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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第123号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2024/3/14配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第123号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】欧州における最新動向
【2】米国における最新動向
【3】カナダにおける最新動向
【4】あとがき
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【1】欧州における最新動向

(1)ECHAが5つの有害化学物質を候補リストに追加

 欧州化学物質庁(ECHA)は、2024年1月23日、高懸念物質(SVHC)候補リストに
新たに5つの有害化学物質を追加しました。
 5つの有害化学物質のうち1物質は生殖毒性、3物質は非常に難分解性で生物蓄積性
が高く、残りの1物質は生殖毒性と難分解性、生物蓄積性、毒性を持つ化学物質です。
これらの物質は、インクやトナー、接着剤やシーリング剤、洗濯剤や洗浄剤などの
製品に含まれています。5つの有害化学物質は、以下の5物質です。

①2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール【EC No.:211-989-5、CAS No.:732-26-3】
②2-[2-ヒドロキシ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フエニル]ベンゾトリア
ゾール【EC No.:221-573-5、CAS No.:3147-75-9】
③2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリノフェニル)
ブタン-1-オン【EC No.:438-340-0、CAS No.:119344-86-4】
④2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリア
ゾール【EC No.:223-445-4、CAS No.:3896-11-5】
⑤2-フェニルプロペンとフェノールのオリゴマー化及びアルキル化反応生成物
【EC No.:700-960-7、CAS No.:(なし)】

 また、既に候補物質に含まれているフタル酸ジブチルについて、環境に対する内
分泌かく乱特性を追加し、情報が更新されました。

 今回の5物質の追加により、SVHC候補物質リストには合計240件が収載されること
になりました。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-adds-five-hazardous-chemicals-to-the-candidate-list
高懸念物質(SVHC)候補リスト(英語)
https://echa.europa.eu/candidate-list-table

(2)ECHAが、2024年から2028年までの5年間の戦略声明を発表

 ECHAは、2024年1月30日、2024年から2028年までの5年間の新戦略を発表しました。
本戦略は、化学物質の安全性に関する作業を通じて、人の健康と環境保護を進めるた
めの、今後5年間のECHAの目標と優先事項を詳細にまとめたものです。
 ECHAは本戦略により、既存の広範な法的権限を実現し、専門知識と経験を蓄積さ
せ、また、利害関係者やパートナーと協力して新たな任務を遂行し、化学物質に関す
る欧州の政策目標の実施を支援することとしています。これらの活動を進めるため
に、ECHAにおける人材への投資も行っていくと述べています。
 本戦略声明には、以下の5つの主要要素に基づき、目標と優先事項が述べられてい
ます。
1.Be a trusted chemicals agency(信頼される化学物質庁になる)
2.Respond to emerging challenges and changes in our legal landscape
(新たな課題と法的環境の変化に対応する)
3.Communicate and Engage(コミュニケーションを取り、従事する)
4.Lead on chemical knowledge and expertise(化学の知識と専門性でリード
する)
5.Invest in people and organisational excellence(優れた人材と組織へ投
資する)


ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-sets-out-strategic-goals-for-next-five-years
戦略声明(2024-2028)(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/17209/echa_strategy_2024-2028_en.pdf/936c121f-9ba0-e677-40e1-d27c0cbdbacb?t=1706600415618

(3)ECHAが新たな化学物質データベース「ECHA CHEM」を開設

 ECHAは、2024年1月30日、新たな化学物質データベース「ECHA CHEM」を開設・公
表しました。
 今回発表されたECHA CHEMの最初のバージョンでは、企業がECHAに提出した
100,000件を超えるREACH登録の全情報を検索・確認することができます。今年の後
半には、分類・表示インベントリが収載・拡張され、さらにその後に、規制物質リス
トが追加される予定となっています。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-launches-new-chemicals-database
ECHA CHEM(英語)
https://chem.echa.europa.eu/

(4)ECHAはREACH認可対象物質の候補である5物質に関するパブコメを開始

 ECHAは、2024年2月7日、REACH規則における認可対象物質の候補として5つの物質
を選定し、意見募集(パブリック・コメント)を開始しました。
 5つの物質は以下のとおりです。
①メラミン【EC No.:203-615-4、CAS No.:108-78-1】
②テトラブロモフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)の異性体および/またはその組み合
わせ【EC No.:(なし)、CAS No.:(なし)】
③S-(トリシクロ(5.2.1.0(2,6))デカ-3-エン-8(または9)-イル O-(イソプ
ロピルまたはイソブチルまたは2-エチルヘキシル)ホスホロジチオエート
【EC No.:401-850-9、CAS No.:255881-94-8】
④ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン=オキシド
【EC No.:278-355-8、CAS No.:75980-60-8】
⑤ビス(ジオキソホウ酸)バリウム【EC No.:237-222-4、CAS No.:13701-59-2】

 なお、この意見募集(パブリック・コメント)は3月7日まででした。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-consults-on-recommending-five-substances-for-reach-authorisation

(5)ECHAが、REACH登録文書の20%以上の適合性を確認

 ECHAは、2009年から2023年の間に、全登録の約21%に相当する約15,000件の登録
の適合性を確認してきました。また、年間100トン以上登録された物質については、
ECHAはその約30%について適合性を確認してきました。
 2023年、ECHAは301件の適合性確認を実施し、1,750件以上の登録を対象とし、27
4の個別物質を取り上げました。これらの確認は、データ・ギャップがある可能性の
ある登録文書にフォーカスし、これらの物質の安全性データを強化することを目的
としています。その結果、そのうちの251件が企業に送られ、化学物質の人の健康ま
たは環境への長期的影響を明らかにするための追加データが要求されています。

 ドシエ(登録一式文書)の適合性遵守は、今後数年間、ECHAの優先事項であり、
今年、ECHAは、REACH登録の遵守を改善することを目的とした共同評価行動計画の影
響を見直し、利害関係者とともに、取り組むべき新たな優先分野を策定する予定で
あるとされています。

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-checked-over-20-of-reach-registration-dossiers-for-compliance-1


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【2】米国における最新動向

(1)EPAは、PFAS等の懸念物質から地域社会を守るための新たな取組を発表

 米国環境保護庁(EPA)は、特定のパーフルオロアルキル物質及びポリフルオロア
ルキル物質(PFAS)がもたらす健康リスクから地域社会と環境を保護するための新
たな取り組みを発表しました。
 EPAは、全米でPFAS汚染に取り組むための包括的なアプローチをさらに強化する2
つの規則を提案しました。
 具体的には、まず、EPAは、許可された有害廃棄物施設において浄化対象の有害廃
棄物の定義を修正することを提案しています。この修正により、当該施設において、
実質的な危険をもたらす可能性のあるPFAS等の新たな懸念化学物質を含め、資源保
全回収法(RCRA)が意図するあらゆる物質の浄化を求めるEPA及び認可州の権限が、
EPAの規則に反映されることになります。
 また、複数のPFASを有害成分として追加するために、RCRAを改正することを提案
しました。これらのPFASは、有害廃棄物処理・貯蔵・処分施設における施設評価・
調査及び浄化対象物質リストに追加されることになります。

EPA News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/biden-harris-administration-announces-new-steps-protect-communities-pfas-and-other
EPAにおけるPFASへの取組
https://www.epa.gov/pfas

(2)EPA、化学物質事故から危険にさらされている地域社会を守るため、安全基準
の強化を最終決定

 EPAは、化学物質事故から危険にさらされている地域社会、特に化学事故率の高い
産業分野の施設周辺に位置する地域社会をさらに保護するため、リスク管理プログラ
ムの最終改正を発表しました。化学事故防止によるより安全な地域社会」最終規則に
は、化学施設に対するEPAの歴史上で最も保護的な安全規定が含まれており、防止、
準備、および公共の透明性のためのより強力な対策が要求されています。
 この規則は、死傷者を出し、財産や環境に損害を与え、周辺地域社会に避難や屋内
退避を必要とするような危険な化学物質の偶発的な放出を防止するよう、産業界に義
務付けることにより、すべての地域社会の健康と安全を保護するものです。

EPA News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-finalizes-stronger-safety-standards-protect-risk-communities-chemical-accidents
リスク管理プログラム「化学事故防止によるより安全な地域社会」最終規則(英語)
https://www.epa.gov/rmp/risk-management-program-safer-communities-chemical-accident-prevention-final-rule

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【3】カナダにおける最新動向

(1)1999年カナダ環境保護法の現代化に向けた公開協議の計画が発表

 カナダ政府は、1999年カナダ環境保護法(CEPA)について、その枠組み、政策、
戦略、規制、プロセス、様々な手法の開発を含むいくつかのイニシアチブを通じて、
その現代化の実施に取り組んでいます。このような取り組みにおいて、国民の意見や
参加の機会が設けられる予定で、今後予定する公開協議の機会が発表されました。

 具体的には、以下の内容となります。
・1999年カナダ環境保護法(CEPA)下での健全な環境に対する権利の実施枠組みに
 関する討議文書(2024年冬)
・ウォッチリストのアプローチ案(2024年春)
・化学物質管理の優先計画案(2024年夏)
・脊椎動物実験を代替・削減・改良するための戦略草案(2024年夏/秋)
・CEPAの下での健全な環境に対する権利の実施枠組み案(2024年夏/秋)
・最高レベルのリスク有害物質規制の検討資料(2025年冬)
・特定有害物質規制の制限・認可に関する検討資料(2025年冬春期)

News(英語)
https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/canadian-environmental-protection-act-registry/implementing-modernized-cepa.html

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【6】あとがき

 本号では、欧州、米国、カナダにおける化学物質管理の最新動向について紹介いた
しました。
 読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記
の「お問い合わせ」のページからお寄せください。
 どうぞよろしくお願いいたします。

http://chemical-net.env.go.jp/contact.html

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■本マガジンは、令和5年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
   http://www.oecc.or.jp/
 環境省大臣官房環境保健部
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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