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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第107号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2020/9/30配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第107号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】環境省欧州における化学物質管理政策最新動向セミナー開催報告
【2】欧州 最新動向
【3】デンマーク   最新動向
【4】オーストラリア 最新動向
【5】ロシア     最新動向
【6】韓国      最新動向
【7】台湾      最新動向
【8】タイ      最新動向
【9】あとがき
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【1】環境省 欧州における化学物質管理政策最新動向セミナー開催報告

 2020年9月14日に、化学物質国際対応ネットワークでは、欧州委員会及び欧州化
学物質庁(ECHA)の担当者を講師とした「欧州における化学物質管理政策最新動向
セミナー」を開催し、ポストSAICMに向けた欧州の化学物質管理政策や現在登録に
向けた準備が進められているSCIPデータベース等の化学物質管理制度の最新動向に
ついての講義、質疑応答を行いました。
 欧州の化学物質管理に関心を持つ事業者等約800名にご参加いただき、盛況の内に
閉会を迎えることができましたことを厚く御礼申し上げます。
 講演資料(英語版、日本語版)を当ネットワークのウェブサイトに近日中に掲載し
ますのでご利用ください。

環境省 化学物質国際対応ネットワーク
http://chemical-net.env.go.jp/

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【2】欧州 最新動向
(1)欧州委員会 CLP規制に第15次ATPを採択

 2020年5月19日、欧州委員会は、CLP規則(物質及び混合物の分類、表示及び包
装に関する規則(EC) No.1272/2008)への15回目の技術的および科学的進歩への適
合(15次 ATP)を採択しました。
 CLP規則は、技術的進歩のための適応化(ATP:Adaptation to Technical 
Progress)により定期的に更新されています。第15次ATPは、CLPの附属書VIの
調和された分類と表示要素を持つ物質リストであるTable3を更新しています。具体
的には、37のエントリが新たに追加され、2つのエントリ(CAS番号302776-68-7
および151006-62-1)が削除され、21の既存のエントリが修正されました。

欧州委員会  15次ATP(英語)
https://webgate.ec.europa.eu/regdel/#/delegatedActs/1481


(2)欧州委員会 REACH対応SDS編集要件の改訂を発表

 2020年6月26日、欧州委員会は、安全性データシート(SDS)を編集するための
REACH規則付属書IIの要件を更新する改訂をEU公式ジャーナルに掲載しました。
 2020年6月18日に欧州委員会によって採択された規則2020/878/EUは、化学品
の分類と表示に関する世界調和システム(GHS)の新しい改訂と、EUのSDS形式を
調和させる変更を導入します。変更内容は次のとおり。
(1)セクション9(物理化学的性質)およびセクション14(輸送)を含むGHS改
訂6版および改訂7版の組み込み
(2)セクション1(識別)で危険有害性のある混合物に割り当てられた固有配合識
別子(UFI:Unique formula identifier)に関連して、CLP規則附属書VIIIで確立さ
れた緊急健康応答要件を追加
(3)REACH規則附属書I、III、およびVI-XIIを改訂した規制(2018/1881/EU)
によって導入されたナノ物質の新たな規定をセクション1(識別)、3(組成/成分に
関する情報)、および9(物理化学的性質)に配置
(4)内分泌かく乱性物質の要件、特定濃度限界(SCL:Specific Concentration 
Limit)、M-ファクター、急性毒性推定値など、EUのSDSへのその他の変更
 本改訂は2021年1月1日から適用されますが、本規則第2条は、申請日に対する
例外を定めており、現在運用されている規則2020/878/EUによって導入された変更に
準拠していないSDSは2022年12月31日まで使用可能であることを規定していま
す。したがって、企業は2022年12月31日までに改訂条項内容を適用する必要があ
ります。

欧州連合(EU)公式ジャーナル(英語)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=uriserv:OJ.L_.2020.203.01.0028.01.ENG&toc=%E2%80%A6

(当記事(1)、(2)は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【3】デンマーク 最新動向
内分泌かく乱物質の規制を追跡するためのオンラインリソースを作成

 2020年6月2日、デンマーク環境保護庁(DEPA)は、内分泌かく乱物質(EDs)
として識別された物質、またはEU内での内分泌かく乱特性の評価状況に関する情報
を関係者に提供するウェブサイトを立ち上げました。本ウェブサイトには、内分泌か
く乱物質に関する3つのリストが含まれています。

リストI:EUで内分泌かく乱物質として特定された物質
リストII:EUで内分泌かく乱特性について評価中の物質
リストIII:個々のEU加盟国によって評価され、その加盟国によって内分泌かく乱特
性を有すると見なされている物質

 リストIおよびIIには、欧州のREACH規則(1907/2006 / EC)、殺生物性製品規
制(BPR-528/2012 / EU)、植物保護製品規制(PPPR-1107/2009 / EC)、化粧品規
制(CPR-1223/2009 / EC)に基づく物質が含まれています。リストIIIは、内分泌か
く乱性を持つ可能性があり、EU加盟国の各国家当局によって提案された物質を示し
ています。そのため、リストIIIの物質は他の加盟国によって必ずしも支持されてい
るわけではなく、EUコミュニティによる評価も受けていません。

デンマーク環境保護庁(DEPA) 内分泌かく乱性物質リスト(英語)
https://edlists.org/

(当記事は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【4】オーストラリア 最新動向
GHS改訂第7版への移行の遅れ

2020年6月5日、オーストラリア労働安全局(Safe Work Australia)は、「化学
品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」の改訂第7版の採用のタイ
ムフレームの更新を発表しました。
 モデル職場安全衛生法(WHS)法に基づくGHS改訂第7版の採用は2020年7月
1日に設定され、製造業者と輸入業者には2年間の移行期間があります。SWAメンバ
ーは、オーストラリアに対するCOVID-19の影響により、移行期間の開始を2021年
7月1日に遅らせ、2年間の移行期間で実施することに同意しました。
 モデルWHS法は、2011年に施行され、現在実施されているGHS改訂第3版にし
たがって、職場で供給される化学物質の製造業者と輸入業者が、化学物質を正しく分
類してラベルを付ける義務を定めています。

オーストラリア労働安全局 通知(英語)
https://www.safeworkaustralia.gov.au/media-centre/news/update-transition-ghs-revision-7

(当記事は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【5】ロシア 最新動向
化学物質インベントリの中間結果を公表

 2020年6月15日、ロシア国家産業情報システム(GISP)は、ロシアの化学物質
インベントリの中間結果を公表しました。本インベントリは、ユーラシア経済連合
(EAEU)による物質と混合物の登録作業の主要な構成要素の1つになります。本イ
ンベントリに含まれていない化学物質は新規化学物質と見なされ、届出の対象となり
ます。
 本インベントリ(中間結果)には、既にロシア市場に出回っている又は上市予定の
物質(混合物の一部として含む。)が含まれています。本インベントリは、GISPへ
届出された申請に基づいて作成されています。公開されている物質リストはCAS番号
による検索可能なデータベースで、ロシア語と英語の両方での化学物質名および別
名、関税コード(EEU TN VEDコード)、分子式等が含まれています。この中間結
果の公表は、全てのステークホルダーが、特定の化学物質を本インベントリに登録・
追加する際に、既に申請されているかを確認し、追加的に必要な情報を申請する機会
を提供しています。
 ロシア産業貿易省のGISPは、化学物質(混合物中の成分を含む)に関する情報を
収集するための公的システムであり、流通している化学物質のインベントリの作成等
の目的で使用されます。

ロシア国家産業情報システム(GISP) 化学物質インベントリ(ロシア語)
https://gisp.gov.ru/cheminv/pub/app/search/

(当記事は、Verisk 3E社より情報提供いただきました。)

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【6】韓国 最新動向
雇用労働部 「化学物質の分類・ラベルとMSDSに関する基準」の一部改正草案

韓国雇用労働部は2020年6月8日に、「化学物質の分類・ラベルとSDSに関する
基準」(第2016-19号告示)の一部改正草案を発表しました。改正理由は、産業安全
保健法の全面改正に伴い、韓国SDSに営業機密情報(CBI:Confidential Business 
Information)が導入されたことです。また、CBIを円滑に実施するために関連細則
を制定し、既存の条文の問題点が改善されます。
主な改正内容は以下のとおりです。
1.SDSの秘密保持不可の物質リストの追加
2.CBI審査に関する基準
3.研究・開発用の化学物質または化学品の定義
4.その他事項の補足と改善

雇用労働部 改正草案(韓国語)
https://www.moel.go.kr/info/lawinfo/lawmaking/view.do;jsessionid=BtuTLojmUsOBr9ZwuRNFurNWVpvYi3d24nhjzpZLLhH2XzXe4rxZbsmZKJLu4a6I.moel_was_outside_servlet_www2?bbs_seq=20200600379

(当記事は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきました。)

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【7】台湾 最新動向
(1)行政院環境保護署 「新規化学物質の科学及び製品・製造プロセス登録ツール
ガイダンス(第五版)」を公表

2020年5月14日、行政院環境保護署は「新規化学物質の科学及び製品・製造プロ
セス登録ツールガイダンス(第五版)」を公表しました。申請者は即日より新版のツ
ールガイダンスで定められる付属文書にて申請を行なうことになり、当局は2020年6
月1日より旧版の書類を受理しないことになります。
旧版と比べた主な改正点は下記のとおりです。
1.法的根拠箇所を更新:上位法となる「新化学物質及び既存化学物質資料登録弁
法」は2019年3月に修正され、当該ガイダンスにおいても、関連する法的根拠か所
が修正されました。
2.申請範囲を細かく説明:今回ガイダンスでは、特に、事業者が科学研究用途範囲
を判断する事例説明を追加しました。
3.資料に対する要求を一層厳格化:科学研究開発用途の認定の登録者が申請する
際、明確に化学物質の使用目的を説明することが求められ、使用プロセス計画には、
関連する説明あるいは証明資料を提出しなければならない。中央主管機関より審査す
る際、当該化学物質の実際の用途が、申請時に提出された使用目的、使用プロセス、
使用用途等と異なる場合には、罰則が設けられました。
4.資料の細部を明確化:科学研究開発用途の認定を申請する際は、化学物質名称と
CAS番号を提供する必要があります。申請する際、化学物質情報について秘密保持す
る場合(製品名で申請する等)、SDSあるいは他の関連証明資料を提供し、それを証
明することが必要です。
この他に、科学研究開発用途の認定の審査機関の定義を明確にし、上記要点に合わ
せて、いくつかの付表、声明書と誓約書も更新しました。

行政院環境保護署毒物・化学物質局 News(109-05-14付)(中国語)
https://tcscachemreg.epa.gov.tw/Epareg/content/masterpage/Index.aspx

(2)行政院環境保護署「既存化学物質標準登録資料作成ガイダンス第一版」正式版
を公表

行政院環境保護署は2020年6月9日、「既存化学物質標準登録資料作成ガイダン
ス第一版」の正式版を公表しました。
既存化学物質の登録者は、本ガイダンスを参照の上、ガイダンス中のステップごと
に登録関連資料を用意することが求められます。登録作業を円滑に完了するために、
本ガイダンスに従うことに加えて、「毒性及び懸念化学物質管理法」及び「新化学物
質及び既存化学物質資料登録弁法」の関連条文も参照する必要があります。また、本
ガイダンスは、既存化学物質標準登録のための資料準備と作成参考原則のみを提供し
ています。中央主管機関は、最新の法規制や国際的な取り決めの変更または科学研究
の進展や新たな証拠により、本ガイダンスの内容を随時更新または修正することにな
っています。

行政院環境保護署毒物・化学物質局 News(109-06-09付)(中国語)
https://tcscachemreg.epa.gov.tw/Epareg/content/masterpage/Index.aspx

(3)行政院環境保護署 既存物質第一段階登録にて同時に年度申告が提出可能に

「新化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」第24条に従い、登録許可された新規
化学物質及び既存化学物質について、2020年4月1日以降、登録者が登録完了後に、
毎年4月1日から9月30日までに、前年度の製造量及び輸入量を申告しなければな
りません。この申告作業に便宜を図るため、登録者が「化学物質登録プラットフォー
ム」で既存化学物質の第一段階登録を登録申請し、登録許可後に、自動的に「前年度
の製造及び輸入量」年度申告のシステムへ転送されるようになりました。したがっ
て、登録者は既存化学物質第一段階登録と同時に年度申告も行えます。

行政院環境保護署毒物・化学物質局 News(109-06-23付)(中国語)
https://tcscachemreg.epa.gov.tw/Epareg/content/masterpage/Index.aspx

(当記事(1)~(3)は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきました。)

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【8】タイ 最新動向
(1)工業省工場局 提出したCBI申請案件の最新措置に関する第2回通知

タイ工業省工場局(DIW)は、事業者が提出した営業秘密情報(CBI)登録申請案
件の最新措置に関する第2回通知を公告しました。
2017年1月1日から2017年12月31日までにCBI登録申請した事業者は、CBI
登録を引き続き求める場合に、2020年9月30日までに当局指定のメールアドレス
 (cbi-diw@diw.mail.go.th) に製品受理番号、受理日、さらに製造者が公開情報を送
付したメールと送付日を送信しなければなりません。当該期限までに事業者がいずれ
の対応もしない場合には、工業省有害物質管理局は事業者がCBI登録申請をしないと
みなし、資料は自動的に取消されます。
関係する事業者は、以前提出したCBI登録申請案件について、100%開示の成分情
報を送付していない場合、期限内に対応することが望ましいです。なお、当局からの
CBI登録案件補足情報要求を受け取った事業者は、案件の有効性を確保するため、当
該期限までに、当局が求める補足情報を指定メールアドレスに送付する必要がありま
す。送付しない場合には、当局は自動放棄とみなし、データは削除されます。

工業省工場局 通知(タイ語)
http://reg3.diw.go.th/haz/wp-content/uploads/2020/06/cbi.pdf

(2)工業省「タイ既存化学物質インベントリ(第一版)B.E.2563」を公表

有害物質関連法令にしたがって取り扱われる化学品リストを更新するため、工業省
工業局(DIW)は、以前の「タイ既存化学物質インベントリ初版」の破棄を決定し、
2020年7月9日に「タイ既存化学物質インベントリ(第一版)B.E.2563」(The 
First Thailand Existing Chemicals Inventory)」を公表しました。
 本インベントリの収載対象は、1995年から2017年にタイ法令にしたがい輸入した
物質、例えば、有害物質、増補申請として提出した物質であり、合計11,474物質が収
載されています。収載物質は、工場局の「化学物質及び有害物質情報データベース」
で、化学物質名称やCAS 番号、分子構造等で検索できます。なお、現在一部の物質の
情報は不完全であり、当局が情報を保管しています。

工場局 通知(タイ語)
http://reg3.diw.go.th/haz/wp-content/uploads/2019/12/The-First-Thailand-Existing-Chemicals-Inventory.pdf

工場局 化学物質及び有害物質情報データベース(タイ語(一部英語))
http://inventory.diw.go.th/hazardous61/

(当記事(1)、(2)は、ハニカム・テクノリサーチ社より情報提供いただきまし
た。)

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【9】あとがき

本号では、9月14日に開催しました「欧州における化学物質管理政策最新動向セミ
ナー」(オンラインセミナー)の開催報告、また、欧州、デンマーク、オーストラリ
ア、ロシア、韓国、台湾、タイの化学物質管理の最新動向について紹介いたしました。
読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の
「お問い合わせ」のページからお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。
  http://chemical-net.env.go.jp/contact.html

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■本マガジンは、令和2年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
   http://www.oecc.or.jp/
 環境省総合環境政策局環境保健部
   http://www.env.go.jp/chemi/index.html
 化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
   http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、隔月で配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを
 御覧ください。
   http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html
■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更およびご意見・ご要望
 等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。
   http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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