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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第120号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2023/6/29配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第120号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】国際機関における最新動向
【2】欧州における最新動向
【3】米国における最新動向
【4】カナダにおける最新動向
【5】シンガポールにおける最新動向
【6】台湾における最新動向
【7】日本における最新動向
【8】あとがき
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【1】国際機関における最新動向

(1)第11回ストックホルム条約締約国会議、第16回バーゼル条約締約国会議及び第
11回ロッテルダム条約締約国会議が2023年5月1日~12日に開催(2023年5月13日)

 化学物質・廃棄物関連3条約の締約国会議である、残留性有機汚染物質に関するス
トックホルム条約(ストックホルム条約)第11回締約国会議、有害廃棄物の国境を越
える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(バーゼル条約)第16回締約国会
議及び国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ
情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約(ロッテルダム条約)第11回締約
国会議が、2023年5月1日~同年5月12日(現地時間)の日程で、ジュネーブ(スイス
連邦)において合同開催されました。
 期間中、条約ごとに技術的な議題、運用上の課題などについて議論が行われたほか
、3条約で共通する技術協力や条約間の連携の強化による効率的な対策の実施につい
ての議論が行われました。
 ストックホルム条約については、「デクロランプラス」、「UV-328」及び「メトキ
シクロル」の条約附属書Aへの追加が採択されました。バーゼル条約については、
POPs廃棄物、電気・電子機器廃棄物(e-waste)、プラスチック廃棄物に関する各技
術ガイドラインの採択、輸出相手国への事前通告・輸入国における同意回答手続(PI
C手続)の改善に係る議論等が行われました。ロッテルダム条約については、輸出手続
が必要となる対象物質に新たに「テルブホス」が追加されました。

日本環境省ウェブサイト
https://www.env.go.jp/press/press_01592.html

(2)UNEPバーゼル、ロッテルダム及びストックホルム条約事務局が、調査報告書
「プラスチックと関連化学物質のグローバルガバナンス」を発表(2023年5月16日)

 UNEP内のバーゼル、ロッテルダム及びストックホルム条約事務局は、5月16日に、
調査報告書「プラスチック及び関連化学物質のグローバルガバナンス」を発表しまし
た。
 本報告書は、プラスチック汚染削減に向けた各国政府間の取り組みが進む中で、プ
ラスチックと関連化学物質に関する関係主体間のグローバルガバナンス(政治的相互
作用)をマッピングし、ガバナンスギャップを特定し、既存の多国間文書、特にバー
ゼル、ロッテルダム、ストックホルム条約との関係を明らかにすることを目的として
います。さらに、プラスチックと関連化学物質に関する国際的な持続可能性基準の役
割についても議論しています。

UNEPバーゼル、ロッテルダム及びストックホルム条約事務局ウェブサイト
https://www.basel.int/Implementation/Plasticwaste/Cooperationwithothers/tabid/8335/Default.aspx

報告書「プラスチック及び関連化学物質のグローバルガバナンス」
https://www.basel.int/Portals/4/download.aspx?d=UNEP-FAO-CHW-RC-POPS-PUB-GlobalGovernancePlastics-2023.pdf

(3)UNEPが、技術報告書「プラスチック中の化学品」を公表(2023年5月3日)

 UNEPは、2023年5月3日、技術報告書「プラスチック中の化学品」を公表しました。
この技術報告書は、プラスチック汚染で見過ごされやすい化学物質の問題、特に人の
健康や環境、資源効率や循環型社会への悪影響について国際社会に広く周知させるこ
とを目的としています。この報告書の中で、新たな調査の結果として、プラスチック
製造等に13,000以上の化学物質が関連していること、重大な懸念のある化学物質とし
てPFASやフタル酸エステルなど10のグループが特定されていること、懸念化学物質が
子供用玩具を含む幅広い分野・製品のバリューチェーンでプラスチックから検出され
ていること等が報告されています。

UNEP Chemicals in Plastics - A Technical Report
https://www.unep.org/resources/report/chemicals-plastics-technical-report

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【2】欧州における最新動向

(1)英国HSEは、PFAS規制管理オプション分析(RMOA)報告書を発表(2023年4月4日)

 英国安全衛生庁(HSE)は、UK-REACH規則に基づき、PFAS規制管理オプション分析
(RMOA)報告書を発表しました。本報告書では、PFASの英国における使用実態を特定
し、それらを欧州・米国・アジアでの管理方法を踏まえて、英国での規制・管理する
ためのオプションを示しています。具体的には、PFAS含有の消火剤の使用制限や、繊
維、家具、クリーニング製品におけるPFASの使用制限等の推奨事項を示しています。

HSEウェブサイト
https://press.hse.gov.uk/2023/04/04/regulators-report-on-forever-chemicals-published/

PFAS規制管理オプション分析(RMOA)報告書
https://www.hse.gov.uk/reach/rmoa.htm?utm_source=press.hse.gov.uk&utm_medium=referral&utm_campaign=corporate-push

(2)欧州委員会は、化学物質管理に関連する「サーキュラーエコノミーへの移行」、
「汚染の防止と抑制」を含むEUタクソノミー委任規則(案)及び技術的スクリーニン
グ基準(案)を発表、及びパブコメ募集を実施(2023年4月5日)

 欧州委員会は、EUタクソノミーにおいて気候変動(緩和、適応)以外の4分野「水と
海洋資源の持続可能な利用と保全」、「サーキュラーエコノミーへの移行」、「汚染
の防止と抑制」、「生物多様性と生態系の保全と回復」における「持続可能な経済活
動」の基準を提示したタクソノミー委任規則(案)及び技術的スクリーニング基準
(案)を公表し、パブリックコメントの募集を実施しました(2023年5月3日迄)。本
委任規則は、当初は2021年12月31日までに採択予定でしたが、1年以上の遅延を経て、
今回の発表に至りました。
 なお、化学製品の製造に関する技術的スクリーニング基準(案)については、附属
書2「サーキュラーエコノミーへの移行」の「プラスチック包装用品の製造」におい
ては、REACH規則に基づく認可対象物質及びSVHCの使用禁止、CLP規則の有害性クラス
に基づく物質の使用禁止、「電気・電子機器の製造」においてSVHCの含有情報の開示
等が示されています。また、附属書3「汚染の防止と抑制」の「医薬品原薬または医
薬品原体の製造」においては、REACH規則に基づく認可対象物質の使用禁止等が示され
ています。

欧州委員会ウェブサイト
https://finance.ec.europa.eu/regulation-and-supervision/financial-services-legislation/implementing-and-delegated-acts/taxonomy-regulation_en

附属書2:サーキュラーエコノミーへの移行 技術的スクリーニング基準(案)
https://ec.europa.eu/finance/docs/level-2-measures/taxonomy-regulation-delegated-act-2022-environmental-annex-2_en.pdf

附属書3:汚染の防止と抑制 技術的スクリーニング基準(案)
https://ec.europa.eu/finance/docs/level-2-measures/taxonomy-regulation-delegated-act-2022-environmental-annex-3_en.pdf

(3)ECHAは、REACH認可対象物質リストに8物質を追加することを勧告(2023年4月12日)

 欧州化学物質庁(ECHA)は、8物質をREACH認可対象物質にリストに追加することを
勧告しました。対象の8物質は以下となります(日本語名はNITE-CHRIPに掲載あるも
ののみ掲載しています)。
物質名 特定の性質 EC番号 CAS番号
1 Ethylenediamine
エチレンジアミン
呼吸器感作性 203-468-6 107-15-3
2 2-(4-tertbutylbenzyl)
propionaldehyde and its individual stereoisomers
生殖毒性
3 Lead
生殖毒性 231-100-4 7439-92-1
4 Glutaral
グルタルアルデヒド
呼吸器感作性 203-856-5 111-30-8
5 2-methyl-1-(4-methylthiophenyl)
-2-morpholinopropan-1-one
2-メチル-4’-メチルチオ
-2-モルホリノプロピオフェノン
生殖毒性 400-600-6 71868-10-5
6 2-benzyl-2- dimethylamino-4’
-morpholinobutyrophenone
2-ベンジル-2-(N,N-ジメチルアミノ)
-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン
生殖毒性 404-360-3 119313-12-1
7 Diisohexyl phthalate
ジイソヘキシル=フタラート
生殖毒性 276-090-2 71850-09-4
8 Orthoboric acid, sodium salt
ホウ酸のナトリウム塩
生殖毒性 237-560-2 13840-56-7
ECHA News
https://echa.europa.eu/-/echa-recommends-eight-substances-for-reach-authorisation

対象8物質の詳細
https://echa.europa.eu/documents/10162/18272234/23_11_news_annex_xiv_recommendation.pdf/ce14ef6f-7adf-227b-7388-8044a430f58f?t=1681192014046

(4)欧州委員会は、エッセンシャルユースの概念と基準を定義するためのプロジェ
クト報告書を公表(2023年4月13日)

 欧州委員会は、エッセンシャルユースの概念と基準を定義するためのプロジェクト
の成果報告書を公表しました。本報告書では、REACH規則、食品接触材規則等を含む
欧州の法規制において、エッセンシャルユースの概念をどのように導入できるかを調
査したものです。REACH規則で現在検討されている認可及び制限の改正において適用
可能なエッセンシャルユースのオプションを特定しています。

欧州委員会ウェブサイト
https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/69d5ea0d-d359-11ed-a05c-01aa75ed71a1/language-en/format-PDF/source-283635189

(5)改正CLP規則が発効(2023年4月20日)

 欧州委員会が2022年12月19日に採択した改正CLP規則が、2023年4月20日に発効さ
れました。本改正規則では、内分泌攪乱物質や難分解・生物蓄積性のある化学物質、
飲料水を含む水循環に移動・拡散するリスクがある化学物質についての新たな危険有
害性クラスを導入しています。

欧州委員会ウェブサイト
https://environment.ec.europa.eu/news/sustainable-chemicals-new-rules-identify-endocrine-disruptors-and-long-lasting-chemicals-enter-force-2023-04-20_en

改正CLP規則
https://environment.ec.europa.eu/publications/clp-delegated-act_en

(6)ECHAが新しい危険有害性クラスに関する関連情報を提供(2023年4月20日)

 改正CLP規則において3つの新しい危険有害性クラスが4月20日から発効されること
に対し、ECHAは、その適用スケジュール(経過措置)や、ハザードステートメントや
ガイダンス等の関連情報の提供を開始しました。
 本情報によると、内分泌攪乱性物質の特定およびPBTの評価に関するECHAの現行ガ
イダンスについては、関連ガイダンスが改訂されるまで使用可能で、改訂ガイダンス
は2024年までに発行予定です。また、新しい有害性クラスに対応した「IUCLID」は20
24年春に公表予定です。

ECHA News
https://echa.europa.eu/-/echa-provides-advice-on-new-hazard-classes-for-substances-and-mixtures

新規有害性クラスの関連情報提供ページ
https://echa.europa.eu/new-hazard-classes-2023

(7)ECHAがOECD QSAR Toolboxの新バージョンを公表(2023年5月24日)

 ECHAは、OECD QSARツールボックスの新バージョン4.6を公表しました。QSAR 
Toolbox 4.6 の大きな変更点は、IUCLID との接続が強化されたことです。これによ
り、QSAR ToolboxとIUCLIDという2つのプラットフォーム間のデータの統合が向上し、
研究者が関連情報にアクセスし、分析することが容易になりました。
 また、化学的性質や安全性に関する追加の知見を提供する外部モデルの使用も改善
され、QSAR Toolboxの性能と使い勝手が向上しました。さらに、REACH登録において
提出された試験結果も収載されています。

ECHA News
https://echa.europa.eu/-/new-oecd-qsar-toolbox-version-available

(8)ECHAは、REACH規則に基づく動物試験に代わる代替法の使用に関する報告書
第5版を公表(2023年5月30日)

 ECHAは、REACH規則に基づく動物試験に代わる代替法の使用に関する報告書第5版を
公表しました。
 本報告書によると、動物試験よりも多くの代替法の適応が続いており、その中でも
特にリードアクロスが最も頻繁に使用されています。また、近年、細胞や組織、臓器
などを用いた試験法であるin vitro試験法の利用が増加しており、特に、皮膚腐食性
/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、皮膚感作性のデータを得るために使
用されています。

ECHA News
https://echa.europa.eu/-/echa-sees-broad-use-of-alternatives-for-chemical-safety-assessment

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【3】米国における最新動

(1)EPAは、CERCLAに基づく7種のPFASの潜在的な将来の規制を通知するためのパブ
リックコメントを実施(2023年4月13日)

 米国環境保護庁(EPA)は、スーパーファンド法(包括的環境対策・補償・責任法:
CERCLA)の下、7種のPFAS(PFBS、PFHxS、PFNA、HFPO-DA、PFBA、PFHxA、PFDA)
の将来の有害物質指定の可能性について、パブリックコメント・情報提供を求める提
案型規則の事前通知を発表しました。本件に関するパブリックコメントの募集は、20
23年6月12日までの60日間実施されました。

米国EPA News Releases
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-takes-important-step-advance-pfas-strategic-roadmap-requests-public-input-and-data

PFAS(PFOA及びPFOS)等をCERCLAの有害物質として指定する規則案(2022年9月)
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2022-09-06/pdf/2022-18657.pdf

(2)EPAは、ジクロロメタンの工業・商業、消費者利用の使用禁止を提案(2023年4月20日)

 EPAは、改正TSCAに基づき、ジクロロメタン(塩化メチレン)のほとんどの使用を
禁止することを提案しました。本提案では、ジクロロメタンのリスクから人々を守る
一方で、作業者への暴露を最小限に抑えるために厳格な職場管理が実施される場合に
限り、一部の用途での使用を継続することを可能にしています。本提案に対するパブ
リックコメントは60日間実施されました。
 EPAの提案概要は以下となります。
・全ての消費者用途のジクロロメタンの製造、加工、流通を禁止する。
・ジクロロメタンのほとんどの工業用・商業用の用途を禁止する。
・残りの用途については、ジクロロメタンの使用によって労働者が被害を受けない
 ようにするため、厳格な職場保護を設ける。 ・製造業者(輸入を含む)、加工業者、販売業者に対し、ジクロロメタンの出荷先
 企業への禁止事項の通知と記録の保存を義務付ける。 米国EPA News Releases https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-ban-all-consumer-most-industrial-and-commercial-uses-methylene-chloride パブリックコメント https://www.regulations.gov/docket/EPA-HQ-OPPT-2020-0465 (3)EPAがジクロロメタンについて、これまでのTSCAリスク評価結果に基づく リスク対応を提案(2023年5月5日)  EPAがジクロロメタンについて、2020年6月及び2022年11月に実施されたTSCAリス ク評価結果に基づき、リスク対応を提案しました。この提案に対する意見募集は、20 23年7月3日までとなります。  ジクロロメタンは、急性致死性、神経毒性、ヒト発がん性の可能性があり、中枢神 経抑制作用により、意識消失や呼吸抑制が起こり、不可逆的な昏睡、低酸素、最終的 には死に至ることがあり、1980年から2018年までに85件の死亡例が記録されており、 その大半は職業上の死亡例でした。しかし、接着剤や自動車製品、塗料やコーティン グの剥離剤など、さまざまな消費者や商業用途で、いまだに広く使われています。特 定されたリスクに対処するため、EPAは、ジクロロメタンの継続的な特定の使用条件に ついて、吸入ばく露濃度制限と、ばく露の監視を行うという要件を設定しています。 米国連邦官報ウェブサイト https://www.federalregister.gov/documents/2023/05/03/2023-09184/methylene-chloride-regulation-under-the-toxic-substances-control-act-tsca (4)EPAは、効率化に向けてTSCAに基づく新規化学物質審査規則の改正を提案。 この提案の中で、PFAS及びPBTに対する安全審査プロセス免除規定も撤廃(2023年5月16日)  EPAは、TSCAに基づく新規化学物質審査規則の改正を提案し、効率を改善するとと もに、2016年の「21世紀のためのフランク R. ローテンバーグ化学物質安全法」と 整合させました。EPAは、新規化学物質が米国の上市前にその潜在的なリスクを審査し、 必要に応じて人の健康と環境を保護するためのセーフガードを設けることで、重要な ゲートキーパーとしての役割を担っています。今回の提案では、新規のPFASおよびそ の他の難分解性・生物蓄積性・有毒性化学物質(PBT)に対する安全審査プロセスの免 除の規定も撤廃されます。  TSCAでは、製造業者・輸入業者・加工業者は、新規化学物質については製造前通知 (PMN)、重要新規用途通知(SNUN)、微生物商業活動通知(MCAN)を提出しなけれ ばならない。2016年の「21世紀のためのフランク R. ローテンバーグ化学物質安全 法」の公布前には、EPAは新規化学物質のうちの約20%についてしか安全性判定を行っ ていませんでした。現在、新法では新規化学物質が上市される前に、EPAは届出された 新規化学物質の100%に対して、5つ安全性判定のうち1つを行うことが義務付けられて います。本日の提案は、EPAが、届出された新規化学物質に対し、PMN、SNUN、MCANに ついて5つの安全性判定のいずれかを行わなければならないと規定するものです。  本件に関する意見募集は、2023年7月25日までとなります。 米国EPA News Releases https://www.epa.gov/newsreleases/biden-harris-administration-proposes-reforms-new-chemical-review-process-protect TSCAに基づく新規化学物質審査規制の改正について https://www.epa.gov/reviewing-new-chemicals-under-toxic-substances-control-act-tsca/updates-new-chemicals-regulations ───────────────────────────────────── 【4】カナダにおける最新動向 (1)カナダ保健省は、4-クロロ-3-メチルフェノールを カナダ環境保護法(CEPA)の有害物質リストに追加する提案を発表(2023年4月1日)  カナダ保健省(Health Canada)は、化学物質管理計画(CMP)に基づき、 4-クロロ-3-メチルフェノール(CAS: 59-50-7)を「1999年カナダ環境保護法」 (CEPA)の有害物質リストに追加する提案を発表しました。パブリックコメントの期 間は、2023年5月31日までの60日間実施されました。 カナダ保健省ウェブサイト https://www.canada.ca/en/health-canada/services/chemical-substances/chemicals-management-plan-3-substances/chlorocresol.html (2)カナダ環境・気候変動局及びカナダ保健省が、PFASに関する現状報告書を公表(2023年5月)  カナダ環境・気候変動局及びカナダ保健省は、PFASの現状に関する報告書を公表し ました。本報告書では、カナダにおけるPFASに関する意思決定に資するため、PFASの カナダにおける用途、ライフサイクル、および環境と人の健康への潜在的影響に関す る定性的評価結果を報告しています。この中で、PFASはカナダ環境保護法(CEPA)の 第64条「有毒物質」で定めるリスクが懸念される有毒物質の3つの基準の1つ以上を満 たすと結論づけ、有害物質リスト(Schedule 1)に追加することを提案しています。  なお、本件に関する意見募集は、2023年7月19日までとなります。 カナダ保健省ウェブサイト https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/draft-state-per-polyfluoroalkyl-substances-report.html (3)カナダ環境・気候変動局及びカナダ保健省が、PFASのリスク管理オプションを提案(2023年5月)  カナダ環境・気候変動局及びカナダ保健省は、PFASの現状報告書の中で提案したPF ASの有毒物質リストへの収載が確定した場合のリスク管理オプションを提案しました。 具体的には、環境へのPFASの放出を最小限に抑え、特定の懸念源からの人へのばく露 を低減するために、以下のリスク管理オプションが提案されています。 ・消火用発泡体から放出されるPFASへの環境および人へのばく露を最小化するための
 規制および/または非規制上の管理を行う。 ・他の発生源や製品に含まれるPFASからの環境および人へのばく露を最小限に抑える
 ためのオプションを特定し、優先順位を付けるために必要な情報を収集する。 ・必要に応じて、他の領域での行動と連携することを検討する。  なお、本件に関する意見募集は、2023年7月19日までとなります。 カナダ保健省ウェブサイト https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/risk-management-scope-per-polyfluoroalkyl-substances.html ───────────────────────────────────── 【5】シンガポールにおける最新動向 (1)シンガポール国家環境庁及び人的資源省が、GHSに関する改正国家規格 「SS 586」の実施猶予期間を共同通達(2023年4月6日)  シンガポール国家環境庁(NEA)と人的資源省(Ministry of Manpower)は、今年 2月6日に公表したGHSに関する改正国家規格「SS 586」のPart 2(国連GHSの適用) 及びPart 3(SDSの作成)の実施猶予期間を2年後の2025年2月6日と定める共同通達を 発表しました。  なお、本国家規格のPart1(危険物の輸送及び貯蔵)は2021年4月に改訂・公表され ています。また、本改正国家規格(Part2及び3)はGHS改訂第7版に準拠しています。 シンガポール人的資源省ウェブサイト https://www.mom.gov.sg/-/media/mom/documents/safety-health/circulars/2023/circular-20230406-adoption-of-revised-singapore-standard-ss586-specification.pdf SS 586-1:2021(危険物輸送及び貯蔵) https://www.singaporestandardseshop.sg/Product/SSPdtDetail/1022cbe4-4404-4a8b-98b4-23e6f4127048 SS 586-2:2022(国連GHSの適用) https://www.singaporestandardseshop.sg/Product/SSPdtDetail/cbf94b62-339a-4253-906b-8746aed890c0 SS 586-3:2022(SDSの作成) https://www.singaporestandardseshop.sg/Product/SSPdtDetail/eb286613-8aa3-4e48-9c85-0e772492743c ───────────────────────────────────── 【6】台湾における最新動向 (1)行政院環境保護署(EPA)は「QSARモデル検証方法概述(草案)」、 「化学物質グルーピング原則(草案)」を公表(2023年5月29日)  行政院環境保護署(EPA)は、「QSARモデル検証方法概述(草案)」、「化学物質グ ルーピング原則(草案)」を公表しました。  これらは、OECDが発行した、それぞれ「Guidance Document on the Validation of (Quantitative) Structure-Activity Relationship [(Q)SAR] Models, 2014」と「Guidance on Grouping of Chemicals, Second Edition, OECD Series on Testing and Assessment, No.194」をOECDの許可を得た上で、参考 にして作成されたものです。 台湾EPAウェブサイト https://tcscachemreg.epa.gov.tw/Epareg/content/login/NewsDetail.aspx?k=n&enc=21CC0420AB8DCC27572652CC249623633CA81BEBE9FF90BB ダウンロードページ https://tcscachemreg.epa.gov.tw/Epareg/content/login/DownloadList.aspx?k=n&enc=469F3707D9B6BAF23724F9C1921270669C2A9AE0B5AF2DD8 ───────────────────────────────────── 【7】日本における最新動向 (1)日本環境省と国立環境研究所は、災害・事故時の環境リスク管理に関する 情報基盤「D.Chem-Core」を公開(2023年5月16日)  国立環境研究所環境リスク・健康領域は、災害・事故等に起因して化学物質の環境 排出が起きた際に、情報基盤として利用可能なウェブサイト「D.Chem-Core -災害・ 事故時の環境リスク管理に関する情報基盤-」(D.Chem-Core)を構築し、公開しま した。  D.Chem-Coreを活用することにより、災害・事故等に起因して化学物質の環境排出 が起きた際に、行政担当者や専門家などが必要な情報を迅速に入手し、的確な対策が 可能となることが期待されます。  今後、利用者として想定される地方公共団体の担当職員向けに講習会等を行うこと により、当サイトの普及を図って行く予定です。また、情報の蓄積やシステムの改良 は継続的に実施し、掲載情報の充実を進めることで、より良い情報基盤を目指します。 日本環境省ウェブサイト https://www.env.go.jp/press/press_01600.html ───────────────────────────────────── 【8】あとがき  本号では、国際機関、欧州、米国、カナダ、シンガポール、台湾、及び日本におけ る化学物質管理の最新動向について紹介いたしました。  読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の 「お問い合わせ」のページからお寄せください。  どうぞよろしくお願いいたします。 http://chemical-net.env.go.jp/contact.html ───────────────────────────────────── ■本マガジンは、令和5年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力  センターが運営しております。  一般社団法人海外環境協力センター(OECC) http://www.oecc.or.jp/  環境省大臣官房環境保健部   http://www.env.go.jp/chemi/index.html  化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)   http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html ■原則として、隔月で配信を予定しています。  メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により  届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。 ■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを  御覧ください。   http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html ■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更およびご意見・ご要望  等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。   http://chemical-net.env.go.jp/contact.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行元:一般社団法人海外環境協力センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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