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メールマガジン

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     化学物質国際対応ネットワークマガジン 第122号
          http://chemical-net.env.go.jp/
              2024/1/16配信
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このメールマガジンは、化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトから
配信登録をされた方を対象にお送りしています。

第122号は、以下の内容をお送りいたします。
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【1】化学物質国際対応ネットワーク事務局からのご案内
【2】国連における最新動向
【3】欧州における最新動向
【4】米国における最新動向
【5】中国における最新動向
【6】あとがき
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【1】化学物質国際対応ネットワーク事務局からのご案内

(1)韓国における化学物質管理政策最新動向セミナー(オンライン)のご案内

 化学物質国際対応ネットワークは、ネットワーク活動の一環として、各主体間に
おける情報共有及び理解、連携強化のため、韓国における化学物質管理政策最新動
向セミナーをオンライン会議形式で開催します。
 韓国では、2011年から従来の化学物質管理制度の見直しの検討を始め、新たな化
学物質管理システムとして、2015年には化学物質の事前登録とリスク評価制度を導
入した「化学物質の登録及び評価に関する法律」(K-REACH)、化学物質の取り扱い
事業所での事故防止等に向けた安全管理のための「化学物質管理法」を施行してい
ます。また、2019年にはK-REACHを改訂し、その一部を「生活化学製品及び殺生物剤
安全管理法」として施行し、化学物質の安全管理を推進しています。
 本セミナーでは、韓国環境部に講師をお願いし、韓国における化学物質管理政策
の概要及び最新の動向、PFAS等を含む韓国における残留性有機汚染物質(POPs)管
理に向けた取り組みについて紹介いただきます。

日時:令和6年1月24日(水)14:00-16:25(13:45~オンライン参加開始)
開催方法:オンライン(Zoom) 
言語:同時通訳(韓国語-日本語)
主催:環境省/化学物質国際対応ネットワーク

【プログラム(予定)】
講演1:韓国における化学物質管理政策(仮題)
講師 チェ・ジェソク(環境部環境保健局化学物質安全課 課長補佐)
講演2:韓国のPOPs管理政策及び国際動向への対応(仮題)
講師 パク・ジュンキュウ(環境部環境保健局化学物質政策課 課長補佐)

参加費:無料 
定員:1,000名 (先着順。定員になり次第、締め切らせていただきます。) 
参加申込期限:令和6年1月23日(火)17:00迄

 参加をご希望の方は、必ず以下のページからご登録ください。参加登録が確定した
方には事務局から参加票をメールにてお送りいたします。 
 
https://www.env.go.jp/press/press_02651.html
https://chemical-net.env.go.jp/seminar20240124.html

(2)新規コラム掲載のご案内

 化学物質国際対応ネットワークのウェブサイトに、昨年度からの継続のコラム
「ポストSAICMの枠組みの検討状況と今後の動向」の第3回を掲載しました。この第3
回コラムでは、2023年9月に取りまとめられたポストSAICMの枠組みであるGlobal 
Framework on Chemicals(GFC)策定に向けた検討の内容と、GFCの具体的な内容に
ついて解説しています。
 なお、今年度は新規コラム「PFAS対策の国際状況と今後の動向」も連載しており、
第1回コラムは令和5年8月に掲載しています。第2回コラムは2月に掲載予定です。

コラム「ポストSAICMの枠組みの検討状況と今後の動向(3)」
https://chemical-net.env.go.jp/column_kizuki_yoshizaki_takaki.html#VOL3
コラム「PFAS対策の国際状況と今後の動向(1)」
https://chemical-net.env.go.jp/column_kizuki_matsuoka.html#VOL1

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【2】国連における最新動向

(1)SAICMの後継となる、2020年以降の新たな枠組み「GFC」が採択

 2023年9月25日から同年9月29日にかけて、ドイツ・ボンにおいて第5回国際化
学物質管理会議(ICCM5)が開催されました。
 この会議には、約110カ国の国と地域が参加し、新たな国際化学物質管理に関する
枠組み文書「Global Framework on Chemicals (GFC) – For a Planet Free of 
Harm from Chemicals and Waste」が採択されました。
 この新たな枠組みでは、産業界、保健部門、労働部門等の関与を強化するための
方策を示した項目が盛り込まれ、より多様な主体による自主的な化学物質管理の推
進が強化されました。

環境省 報道発表「第5回国際化学物質管理会議(ICCM5)の結果について」
https://www.env.go.jp/press/press_02231.html
UNEP Global Framework on Chemicals (GFC)
https://www.chemicalsframework.org/

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【3】欧州における最新動向

(1)ECHA、有害化学物質規制のための研究ニーズを特定

 ECHAは、2023年11月15日、有害化学物質から人と環境を守るために研究が必要な
分野を特定し、報告書「規制課題主要分野(2023年)」を発表しました。
 本報告書では、EUにおける化学物質の安全性をさらに向上させることを目的に、
科学研究により化学物質規制に関連するデータを収集・提供する必要があるとして、
そのための以下の優先課題を特定しています。

1. 特異的で感度の高い試験法が現在存在しない毒性の特定(神経毒性、免疫毒性、
内分泌かく乱作用)
2. 自然環境における化学物質の汚染(生物濃縮、生物多様性への影響、ばく露評価)
3. 動物実験からの脱却(REACH規制下で、魚類試験からの脱却、発がん性等の毒性
学的研究へのメカニズム的支援)
4. 化学物質に関する新たな情報(ポリマー、ナノマテリアル、エンフォースメント
を支援する分析法)

ECHA News(英語)
https://echa.europa.eu/-/echa-identifies-research-needs-for-regulating-hazardous-chemicals

報告書「Key Areas of Regulatory Challenge(規制課題主要分野)」(英語)
https://echa.europa.eu/documents/10162/17228/key_areas_regulatory_challenge_en.pdf/fbaa76cf-acd0-0c8a-5dd7-3195379946aa

(2)欧州委員会、プロセスの迅速化、簡素化、透明化に向けた「1物質1評価」の
化学物質評価改革を提案

 欧州委員会は、2023年12月7日、EU法制全体にわたる化学物質評価の合理化、化学
物質に関する知識基盤の強化、新たな化学物質リスクの早期発見と対策の確保を目的
とした3つの立法案を提案しました。2020年10月に発表した「持続可能性のための化
学物質戦略」の主要な柱であるこの「1物質1評価」の下では、重要な業務がEUの関
係機関の間で再配分され、医療機器、玩具、食品、殺虫剤、殺生物剤等の製品に使
用される化学物質の一貫した透明性のある安全性評価が確保されることになります。
 この「1物質1評価」により、市民、企業、当局は、化学物質の情報へのアクセス
が簡素化・透明性が高まること、法規制全体がより調和され予測可能になること、
評価の確実性が強化されることが期待されています。

 本提案の目的として、以下が挙げられています。
1. 欧州化学物質庁(ECHA)、欧州食品安全機関、欧州環境庁、欧州医薬品庁におけ
る化学物質に関する科学的・技術的作業を統合し、協力を強化
2. コモン・データ・プラットフォームを構築し、EU法に基づいて作成された、EU諸
機関および欧州委員会が保有する化学物質に関するデータへの「ワンストップ・ショ
ップ」アクセスを導入
3. EUで作成された人のバイオモニタリング・データの体系的な収集を確立し、人か
ら検出される化学物質のレベル(血液や母乳等)について政策立案者に情報を提供
4. 化学物質のリスクの未然防止ために早期に発見を可能にするために、モニタリン
グと見通しの枠組みを構築。また、迅速な規制対応を可能にし、化学物質に関する
規制措置の影響を監視
5. 欧州化学物質庁に、必要に応じてデータを作成する権限を強化
6. 化学物質に関する科学的研究の透明性を確保

欧州委員会 Press Release(英語)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_6413

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【4】米国における最新動向

(1)EPAは、有害物質排出インベントリへのPFAS報告強化を求める規則を決定

 米国環境保護庁(EPA)は、2023年10月20日、有害物質排出インベントリ(TRI)
へのパーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の報告
を改善する規則を最終決定しました。これまで、PFASが低濃度で使用されている場
合に事業者がその量の報告は免除されていましたが、今回の新たな規則によりその
免除規定は撤廃されました。これにより、TRIにリストされている189のPFASのいず
れかを製造または使用する施設は、管理または環境中に放出するPFASの量の開示を
回避することができなくなります。
 この規則は、PFASの影響に対処するというバイデン政権のコミットメントを反映
したものであり、PFASの人体及び環境リスクに対処するEPAのPFAS戦略ロードマップ
を前進させるものとして位置づけられています。

EPA News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-finalizes-rule-require-enhanced-pfas-reporting-toxics-release-inventory

(2)EPAが内分泌かく乱物質スクリーニング・プログラムを再構築

 EPAは、2023年10月26日、人の内分泌系への農薬による影響の可能性をより緊密、
迅速かつ効果的に評価するための戦略的計画(案)を発表しました。
 この戦略は、連邦殺虫・殺菌・殺鼠剤法(FIFRA)の一環として、また、連邦食品・
医薬品・化粧品法(FFDCA)に基づく内分泌かく乱物質スクリーニング・プログラム
(EDSP)を実施するために、EPAがこれらの影響からの人健康保護を強化させるもの
です。EPAは1998年に、農薬やその他の化学物質に対する2段階の内分泌スクリーニ
ング・試験プロセスとして当該プログラム(EDSP)を策定しました。20年以上にわ
たってEDSPとFFDCAにおけるその他の義務事項を実施してきたEPAは、この課題への
対応を促進するため、今回のEDSPを再構築するための短期戦略的計画(案)を策定
しました。
 本計画に対する意見募集は2023年10月27日(金)に開始され、同年12月25日まで
でした。

EPA News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-rebuilds-endocrine-disruptor-screening-program-better-assess-human-endocrine

戦略計画(案)
https://www.federalregister.gov/documents/2023/10/27/2023-23721/endocrine-disruptor-screening-program-edsp-near-term-strategies-for-implementation-notice-of

(3)EPAは、PBT物質のばく露から人々を保護するためのより強力な規則を提案

 EPAは、2023年11月20日、残留性、生物蓄積性及び毒性(PBT)を持つ2つの化学
物質(デカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)とリン酸イソプロピルフェノール
(3:1)(PIP(3:1)))のばく露から人々の保護を強化する規則案を発表しました。
 いずれの化学物質も、有害物質規制法(TSCA)のリスク管理規則の対象となって
います。本規則案は、職場の安全保護を強化し、放出を制限するものである。また、
関連する様々な産業部門のサプライチェーンに影響を及ぼす、より広範な課題にも対
処することになります。

EPA News(英語)
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-stronger-rules-protect-people-persistent-bioaccumulative-and-toxic
提案(英語)
https://www.epa.gov/assessing-and-managing-chemicals-under-tsca/current-and-future-actions-pbt-rules

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【5】中国における最新動向

(1)生態環境部が「中国厳格制限有毒化学品リスト」(2023年版)を公表

 中国生態環境部(MEE)は、2023年10月23日、ストックホルム条約(POPs条約)、
水俣条約、ロッテルダム条約(PIC条約)、中国国内の規制等を踏まえて、「中国厳
格制限有毒化学品リスト」の2020年版を更新し、今回、2023年版を公表しました。
2020年版はこの日(2023年10月23日)で廃止になります。
 今回の2023年版では、デカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)とペルフルオロ
オクタン酸(PFOA)とその塩および関連物質(PFOA 類)が新たに追加され、ヘキサ
ブロモシクロドデカン(HBCD)がリストから削除されています。
 本リストは、「新汚染物質管理行動計画」(2022 年5月公表)に基づき作成され
たもので、2023年6月に意見募集が行われていたものが最終化されて、今回正式に公
表されました。本リストに収載された有毒化学品を輸出入する者は、本公告及び付
属書の規定に基づき、生態環境部に有毒化学品の輸出入に関する環境管理許可を申
請し、その許可書に基づいて税関で輸出入手続きを行う必要があります。

生態環境部 報道発表(中国語)
https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/202310/t20231019_1043580.html
中国厳格制限有毒化学品リスト(2023年版)(中国語)
https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/202310/W020231019674253866600.pdf

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【6】あとがき

 本号では、韓国における化学物質管理政策最新動向セミナーと新規コラム掲載の
ご案内とともに、国連、欧州、米国、中国における化学物質管理の最新動向につい
て紹介いたしました。
 読者の皆さまより、記事内容に関するご意見、ご要望を募集しております。下記
の「お問い合わせ」のページからお寄せください。
 どうぞよろしくお願いいたします。

http://chemical-net.env.go.jp/contact.html

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■本マガジンは、令和5年度環境省請負業務に基づき、一般社団法人海外環境協力
 センターが運営しております。
 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
   http://www.oecc.or.jp/
 環境省大臣官房環境保健部
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  http://www.env.go.jp/chemi/kagaku/index.html
■原則として、隔月で配信を予定しています。
 メールの配信については、回線上の問題(メールの遅延、消失)等により
 届かなかった場合の再送は行いませんので、予めご承諾の上、ご利用ください。
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発行元:一般社団法人海外環境協力センター
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