欧州:CLP規則の改定(案)
   2018年7月16日

<概要>

  国連GHSガイドライン改訂6版、改訂7版に準拠した改定が予定されている。

・カットオフ値の改訂
・混合物エアロゾルの定義
・危険有害性区分の改訂(爆発物、可燃性/引火性ガス、引火性液体、可燃性固体、急性毒性、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、呼吸器感作性または皮膚感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、特定標的臓器毒性、吸引性呼吸器有害性)

<参考資料>

・Classification and labelling of chemicals – alignment to revisions of the United Nations Globally harmonized System (draft regulation)
amending, for the purposes of its adaptation to technical and scientific progress Regulation (EC) No 1272/2008 of the European Parliament and of the Council on classification, labelling and packaging of substances and mixtures (英語)
http://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/initiatives/ares-2018-3765361_en

■コロンビア:国連GHS改訂6版に準拠したGHS分類の導入
   2018年8月6日

<概要>

  コロンビア労働省は、国連GHS改訂6版に準拠した危険有害性に関するGHS分類、ラベルと安全データシート(SDS)による情報伝達に関する政令を公布した。
  危険有害物質の製造者および輸入者は、GHS分類に準拠したラベルやSDSの作成、情報が求められている。また、ラベルやSDSは5年毎に改訂しなければならない。

<参考資料>

・DECRETO NÚMERO 1496 DE 2018 -6AGO 2018(スペイン語)
http://es.presidencia.gov.co/normativa/normativa/
DECRETO%201496%20DEL%2006%20DE%20AGOSTO%20DE%202018.pdf

■オーストラリア:GHS分類に関するナショナルガイドの更新
   2018年8月16日

<概要>

  オーストラリア労働安全機構は、化学品のGHS分類に関するナショナルガイドを更新した。
  2018年改定版には、2012年版よりも詳細な解説が示されている。

・危険有害性は国連GHS改訂3版に準拠
・WHS(Work Health and Safety) Regulation(労働安全衛生法規則)に準拠したビルディングブロック
・混合物分類におけるカットオフ値

<参考資料>

・Classifying hazardous chemicals - national guide(英語)
https://www.safeworkaustralia.gov.au/doc/classifying-hazardous-chemicals-national-guide

■南アフリカ:有害化学物質の規則(案)を公表
   2018年9月17日

<概要>

  南アフリカ労働省は、有害化学物質規則1995年(Hazardous Chemical Substances Regulations、1995)に代わる、有害化学物質の規則(案)を公表した。
  有害化学物質について、国連GHS改訂5版(2015年)に準拠したGHS分類、SDS、ラベル表示等が要求されている。
  また、規制される有害化学物質について、職業ばく露限界値(Occupational Exposure Limits、OEL)、生物学的モニタリングの指標(Biological Exposure Indices、BEI)が掲載されている。

<参考資料>

・Draft Regulations for Hazardous Chemical Agents (2018)(英語)
http://www.labour.gov.za/DOL/legislation/regulations/occupational-health-and-safety/draft-regulations-for-hazardous-chemical-agents

■メキシコ:国連GHS改訂第5版に準拠したラベル表示・SDS作成の運用を開始
   2018年10月

<概要>

  2015年10月、メキシコ労働社会福祉省は、メキシコ公定基準NOM-018-STPS-2015「職場における危険有害化学物質の危険有害性とリスクの特定と伝達のための調和化システム」を公表した。
  この基準は分類・表示について国連GHS改訂第5版に準拠している。
  公表後3年間の移行期間が設けられており、旧NOM-018-STPS-2000およびその改定(2001年1月、2013年9月)、あるいはNOM-018-STPS-2015の選択が可能であった。2018年10月以降は、NOM-018-STPS-2015に準拠することとされている。

<参考資料>

・NORMA Oficial Mexicana NOM-018-STPS-2015, Sistema armonizado para la identificación y comunicación de peligros y riesgos por sustancias químicas peligrosas en los centros de trabajo. (スペイン語)
http://www.dof.gob.mx/nota_detalle.php?codigo=5411121&fecha=09/10/2015

■欧州:CLP規則の第13次ATPを公布
   2018年10月5日

<概要>

  欧州委員会は、CLP規則の第13次ATP(adaptation to technical and scientific progress、技術的・科学的進歩への適合)を公布した。
  第13次ATPでは、18物質の分類が改訂され、新たに16物質が追加された。
  また、新たに追加された2-methylisothiazol-3(2H)-one (CAS No. 2682-20-4)では、皮膚感作性が区分1Aに分類され、特定の濃度限界値(Specific concentration limits)として0.0015%が設定されている。
  2020年5月1日から適用される。

<参考資料>

・COMMISSION REGULATION (EU) 2018/1480 of 4 October 2018(英語)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=uriserv:OJ.L_.2018.251.01.0001.01.ENG

■欧州:CLP規則の第14次ATP(案)
   2018年12月12日

<概要>

  CLP規則の第14次ATP(案)が公表された。
  第14次ATP(案)では、28物質の分類が改訂され、2物質が削除されている。
  また、以下の項目が追加・改訂されている。

・直径10μm以下の酸化チタン粒子を1%以上含む液体混合物に対する警告ラベル
・繊維(直径<3μm、長さ>5μmおよびアスペクト比≧3:1)、WHO繊維基準に該当する物質、表面が有害物質で処理された粒子に関する発がん分類
・直径が10μm以下の酸化チタン粒子を1%以上含む粉状物質の吸入発がん性分類

<参考資料>

・Draft Commission Regulation amending, for the purposes of its adaptation to technical and scientific progress, Regulation (EC) No 1272/2008 of the European Parliament and of the Council on classification, labelling and packaging of substances and mixtures and correcting Commission Regulation (EU) 2018/669(英語)
http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tbt/en/search/?tbtaction=search.detail&Country_ID=EU&num=629&dspLang=
en&basdatedeb=07/12/2018&basdatefin=13/12/2018&baspays=
&basnotifnum=&basnotifnum2=&bastypepays=ANY&baskeywords=

■英国:合意なきEU離脱時の化学物質の分類・ラベル表示・包装(CLP)ガイダンス
   2018年10月12日

<概要>

  英国政府は、合意なきEU離脱が発生した場合の化学物質の分類・ラベル表示・包装(CLP)に関するガイダンスを公表した。
  英国は、自国の化学物質体制を確立する予定であるが、EUと同様にGHSを採用し、英国のCLPは既存の欧州CLP規則に基づいて行われる。英国では健康安全局(Health and Safety Executive: HSE)が担当する。CLP規則の大部分は引き続き英国で適用される。上市された化学物質のCLP規則に関する義務はそのまま維持される。
  一方、EU諸国から英国に化学物質を輸入する企業は、CLP規則の下で輸入国になり、輸入者としての義務を遵守する必要がある。
  その他、REACH、BPR、農薬の各規則、PIC、POPs、水銀の取り扱いに関するガイダンスも公表されている。

<参考資料>

・Guidance Classifying, labelling and packaging chemicals if there's no Brexit deal(英語)
https://www.gov.uk/government/publications/classifying-labelling-and-packaging-chemicals-if-theres-no-brexit-deal/classifying-labelling-and-packaging-chemicals-if-theres-no-brexit-deal

■台湾:危険性化学品表示及び周知規則の改定
   2018年11月9日

<概要>

  台湾労働部は危険性化学品表示及び周知規則(原題「危害性化學品標示及通識規則」)の改定を公表した。
  改定は第4、5、13、18、23条は即日施行され、第12条の附表4は2020年1月1日施行予定である。

・廃棄物処理に関連する法律や規制において、有害な事業廃棄物や一般的な事業廃棄物を含む事業廃棄物の表示等が規定されているため、事業廃棄物への適用を除外する。(改正第4条)

・有害化学物質のラベル表示と分類の関連規定を修正する。(改正第5条)

・製造業者、輸入業者または供給業者が提供する安全性データシート(SDS)の内容、使用される書式およびテキスト等を修正する。(改正第13条)

・有害化学物質について、CAS番号の記載が追加される。(改正第18条)

・職業安全衛生法を考慮し、サプライチェーン上流の製造業者は川下の製造業者に危険有害化学物質の情報を提供し、危険防止策を講じる責任がある。(改正第18条一)

<参考資料>

・勞職授字第10702052242號、勞動部令:修正「危害性化學品標示及通識規則」部分條文及第12條附表4(中国語)
https://laws.mol.gov.tw/news.aspx?msgid=4831

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第8回 「プラスチック廃棄物、マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制」

はじめに

  新シリーズの第8回目では、プラスチック廃棄物、マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制に関連したトピックスとして、欧州、国連、OECD等における規制動向について紹介します。

1)欧州

■欧州合同研究センターによるビーチのごみに関する調査結果の公表
   2018年9月25日

<概要>

  欧州委員会は、欧州合同研究センター(JRC)で実施した欧州ビーチにおけるごみの種類に関する調査結果を公表した。
  JRCは2016年に、欧州の276か所のビーチについて、合計679回の調査を実施し、収集された355,671サンプルについて分類した。
  欧州のビーチにおいて、プラスチック以外のごみは16%で、84%がプラスチックごみであった。プラスチックごみの内、50%が使い捨てプラスチックであり、34%がそれ以外のプラスチックごみであった。また、釣り用品は15%を占めていた。

使い捨てプラスチックの内訳を示す。(%)
たばこのフィルター 22.1
飲料用ボトルのキャップ等 20.9
食品容器・包装 14.1
プラスチック綿棒 13.7
飲料用等のボトル類 9.2
ウェットワイプ 8.2
ショッピングバック等の袋類 7.0
プラスチックナイフ等 4.2
ストロー・スターラー 0.6

<参考資料>

・Stemming the tide of beach litter(英語)
https://ec.europa.eu/jrc/en/news/stemming-tide-beach-litter
・Top Marine Beach Litter Items in Europe(英語)
https://ec.europa.eu/jrc/en/publication/top-marine-beach-litter-items-europe

■欧州委員会による飲料水指令の改正案の公表
   2018年10月23日

<概要>

  欧州委員会は、改正飲料水指令に関する欧州議会および理事会指令案を公表した。
  目的は、ペットボトルよりも安くてきれいな水道水を消費者に提供することにより、水道水に対する信頼性を回復し、海洋ゴミとなるペットボトル等のプラスチック廃棄を削減することを目指している。
  ペットボトル飲料水の消費を抑えると、EUの全家庭で年間6億ユーロ以上の節約になると試算されており、また、飲料水指令の改正により、欧州委員会は2018年1月16日の欧州プラスチック戦略の実施に対する法規的措置を講じることになる。
  改正指令案では、河川等の取水点、有害汚染の発生源および新たな懸念となっているマイクロプラスチックについて、取水点、河川等の有害性評価、配水システム(飲料水と接触する材料や製品)のリスク評価が新たに義務付けられている。

  新規化合物の限度値は、WHOの推奨値に基づいて、以下のように設定されている。
  ・塩素酸塩、亜塩素酸塩: 0.25 mg/L(WHO推奨値の1/3)
  ・PFAS: 0.1 μg/L、PFASs(総量): 0.5 μg/L
  ・beta-estradiol: 0.001 μg/L、nonylphenol: 0.3 μg/L、bisphenol A: 0.01 μg/L
  ・鉛: 10 μg/L(10年後に5 μg/L)、クロム(総量): 50 μg/L(10年後に25 μg/L)

<参考資料>

・Drinking water: new plans to improve tap water quality and cut plastic litter(英語)
http://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20181018IPR16523/drinking-water-new-plans-to-improve-tap-water-quality-and-cut-plastic-litter
・Proposal for a DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on the quality of water intended for human consumption (recast), Brussels, 1.2.2018 COM(2017) 753 final(英語)
http://ec.europa.eu/environment/water/water-drink/pdf/revised_drinking_water_directive.pdf

■欧州化学物質庁がマイクロプラスチックは陸上・淡水環境にも蓄積への懸念を発表
   2018年11月22日

<概要>

  欧州化学物質庁(European Chemical Agency: ECHA)は、化粧品、洗剤、家庭用品、塗料、農業用途など、意図的に製品に添加されたマイクロプラスチックによって引き起こされる問題は、これまで広く議論されてきた海洋汚染に加えて、陸上・淡水環境においても懸念されるとのニュースを発表した。
  スペインのランサローテ州で開催されたMICRO 2018 Fate and Impact of Microplasticsカンファレンスにおいて、Peter Simpson Senior Scientific Officerは、製品に添加されるマイクロプラスチックは、海洋より陸上・淡水環境により多くが放出され、蓄積される可能性が高いことを報告した。
  化粧品、洗剤、家庭用品、塗料、農業用途などの意図的使用から環境中に放出されたマイクロプラスチックについて、発生源を特定した。これらのマイクロプラスチックの多くは、使用時に排水溝に洗い流され、その後、排水処理されるため、水環境に直接放出されることはない。しかし、マイクロプラスチックは排水処理汚泥に濃縮され、さらに多くの加盟国で汚泥は肥料として農業土壌に頻繁に散布されている。また、化学肥料や農薬にもマイクロプラスチックが使用されており、マイクロプラスチックが土壌中に残留していることが明らかとなっている。
  マイクロプラスチックの難分解性は深刻な問題であり、半減期が数千年と推定されるものもある。長期的な蓄積とばく露に起因する環境リスクの評価は不十分であるので、陸上環境での蓄積が懸念される。
  従って、欧州委員会は、ECHAに対し、意図的に添加されたマイクロプラスチックのEU全体の制限が必要かどうかを調査するよう求めている。
  ECHAは、科学委員会(リスク評価委員会(RAC)と社会経済分析委員会(SEAC))における議論の後、2019年の初めにマイクロプラスチックに関する制限提案を確定する予定であり、2020年4月頃に欧州委員会に報告する予定である。その他、ECHAはオキソ分解性プラスチックがもたらすリスクについても検討している。

<参考資料>

・Intentionally added microplastics likely to accumulate in terrestrial and freshwater environments(英語)
https://echa.europa.eu/-/intentionally-added-microplastics-likely-to-accumulate-in-terrestrial-and-freshwater-environments
・REACH restriction on intentional uses of microplastics(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/23668985/
20181122_presentation_simpson.pdf/6f9d4b7c-afe7-f868-bf48-92907b0f3a5d

■欧州議会と欧州連合理事会は、使い捨てプラスチックの削減案に合意
   2018年12月19日

<概要>

  欧州議会と欧州連合理事会は、放棄された漁具並びに、ビーチで最もよく見られる10種の使い捨てプラスチック製品をターゲットとして、海洋ごみの削減に取組むための欧州委員会の提案について暫定的に合意した。
  本合意は、市民と環境をプラスチック汚染から保護するために2018年初めに採択された包括的なプラスチック戦略の一環として、欧州委員会によって5月に提示された使い捨てプラスチックの削減提案に基づいている。
  新しい規則は、2015年12月に採択された循環型経済行動計画に反映され、ヨーロッパをより持続可能な循環型経済に変えるための取組みに貢献するものであり、海洋ごみや海洋汚染の削減により、地球規模での影響に対する課題に取組むものである。
  使い捨てプラスチックに関する新しいEU指令は、海洋ごみに対処するための世界レベルで最も革新的な法規制であり、プラスチック綿棒、食器、ストロー、飲料用スターラー、風船用スティック、オキソ分解性プラスチック製品、食品や飲料水の発泡スチロール製容器が対象となる。

<参考資料>

・European Commission - Press release Single-use plastics: Commission welcomes ambitious agreement on new rules to reduce marine litter(英語)
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-6867_en.htm
・European Commission - Press release Single-use plastics: New EU rules to reduce marine litter(英語)
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-3927_en.htm

■欧州化学物質庁による意図的に添加されたマイクロプラスチックの規制(案)の掲示
   2019年1月30日

<概要>

  欧州化学物質庁(ECHA)は、消費者やprofessional向け製品に使われる混合物に意図的に添加されたマイクロプラスチックの規制提案書を提示した。採択されれば、EUで今後20年間で400千トンのマイクロプラスチックの環境への放出が削減される。
  ECHAは、マイクロプラスチックが下水処理において活性汚泥中で濃縮され、その後肥料として使われることから、主に陸上環境に蓄積されることを見出した。また、環境中に放出されたマイクロプラスチックは、環境中で何千年もの間存在する可能性があり、実質的に除去することは困難であり、現時点では、環境での長期間ばく露の影響を特定できないと結論している。
  ECHAの規制(案)は、環境中に放出されるのが不可避である製品中に、意図的に添加されるマイクロプラスチックを標的としている。マイクロプラスチックは、微小(直径5㎜以下)、生分解が困難な合成ポリマー粒子を含んでおり、農業、園芸、石油、ガスなどの分野で使われる種々の製品や、化粧品、洗剤、塗料、コーティング剤、建設資材、医薬品など多くの分野の消費製品等を含んでいる。
  欧州では、洗い流すタイプの化粧品へのマイクロプラスチックの使用禁止をすでに導入しているEU加盟国があり、規制範囲がさらに拡大することになる。

<参考資料>

・ECHA proposes to restrict intentionally added microplastics(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-proposes-to-restrict-intentionally-added-microplastics?_cldee=dHJpc3Rhbi5oYXJtZXJAY2hlbWljYWx3YXRjaC5jb20%3d&recipientid=lead-9fa39abcfad1e8118106005056952b31-e11e0aebbdcd466582b342d72c5d4041&esid=cf706a7a-7824-e911-8109-0050
・Registry of restriction intentions until outcome(英語)
https://echa.europa.eu/registry-of-restriction-intentions/-/dislist/details/0b0236e18244cd73

2)欧州各国

■ノルウェー:プラスチック製飲料水ボトルの溶出試験結果の報告
   2018年8月23日

<概要>

  ノルウェー消費者協会(Norwegian Consumer Council)は、再利用可能なプラスチック製の飲料水ボトルからの溶出試験を実施し、フタル酸エステル類、ビスフェノールA、鉛等の化学物質が少量ではあるが溶出することを報告した。
  市販のプラスチック製の飲料水ボトル(11製品)に、40℃のMilli-Q水を24時間入れ、溶出する塩素化パラフィン、フタル酸エステル、ビスフェノールA、難燃剤等の化学物質を分析した。また、重金属については、3%酢酸・Milli-Q水(40℃)で24時間抽出し、抽出物をGC/MSやLC/MSで分析した。

  分析結果については、製品毎に測定値が報告されている。
  ・比較的溶出量が少なかった2製品では、中鎖塩素化パラフィンあるいはビスフェノールFが検出され、有害化学物質の総濃度は0.07~0.12 μg/Lであった。
  ・中等度の溶出量を示した8製品では、中鎖塩素化パラフィン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フタル酸エステル類、臭素系難燃剤、鉛あるいはクロムが検出された。有害化学物質(4~13種類の化学物質)の総濃度は0.26~1.7μg/Lであった。
  ・最も多量に溶出された1製品では、中鎖塩素化パラフィン、アルキルフェノール、UV物質、ビスフェノール、フタレート、有機リン系難燃剤および臭素化難燃剤、ヘキサクロロシクロヘキサン(HCH)、鉛などが含まれていた。有害物質の総濃度は6.2 μg/Lであった(合計23種類の化学物質)。

<参考資料>

・Drinking bottles leach chemicals(英語)
https://www.forbrukerradet.no/side/drinking-bottles-leach-chemicals/
・Analyses of selected organic contaminants and metals in drinking bottles, Technical report(英語)
https://fil.forbrukerradet.no/wp-content/uploads/2018/08/analyses-of-selected-organic-contaminants-and-metals-in-drinking-bottles-1.pdf

■フィンランド:持続可能な新しいプラスチック経済に向けたロードマップの公表
   2018年10月16日

<概要>

  フィンランドは、プラスチック廃棄物の削減、リサイクルの促進等、持続可能なプラスチック経済に向けたロードマップを公表した。
  ロードマップでは、プラスチックの課題に対応するためのステークホルダーに対する行動やソリューションが提示されている。
  例えば、プラスチック廃棄物の削減については、廃棄物や不必要な消費を避けるために、地方自治体や各種イベントの主催者はイベントにおいてゴミが発生しないことを確認する、使い捨てパッケージを減らす、プラスチック税金の導入、使い捨てプラスチックの削減と代替促進等である。
  また、プラスチックの回収については、産業別回収システムや地域回収システムを拡張し、組織化することより回収サイトや回収頻度を大幅に増加させる等である。

  ロードマップでは、今後必要とされる取組みとして、以下のような項目が推奨されている。
  ・不要な消費を避けプラスチックごみを削減する。
  ・プラスチック税の導入を検討する。
  ・プラスチック廃棄物の回収を強化する。
  ・建設現場におけるプラスチック廃棄物を選別する。
  ・農場や農園のプラスチックのリサイクル・代替を促進する。
  ・回収された汎用プラスチックのリサイクル方法を検討する。
  ・プラスチック代替に関する取組みについて情報ネットワークを構築する。
  ・プラスチック問題をグルーバルな課題として顕在化する。
  ・プラスチックの環境有害性に関する研究データを取得・蓄積する。

<参考資料>

・Reduce and Refuse, Recycle and Replace – Plastics Roadmap for Finland(英語)
http://www.ym.fi/en-US/Latest_news/Press_releases/Reduce_and_Refuse_Recycle_and_Replace__P
・Vähennä, vältä, kierrätä ja korvaa – muovitiekartta Suomelle(フィンランド語)
http://www.ym.fi/fi-FI/Ajankohtaista/Tiedotteet/Vahenna_valta_kierrata_ja_korvaa__muovit(48210)
・VÄHENNÄ JA VÄLTÄ, KIERRÄTÄ JA KORVA(フィンランド語)
http://www.ym.fi/download/noname/%7BB270324C-70A1-4830-AD7E-80AF12399C81%7D/140742

■ドイツ:マイクロプラスチックのヒト健康影響に関する見解を公表
   2018年10年29日

<概要>

  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、マイクロプラスチック粒子のヒト健康影響に関する見解を公表した。
  これは、オーストリア連邦環境庁とウィーン医科大学が公表した、ボランティア8人の糞便からマイクロプラスチック粒子が検出されたとする、マイクロプラスチック(マイクロプラスチック粒子)のヒトへの影響に関するパイロット研究の予備結果を受けて、発表したものである。

○食品中のマイクロプラスチック

  食品中のマイクロプラスチック粒子の化学組成、粒子径および含有量についての情報は、現在のところ限られている。
  欧州食品安全機関(EFSA)は、「食品、特に魚介類中のマイクロプラスチックとナノプラスチックの存在についての包括的な科学的見解」を2016年5月に発表した。
  EFSAの報告書では、微小な粒子については経口的に吸収の可能性があるが、げっ歯類の研究結果では、150 μmより小さい粒子のみが腸の細胞壁を通過し、1.5 μmより小さい粒子はより深部に到達することが報告されている。
  BfRは独自に、ヒトや動物の腸上皮培養細胞を用いた吸収試験を実施した。最大直径約4 μmのプラスチック粒子は、腸の上皮細胞に吸収された。しかし、動物試験においては、1~10 μmのプラスチック粒子を非常に大量に投与したにもかかわらず、腸上皮細胞には散発的にしか見られなかった。様々な粒子を経口摂取させても腸の組織には傷害は見られなかった。なおBfRは、マイクロプラスチック粒子が体内に沈着するか否かに関する知見を持ち合わせていないとコメントしている。

○化粧品におけるマイクロプラスチック

  剥離剤やシャワーゲルに含有されるマイクロプラスチック粒子が1 μmより大きいことから、この粒子径では無傷の皮膚を介した吸収は予想されず、皮膚あるいは経口的なばく露による健康リスクは考えにくい。
  たとえ化粧品を誤って飲み込んだとしても、消化管を介した吸収はわずかであり、粒子の大部分は糞便を介して体外に排泄されると考えられる。また、ポリエチレンマイクロプラスチック粒子から、健康に影響を及ぼす量のエチレンが放出されることは考えにくい。

○有害化学物質の移動媒体としてのマイクロプラスチック

  有害化学物質がマイクロプラスチック粒子表面に付着し、蓄積する可能性がある。
  例えば、ポリ塩化ビフェニル(PCB)または多環芳香族炭化水素(PAHs)について、EFSAによる試算では、ムール貝による摂取の場合、マイクロプラスチック粒子を含む摂取とその他の摂取経路と比較すると、前者についてPCBsは0.006%、PAHは0.004%蓄積が増加すると推定されている。

○人間によるマイクロプラスチックの吸収の回避

  環境や食物連鎖を介した、ヒトへのマイクロプラスチック粒子の流入源は多種多様であるため、現在、マイクロプラスチックのばく露や吸収を回避するための有効な勧告は策定できない。
  今後、マイクロプラスチック粒子が潜在的な危険を有する可能性があるか否か、環境や食物連鎖を介したマイクロプラスチック粒子の取込み経路等のさらなる研究が必要である。

<参考資料>

・Is there a risk to human health from microplastics? More research and scientific data needed(英語)
https://www.bfr.bund.de/cm/349/is-there-a-risk-to-humal-health-from-microplastics-more-research-and-scientific-data-needed.pdf
・Presence of microplastics and nanoplastics in food, with particular focus on seafood(英語)
https://www.efsa.europa.eu/de/efsajournal/pub/4501

■デンマーク:軽量プラスチック製キャリーバッグ(レジ袋)を禁止
   2018年12月4日

<概要>

  デンマーク環境・食糧省は、プラスチック汚染に対する政府の行動計画の一部として、マーケットで肉、果物や野菜を買うときに受け取る、薄い軽量のプラスチック製のキャリーバッグについて、素材の種類にかかわらず、キャリーバッグを禁止することを発表した。

  政府は、無料のキャリーバッグの配布を禁止する予定であり、代わりに、消費者は自身のバッグを持参、もしくは何度か再利用することができるより厚いバッグを購入しなければならなくなる。将来的には、現在無料であることが多い衣料品店でも、キャリーバッグが有料化される。

  ・商品を持ち運ぶための持ち手付きの薄いプラスチック製のキャリーバッグは、再利用できないことが多いため禁止される。ただし、より頑丈なプラスチック製のキャリーバッグは含まれない。(より厚い材料で作られており、再利用が可能)

  ・(サイズや素材に関係なく)持ち手付きキャリーバッグを無料で配布することを禁止することは、将来的にサイズや素材に関係なく、すべてのキャリーバッグが有料化されることを意味している。

  ・環境・食糧省、デンマーク商工会議所等では、2023年までにデンマークのキャリーバッグの消費量を50%削減する自主協定が合意され、消費者がキャリーバッグを再利用することを奨励する。

  ・デンマークでは、1人あたり年間約80個のプラスチック製のキャリーバッグを使用している。1993年には、プラスチック製のキャリーバッグに手数料が導入され、この手数料によって消費量が約50%削減された。

<参考資料>

・Danish government bans lightweight plastic carrier bags(英語)
https://en.mfvm.dk/news/news/nyhed/danish-government-bans-lightweight-plastic-carrier-bags/

■デンマーク:化粧品におけるマイクロプラスチックの使用を禁止
   2018年12年5日

<概要>

  環境・食糧大臣は、欧州において禁止されるまで、デンマークでの化粧品におけるマイクロプラスチックの使用を一時的に禁止することを公表した。
  マイクロプラスチックは直ちにヒト健康に影響するものではないが、化粧品から放出されたマイクロプラスチックは最終的に環境中に残留し、水生環境や海洋動物に影響を与える可能性があり、欧州では、化粧品を含む様々な製品タイプのマイクロプラスチックの使用を禁止するよう取り組みが進められている。
  化粧品は、洗い流すタイプと非洗浄タイプの2つに分類されるが、環境・食糧大臣は、すべての製品でマイクロプラスチックの使用を禁止することを検討すると述べている。
  また、段階的な廃止を認めているが、皮膚を洗浄する化粧品に対する5 mm未満プラスチック片の禁止は、遅くとも2020年1月1日から適用される。また、その後3年以内に他の化粧品においても全面的に禁止するかどうか検討する予定である。

  以下のような背景情報が掲載されている。
  ・マイクロプラスチックは直径0.5インチ(1.27 cm)未満の小さなプラスチック片である。

  ・デンマーク環境保護庁(Danish Environmental Protection Agency)の報告によると、化粧品からのマイクロプラスチックの放出は、水生環境への総排出量の約0.1%を占めている。

  ・マイクロプラスチック化粧品の環境に対する影響が懸念されるため、欧州化粧品工業会(European Industry Association for Cosmetics)は洗浄タイプの化粧品のマイクロプラスチックを段階的に削減する取組みを開始し、意図的に加えられた化粧品の97.6%が段階的に削減された。

  ・現在、欧州化学物質庁(ECHA)は、化粧品などの製品に意図的に添加されたマイクロプラスチックの禁止を検討している。

<参考資料>

・Regeringen vil forbyde mikroplast i kosmetik(デンマーク語)
https://mfvm.dk/nyheder/nyhed/nyhed/regeringen-vil-forbyde-mikroplast-i-kosmetik/

3)その他

■OECD:循環型社会における環境 - プラスチックに関するグローバルフォーラム:化学物質の視点から見た持続可能なプラスチックの設計
   2018年5月29日~31日

<概要>

  2018年5月29〜31日に「循環型経済におけるプラスチック:化学物質の視点からの持続可能なプラスチックの設計」に関するOECDグローバルフォーラムが開催され、報告書が公表された。
  フォーラムは、製品設計段階で持続可能な化学の考え方への転換を促し、ツールやアプローチを含む優れた実践と政策枠組みを特定し、環境や健康へのプラスチックの影響を軽減することを目的としている。
  「化学的観点からの持続可能なプラスチックに関する考察と基準」、「持続可能なプラスチックの設計における技術的ツールとアプローチ」、「持続可能なプラスチックデザインをインセンティブ化するための政策アプローチ」の3つの背景報告書に基づいて、5つのセッションで議論された。

  各セッションの概要を示す。

○セッション1:シーンの設定
このセッションでは、ワークショップ中の議論の枠組みに関する共通の知識ベースとして、持続可能な開発のためのプラスチックの役割、現在使用されている主なポリマーと添加剤、持続可能な視点から設計段階で発生し、ライフサイクルに影響を与える主要課題が議論された。

○セッション2:持続可能なプラスチックの設計
このセッションでは、設計段階をターゲットにして、化学物質/ポリマーおよびプラスチックに関する特定の課題に取り組んだ企業の例が紹介された。設計段階での化学物質/ポリマーの選択がライフサイクルに沿ってどのように影響を与え、どのような解決策が見つかったのかなどの事例が紹介された。

○セッション3:化学物質の視点から「持続可能性」を定義するための基準
このセッションでは、化学物質の選定と材料構成から「持続可能」であることと、これらの持続可能性をどのように評価するかについて議論された。

○セッション4:設計段階における化学選択に関する技術的ツールとアプローチ
このセッションでは、利用可能な持続可能なプラスチック設計をサポートすることができる重要なツールとアプローチについて紹介され、対処が必要となる重要な課題が確認された。

○セッション5:持続可能なプラスチック設計を促す政策アプローチ
このセッションでは、製品設計段階で持続可能な化学的思考を促進するための政策アプローチや手段に焦点が当てられた。

<参考資料>

・Global Forum on Environment - Plastics in a Circular Economy: Design of Sustainable Plastics from a Chemicals Perspective(英語)
http://www.oecd.org/env/ehs/risk-management/global-forum-on-environment-plastics-in-a-circular-economy.htm
・MEETING REPORT、OECD Global Forum on Environment: Plastics in a Circular Economy(英語)
http://www.oecd.org/chemicalsafety/risk-management/global-forum-on-environment-plastics-in-a-circular-economy-meeting-report-.pdf

■国連:国際的なプラスチック・プラットフォームを立ち上げ
   2018年9月25日

<概要>

  国連環境計画(UNEP)は欧州委員会と共同で、プラスチック汚染対策と循環経済に向けた国際的なプラスチック・プラットフォーム(Global Plastics Platform)を立ち上げるためのイベントを開催した。
  プラスチック汚染を減らすための新たなコミットメントを奨励し、革新的な方法を模索するネットワークとして「Global Plastics Platform」を通じ、加盟国がイニシアチブをもって循環型経済への移行を推進することを支援するものである。
  すでに、2018年の世界環境デーで、インドは2022年までにすべての使い捨てプラスチックを禁止すると発表した。チリ、ボツワナ、ペルーではプラスチックバッグ禁止が発表され、ナイジェリアは全国にリサイクル工場を建設する予定であり、ブラジルはプラスチックに関する新しい国家計画を発表し、ウェールズは最初の「refill nation」※になると約束している。
  ※Refill nation:使い捨てプラスチックの削減を目的に、飲料水の詰め替えを推進

  欧州委員会は、「海岸でもっとも多く見られるプラスチックごみに対処するために、欧州のプラスチック産業のビジネスモデルを変革し、経済的浪費および産業廃棄物を削減することに取り組んできた。しかし、我々は地球とその保護に対する責任を他の国々と共有している。国境を超えた問題は多国間の協力が必要となるため、プラスチック廃棄物の発生源と影響に取り組むためにUNEPとパートナーとなることを嬉しく思う。」とコメントしている。

<参考資料>

・Nations commit to fight plastic pollution together during the UN General Assembly(英語)
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/press-release/nations-commit-fight-plastic-pollution-together-during-un-general
・国連環境計画など、プラスチック汚染に対処するグローバル・プラットフォームを立ち上げ
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=41273&oversea=1
・Wales to become first ‘Refill Nation’ in the World(英語)
https://gov.wales/wales-become-first-refill-nation-world

■国連:使い捨てプラスチックの規制に関する報告書の公表
   2018年12月06日

<概要>

  UNEP(国連環境計画)と世界資源研究所(WRI)は、使い捨てプラスチックの製造、販売、使用、廃棄を規制する各国の対応など、使い捨てプラスチックの抑制に関する世界的な動向に関する報告書を公表した。
  全世界の66%の国が使い捨てのビニール袋を規制するための何らかの法律を採択しているが、マイクロビーズについては、192カ国のうちわずか8カ国(4%)が国内法または規制を通じて禁止を定めているのみである。このように、ビニール袋の禁止のための対応は急増しているが、一方で、マイクロビーズのような使い捨て製品の大部分は見過ごされたままであることが明らかとなった。
  プラスチック汚染の主な原因は、プラスチック袋、使い捨てプラスチック製品、およびマイクロビーズであり、プラスチック汚染の3大要因である。
  プラスチック包装はほとんど使い捨てであり、その大部分は生産された年に捨てられている。2015年には、プラスチック包装廃棄物が世界全体で発生するプラスチック廃棄物の47%を占め、その半分がアジアに由来している。中国が依然としてプラスチック包装廃棄物の世界最大の発生国であるのに対し、米国は一人当たりのプラスチック包装廃棄物の最大の発生国であり、日本とEUがそれに続いている。
  また、報告書では、使い捨てのプラスチック袋、プラスチック製品、およびマイクロプラスチックを含む製品を国内レベルで規制するための様々な方法が記載されている。ただし、これらのアプローチは地域、国、プラスチック製品の種類によって異なり、禁止、市場および貿易に基づくメカニズム、自主的規制など、種々の対応が考えられる。
  UNEPは、「クリーン・シー・キャンペーン」を通じて海洋ごみ問題の最前線に立っている。プラスチック包装を最小限に抑え、製品を再設計することを業界に奨励して、回復できない海洋汚染が拡大する前に、消費者に使い捨ての習慣を変えるように要求している。2017年に開始されたこのキャンペーンは、2022年までに使い捨てプラスチックを排除するという注目度の高いインドからのコミットメントなど、世界の海岸線の60パーセント以上を占める50カ国以上からのコミットメントを獲得している。

<参考資料>

・Regulatory landscape for single-use plastics shows widespread momentum with mixed results(英語)
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/press-release/regulatory-landscape-single-use-plastics-shows-widespread-momentum
・Legal Limits on Single-Use Plastics and Microplastics: A Global Review of National Laws and Regulations(英語)
http://wedocs.unep.org/handle/20.500.11822/27113

■プラスチック廃棄物除去に向けたグローバル企業の提携
   2019年1月16日

<概要>

  プラスチックのグローバル企業と消費者製品バリューチェーンのグローバル企業が提携して、海洋におけるプラスチック廃棄物を除去するための解決策を推進するための新しい組織が立ち上げられた。
  現在30社近くの加盟企業で構成されているバリューチェーン全体に渡る廃プラスチック廃棄物同盟(AEPW; The cross value chain Alliance to End Plastic Waste)は、今後5年間で15億ドルを投じて環境中のプラスチック廃棄物問題を支援することを約束した。AEPWは循環型経済を支援することによってプラスチック廃棄物を最小化する課題の解決を促進するものである。

  AEPWは、プラスチック廃棄物の最終処理を支援するために、以下の一連の解決策を反映した初期プロジェクトとの提携を発表した。
  ・プラスチック廃棄物が陸から海へ輸送される河川沿いのインフラのない都市において、統合された廃棄物管理システムを設計する。

  ・海洋プラスチック廃棄物の防止および廃棄物管理とリサイクルの改善のための技術、ビジネスモデル、起業家を育成する。

  ・政府、企業、投資家を助けるための信頼できるデータ収集、測定基準、標準、方法論を用いる、グローバルな廃棄物管理プロジェクトを支援するための科学ベースのオープンソースに関するグローバルな情報プロジェクトの開発は、プラスチック廃棄物の環境への流入を阻止する活動に焦点を当てて促進する。

  ・国連などの政府間組織との協力により、政府職員と地域密着型の指導者が最も優先順位の高い分野で最も効果的で地域に密着した解決策を見出し追求するため、共同ワークショップとトレーニングを実施する。

  ・陸上廃棄物が主要河川により海洋に到達する前にプラスチック廃棄物を捕獲するようなプロジェクトを支援する。

  さらに、AEPWは、以下の4項目について追加投資を計画している。
  ・廃棄物を収集管理し、リサイクルを促進するためのインフラ整備

  ・使用後のプラスチックの回収とリサイクルを容易にして新たな価値を生み出す新規技術の開発

  ・行動に移すための政府、企業、地域社会の教育と取り組み

  ・環境中のプラスチック廃棄物の集中地域等、特に陸上のプラスチック廃棄物を海に運ぶ河川について、主要廃棄物の掃除による浄化

  海洋のプラスチック廃棄物のほぼ80%が陸地のゴミとして始まり、その大部分は河川によって海へと運ばれている。河川由来の海中プラスチックの90%以上が世界中の10の主要河川(アジアの8河川、アフリカの2河川)から放出され、海洋中のプラスチック廃棄物の60%は、東南アジアの5カ国から放出されているとの報告がある。

<参考資料>

・Press Releases、The Alliance Launches Today(英語)
https://endplasticwaste.org/latest/the-alliance-launches-today/

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第9回 「プラスチック廃棄物、マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制」

はじめに

  新シリーズの第9回目では、プラスチック廃棄物、マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制に関連したトピックスとして、欧州、米国、国連等における規制動向について紹介します。

1)欧州

■意図的に添加したマイクロプラスチックの制限(案)
   2019年3月20日

  欧州化学物質庁(ECHA)は、マイクロプラスチックを0.01 w/w%以上含む混合物の上市を制限する、マイクロプラスチックの意図的な添加制限に関する規制案を公表した。

  マイクロプラスチックは、固形ポリマーを含有する粒子で、添加剤等の他の物質が添加されているものを含め、1%以上が、粒子サイズ1 nm~5 mm、あるいは繊維の場合には長さが3 nm~15 mmで直径に対する長さの比が3倍より大きいものと定義されている。
  これらのマイクロプラスチックの制限は、農業、園芸、化粧品、塗料、コーティング剤、洗剤、メンテナンス製品、医薬品などの様々な分野に適用されるが、天然に存在するポリマー、生分解性ポリマー、あるいは環境中にマイクロプラスチックが放出されないような特定の用途については除外されている。

  この規制案には、6年間の経過措置が含まれている。ただし、研磨剤として使われるマイクロプラスチック(マイクロビーズ)の利用は、発効後直ちに禁止される。

<参考資料>

・Submitted restrictions under consideration
https://echa.europa.eu/restrictions-under-consideration/-/substance-rev/22921/term(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■プラスチック廃棄物の防止
   2019年6月3日

  欧州環境庁(EEA、European Environment Agency)は、欧州におけるプラスチック廃棄物の削減に向けた報告書「Preventing plastic waste in Europe(ヨーロッパにおけるプラスチック廃棄物の防止)」を発表した。

  この報告書では、プラスチック製の買い物袋やストローの禁止など、プラスチック廃棄物の問題に対処するための取り組みについて解説されている。また、今後の対応として、リサイクル不可能なプラスチック製品については、レジ袋等の使い捨てプラスチックと同様に、環境に有害なプラスチック製品の防止に向けた取り組みを求めている。

  プラスチック製品の需要は世界的に増加しており、2017年の欧州の総需要は5,200万トンに達し、世界の需要の約15%を占めている。プラスチックは、低価格で多種多様な用途において有用であることから、包装、建築、自動車、電子機器など多くの分野で使用されている。しかし、用途が異なれば、廃棄物管理もさまざまである。例えば、包装プラスチックは開封と同時に廃棄物となるが、建設に使用される場合は50年後に初めて廃棄される。このように、廃棄物を防止するためには、プラスチック製品の種類によって異なる対応が求められる。
  一方、プラスチック廃棄物の回収率は上昇しており、2016年にはプラスチック廃棄物のリサイクル率が31.1%に達している。しかし、プラスチック製品中に存在する有害物質の再循環や大量のプラスチック資源を回収する際の廃棄物管理が直近の課題となっている。

  欧州各国では現在、173件のプラスチック廃棄物防止対策が実施されている。対策の約60%がプラスチックの生産段階に向けられており、残りはプラスチック製品の消費段階での対応である。プラスチック製の手さげ袋の消費量を低減する法的義務はその一つである。

<参考資料>

・What are European countries doing to tackle plastic waste?(英語)
https://www.eea.europa.eu/highlights/what-are-european-countries-doing
・Preventing plastic waste in Europe(英語)
https://www.eea.europa.eu/publications/preventing-plastic-waste-in-europe

■使い捨てプラスチック製品を2021年までに禁止
   2019年6月12日

  欧州(EU)は、ストロー、綿棒のような使い捨てプラスチック製品を2021年までに禁止する指令「Directive (EU) 2019/904 of the European Parliament and of the Council of 5 June 2019 on the reduction of the impact of certain plastic products on the environment 」を官報に公表した。

  この指令は、特定の使い捨てプラスチック製品、オキソ分解性プラスチック製品およびプラスチックを含む漁具による、ヒトの健康や生態系に及ぼす影響を防止・軽減することを目的としている。
  製品毎に、例えば、使い捨てプラスチック製のカトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン、箸)、皿、ストロー、綿棒、および風船棒等は2021年までに禁止するなどの規制内容が定められている。

1) 消費量の削減
  EU加盟国は、附属書Aに記載された使い捨てプラスチック製品について、2026年までに2022年と比較して消費の量的削減を達成しなければならない。
  附属書Aの対象製品:カバーやフタを含む飲料用カップ、食品容器

2) 上市の制限
  附属書Bに記載されている使い捨てプラスチック製品およびオキソ分解性プラスチック製の製品の販売を禁止する。
  附属書Bの対象製品:綿棒、カトラリー、プレート、ストロー、飲料用スターラー、風船棒、発泡ポリスチレン製の食品容器、発泡スチロール製の飲料用カップ(カバーと蓋を含む)

3) 製品の要件
  附属書Cに記載されているプラスチック製のキャップ蓋または蓋を有する使い捨てのプラスチック製品については、製品の使用時にキャップと蓋が容器に取り付けられたままである場合についてのみ上市することができる。
  附属書Cの対象製品:最大3リットルまでの飲料容器

4) 表示要件
  附属書Dに記載されている各使い捨てプラスチック製品について、廃棄時の注意事項等に関する表示が必要になる。
  附属書Dの対象製品:生理用用品(ナプキンパッド、タンポンおよびタンポンアプリケータ)、ウェットティッシュ、フィルター付きタバコ製品、飲料用カップ

  その他、使い捨てプラスチック製品および漁具について、廃棄物の収集、輸送、処理に関する費用を生産者が負担するようにする「生産者責任の拡大」、また、リサイクルのための「分別収集」が要求されている。

<参考資料>

・DIRECTIVE (EU) 2019/904 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 5 June 2019 on the reduction of the impact of certain plastic products on the environment
https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2019/904/oj(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■ノルウェー:人工芝からのマイクロプラスチック拡散防止対策(案)
   2019年6月30日

  ノルウェー環境庁は、スポーツ施設における人工芝からのマイクロプラスチックの拡散を防止する新規の規制案を公表した。

  人工芝のトラックでは、充填剤として自動車の古タイヤを再利用したゴム顆粒が使用されている。これらのゴム顆粒は、排水設備を通じてスポーツ施設から自然環境へ拡散しており、ゴム顆粒充填剤の消失を防ぐ人工芝の管理方法や規則が求められているところである。
  人工芝のゴム顆粒は、ノルウェーにおけるマイクロプラスチックの最大の発生源の1つであり、新しい規制における以下の要件により、排出量を最大98 %削減することを目指している。

  新たに提案されている規制案には、以下のようなゴム顆粒の拡散防止策等の要件が含まれている。
  ・トラックの周りに流出防止の物理的な壁を設置
  ・排水や雨水の適切な処置
  ・除雪や積雪の適切な取り扱い
  ・代替品の使用 等

  一方、本規制案には、以下の暫定案も含まれている。
  ・物理的バリアや除雪のための要件に対応するために3年間の猶予期間が与えられ、排水および雨水を取り扱うための要件を満たすために6年間の猶予期間が与えられる。その他の要件は、規制の施行時点から適用される。
  ・スポーツ施設の大幅な改修の際に、規制が適用される。

<参考資料>

・Tiltak mot spredning av mikroplast fra kunstgressbaner(ノルウェー語)
https://www.regjeringen.no/no/aktuelt/tiltak-mot-spredning-av-mikroplast-fra-kunstgressbaner/id2662431/
・Foreslår ny forskrift for håndtering av gummigranulat (2019/8215)(ノルウェー語)
https://tema.miljodirektoratet.no/no/Horinger/Regelverk/Foreslar-ny-forskrift-for-handtering-av-gummigranulat-20198215/

■意図的に添加されるマイクロプラスチックの規制に関する当局コメント
   2019年7月25日

  REACH規則の下で、意図的に添加されるマイクロプラスチックの使用が制限されることから、マイクロプラスチックを使用した人工芝のスポーツ施設が閉鎖に追い込まれる可能性があるとの報道がなされた。これに対して、欧州化学物質庁(ECHA)は、『人工芝競技場で一般的に使用される粒状充填材は、「意図的に加えられたマイクロプラスチック」であると理解されるが、欧州委員会やECHAはこれら施設の閉鎖を提案してはいない』とのコメントを発信した。

  ECHAは、2019年3月に、REACH規則の枠組みの中で意図的に添加されたマイクロプラスチックの制限に関する規制案を公表した。規制案は幅広い用途に適用されるもので、人工芝も対象になる。パブリックコンサルテーションでは影響評価のための追加情報を求めており、代替の充填材料(コルク、ココナッツ繊維、オリーブの芯、その他の代替材料)を使用した場合の経済性や、人工芝ピッチから環境への流出を防ぐために有効な技術的対策に関する情報などを収集している。今後、得られた情報を検討し、スポーツの役割を考慮した意思決定をする予定である。

<参考資料>

・Restriction proposal for intentionally added microplastics in the EU – update
https://www.echa.europa.eu/-/restriction-proposal-for-intentionally-added-microplastics-in-the-eu-update(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

2)米国

■アイオワ州とテネシー州のプラスチック回収法
   2019年4月9日

  米国化学協議会(American Chemistry Council、ACC)は、プラスチックの回収とリサイクルに関する法案(アイオワ州SF534、テネシー州SB923)の可決を歓迎しているとのコメントを発表した。

  SF 534およびSB 923法案の可決により、アイオワ州とテネシー州では使用後のプラスチックの回収とリサイクルが促進され、これまで廃棄物として埋め立てられていたものが、回収・リサイクルにより「廃棄物」ではなくなり、製造用原料、輸送燃料あるいは他の製品に変換される「製造のための原料」となり得ることとなり、新規ビジネスの創出につながるものと期待される。この法案可決は、フロリダ州、ウィスコンシン州、ジョージア州に続くものである。

  アイオワ州は、使用済みプラスチックを輸送用燃料に変換すると年間9.8万台分の燃料になると推算している。アイオワ州と近隣の州の使用済みプラスチックの25%を製造用原料や輸送用燃料に変換することにより年間3億900万ドルの経済効果が期待される。また、テネシー州は、使用済みプラスチックを輸送用燃料に変換すると毎年21.9万台分の燃料になると推算しており、同様に使用済みプラスチックの25%を製造用原料や輸送用燃料に変換することにより年間2億6400万ドルの経済効果が期待される。
  プラスチックリサイクルと回収に関する潜在的な経済効果は、米国では100億ドル近くになると推算され、フロリダ、ウィスコンシン、ジョージア、アイオワ、テネシーにおけるプラスチック回収法案が他の州にも拡大することが期待されている。

<参考資料>

・Iowa and Tennessee Become Fourth and Fifth States to Pass Legislation to Help Recover More Plastics
https://www.americanchemistry.com/Media/PressReleasesTranscripts/ACC-news-releases/Iowa-and-Tennessee-Become-Fourth-and-Fifth-States-to-Pass-Legislation-to-Help-Recover-More-Plastics.html(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

3)アジア

■台湾:マイクロプラスチックビーズを含むパーソナルケア製品や化粧品の製造、輸入、販売に関する規制の改定(案)
   2019年4月16日

  2017年8月3日、台湾の行政院環境保護署は「マイクロプラスチックビーズを含むパーソナルケア製品や化粧品の製造、輸入、販売に関する規制」を公布した。この規制は、マイクロプラスチックビーズを含有する製品の削減と環境保護に非常に有効であった。
  今回の改定案では、パーソナルケア製品や化粧品中のマイクロプラスチックビーズに関するスウェーデンの規制を参考に、海中で分解されないような非天然ポリマーに対する以下の規制が強化されている。
  ・固形合成ワックスのような非天然ポリマー粒子をマイクロプラスチックビーズと見なし、天然ポリマーと区別するための定義を追加
  ・固形合成ワックスのような非天然ポリマー粒子を含有するパーソナルケア製品や化粧品について、2019年9月1日以降、製品の製造・輸入を禁止。また、2020年3月1日以降、製品の販売を禁止。

<参考資料>

・環保署預告修正「限制含塑膠微粒之化粧品與個人清潔用品製造、輸入及販賣」草案(中国語)
https://enews.epa.gov.tw/enews/fact_Newsdetail.asp?InputTime=1080416172110
・General Explanation of Revised Draft of Restrictions on the Manufacture, Import, and Sale of Personal Care and Cosmetics Products Containing Plastic Microbeads
https://members.wto.org/crnattachments/2019/TBT/TPKM/19_2475_00_e.pdf(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

4)その他

■国連:ビニール袋の禁止による有毒ガスの削減
   2019年5月2日

  国連環境計画(UN Environment Programme)は、野外でのプラスチック廃棄物の焼却が大気汚染の主な原因であるとする科学論文「Toxic Pollutants from Plastic Waste - A Review(プラスチック廃棄物からの有毒汚染物質 - レビュー)」を引用して、近年のアフリカ諸国におけるビニール袋の禁止が大気汚染防止にも有用である記事をウェブサイト上に掲載した。

  プラスチックが燃焼する際にはひどい臭気が発生するが、それは燃焼時に有毒ガスが発生するためである。プラスチックの燃焼は、ダイオキシン、フラン、水銀、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などの有毒ガスを大気中に放出し、ヒトの健康や生態系を脅かすこととなる。前述のレビューでは、プラスチック廃棄物の燃焼は、心臓病のリスクを高め、喘息や肺気腫などの呼吸器疾患を悪化させ、発疹、吐き気、頭痛を引き起こし、神経系に損傷を与えることが報告されている。

  都市で発生する固形廃棄物の約12%にプラスチックが含まれており、世界のごみの40%が焼却されている。最近、ケニアやルワンダに続いて、タンザニアとザンビアがビニール袋を禁止した。アフリカは廃棄物の多くが焼却されていることを鑑みると、大気汚染の観点からも良いニュースと言える。

  2019年3月、国連環境総会は「Addressing single-use plastic products pollution(使い捨てプラスチック製品の汚染への対処 )」を可決した。この決議は、政府や民間が「ライフサイクル全体にわたってプラスチックのより資源効率の高い設計、製造、使用および健全な管理」を推進することを目指している。

  このように世界中で、プラスチック製のカトラリー、使い捨てプレート、ストロー、風船棒など、多くの使い捨てプラスチック製品を禁止する法律が承認され、埋立地や海に放出されるプラスチック廃棄物を減らす努力がなされている。大気汚染問題と合わせて、さらに地球規模での対応が求められている。

<参考資料>

・Plastic bag bans can help reduce toxic fumes(英語)
https://www.unenvironment.org/news-and-stories/story/plastic-bag-bans-can-help-reduce-toxic-fumes
・Toxic Pollutants from Plastic Waste- A Review(英語)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S187802961630158X
・Addressing single-use plastic products pollution(英語)
https://papersmart.unon.org/resolution/uploads/k1900861.pdf#overlay-context=node/271

■国連:バーゼル条約で汚染廃プラスチックが規制対象
   2019年5月10日

  バーゼル条約締約国会議は、リサイクルに適さない汚染廃プラスチックを同条約の規制対象とする改正案を採択し、附属書VIIIの規制対象物質に汚染されたプラスチック廃棄物が新たに追加された。改正された条約は2021年から施行される予定であり、廃プラスチックを輸出する際に相手国の同意が必要となる。

  また、締約国会議では、廃プラスチックに関するパートナーシップの設立が決定した。

○政策・規制の枠組み

  プラスチック廃棄物の発生、処分、および越境移動に関する情報・データの収集方法を検討する。使い捨てプラスチック、漁具等のプラスチックのライフサイクル、再利用、修復性、リサイクル性を考慮した上で、地球規模、地域・国レベルでのプラスチック廃棄物の防止・最少化および環境に配慮した廃棄物管理に向けたパイロットプロジェクトを推進する。

○民間との協力

  特に製品の設計段階で、プラスチックを含む製品の耐久性、再利用性、修復性およびリサイクル性を高める方法、リサイクルプラスチックの品質を改善・維持する方法、プラスチック廃棄物の分離、リサイクルの経済性を改善する方法について情報を収集・検討する。これには、生産者、製造業者、小売業者、科学者などのパートナーシップが必要である。

<参考資料>

・汚れた廃プラスチック、バーゼル条約で規制対象に(日本語)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/8b624be5eec14dad.html
・Fourteenth Meeting of the Conference of the Parties to the Basel Convention(英語)
・Report of the Conference of the Parties to the Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and Their Disposal on the work of its fourteenth meeting(Meeting documents, Report)(英語)
・BC-14/12: Amendments to Annexes II, VIII and IX to the Basel Convention(Meeting documents, Decisions)(英語)
・Further actions to address plastic waste under the Basel Convention(Meeting documents, Decisions)(英語)
http://www.basel.int/TheConvention/ConferenceoftheParties/Meetings/
COP14/tabid/7520/Default.aspx

・Terms of reference for the Basel Convention Partnership on Plastic Waste and workplan for the working group of the Partnership on Plastic Waste for the biennium 2020–2021
https://images.chemycal.com/Media/Files/UNEP-CHW.14-INF-16-Rev.1.English.pdf(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

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第10回 「プラスチック廃棄物、マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制」  new

はじめに

  新シリーズの第10回目では、プラスチック廃棄物、マイクロプラスチック・マイクロビーズ規制に関連したトピックスとして、欧州・アジア・アフリカ・国連等における規制動向について紹介します。

1)欧州

■ECHA:ゲストコラム、プラスチック汚染の見えない側面
   2019年9月12日

  欧州化学物質庁(ECHA)は、ニュースレターのゲストコラム欄に、Justine Maillot(Rethink Plasticアライアンス、ポリシーコーディネーター)の『プラスチック汚染の見えない側面』を掲載した。

  Rethink Plasticアライアンスは、EU各国でプラスチック汚染の撲滅に向けた取り組みを展開しており、今回のニュースレターでは、「有害性のない循環経済に向けて」、「マイクロプラスチックとREACH規制」、また「サプライチェーンでの透明性とトレーサビリティの向上」について、以下のように議論している。

○有害性のない循環経済に向けて
  近年、使い捨てプラスチックや海岸のプラスチックごみが注目を集めているが、プラスチック汚染の目に見えない側面として、プラスチックに含まれる有害な化学物質によるヒト健康影響や環境生物の保護にも目を向けて注力すべきである。REACH規制では、有害性が懸念されるSVHC(Substances of Very High Concern:高懸念物質)について、製品への物質名の記載およびECHAへの通知の義務化などによって、その利用・製造を制限している。SVHCとは、例えば、プラスチックの添加剤として使用されるフタル酸エステル類やビスフェノール系物質などのことである。私たちは、プラスチック汚染の目に見える側面と目に見えない側面の両方に取り組む必要があり、より安全な代替品への置き換えを推進すべきである。

○マイクロプラスチックとREACH規制
  現在、10,000~60,000トン/年の意図的に添加されたマイクロプラスチックが自然環境中に放出されている。これらは環境中に長期間残留するため、Rethink Plasticアライアンスは、ECHAが提案している、意図的に添加されたマイクロプラスチックの規制を支持している。また、生分解性基準への適合を含め、マイクロプラスチックの使用が、適用除外されることなく完全に制限されることに期待を寄せている。

○サプライチェーンでの透明性とトレーサビリティの向上
  Rethink Plasticアライアンスは、ECHAが推進するSVHCを含有する製品データベースの構築作業を支持している。廃棄物フレームワーク規制の下、有害化学物質に関するサプライチェーンでの透明性とトレーサビリティが求められる、と結論付けている。
  Rethink Rethink Plasticアライアンスは、有害化学物質に関してサプライチェーンにおける透明性とトレーサビリティを求めており、また廃棄物フレームワーク規制の下で必要とされる、ECHAが推進する成形品と複合物(製品)のSVHCデータベースの構築作業を支持している。

<参考資料>
・Guest column: Addressing the invisible side of plastic pollution
https://newsletter.echa.europa.eu/home/-/newsletter/entry/guest-column-addressing-the-invisible-side-of-plastic-pollution(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

2)アジア

■中国:産業構造調整指導目録の改訂版を公表
   2019年10月30日

  中華人民共和国国家開発改革委員会は、2019年8月に承認された「産業構造調整指導目録(2019年版)」を公表した。旧「産業構造調整指導目録(2011年版)」は廃止された。

  産業構造調整指導目録は、「産業構造調整を促進するための暫定規則(2005年)」の補助文書であり、種々の産業分野で推奨される施策が指導目録として掲載されている。

  以下、抜粋する。
・使い捨て発泡プラスチック製食器類・使い捨てプラスチック綿棒(2020年12月31日から禁止)
・プラスチック製マイクロビーズを含む日用品(2020年12月31日までに生産禁止、2022年12月31日から販売禁止)
・厚さ0.025 mm未満の極薄ビニール袋、厚さ0.01 mm未満のポリエチレン農業用マルチフィルム(2020年1月1日から禁止)

<参考資料>
・产业结构调整指导目录(2019年版)
http://www.tzxm.gov.cn/flfg/deptRegulations/201911/
W020191106530787299203.pdf
(中国語)
・促进产业结构调整暂行规定
http://www.gov.cn/zwgk/2005-12/21/content_133214.htm(中国語) https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

3)アフリカ

■ガーナ:世界的なプラスチック汚染対策パートナーシップに参加
   2019年10月1日

  ガーナ政府は、Global Plastic Action Partnership(GPAP)に参加することを正式に表明した。ガーナは、インドネシアに次いで、GPAPと提携して海洋廃棄物を抑制する2番目の国となり、アフリカ諸国では初めての参加国となる。

  ガーナでは、250人以上の政策担当者、ビジネスリーダー、廃棄物管理の専門家等が参集する場において、大統領によりGhana National Plastic Action Partnership (NPAP)の発足が発表されている。今後は、NPAPを中心にGPAPと連携して、プラスチックの生産、使用、再利用方法を根本的に改革することにより、プラスチックの循環経済への移行を目指していく。

  プラスチック廃棄物と汚染削減を加速するための戦略として、NPAPは2つの主要な取り組みを推進している。

○バリューチェーン全体でのプラスチック管理
  プラスチックのライフサイクルを通じて、すべての段階において持続可能性と再利用性を検討し、バリューチェーン全体でプラスチック管理を変革する。さらに、プラスチック循環経済への移行を推進することで、廃棄物管理部門での新しい雇用創出、プラスチック廃棄物から漏出する有害化学物質の軽減を目指す。

○廃棄物の回収
  国連開発計画(United Nations Development Programme、UNDP)が促進する廃棄物回収プラットフォームは、ガーナにおける廃棄物回収に関するデータ整備と技術革新を目指しており、今後は、NPAPと協力して、プラスチック循環経済への移行を支援することとなっている。

注)GPAP (Global Plastic Action Partnership)
  GPAPは、プラスチック汚染に対処するための、政府や企業によるグローバルな協力体制を構築する官民プラットフォームである。2025年までに世界的なプラスチック汚染の拡大を循環経済によって回避することを目標に、世界経済フォーラムにより、2018年9月24日に新しいパートナーシップとして立ち上げられた。カナダや英国政府、ならびに多くの企業が資金を提供している。

<参考資料>
・Ghana Becomes First African Nation to Join Ambitious Partnership to End Plastic Pollution
https://www.weforum.org/press/2019/10/ghana-becomes-first-african-nation-to-join-ambitious-partnership-to-end-plastic-pollution(英語)
・Beyond Bags, Bottles and Straws: New Partnership to Tackle Plastic Waste from Source to Sea
https://www.weforum.org/press/2018/09/beyond-bags-bottles-and-straws-new-partnership-to-tackle-plastic-waste-from-source-to-sea/(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

4)その他

■OECD:持続可能なプラスチックの定義・基準を議論
   2019年7月22日

  OECDは、2018年5月29〜31日にデンマークで開催された「循環経済におけるプラスチックに焦点を当てた環境に関するグローバルフォーラム―化学物質の観点からのプラスチックの持続可能な設計」において議論の基礎資料として作成された、持続可能なプラスチックを定義する基準に関する文書「Considerations and Criteria for Sustainable Plastics from a Chemicals Perspective」を公表した。

  本文書では、持続可能なプラスチックとは、製品のライフサイクル全体にわたって、ヒト健康や環境影響について安全性を高めながら、社会的利益をもたらす製品に使用されるプラスチック材料と考え、持続可能なプラスチックとみなすためには、製造から廃棄までのすべての段階で適切に管理されていることが条件となる、としている。よって、有害物質・有害成分を含まない容易にリサイクル可能なプラスチックであっても、ゴミとなって廃棄され、土壌や海洋を汚染する場合は、持続可能なプラスチックとみなすべきではない。

  検討事項と基準:
・ライフサイクルを考慮した総合的なシステム設計:製造からリサイクルまで、循環性を考慮して設計する。
・リソース効率の最大化:原材料となるリソースの再生を考慮して、枯渇や散逸によるリソースの消失を避ける。
・有害性と汚染の除去と最小化:野生生物が食物と間違えるような物理的な有害性も含め、化学物質の有害性自体を減らすことは、化学物質、材料、製品によるリスクを減らす最も効率的な方法である。

<参考資料>
・Considerations and Criteria for Sustainable Plastics from a Chemicals Perspective
https://www.oecd.org/chemicalsafety/risk-management/considerations-and-criteria-for-sustainable-plastics-from-a-chemicals-perspective.pdf(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■WHO:飲料水中のマイクロプラスチックに関する研究報告
   2019年8月22日

  WHOは、飲料水中のマイクロプラスチックに関する研究報告を発表した。

  この報告書では、水循環(水道水とボトル入り飲料水およびその水源を含む)におけるマイクロプラスチックの存在、マイクロプラスチックのばく露によるヒト健康影響(粒子、化学物質、微生物バイオフィルムの影響)、および排水処理と飲料水処理におけるマイクロプラスチックの除去、環境におけるプラスチックおよびマイクロプラスチック汚染の管理について検証している。

  WHO の公衆衛生、環境、社会決定要因の部長であるマリア・ネイラ博士は、「限られた情報ではあるが、飲料水中のマイクロプラスチックは現在のレベルで健康上のリスクをもたらすとは思われない。しかし、さらに調査を継続して世界的なプラスチック汚染を阻止する必要ある。」と述べている。

  本分析では飲料水中のマイクロプラスチックについて、150 μm以上のマイクロプラスチックは体内に吸収される可能性が低く、より小さい粒子の体内吸収は限定的であると予想している。しかしながら、データは極めて限られているものの、ナノレベルを含む非常に小さな粒子の体内吸収や体内分布はそれよりも高い可能性があると結論付けている。

  マイクロプラスチックのばく露とヒト健康影響ポテンシャルをより正確に評価するには、水中のマイクロプラスチック粒子の標準的な測定法の確立、淡水におけるマイクロプラスチックの発生源と発生に関する調査など、さらなる研究が必要である。

  現在WHOは、飲料水について、致死的な下痢性疾患を引き起こす微生物など、ヒト健康リスクの高い病原微生物や化学物質の除去を推奨している。これら排水や飲料水の処理システムはマイクロプラスチックの除去にも効果的であり、マイクロプラスチックの90%以上を排水から除去することができる。

<参考資料>
・Microplastics in drinking-water
https://www.who.int/water_sanitation_health/publications/microplastics-in-drinking-water/en/(英語)
・Press release、WHO calls for more research into microplastics and a crackdown on plastic pollution
https://www.who.int/news-room/detail/22-08-2019-who-calls-for-more-research-into-microplastics-and-a-crackdown-on-plastic-pollution(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

■国連:バーゼル条約の廃棄物輸出禁止が発効
   2019年9月6日

  2019年9月、クロアチアのバーゼル条約への批准により、条約発効に必要な条件に達したため、規定されている90日間の後、バーゼル条約の廃棄物輸出禁止条項が2019年12月5日に発効された。

  禁止に係る条約改正が、1995年の第3回締約国会議の決定III / 1で採択されており、序文に追記があった他、第4条にひと段落、また条約全体としては付属書VIIが追加された。この条約改正は、附属書VIIに掲載されている各締約国(EU加盟国、OECD加盟国およびリヒテンシュタイン等)から附属書VIIに掲載されていない国への、国境を越えた有害廃棄物の移動を禁止するものである。

  バーゼル条約は、有害廃棄物の国境を越える移動とその処分を規制する廃棄物に関する包括的な国際条約であり、有害廃棄物によるヒト健康・環境リスクを回避する基盤となっている。禁止条項の発効により、有害廃棄物について、廃棄物の回収やリサイクルなどの健全で責任ある管理が国際的に求められることとなった。

<参考資料>
・Entry into force of amendment to UN treaty boosts efforts to prevent waste dumping
http://www.basel.int/Implementation/PublicAwareness/PressReleases/
BanAmendmententryintoforce/tabid/8120/Default.aspx
(英語)
https://www.stis.co.jp/service/ghs_sds.html(日本語)

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