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化学物質国際対応ネットワークマガジン 第128号
http://chemical-net.env.go.jp/
2026/3/5配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。
第128号は、以下の内容をお送りいたします。
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| 【1】メールマガジン掲載内容変更について |
| 【2】2020年以降の国際化学物質管理 – GFCとISP-CWPの最新動向 |
| 【3】化学物質国際対応ネットワーク終了に伴うメールマガジン配信終了について |
| 【4】あとがき |
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【1】メールマガジン掲載内容変更について
化学物質国際対応ネットワーク(以下、「ネットワーク」)では、2007年のネットワーク設
立以来、各国の化学物質管理の最新動向について情報収集を行い、メールマガジンを通じて登
録者の方々に情報をお届けして参りました。本号においては、これまでとは異なる掲載内容と
なりますが、化学物質管理に関する国際動向として、化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)
及び化学物質、廃棄物及び汚染に関する政府間科学・政策パネルの設立に関する国際交渉をご
担当された環境省水銀・化学物質国際室の高木恒輝室長に執筆をいただきました「2020年以降
の国際化学物質管理 – GFCとISP-CWPの最新動向」をご紹介させていただきます。
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【2】2020年以降の国際化学物質管理 – GFCとISP-CWPの最新動向(執筆者:環境省水銀・
化学物質国際室 高木恒輝室長)
(1)はじめに
昨年度、一昨年度と、本コラムにおいて、2020年以降の国際化学物質管理の全体像として、
ポストSAICMとして2023年9月に採択された化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)及び、
気候変動のIPCCや生物多様性のIPBESに類する化学物質、廃棄物、汚染をテーマとした第三の
政府間科学・政策パネルの設立交渉に関してご紹介させていただいた。今回は、これらGFCや
新たなパネルに関する最新動向についてご紹介させていただく。
(2)化学物質、廃棄物及び汚染に関する政府間科学・政策パネルの設立と第1回総会
昨年度はコラム「2020年以降の国際化学物質管理の全体像と新たな科学・政策パネル」にお
いて、化学物質、廃棄物及び汚染に関する政府間科学・政策パネルの設立に向けた交渉状況に
ついてお伝えしていた。それから約1年、状況は大きく動いた。2022年から設立に向けた交渉
が始まっていたパネルであるが、2025年6月19日、20日にウルグアイのプンタデルエステに
て開催された国連環境計画(UNEP)主催の政府間会合において、ようやく化学物質、廃棄物
及び汚染に関する政府間科学・政策パネル(ISP-CWP: Intergovernmental Science-policy
Panel on Chemicals, Waste and Pollution)」の設立が採択されたのである。日本は、こ
れまでの設立交渉に貢献してきたこともあり、当時の松澤地球環境審議官が政府間会合の共
同議長を担うという大役をいただき、採択の歴史的瞬間を日本代表団はその中心で味わうこと
ができた。昨年度のコラムでも記載したとおり、設立交渉は相当に難航していたために、その
中で設立まで至ったことは望外の喜びであった。
一方で、2026年2月2日~6日に開催されたISP-CWP第一回総会の結果は残念なものであっ
た。昨年6月の会議において、パネルの基本文書は採択されており、それを基にして細かな手
続き規則を最終化するのが主なミッションであったが、各国の意見の隔たりが大きく、50ある
手続き規則の内、20が最終化されるにとどまったのである。その大きな要因としては、パネル
の事務局のホストに名乗りを挙げているスイス(ジュネーブ)とケニア(ナイロビ)及びその
支持国同士の争い、東欧・露地域からの副議長選出に関するロシアとウクライナの争いなど、
極めて政治的な対立軸が複数あり、実質的な議論が前に進まなかったところにあると思う。
やや、先が思いやられる船出となってしまったところであるが、国内的には、昨年7月に各関
連学会から有識者を招いてシンポジウム(https://www.env.go.jp/chemi/isp-cwp/symposium2025.html)
を開催するなど、今後のパネルの動きに積極的に対応していくための基盤づくりを進めている
ところである。ISP-CWPの活動成果が我が国の政策に資するものとなっていくように官学連携
で積極的に貢献していくつもりであり、今後の動きに是非注視いただきたい。
(3)化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)における取組の進展と新たな潮流
一昨年のコラム「ポストSAICMの枠組みの検討状況と今後の動向」において、その採択の経
緯(2023年9月)含め詳細に説明させていただいた化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)
だが、採択から2年以上を経過し、最初のGFC国際会議を本年11月に控える中で、様々な取組
が本格化しつつある。なかでも、実施プログラム2(IP2)は、産業・経済セクターを軸に、
化学物質管理をバリューチェーン全体へと拡張する取組として注目される分野である。
まず、電子・電気機器、繊維、医療、建設などの主要分野にフォーカスして、セクター別の
実施プログラムが立ち上がりつつある。これらの取組では、懸念化学物質とその代替、情報開
示とトレーサビリティ、労働者ばく露、政策・金融といった共通課題を整理しつつ、各産業の
実態に即した段階的な行動計画の策定が進められている。こうしたセクター別の取組は、サプ
ライチェーン全体にわたる化学物質管理をめぐる既存の国際的・業界主導のイニシアティブを
視野に入れ、それらを束ねる形で、情報整理、検証、小規模実証、ガイダンス作成を進める枠
組みとして位置づけられている。これを通じて、IP2は実装のハブとして機能し、GFCの各目標
達成に向けたグローバルな道筋を方向付けようとするものである。
同時に、IP2の下では、横断的テーマに基づく新たなアプローチも動き出している。透明性・
トレーサビリティ・情報開示に関する作業部会では、デジタル・プロダクト・パスポート等の
既存枠組みとの整合を図りつつ、バリューチェーン全体で共有可能な化学物質情報の最小要件
や基準の検討が進められている。また、ケミカル・フットプリントの作業部会では、用語や方
法論の整理、産業向けガイダンスの策定、GFC目標に整合した企業コミットメントの形成が並
行して進行している。
さらに、グリーン・サステイナブル・ケミストリー(GSC)や労働安全衛生(OSH)を基盤に
据える取組や、企業のサステナビリティ報告基準や民間金融の意思決定にGFCの要素を組み込
む検討も本格化している。これらは、規制に加え、市場、投資、情報開示を通じて化学物質管
理を主流化しようとする試みである。
こうしたIP2の展開は、日本の産業や企業活動にも大きく関わるものとなる。電気・電子分
野や素材、化学産業をはじめ、日本企業が国際サプライチェーンと深く関与する分野は多く、
情報開示、ケミカル・フットプリント、金融・報告基準との連動は、今後の事業活動や競争力
に直結する論点となる。GFCの議論に早期から関与し、日本の企業や政策の知見を国際枠組み
に反映させていくことは、過度な負担を回避しつつ、国際ルール形成に貢献する上でも重要と
考えられる。
IP2の進展は、化学物質管理を「規制の問題」から「産業・金融・バリューチェーン全体の
変革課題」へと位置づけ直す動きであり、今後の国際的議論と実装の行方が注目される。
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【3】化学物質国際対応ネットワーク終了に伴うメールマガジン配信終了のご案内
化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから配信登録をいただいた皆様には2026年
1月下旬にご案内させていただきました通り、2026年3月末の化学物質国際対応ネットワーク
の活動終了に伴い、本号を以ってメールマガジンの配信につきましても終了とさせていただき
ます。
活動終了の経緯等、詳細につきましては、ネットワークウェブサイトのネットワーク終了のお
知らせページをご参照ください。
https://chemical-net.env.go.jp/network_close.html
これまで長きにわたり本メールマガジンを購読いただきました方々に深く御礼を申し上げま
す。
なお、本メールマガジン配信の為に登録をいただいておりますメールマガジン購読者様の情
報は、下記リンク先に記載の通り、その扱いを本事業の運営を目的とした活動に限ることから、
ネットワーク終了を以って破棄いたします。
https://chemical-net.env.go.jp/personal_info.html
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【4】あとがき
本号では、日本における化学物質管理政策の取組について、「2020年以降の国際化学物質管
理 – GFCとISP-CWPの最新動向」をコラム形式で紹介させていただきました。2026年3月末の
化学物質国際対応ネットワーク終了により、本号が化学物質国際対応ネットワークメールマガ
ジンの最終号となる旨、案内をさせていただきました。
最後になりますが、皆さまの活動のお役に立つことができましたら幸いです。
記事内容に関するご意見、ご要望をお寄せいただけるようでしたら、下記の「お問い合わせ」
のページよりお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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■本マガジンは、令和7年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
センターが運営しております。
一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
http://www.oecc.or.jp/
環境省大臣官房環境保健部
http://www.env.go.jp/chemi/index.html
化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、隔月で配信を予定しています。
メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを
御覧ください。
http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html
■本メールマガジンの配信停止・配信先e-mailアドレスの変更およびご意見・ご要望
等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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