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化学物質国際対応ネットワークマガジン 第114号
http://chemical-net.env.go.jp/
2022/3/4配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。
第114号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】欧州における化学物質管理政策最新動向セミナーのご案内 |
【2】欧州における最新動向 |
【3】米国における最新動向 |
【4】中国における最新動向 |
【5】国連における最新動向 |
【6】あとがき |
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【1】欧州における化学物質管理政策最新動向セミナー(オンライン)のご案内
環境省では、国際的な化学物質対策に関する国内関係者の理解及び対処能力の向上
、並びに諸外国の関係者との相互理解の向上による国際調和に向けた取組の加速化を目
的とする「化学物質国際対応ネットワーク」を運営しています。本ネットワーク活動
の一環として、各主体間における情報共有及び理解、連携強化のため、欧州における
化学物質管理政策最新動向セミナー「欧州新化学物質戦略の最新動向とREACH規則
及びCLP規則における新たな展開」を開催します。
欧州では2020年10月14日に、新たな化学物質戦略「有害物質のない環境に向けた
持続可能な化学物質戦略」が欧州委員会から発表され、併せて具体的な行動計画が示
されました。本戦略は、「欧州グリーンディール」で掲げる有害物質のない環境を目
指す「Zero pollution ambition」の第一歩に位置づけられたEUの化学物質政策の長期
的なビジョンを示すものです。今後、本戦略に基づく活動として、REACH規則及び
CLP規則の大規模改正も予定されており、具体的な動向が注目されています。
そこで今回のセミナーでは、本戦略策定及び実施に携わっている欧州委員会環境総
局持続可能な化学物質ユニットに講師をお願いすることにより、欧州新化学物質戦略
を概説いただくとともに、本戦略に基づく欧州の化学物質管理政策の最新動向につい
て、オンラインセミナーにてご紹介します。
日時:令和4年3月17日(木)15:00-17:30 (14:50~オンライン参加開始)
開催方法:オンライン(Zoom)
言語:同時通訳(英語-日本語)
主催:環境省/化学物質国際対応ネットワーク
【プログラム(予定)】
欧州における化学物質管理政策最新動向セミナー
「欧州新化学物質戦略の最新動向とREACH規則及びCLP規則における新たな展開」
講演1:欧州新化学物質戦略の概要と、本戦略に基づく化学物質管理の最新動向について(仮題)
講演2:新化学物質戦略に基づくREACH規則及びCLP規則改正の動向について(仮題)
講師 クリスティーナ・デ・アヴィーラ
(欧州委員会環境総局持続可能な化学物質ユニット ユニット長)
※今回のセミナーは、欧州の化学物質管理の政策に重点を置いた内容となります。
関係法規制対応の手続き等の紹介・解説は含まれません。
参加費:無料
定員:1,000名程度 (先着順。定員になり次第、締め切らせていただきます。)
参加申込期限:令和4年3月17日(木)12:00迄
参加をご希望の方は、必ず以下のページからご登録ください。参加登録が確定した
方には事務局から参加票をメールにてお送りいたします。
化学物質国際対応ネットワーク 開催案内
http://chemical-net.env.go.jp/seminar20220317.html
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【2】欧州における最新動向
(1)欧州委員会が欧州新化学物質戦略に基づくREACH規則改正案を発表
欧州委員会は、2022年1月20日に、欧州新化学物質戦略に基づくREACH規則改
正に関するパブリック・コンサルテーションを開始しました。昨年2021年5月7日
に、REACH規則及びCLP規則の改正に向けたロードマップを公表しましたが、今回、
そのロードマップに基づくREACH規則の改正案を発表し、パブリック・コンサルテ
ーションを開始しました。パブリック・コンサルテーションは、2022年4月15日(現
地ベルギー時間)まで行われる予定です。
欧州委員会から発表されている改正の主なポイントは以下のとおりです。
1.REACH規則の登録要件の改定(懸念ポリマーの登録等)
2.混合物評価係数の導入
3.サプライチェーンにおけるコミュニケーションの簡素化
4.ドシエおよび物質評価の規定の改定
5.認可と制限のプロセスの改革
6.執行及び監査能力の強化
欧州委員会 News(英語)
https://ec.europa.eu/environment/news/chemicals-commission-seeks-views-revision-reach-eus-chemicals-legislation-2022-01-20_en
(2)ECHAが、EU全域で消火用泡沫へのPFAS使用の禁止の提案
ECHAは、2022年2月23日、消火用泡沫(firefighting foam)に含まれる全ての
パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)のEU全域での
規制提案をしました。この規制は、地下水や土壌の汚染、人や環境に対する健康リス
クのさらなる高まりを防ぐことを目的としています。
ECHAは、欧州委員会の要請により、消火用泡沫でPFASを使用することによって
もたらされる人健康及び環境へのリスクを調査してきました。その結果、PFASがも
たらすリスクは現在十分に管理されておらず、環境への放出を最小限に抑える必要が
あるため、EU全体の制限は正当化されると結論付けています。
この提案に対するパブリック・コンサルテーションは、2022年3月22日からの6
か月間を予定されています。
ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/proposal-to-ban-forever-chemicals-in-firefighting-foams-throughout-the-eu
ECHA 提案内容(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/0/rest_pfas_fff_axvreport_en.pdf/5ee6f85d-8339-cf1c-34c8-cfcb2861bde7?t=1645608390512
(3)SCIPデータベースにおいて700万件以上の成形品情報が検索可能に
ECHAは、2022年2月2日、SCIPデータベースには、EU全域の7,092社から700
万件以上の検索可能な成形品情報が表示可能になったことを報告しました。SCIP
(Substances of Concern In articles as such or in complex objects
(Products))は、サプライチェーンに情報伝達する成形品中の化学物質を管理し、
成形品内の有害化学物質の含有量を低減させていくことを目的に立ち上げられた、成
形品中に含まれる高懸念物質(SVHC)に関するデータベースです。2021年1月5日
以降に欧州に上市する成形品中のSVHC含有量が0.1wt%を超える場合は、事業者は
そのSVHCデータをSCIPデータベースにおいて提出することが義務付けられていま
す。
提出した7,092社のうち26%以上(1,861社)はドイツの企業で、その他にイタリ
アの企業(1,442社)、フランスの企業(499社)が続いています。SCIPデータベー
スには誰でもアクセスし、成形品名、材料の種類、化学物質名等で検索することが可
能です。
ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/7-million-searchable-articles-in-scip-database-improve-transparency-on-hazardous-chemicals
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【3】米国における最新動向
(1)EPAが新規化学物質の審査を支援する共同研究プログラムを発表
米国環境保護庁(EPA)は、2022年2月24日、上市前の新規化学物質の審査プロ
セスを近代化し、革新的な技術を導入するために、改正有害物質管理法(TSCA)に
基づく新たな取組を発表しました。
具体的には、EPAの化学物質安全・汚染防止局(OCSPP)は、関係機関と連携し、
TSCAの下で新規化学物質のリスク評価の実施アプローチに焦点を当てた複数年の共
同研究プログラムを開発・実施することを提案しています。この取組の結果、新規化
学物質の審査に革新的な技術を導入し、実施アプローチを近代化することで、人健康
や生態系へのリスク評価プロセスの透明性を高めることを目指しています。
なお、EPAは、2022年4月20日および21日の午後1時から午後5時まで(米国
東部時間)に公開のオンライン会議を開催し、本共同研究プログラムの概要を説明す
るとともに、関係者との意見交換の機会を予定しています。
EPA News Releases(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-announces-collaborative-research-program-support-new-chemical-reviews
EPA 新化学物質共同研究プログラム(英語)
https://www.epa.gov/reviewing-new-chemicals-under-toxic-substances-control-act-tsca/new-chemicals-collaborative
(2)EPAがTRIリストに4つのPFASを追加
EPAは、昨年10月に発表したPFAS戦略的ロードマップの実施の一環として、
2022年1月24日、有害化学物質排出目録(TRI)リストに4つのPFASを追加しま
した。今回の追加を含めて、TRIリストに収載されているPFASは合計179物質とな
りました。
TRI制度は、米国におけるPRTR制度に該当する制度で、1986年に開始されまし
た。この制度は、連邦政府施設を含む特定の産業セクターにおいて、TRIリスト掲載
化学物質を一定量以上で製造・加工または使用する施設が、毎年EPAに報告する制度
です。
EPA News Releases(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-requires-reporting-releases-and-other-waste-management-certain-pfas-including-pfbs
PFAS戦略的ロードマップ(英語)
https://www.epa.gov/pfas/pfas-strategic-roadmap-epas-commitments-action-2021-2024
TRIリストに収載されたPFASリスト(英語)
https://www.epa.gov/toxics-release-inventory-tri-program/list-pfas-added-tri-ndaa
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【4】中国における最新動向
(1)国務院が「全国危険化学品安全リスク集中管理プログラム」を公表
国務院安全生産委員会は、2022年1月5日、「全国危険化学品安全リスク集中管理
プログラム」を公表しました。本プログラムは、2020年2月に公表された中国共産党
中央委員会事務局と国務院総務局による「有害化学物質の安全な生産の全面的な強化
に関する意見」および2020年12月に国務院安全生産委員会が公表した「全国安全生
産特別改善3か年行動計画」に基づき策定されたもので、広範囲の産業分野にわたっ
て取り扱われる危険化学品の安全リスクを効果的に防止・解決し、人や社会の安全を
守ることを目的としています。
プログラムの構成は以下のとおりです。
第一章 一般要件
第二章 未解決課題と対処すべき重大な安全リスク
(一)安全な開発という概念の弱さの問題
(二)生産現場における安全責任の未解決問題
(三)製造・貯蔵における重大な安全性リスク
(四)運輸部門における重大な安全リスク
(五)廃棄物処理における重大な安全性リスク
(六)化学工場における重大な安全リスク
第三章 セーフガードシステムの主要施策の改善
(一)規制責任の調整と実行の強化
(二)本質的な安全性レベルの向上
(三)重大なリスクを防止・解決するための仕組みの改善
(四)危険化学品の専門家の能力向上
(五)危険化学品の安全リスクのデジタルかつ高度な管理レベルの向上
第四章 作業要件
(一)組織のリーダーシップ強化
(二)アドボカシーとガイダンスの強化
(三)作業監督の強化
中国応急管理部(中国語)
https://www.mem.gov.cn/gk/zfxxgkpt/fdzdgknr/202201/t20220105_406261.shtml
(2)第14次5か年計画に基づく国家緊急対応計画の公表
国務院は、2022年2月14日、第14次5か年計画に基づく国家緊急対応計画を公表
しました。本計画は、化学物質関連に限らず、安全生産、防災・減災、災害救援を適
切に実施し、緊急管理体制と能力の強化を推進することを目的に策定されています。
本計画では、以下の7つの目標及び目標値を設定しています。
1.生産安全事故による死亡者数:15%削減
2.重大な生産安全事故件数:20%削減
3.生産安全事故による単位GDPあたりの死亡率:33%削減
4.工業、鉱業、貿易に従事する10万人の生産安全事故による死亡率:20%削減
5.自然災害による人口100万人当たりの年間死亡率:1未満
6.10万人当たりの年間平均被災者数:15,000人未満
7.自然災害による年間平均直接経済損失額の対GDP比:1%未満
化学物質管理については、具体的には、安全な生産に向けて、中国の状況に合った
緊急管理制度の構築のために危険化学品安全の法律・規制の改正を推進すること(第
四章(一))、危険化学品等の禁止、制限、管理リストを作成し、危険化学品の登
録・管理データベースを改善すること、危険化学品のライフサイクルにおける管理を
強化すること、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)の導入を
促進すること、危険化学品の廃棄報告制度の整備を実施すること、危険化学品と危険
廃棄物の統一管理メカニズムを構築すること(以上、第五章(三))等が、計画とし
て述べられています。
中国中央人民政府(中国語)
http://www.gov.cn/zhengce/content/2022-02/14/content_5673424.htm
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【5】国連における最新動向
(1)ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第17回会合(POPRC17)が開催
国連環境計画(UNEP)が事務局を務めている「残留性有機汚染物質に関するスト
ックホルム条約(POPs条約)」の残留性有機汚染物質検討委員会第17回会合
(POPRC17)が、2022年1月24日(月)から28日(金)にかけて対面とオンライ
ンのハイブリッド形式で開催されました。
「ストックホルム条約(POPs条約)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や
生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT
等の残留性有機汚染物質(POPs)の製造及び使用の廃絶や制限、その意図的でない生
成による放出の削減等の規制に関する条約です。残留性有機汚染物質検討委員会
(POPRC)では、ストックホルム条約による規制対象物質について検討が行われてい
ます。
今回の会合では、メトキシクロルの条約上の廃絶対象物質(附属書A)への追加を
締約国会議に勧告することが決定されました。また、デクロランプラス及びUV-328
について、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。
さらに、新たに提案されたクロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14で塩素
化率45重量%以上のもの)並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及
び関連物質について、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定され
ました。
ストックホルム条約ホームページ(英語)
http://www.pops.int/
残留性有機汚染物質検討委員会第17回会合(POPRC17)ページ(英語)
http://chm.pops.int/TheConvention/POPsReviewCommittee/Meetings/POPRC17/Overview/tabid/8900/Default.aspx
環境省 報道発表(日本語)
https://www.env.go.jp/press/110460.html
(2)第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)が開催
第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)が、2022年2月28日(月)から
3月2日(水)に、ケニア・ナイロビにおいて開催されました。今次会合は「持続可
能な開発目標の達成に向けた自然のための行動強化」をテーマとして開催され、計14
本の決議及び会合テーマに沿った閣僚宣言が採択されました。
プラスチック汚染対策に関する決議では、プラスチックの有用性を認識しつつ、海
洋を含む環境におけるプラスチック汚染が地球規模の喫緊の課題であること、世界規
模で効果的で進歩的な行動を促進が喫緊に必要であること、プラスチック汚染は越境
性を有しており海洋環境及びその他環境での対策が必要なこと、また、プラスチック
のライフサイクル全体を踏まえた対策を講じる必要があるとの認識が共有されました。
国際約束の作成に向けて、2022年の後半に政府間交渉委員会(INC)を開始し、2024
年末までの作業完了を、野心的に目指すことが決定されました。
化学物質対策に関する決議では、第5回国際化学物質管理会議(ICCM5)を開催し
ポストSAICMの枠組みの検討を進めることに加えて、化学物質・廃棄物の適正管理
及び汚染の防止に関する独立した政府間科学・政策パネル(気候変動分野でのIPCC
(気候変動に関する政府間パネル)や生物多様性分野でのIPBES(生物多様性及び生
態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)に類するもの)の設置に向
けて詳細を議論するための臨時公開作業部会を設置することが決定されました。
国連環境計画 第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)(英語)
https://www.unep.org/environmentassembly/unea-5.2
環境省 報道発表(日本語)
http://www.env.go.jp/press/110635.html
環境省 UNEA5.2で採択された決議・決定一覧(日本語)
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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【6】あとがき
本号では、欧州における化学物質管理政策最新動向セミナーのご案内とともに、欧
州、米国、中国、国連における化学物質管理の最新動向について紹介いたしました。
読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記の
「お問い合わせ」のページからお寄せください。
どうぞよろしくお願いいたします。
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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■本マガジンは、令和3年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
センターが運営しております。
一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
http://www.oecc.or.jp/
環境省大臣官房環境保健部
http://www.env.go.jp/chemi/index.html
化学物質審査規制法ホームページ(環境省化学物質審査室)
http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、隔月で配信を予定しています。
メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
■化学物質国際対応ネットワークマガジンバックナンバーは、下記ウェブサイトを
御覧ください。
http://chemical-net.env.go.jp/mailmg_bn.html
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等は、以下のウェブサイトよりご連絡ください。
http://chemical-net.env.go.jp/contact.html
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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