━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 化学物質国際対応ネットワークマガジン 第115号 http://chemical-net.env.go.jp/ 2022/3/23配信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから 配信登録をされた方を対象にお送りしています。 第115号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】欧州における最新動向 |
【2】米国における最新動向 |
【3】カナダにおける最新動向 |
【4】中国における最新動向 |
【5】あとがき |
────────────────────────────────────── 【1】欧州における最新動向 (1)ECHAが、REACH登録が情報要件を満たすための勧告を更新 (1)ECHAが、REACH登録が情報要件を満たすための勧告を更新 欧州化学物質庁(ECHA)は、2022年2月28日、コンプライアンス・チェックに おいて観察された内容とREACH規則の情報要件の最近の変更に基づき、登録者が REACH登録内容を改善することを支援する勧告事項を更新しました。 更新点は特に、read-acrossと証拠の重みづけをどのように適用するか、あるいはこ の2つの方法をどのように組み合わせるかといったルールについての内容でした。こ れらの方法は、強く正当化できるのであれば、動物実験をさらに実施することなく規 制要件を満たすために使用されるべきとしています。この勧告では、UVCB物質(組 成が不明または不定である化学物質)間のread-acrossに対処する方法に関する提 案や、毒性試験の用量設定に関する追加アドバイスも取り上げています。 登録者は、改正されたREACH規則の付属書と最新の勧告事項を確認し、必要な場 合には、文書が情報要件に適合するようにする必要があります。 ECHA News(英語) https://echa.europa.eu/-/how-to-make-your-registration-fulfil-reach-information-requirements ECHA 更新された勧告事項(英語) https://echa.europa.eu/recommendations-to-registrants ───────────────────────────────────── 【2】米国における最新動向 (1)EPAは、EPAの決定を支える科学を強化するための科学諮問委員会による新 しいプロセスを発表 米国環境保護庁(EPA)は、2022年2月28日、科学諮問委員会(Science Advisory Board:SAB)がEPAの提案規則案に関する決定に資する科学を評価する 新しいプロセスの実施を発表しました。この新しいプロセスは、ピアレビューの機会 を回復し、科学諮問委員会の独立性を強化するものと説明しています。 この新しいプロセスは、以下の方法によりEPAにおけるピアレビューを強化しま す。 ・EPAが策定する重要な科学技術的措置についての体系的な専門家評価機会を持つこ とで、科学諮問委員会の役割を回復させる。 ・EPAの決定に対するピアレビューの必要性を検討・特定することにより、SABの役 割の独立性を強化する。 ・EPAが、法規則策定過程の早期段階でピアレビューされた科学を検討し、策定する ことを確保する。 ・意思決定に情報を提供するためにピアレビューされた科学の利用を確保することに より、EPAに対する国民の信頼を回復する。 EPA News Release(英語) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-announces-new-science-advisory-board-process-strengthen-science-supporting-epa (2)TRIの新データは、特定の有害化学物質の放出の減少を提示 EPAは、2022年3月3日、2020年の有害物質排出目録(TRI)プログラムの全国 環境排出量分析を発表し、プログラムの対象施設によるTRI対象化学物質の環境排出 量が2019年から2020年の間に10%減少したことを明らかにしました。 TRI制度は、米国におけるPRTR制度に該当する制度で、1986年に開始されまし た。この制度は、連邦政府施設を含む特定の産業セクターにおいて、TRIリスト掲載 化学物質を一定量以上で製造・加工または使用する施設が、毎年EPAに報告する制度 です。2020年TRI全国環境排出量分析は、2020年内における放出量を含むTRI化学 物質排出活動をまとめたものです。21,000以上のTRI対象施設が、環境中に放出する か、あるいは廃棄物として排出する800以上の化学物質について毎年報告していま す。EPA、各州等は、製造業、鉱業、電気事業、および商業用有害廃棄物管理などの 産業分野の施設からTRIデータを受け取っています。 なお、この2020年の分析は、2020年の米国国防承認法(NDAA)によってTRIに 追加された172個のパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質 (PFAS)に関する報告を初めて行ったものです。TRI対象施設は2020年にこれらの 化学物質の80万ポンド(約36万kg)を管理していると報告しましたが、そのうち約 9,000ポンド(約4,000kg)だけ排出として報告しました。生産関連のPFAS廃棄物 のほとんどは、有害廃棄物管理施設や化学メーカーによって報告され、PFASのほと んどの排出は化学製造部門によって報告されました。 EPA News Release(英語) https://www.epa.gov/newsreleases/new-toxics-release-inventory-data-show-decline-releases-certain-toxic-chemicals ───────────────────────────────────── 【3】カナダにおける最新動向 (1)カナダ環境保護法(CEPA1999)改正法案を議会に提出 カナダ環境及び気候変動省は、2022年2月9日、上院で、有害化学物質やその他の 有毒汚染物質から健康と環境を保護することを目的に、1999年カナダ環境保護法 (CEPA1999)を約20年ぶりに近代化し、より環境保護を強化する法案を提出しまし た。本法案は当初、2021年4月に「法案C-28」として第43回議会に提出されました が、2022年2月9日に「法案S-5」として上院に再提出されました。 本法案では、化学物質管理に関する管理強化が含まれています。具体的には、既存 化学物質について、化学物質管理のリスク評価優先順位と公的要請メカニズムの計画 の策定、リスクの高い有害物質の禁止強化など、新規化学物質について、化学物質の 用途に関する規制である重要新規活動規制(SNAc)と情報伝達の変更などが含まれて います。 カナダ政府 News(英語) https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/news/2022/02/government-of-canada-delivers-on-commitment-to-strengthen-the-canadian-environmental-protection-act-1999-and-recognizes-a-right-to-a-healthy-enviro.html 改正法案(S-5)の概要(英語) https://www.canada.ca/en/services/environment/pollution-waste-management/strengthening-canadian-environmental-protection-act-1999/bill-c-28-strengthening-environmental-protection-healthier-canada-act-summary-amendments.html (2)カナダ政府が2022-2026連邦持続可能な開発戦略草案を発表 カナダ政府は、2022年3月11日、環境の観点からカナダ政府の持続可能な開発優 先事項を定めた「2022-2026年連邦持続可能な開発戦略(FSDS)」の草案を発表し ました。本戦略草案では、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs) を進めながら、カナダ政府が持続可能な未来に向けてどのように取り組んでいくかに ついてまとめており、章立てもSDGsのゴールごとに17章で構成されています。 化学物質管理については、特に第3章(SDGsゴール3)の「化学物質と汚染サイ トの健全な管理」において取り上げられており、2つの目標「2024年までに、化学物 質管理計画で優先順位をつけた4,363の既存化学物質の全て(100%)が対処され る。」、「2025年3月31日までに、連邦汚染地対策計画対象地域の60%が、閉鎖ま たは長期モニタリング下に置かれる。」が掲げられ、そのための実施戦略、マイルス トーン等がまとめられています。 パブリックコメントは、発表された3月11日から7月9日までの120日間の受付 となっています。 カナダ政府 News(英語) https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/news/2022/03/government-of-canada-encourages-feedback-on-the-draft-2022-2026-federal-sustainable-development-strategy.html 2022-2026連邦持続可能な開発戦略草案 https://www.fsds-sfdd.ca/ ───────────────────────────────────── 【4】中国における最新動向 (1)既存化学物質リストへの化学物質18種の追加 中国生態環境部は、2022年3月2日、これまでに新化学物質環境管理登録弁法(12 号令)で登録された新規化学物質18物質を、中国の既存化学物質リスト「現有化学物 質名録」(IECSC)に追加収載(2022年第1回)を行いました。 生態環境部 News(中国語) http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/202203/t20220307_970789.html ───────────────────────────────────── 【5】あとがき 本号では、欧州、米国、カナダ、中国における化学物質管理の最新動向について紹介いたしました。 読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の 「お問い合わせ」のページからお寄せください。 どうぞよろしくお願いいたします。 http://chemical-net.env.go.jp/contact.html ───────────────────────────────────── ■本マガジンは、令和3年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力 センターが運営しております。 一般社団法人海外環境協力センター(OECC) http://www.oecc.or.jp/ 環境省大臣官房環境保健部 http://www.env.go.jp/chemi/index.html 化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室) http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html ■原則として、隔月で配信を予定しています。 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。 ■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを 御覧ください。 http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html ■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更およびご意見・ご要望 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