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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第119号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2023/3/20配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第119号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】中国における化学物質管理政策最新動向セミナー(オンライン)のご案内
【2】欧州における最新動向
【3】米国における最新動向
【4】ベトナムにおける最新動向
【5】あとがき
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【1】中国における化学物質管理政策最新動向セミナー(オンライン)のご案内

 化学物質国際対応ネットワークでは、本ネットワークの活動の一環として、3月23日
(木)に中国における化学物質管理政策の最新動向に関するオンラインセミナーを開
催します。
 同セミナーにご参加をご希望の方は、以下のページより詳細をご参照の上、ご登録
ください。 

環境省 報道発表
https://www.env.go.jp/press/press_01332.html

化学物質国際対応ネットワーク 開催案内
https://chemical-net.env.go.jp/seminar20230323.html

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【2】欧州における最新動向

(1)ECHAがPFAS制限案を発表

 欧州化学物質庁(ECHA)は、2023年2月7日、パーフルオロアルキル物質及びポリフ
ルオロアルキル物質(PFAS)に関する制限案を発表しました。同提案は、環境中への
PFAS排出を削減し、人々にとってより安全な製品と製造プロセスを確保することを目
的としています。
 この提案のスコープに含まれる全てのPFASは、環境中に長期的に存在し、今回の制
限が行われない場合には、今後30年間に約440万トンのPFASが環境中に放出され、人
健康や環境に悪影響を生じる結果になると推定しています。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-publishes-pfas-restriction-proposal

(2)ECHAは、モノマー及びポリマーに関するガイダンスを更新

 2023年2月21日、ECHAは、モノマー及びポリマーに関するガイダンスを更新しまし
た。この更新は、2021年6月29日のECHAの諮問委員会(Board of Appeal: BoA)に
よる決定に基づくものです。今回の更新には、ポリマー及びモノマーの製造・輸入に
関する登録義務における変更が含まれています。
 主な変更点は次のとおりです。
➣ ポリマーの製造業者または輸入業者による登録が必要なモノマー
➣ 最終的にポリマーになるモノマーの登録トン数の計算法
➣ モノマー登録者が化学物質安全性報告書に含めなければならない情報内容

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-updates-monomer-and-polymer-guidance-following-board-of-appeal-decision

(3)ECHAは、REACH登録を改善するための推奨事項を更新

 今回更新された推奨事項は、特に動物実験を避けることに重点を置いており、具体
的にはリードアクロス(Read-across)に関する推奨事項が新たに追加されました。
 登録者への推奨事項は、ECHAの登録一式文書のコンプライアンス・チェックの調査
結果に基づいており、REACHの登録要件に対する最近の改訂内容を踏まえたものになっ
ています。登録予定の事業者は、この推奨事項を確認することで、登録一式文書がREACHの
登録要件を満たしているか確認が必要です。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-updates-recommendations-to-improve-reach-registrations

ECHA 推奨事項(英語)
https://echa.europa.eu/recommendations-to-registrants 

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【3】米国における最新動向

(1)EPAは、PFAS制限等を含む排水規制及び研究の計画を発表

 米国環境保護庁(EPA)は、2023年1月20日、科学的根拠及び水質浄化法に基づいた
河川保護のための「廃水ガイドライン・プログラム・プラン15(プラン15)」を発表
しました。同プランは、PFASの水域への排出量と性質評価に焦点を当てており、産業
由来のPFASの排出を制限することを目的とする「PFAS戦略ロードマップ」へのEPAの
コミットメントを前進させるものです。
 また、EPAは同プランにおいて、埋立地からの浸出水に含まれるPFASを削減するた
めに改訂された排水制限ガイドライン及び前処理基準(Effluent Limitations Guidelines 
and Pretreatment Standards: ELGs)も発表しました。

米国環境保護庁 News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-announces-plans-wastewater-regulations-and-studies-including-limits-pfas-new-study

米国環境保護庁 PFAS戦略ロードマップ2021-2024(英語)
https://www.epa.gov/pfas/pfas-strategic-roadmap-epas-commitments-action-2021-2024

(2)EPAは、国家執行・法令遵守イニシアチブにPFAS汚染対策の追加を提案

 EPAは、2024年度~2027年度に予定している「国家執行・法令遵守イニシアチブ」
(National Enforcement and Compliance Initiatives: NECI)において、PFAS
汚染対策等の追加を提案しました。
EPAは4年ごとに、連邦政府の執行によって状況に変化をもたらす可能性のある深刻か
つ広範な環境問題の要因に焦点を当てるための国家イニシアチブを進めています。こ
のイニシアチブは、執行を通じて汚染者に責任を負わせ、規制対象の事業者がコンプ
ライアンスを遵守することを支援することにより人健康と環境を保護することを主な
目的にしています。 
 本提案へのパブリックコメントは、3月13日まででした。

米国環境保護庁 News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-add-environmental-justice-climate-change-and-pfas-national-enforcement

(3)EPAは、安全性が不明なPFASの製造・使用の再開の禁止を提案

 EPAは、EPAによる詳細評価及びリスク決定がなされず、長年製造または使用されて
こなかった約300種のPFASの製造または使用を事業者が再開することを禁止する規則を
提案しました。
 米国では1976年に有害物質管理法(TSCA)が施行された後、PFASを含む何千もの化
学物質が同法の下で除外され、追加の審査なしで取引を続けることが許可されてきまし
た。その結果、これまで多くの産業で使用または環境中に放出されてきた可能性があり
ます。
 なお、この提案は、長期的な化学物質の影響に取り組むというバイデン政権のコミッ
トメントを反映しており、EPAの「PFAS戦略ロードマップ」に基づいています。

米国環境保護庁 News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-takes-key-step-stop-unsafe-pfas-reentering-commerce

(4)EPAがTSCAに基づく累積的リスクを考慮するための提案アプローチを発表

 EPAは、2023年2月24日、TSCAに基づく化学物質の累積リスクを評価するための一連
の原則と、それらの原則を特定のフタル酸エステルによって引き起こされる累積リスク
の評価に適用するためのアプローチを発表しました。これは、化学物質の複合暴露によ
る人へのリスクの評価法を開発するプロセスにおける重要なステップとなります。
 この累積的リスク評価の原則案では、TSCAの科学的および規制上の文脈でどのように
使用できるかについて説明しています。累積的リスク評価は、常に最良のアプローチで
あるとは限らないが、化学物質が毒性学的に十分に類似し、同時暴露があると判明した
場合には、この評価が適切な場合があります。
 EPAは、2023年5月8日~11日に化学物質科学諮問委員会(The Science Advisory 
Committee on Chemicals: SACC)の公開オンライン会議を開催し、累積的リスク評
価の原則と枠組みに関するピアレビューを実施予定です。

米国環境保護庁 News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-proposed-approach-considering-cumulative-risks-under-tsca

(5)PFASに関する国家第一種飲料水規則

 EPAは、2023年3月14日、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、ペルフルオロオクタン
スルホン酸(PFOS)、ペルフルオロノナン酸(PFNA)、ヘキサフルオロプロピレン オ
キサイド ダイマー酸(HFPO-DA、一般にGenX Chemicalsとして知られる)、パーフル
オロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、及びパーフルオロブタンスルホン酸(PFBS)を含
む6つのPFASに対する国家第一種飲料水規則(National Primary Drinking Water 
Regulation: NPDWR)に関する提案を発表しました。
 提案PFAS NPDWRは、最終決定されるまで、何のアクションも必要としませんが、
EPAは、2023年末までに規制を最終決定する予定であり、この規制が完全に実施されれ
ば、PFASに起因する数千人規模の中毒死、及び数万人規模の深刻な病が防止されると予
想しています。EPAは、提案規則に関するパブリックコメントを求めており、パブリッ
クコメント期間は、連邦官報での規則案の公開後に開始されます。
 EPAは、飲料水中の 6つのPFASについて、最大汚染レベル(MCL)と呼ばれる法的強
制力のあるレベルを確立するため、NPDWRを提案しています。EPAはまた、これらPFAS
について、健康に基づく強制力のない最大汚染レベル目標(MCLG)を提案しています。
化合物 提案MCL 提案MCL(施行可能レベル)
 PFOA  Zero  4.0兆分の1(ng/Lとも表記)
 PFOS  Zero  4.0 ppt
 PFNA  1.0(単位なし)
 ハザード指数
 1.0(単位なし)
 ハザード指数
 PFHxS
 PFBS
 HFPO-DA
 (GenXChemicals)
 提案規則は、公共水システムに次のことも要求します。
➣ これらPFASを監視する
➣ これらPFASのレベルを一般に通知する
➣ これらPFASが提案された基準を超えている場合は、飲料水中のPFASのレベルを下げる

米国環境保護庁 関連Topics(英語)
https://www.epa.gov/sdwa/and-polyfluoroalkyl-substances-pfas

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【4】ベトナムにおける最新動向

(1)グリーンケミストリーの開発―ベトナムの化学産業のトレンド

 ベトナム商工省化学品局は、グリーンケミストリーの開発に関するベトナムでの取
り組みについての記事をウェブサイトに掲載しました。
 記事によると、グリーンケミストリーの開発は、ベトナムの化学産業にとって避け
られない国際動向であり、近い将来、ベトナム化学品法(2007年)の改正において具
体化される可能性があり、また、グリーンケミストリーの開発は、持続可能な開発を
保証するだけでなく、ベトナムで製造される製品の経済効率と競争力を向上させると
しています。
 なお、現行のベトナム化学品法には、有害化学物質の使用削減や廃棄物(特に有害
廃棄物)の防止の原則など、グリーンケミストリーの原則に関連する内容が含まれて
いますが、グリーンケミストリーに基づく規制は含まれていません。

ベトナム商工省化学品局(VINACHEMIA) News(ベトナム語)
http://www.cuchoachat.gov.vn/tin-tuc/phat-trien-hoa-hoc-xanh-xu-huong-voi-cong-nghiep-hoa-chat-tai-viet-nam.html

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【5】あとがき

 本号では、中国における化学物質管理政策最新動向セミナーのご案内とともに、欧
州、米国、及びベトナムにおける化学物質管理の最新動向について紹介いたしました。
 読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の
「お問い合わせ」のページからお寄せください。
 どうぞよろしくお願いいたします。

http://chemical-net.env.go.jp/contact.html

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■本マガジンは、令和4年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
   http://www.oecc.or.jp/
 環境省大臣官房環境保健部
  http://www.env.go.jp/chemi/index.html
 化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
  http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、隔月で配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
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 御覧ください。
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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