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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第116号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2022/8/17配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第116号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】欧州における最新動向
【2】カナダにおける最新動向
【3】中国における最新動向
【4】韓国における最新動向
【5】ベトナムにおける最新動向
【6】あとがき
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【1】欧州における最新動向

(1)ECHAが、規制ニーズのある化学物質の2027年評価完了に向けて進捗を報告
  
 欧州化学物質庁(ECHA)は、規制ニーズのある化学物質の評価(assessment of regulatory needs)
について、生産量が年間1トン以上の全ての登録物質を対象に2027年までに評価を完了すべく進めています。
これらの評価結果はChemical Universeと呼ばれるマッピングツールで分類されており、
2021年には、規制カテゴリとして分類されていない250の高生産量(年間100トン以上)化学物質や
約530の低生産量(年間1トン以上100トン未満)化学物質の評価が行われました。

 ECHAは2021年12月に第1回評価結果を公表しており、2022年後半に発行されるECHAの統合規制戦略の
年次報告書では、マッピングプロセスの詳細な分析結果や推奨される規制措置が報告される予定です。  


ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/mapping-of-potentially-harmful-chemicals-on-target-to-meet-2027-goal

ECHA Chemical Universe(英語)
https://echa.europa.eu/universe-of-registered-substances

ECHA 「規制ニーズの評価」プールリスト(英語)
https://echa.europa.eu/assessment-regulatory-needs

(2)ECHAが、REACH認可対象物質リストに5物質を追加

 ECHAは、生殖毒性、発がん性または内分泌かく乱性があることから、新たに5つの物質を高懸念
物質(SVHC)として特定し、2019年に欧州委員会にそれらをREACH規則の認可対象物質に追加する
よう勧告をしました。その結果、今回、認可対象物質に追加されました。
追加された物質は以下となります。これにより、認可対象物質として登録されている物質は
59物質になります。

1.Tetraethyllead (TEL) (EC番号:201-075-4、CAS番号:78-00-2)
2.4,4'-bis(dimethylamino)-4''-(methylamino)trityl alcohol 
 [with ≥ 0.1% w/w of Michler's ketone (EC番号:202-027-5) or Michler's base
 (EC番号:202-959-2)] (EC番号:209-218-2、CAS番号:561-41-1)
3.Reaction products of 1,3,4-thiadiazolidine-2,5-dithione, 
 formaldehyde and 4-heptylphenol, branched and linear (RP-HP) 
 [with ≥ 0,1% w/w 4-heptylphenol, branched and linear (4-HPbl)]
 (EC番号:なし、CAS番号:なし)
4.2-ethylhexyl 10-ethyl-4,4-dioctyl-7-oxo-8-oxa-3,
 5-dithia-4-stannatetradecanoate (DOTE)
 (EC番号:239-622-4、CAS番号:15571-58-1)
5.Reaction mass of 2-ethylhexyl 
 10-ethyl-4,4-dioctyl-7-oxo-8-oxa-3,5-dithia-4-stannatetradecanoate 
 and 2-ethylhexyl 10-ethyl-4-[[2-[(2-ethylhexyl)oxy]-2-oxoethyl]thio]
 -4-octyl-7-oxo-8-oxa-3,5-dithia-4-stannatetradecanoate 
 (reaction mass of DOTE and MOTE) (EC番号:なし、CAS番号:なし)

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/five-substances-added-to-reach-authorisation-list

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(3)欧州PIC規則に22の有害化学物質が追加、輸出業者は7月から通知が必要

 欧州委員会は、欧州PIC(事前のかつ情報に基づく同意の手続き)規則を改正し、
輸出通知及び輸入国からの明示的な同意が必要となる化学物質を掲載した「PIC付属書Ⅰ」と
輸出を禁止する化学物質及び品目を掲載する「PIC付属書Ⅴ」を更新しました。
 EUの輸出業者は、この改正にしたがい、22の化学物質を輸出する意思について通知を
行う必要があります。また、同改正で、4つの化学物質の輸出が禁止されました。
同規則の改正は、2022年4月20日に公表され、2022年7月1日に適用が開始されます。
 追加された22の物質には、15の農薬及び7の工業用化学物質が含まれており、
成分としてベンゼンを重量比0.1%超の濃度で含むすべての物質が含まれています。
 輸出通知と同様、これら化学物質のほとんどは、輸出前に輸入国からの明示的な同意も必要となり、
以前は輸出届出のみの対象であった5つの物質についても、同意が必要となります。
 同改正に伴い、ITツール「ePIC」の更新が行われ、
企業が輸出通知を行うことがすでに可能になっています。


ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/22-harmful-chemicals-added-to-pic-exporters-must-notify-from-july

ECHA PIC付属書Ⅰ、V(英語)
https://echa.europa.eu/information-on-chemicals/pic/chemicals

ECHA PIC付属書Ⅴパート2(英語)
https://echa.europa.eu/information-on-chemicals/pic/annex-v-part-2

ECHA ePIC(英語)
https://echa.europa.eu/support/dossier-submission-tools/epic

(4)ECHAが、高懸念物質(SVHC)の候補リストに1物質を追加

 ECHAは、6月10日、SVHC候補リストに1物質、N-(hydroxymethyl)acrylamide
(EC番号:213-103-2、CAS番号:924-42-5)を追加しました。
N-(hydroxymethyl)acrylamideは、がんまたは遺伝的欠陥を引き起こす可能性があることを理由に
高懸念物質(SVHC)の候補リストに追加されました。同物質は、主にポリマーに使用され、
他の化学物質、織物、皮革または毛皮の製造に使用されます。
 高懸念物質(SVHC)の候補リストには、現在、人や環境に害を及ぼす可能性のある224の
化学物質がエントリされています。企業はこれら化学物質のリスクを管理する責任があり、
顧客や消費者に化学物質を安全に使用するために十分な情報を提供する必要があります。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/one-hazardous-chemical-added-to-the-candidate-list

(5)ECHAが、300の有害化学物質に対し、即時のリスク管理を提案

 2022年6月17日、ECHAの統合規制戦略(Integrated Regulatory Strategy)に基づく
第4次報告書が発表され、懸念物質に対する規制措置の必要性を特定するペースの加速に
大きな進展があったことが報告されました。
 当局の作業は、化学物質のグループ評価により加速され、2021年には1,900物質の
評価が完了しました。これらのうち約300の物質については、リスク管理措置がすぐに開始される
可能性があります。
 しかし、リスク管理措置を開始する前に有害性を確認する必要があり、多くの場合、
さらに多くのデータを必要とします。企業は古いデータに基づいて規制措置が計画されることを
避けるために、最新の情報で積極的に登録を更新する必要があります。
 同報告書はまた、調和のとれた分類と表示(CLH)を必要とする物質の急激な増加を強調しており、
その数は2020年と比較し、2021年には3倍になっています。CLHは多くの場合、さらなる規制措置を
進めるための前提条件であるため、これらの物質の規制の未対応を回避するため、当局は十分な
リソースを投入し、提案の準備を開始する必要があります。現時点で約1,300の高生産量物質
(年間100トン以上)の規制必要性について、評価が行われていない状況にあります。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/immediate-risk-management-suggested-for-300-harmful-chemicals

ECHA 統合規制戦略に基づく第4次報告書(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/5641810/irs_annual_report_2021_en.pdf

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【2】カナダにおける最新動向

(1)消費者向け製品に含まれる化学物質の表示義務化と、
   サプライチェーンの透明性の向上に関する協議を開始

 カナダの環境・気候変動省スティーブン・ギルボルト(Steven Guilbeault)大臣及び
保健省ジャンイヴ・デュクロ(Jean-Yves Duclos)大臣は、2022年3月4日、化粧品、
クリーニング製品、布張り家具の難燃剤を含む特定の消費者製品のラベル表示の改善と義務付けに
関する全国協議の開始を発表しました。同協議では、製品サプライチェーンにおける化学物質に
関する情報を改善するために政府がどのように行動できるかについても意見を求めます。
同協議は、一連のワークショップと対話形式のイベントを通じて実施され、化粧品規制の修正案を
2022年夏までに公表する予定です。
 政府は、既に化粧品中に含まれる香料アレルゲンのより明確な表示を要求する措置をとっており、
同追加措置には、2022年夏までに、布張り家具の難燃剤を含む消費者製品に含まれる有害物質の
表示に関する通知の発行が含まれます。政府は引き続き、化学物質管理計画の下で難燃剤の評価と
管理を優先する予定です。
 また、消費者、企業、および政府の利益のため、サプライチェーン全体で消費者製品に含まれる
化学物質に関する情報の入手可能性を改善するための一連の政策行動を概説する、より広範な戦略を
2023年に策定し公表する予定です。これら行動には、法律や規制、および自発的かつ共同の
イニシアチブが含まれる可能性があります。

カナダ政府 News(英語)
https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/news/2022/03/launching-consultations-on-mandatory-labelling-for-chemicals-in-consumer-products-like-cosmetics-and-cleaning-products-and-better-supply-chain-tran.html

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【3】中国における最新動向

(1)新汚染物質管理行動計画の公表

 2021年10月11日にパブリックコメント版が公表されていた新汚染物質管理行動方案の最終版が、
国務院の承認により2022年5月24日に公表されました。同行動方案は、残留性有機汚染物質、
内分泌かく乱物質、国際条約で規制されている抗生物質を含む、新規汚染物質の管理を強化し、
生態環境の安全と人々の健康を効果的に確保することを目的としています。同行動方案は、
以下の内容で構成されています。

1.一般要件
  (1) 指導理念
  (2) 行動原理
  (3) 主な目的
2.アクション
  (1) 法規制を整備し、新たな汚染物質管理体制を確立・改善
  (2) 新規汚染物質の環境リスク状況を評価するための調査とモニタリングの実施
  (3) 新規汚染物質の発生を防ぐための厳格な発生源管理
  (4) 工程管理を強化し、新規汚染物質の排出を削減
  (5) 最終処理を強化し、新規汚染物質による環境リスクを低減
  (6) 能力開発を強化し、新規汚染物質処理の基盤を強化
3.安全対策
  (1) 組織のリーダーシップを強化
  (2) 監督と法執行を強化
  (3) 設備投資のチャネルを拡大
  (4) 広報と指導を強化

生態環境部 News(中国語)
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/202203/t20220307_970789.html

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【4】韓国における最新動向

(1)環境政策基本法を含む14の環境関連法案が国会を通過

 韓国環境部は、「環境政策基本法」や「下水道法」など14の環境関連法案(改正案)が、
2022年5月29に国会本会議を通過したと発表しました。
今回、国会本会議を通過した法案は以下となります。

1. 環境政策基本法
2. 下水道法
3. 環境教育の活性化及び支援に関する法律
4. 環境汚染施設の統合管理に関する法律
5. 野生生物保護及び管理に関する法律
6. 自然環境保全法
7. 国立公園公団法
8. 河川法
9. 残留性汚染物質管理法
10. 微細粉塵提言及び管理に関する特別法
11. 自然公園法
12. 電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律
13. 大気環境保全法
14. アスベスト安全管理法

 特に化学物質に関連する法律として、「環境汚染施設の統合管理に関する法律」は、
今回の改正により環境影響は大きいものの統合許可対象に含まれていない業種を追加できるようになり、
統合管理事業場における原料投入から汚染物質排出までの全工程を専門的かつ統合的に
管理できる体系が用意されました。
 また、「残留性汚染物質管理法」は、ダイオキシンなど現行の汚染物質排出許容基準に違反して
改善命令を受けた事業者がこれに従わない場合、当該施設の使用を停止することが可能になるよう
改maxPageItems正されています。
 今回可決された法案(改正法案)は、
国務院などで採決され、公布後の2024年1月1日より施行される予定です。


環境部 News(韓国語)
http://me.go.kr/home/web/board/read.do?pagerOffset=150&maxPageItems=10&maxIndexPages=10&searchKey=&searchValue=&menuId=10525&orgCd=&boardId=1528115&boardMasterId=1&boardCategoryId=39&decorator=

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【5】ベトナムにおける最新動向

(1)ベトナムの化学産業発展のための戦略

 ベトナム国のレ・バン・タン(Le Van Thanh)副首相は、2022年6月16日、
2040年までのビジョンを含む2030年までのベトナムにおける化学産業の発展のための戦略を
承認する首相決定(726/QD-TTg)に署名しました。今回発表された戦略は、
化学産業の急速かつ持続可能な開発、最新技術の適用、環境への配慮、グリーン成長と
循環経済に向けたものです。
 同戦略の目標として、2030年までの期間、化学産業の平均成長率として、年間10~11%を達成し、
業界全体に占める化学産業の割合を2030年までに約4~5%を達成するとしています。
また、2040 年までの期間、化学産業の成長率を年平均7~8%、産業全体に占める化学産業の割合は、
約4~5%を維持します。
 同戦略によると、ベトナムの化学産業は、①肥料、②殺虫剤、③製薬化学品、④石油化学製品、
⑤基礎化学品 (爆発性前駆体および産業用爆発物を含む)、⑥ゴム製品、⑦電気化学、⑧洗剤、
⑨塗料・インク、⑩産業ガスを含む10のサブセクターにおいて、より完全な産業構造を持つ基本的
かつ近代的な産業に向けて発展を目指しています。これは、基礎化学品、石油化学製品、工業用ゴム、
製薬化学、肥料など、多くの主要なサブセクターの開発戦略に焦点を当てています。
 化学産業を各地域及び地方の利点に合わせ、行政の境界による分散をせず、集約化の方向に発展させ、
環境保護、国防、セキュリティの要件を確保します。工業団地や集積地、
大規模なケミカルコンビナートを誘致する化学品製造プロジェクト、
様々な分野で化学品を使用して生産するプロジェクト、その他、土地資金が十分にある場所、
住宅地から遠く離れた場所、深水港の近隣に化学品物流センターを形成し、
効果的にプロジェクトの推進を行うこととしています。

ベトナム商工省化学物質庁(VINACHEMIA) News(ベトナム語)
http://www.cuchoachat.gov.vn/tin-tuc/chien-luoc-phat-trien-nganh-cong-nghiep-hoa-chat-viet-nam.html

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【6】あとがき

 本号では、欧州、カナダ、中国、韓国、ベトナムにおける
化学物質管理の最新動向について紹介いたしました。  読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。 下記の「お問い合わせ」のページからお寄せください。  どうぞよろしくお願いいたします。 http://chemical-net.env.go.jp/contact.html ───────────────────────────────────── ■本マガジンは、令和4年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力  センターが運営しております。  一般社団法人海外環境協力センター(OECC) http://www.oecc.or.jp/  環境省大臣官房環境保健部   http://www.env.go.jp/chemi/index.html  化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)   http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html ■原則として、隔月で配信を予定しています。  メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により  届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。 ■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを  御覧ください。   http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html ■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更およびご意見・ご要望  等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。   http://chemical-net.env.go.jp/contact.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行元:一般社団法人海外環境協力センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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